手を組んで生き残れ! ~中小企業サバイバル 新時代~日本にある中小企業は430万社。全企業数の99.7%、全雇用者数の実に約7割を占めている。しかし経営環境はいまも相変わらず厳しいままだ。そんな中、中小企業同士が手を組んで生き残ろうという動きが今、加速している。ポテンシャルはあるのに経営がうまくいっていない企業をM&Aして生まれ変わらせ、急成長しているグループ。また、それぞれ得意分野を持つ町工場5社が集まって究極のモノづくりを志向し、ともに大企業、そして海外に売り込みをかけるチーム。資金も人的資源も乏しい中小企業同士が手を組むことで、弱点を補い合い、強みを活かし合う......
苦境に立たされた中小企業の新たな挑戦に密着する。
いま中小企業が殺到!新たな選択"M&A"企業同士のM&Aを仲介する日本M&Aセンター。ここにきて、会社を売りたい、買いたいという、中小企業からの問い合わせや依頼が増えているという。セミナーは中小企業の社長や役員でいつも満席。M&Aは中小企業の生き残り策の有効な選択肢としてますます注目を集めているのだ。
食品企業よ 集まれ!グループで生き残る選択「1社では無理でも、束になれば生き残れる!」そう語るのは
ヨシムラ・フード・ホールディングスの吉村元久CEO(48歳)。吉村さんは大手証券会社出身。4年前に創業し、シューマイや乾麺、日本酒などの中小食品メーカーに絞ってM&Aを仕掛け、5社を傘下に収める。長年赤字の会社でも、ポテンシャルがあると見込めば積極的に買収して、数年で再生させるのを得意とし、グループの年商は100億円を超えている。その吉村さんが次なる買収先に選んだのが、去年6月に民事再生法を申請した、香川の冷凍食品メーカー、オーブン。かつては全国で相応のシェアを誇っていたが、前社長が為替デリバティブ取引に失敗して経営が傾いた。民事再生法の申請後は、信用不安から取引が激減。大胆なリストラが避けられず、工場も課題が山積していた・・・。そこでヨシムラグループが送り込んだのが、シューマイ会社の再生で実績を上げた深谷英吾さん。深谷さん自身も元はヨシムラに買われた側の社員だった。さっそくオーブンに乗り込み、工場の再生に乗り出した。残されたオーブンの社員と二人三脚で改革を進めていく。がけっぷち企業は再生できるのか・・・。
町工場の技術を結集して打って出ろ!空洞化が叫ばれる日本の製造業。さらに、リーマンショックや大震災も追い打ちをかけ、長年ニッポンのものづくりを支えてきた町工場は今、その多くが存亡の危機を迎えている。そんな中、危機感を持った埼玉県入間市周辺の中小企業5社がいた。各社は、それぞれ金型やプレス、成形・加工など得意分野を持ち、スマートフォンからF1のエンジン、人工衛星に至るまで、最先端の分野に部品を供給する高度な技術を誇る。しかし、それぞれの業績は苦しいまま。そこで5社が共同で仕事を請け負う体制を作ったのだ。その名も「チーム入間」。互いの強みを持ち寄って力を合わせれば、大きな仕事もチームで受注できるはず・・・・。
まずは5社の高い技術力をアピールするためギアボックスを作ってみることにした。ギアボックスとは、自動車のパワーウインドーやデジカメのズームレンズなど、様々な機械に使われる小さな部品。チーム入間は今までにない精密で究極に小さい「マイクロギアボックス」づくりに取り掛かった。各社が得意な技術や独自設備を持ち寄り、100分の1ミリ単位で製造された約30点の部品を、1辺6mmほどの箱にぎっしり結集させたボックスが完成した。
さっそく国内の大企業だけでなく、海外にも売り込みをかけるチーム入間。しかしマイクロギアボックスはあくまでPR用に作ったもの。果たして実際のビジネスにつながるのだろうか・・・。その後、思いもよらない展開が彼らを待っていた。

