2014年01月13日
「インテリジェンス人生相談−復興編」 佐藤優
佐藤優が「週間SPA!」で行っている人生相談ものの第三弾だそうである。書店にあったのがこれだけだったためここから読み始めるのだが、面白い。著者が著者単体での執筆物、書評、対談で縦横無尽に展開する発想法を「実際の人生上の問題」においてはいかに解釈し対応するのかがうかがい知れるからだ。
発言者のあらゆる「資質」を問われるという点で書評よりもさらにピンきりなのが人生相談コーナーである。「性欲に困ってる」という中学生に対し「熟女に頭を下げろ」という上野千鶴子、とりあえず何にでも「己の苦しみを知ることによる救い」に強引に持っていく車谷長吉、「なんで人を殺しちゃいけないの?」という子供の問いかけに、「私はむしろ、この質問に問題があるとおもう 。まともな子供なら、そういう問いかけを口にすることを恥じるものだ。」と逃げた大江健三郎(これだけは人生相談ではないが)とまあ、自分から論題を作り出す作業ではない分、「知識人」達の生活力が問われる、ある意味重大な知的活動である。
回答のタイプとしては
@自らの体験オンリーで全部解決しちゃう人
A補足で偉い人の言葉とか本とか引用しちゃう人
B全面的に他人の受け売りで回答を作成しちゃう人
C完全に回答する気がない人
以上に区分できるかと思う。@なんかは人生相談コーナーとしては一番あるべき姿かもしれないが恋愛経験ないような物理学者なんかがどろどろした不倫の相談受けたらどうなるんだろうか。気になる。
佐藤優の場合は書評でもだいたいAのパターンで他人の発言、著作を援用しつつ、時折自身のとても十中八九読者が遭遇しないであろう体験をぶち込んでくる点が面白い。
題名にもある震災復興関連には1章割いていて、あとは社会・家庭・職業・自己・恋愛である。回答者が佐藤優だけあって質問も風変わりなものが多い。
「計画なき開発から、街を守りたい」
「日本でイスラーム教を普及させたい」
「独立してロシアでビジネスを始めたい!」
「コロンビアで男の器量を磨きたい!」
「風俗で働いてると告白したらフラれました」
「佐藤優さんのような男をオトしたい」
もちろん「マトモな」相談も載っている。だいたいの回答にはこれを読め!と本が紹介されるのだが、佐藤自身の回答も質問者に寄り添う形で、時には大胆に飛躍し、時には堅実に「病院行け」と答えている。このご時世「コロンビアで男の器量を磨きたい!」に対し、真剣にどの言語をどう学べばいいのか、そもそも行く前提で回答しちゃう奴はそうそういない。人への寄り添い方が分からないと悩む坊主にたまにはロシア美女で羽目を外すのもよいと、ブローカーの良しあしに結論が行くのもすごい。
あとがきで彼は、彼が絶対に崩さないスタイルとして「担当者は、仮に相談者の立場に全く共感ができない場合であっても、常に相談者の立場で考え、回答をする」と言っている。この方法論は実際に相談を受ける際にも使えるだろう。
とりあえず人生相談本としては西原理恵子並みの威力(如何に読者の度胆を抜くか)と射程(話の奥行)・射角(ジャンルの広範さ)を誇りながら、結論がどこにどこに飛んでいくか分からない所に魅力がある。
発言者のあらゆる「資質」を問われるという点で書評よりもさらにピンきりなのが人生相談コーナーである。「性欲に困ってる」という中学生に対し「熟女に頭を下げろ」という上野千鶴子、とりあえず何にでも「己の苦しみを知ることによる救い」に強引に持っていく車谷長吉、「なんで人を殺しちゃいけないの?」という子供の問いかけに、「私はむしろ、この質問に問題があるとおもう 。まともな子供なら、そういう問いかけを口にすることを恥じるものだ。」と逃げた大江健三郎(これだけは人生相談ではないが)とまあ、自分から論題を作り出す作業ではない分、「知識人」達の生活力が問われる、ある意味重大な知的活動である。
回答のタイプとしては
@自らの体験オンリーで全部解決しちゃう人
A補足で偉い人の言葉とか本とか引用しちゃう人
B全面的に他人の受け売りで回答を作成しちゃう人
C完全に回答する気がない人
以上に区分できるかと思う。@なんかは人生相談コーナーとしては一番あるべき姿かもしれないが恋愛経験ないような物理学者なんかがどろどろした不倫の相談受けたらどうなるんだろうか。気になる。
佐藤優の場合は書評でもだいたいAのパターンで他人の発言、著作を援用しつつ、時折自身のとても十中八九読者が遭遇しないであろう体験をぶち込んでくる点が面白い。
題名にもある震災復興関連には1章割いていて、あとは社会・家庭・職業・自己・恋愛である。回答者が佐藤優だけあって質問も風変わりなものが多い。
「計画なき開発から、街を守りたい」
「日本でイスラーム教を普及させたい」
「独立してロシアでビジネスを始めたい!」
「コロンビアで男の器量を磨きたい!」
「風俗で働いてると告白したらフラれました」
「佐藤優さんのような男をオトしたい」
もちろん「マトモな」相談も載っている。だいたいの回答にはこれを読め!と本が紹介されるのだが、佐藤自身の回答も質問者に寄り添う形で、時には大胆に飛躍し、時には堅実に「病院行け」と答えている。このご時世「コロンビアで男の器量を磨きたい!」に対し、真剣にどの言語をどう学べばいいのか、そもそも行く前提で回答しちゃう奴はそうそういない。人への寄り添い方が分からないと悩む坊主にたまにはロシア美女で羽目を外すのもよいと、ブローカーの良しあしに結論が行くのもすごい。
あとがきで彼は、彼が絶対に崩さないスタイルとして「担当者は、仮に相談者の立場に全く共感ができない場合であっても、常に相談者の立場で考え、回答をする」と言っている。この方法論は実際に相談を受ける際にも使えるだろう。
とりあえず人生相談本としては西原理恵子並みの威力(如何に読者の度胆を抜くか)と射程(話の奥行)・射角(ジャンルの広範さ)を誇りながら、結論がどこにどこに飛んでいくか分からない所に魅力がある。