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「桂馬の幻想」 坂口安吾 (03/31)
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「ボクのインプット&アウトプット法ー1日に10冊の本を読み3日で1冊の本を書く」 千田琢哉 (02/22)
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「100の地点でわかる地政学」 オリヴィエ・ダヴィド他 (02/19)
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「100の地点でわかる地政学」 オリヴィエ・ダヴィド他 (02/18)
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「ボクのインプット&アウトプット法ー1日に10冊の本を読み3日で1冊の本を書く」 千田琢哉 (02/16)
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「ボクのインプット&アウトプット法ー1日に10冊の本を読み3日で1冊の本を書く」 千田琢哉 (12/23)
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「日本の地下経済−脱税・賄賂・売春・麻薬」 (12/22)
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「ボクのインプット&アウトプット法ー1日に10冊の本を読み3日で1冊の本を書く」 千田琢哉 (12/20)
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「桂馬の幻想」 坂口安吾 (12/12)
・ケゥ`・ムゥ`・ウ・ヤゥ` リ抜シ ・ラ・鬣タ
「戦いの原則−人間関係学から組織運営の妙まで」 大橋武夫 (12/06)
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2014年01月08日
「天才になりそこなった男の話」 坂口安吾
 かなり短い短編である。あまりに短いので要旨すら書けないのだが、軽妙洒脱な筆致で描かれる傑作である。

文章に全く無駄が無い上、起・承・転がしっかりが自然と緻密に配され、見事な結末へとつながる。声に出しても全く魅力を失わないであろう文体でもある。

青空文庫に入ってるので安吾の他の短編と共に、純粋に文章を楽しみたい方、短作文の名手を目指す方にお勧めする。

坂口安吾








2014年01月07日
「二流の人」 坂口安吾
 今年の大河ドラマの主人公は黒田官兵衛である。最近の大河ドラマは官兵衛や直江兼続、山本勘介などくせのかなり強い人物がやたらと主人公となっている。ドラマで描かれる際、その曲者ぶりが変に曲解されるせいで、ある程度その人物について知っている者からすれば悲しくなることもある。

 坂口安吾はこの「二流の人」以外にも「黒田如水」という短編も書いている。もっとも「黒田如水」は「二流の人」とほとんど同じような語り口・内容であり、この作品をもとに「二流の人」を描いたのはありありとわかるためまあ、読まずとも良い。

 司馬は長編で人物を描くときには基本的に通史を書くようにしている(新史太閤記や覇王の家といった尻切れトンボもあるが)。それに対し安吾の時代小説の凄いところは描きたいところのみをピックアップして書き、それ以外の部分は一切紙面に残さないことだ。

 小田原攻めの陣屋で黒田如水と家康が会談するところから始まる。

 「この二人が顔を合せたのはこの日が始まり。いはば豊臣滅亡の楔が一本打たれたのだが、石垣山で淀君と遊んでゐた秀吉はそんなこととは知らなかった。」

秀吉が恐れたのは家康であったがその次に恐れていたのは如水であったと続く。秀吉は如水が献策するたびに衆人の前で如水をほめたたえるのだが、同時に如水への警戒を強めていく。如水もあほではないからその都度ごとにしまったと思う。

 「如水は律儀ではあるけれども、天衣無縫の律儀でなかった。律儀という天然の砦が無ければ支へることの不可能な身に余る野望の化け物だ。彼も亦一個の英雄であり、すぐれた策師であるけれども、不相応な野望ほど偉くないのが悲劇であり、それゆゑ滑稽笑止である。秀吉は如水の肚を怖れたが、同時に彼を軽蔑した。」

 如水という不世出の軍略家とその飼い主・秀吉、その飼い主が最も恐れた家康の三人の実力者の構造を如水から少し離れた視点から描く。面白いのは如水は才気が顔に出てしまうほどの者ながら、事態については冷静に見つめているため、秀吉の心情を巧みに汲んで、自身を破滅へは追いやらない。

 司馬の「播磨灘物語」の如水はもうすこし凛々しげなのだが、「二流の人」の如水は鬱屈が顔に出ている様がありありと想像できる。これが司馬と坂口の違いなのだろう。

 No2のあり方を描く作品は多いが、心の鬱屈・屈折を感じさせる作品は少ない。史実の如水は秀吉に牙をむかなかったが、実際のところ心の中ではどう思っていたのか。秀吉と如水とは、優れたリーダーと、不分相応な力量を持ってしまった献策者との関係性を読み解くには格好の題材であろう。

黒田官兵衛






2014年01月07日
「河井継之助傳」 今泉鐸次郎
河井継之助というのは実に奇妙な人物である。商人的な目端の利く才覚の持ち主という点では、当時の武家階級では第一等の人物であったし、発想の飛躍ぶり、視野の広大さという点では維新の有名人数人分に匹敵する。その彼が自身と長岡武家階級に終止符を打つこととなった北越戦争でも、軍は劣勢ながらも奇抜な戦法で山形有朋の心胆を震えせしめたりもしている。これほどの傑物ではあるが、その思想について触れた著作は意外と少ない。

 河井継之助と言えばまず挙げるべきは司馬遼太郎の「峠」「英雄児」であろう。これらにより現在の河井継之助の知名、イメージが完成したといってもよい。その司馬が作品を記すに当たり参考としたのが本著「河井継之助傳」だ。

 分量もかなりあり、編纂年次が古いため読み進めるのは容易ではない。しかし河井のことをよく知る人たちの回想が主となっているため、河井についておよそ後人が知りうる史料のほとんどはこの本に収まっているとみていい。河井のみならず、久敬舎時代の河井の学友などについても触れられている。

 歴史小説を入り口として歴史上の人物に触れようとするとどうしても、史料を実際に読み解かねばならない壁にぶつかる段階が来る。織田信長ならば信長公記、日本史、信長記・太閤記…とあげれば限りない。他の有名人も大方そうであろう。しかし、河井に関しては本書にその大半が詰まっているため同時代人から見た河井を知りたければこの本で十分だ。これはある意味河井がこの本一冊にしか足跡を残せなかった「賊藩」の人間だったという、歴史は勝者によりつくられることを示す例でもある。






2014年01月06日
「お前なんかもう死んでいる−プロ一発屋に学ぶ『生き残りの法則50』」 有吉弘行
 毒舌芸人・有吉が自身の生き残りの方法について書いた本である。なんというかもう全てがねずみ男みたいないやらしさで覆われてる本だが、実利的な良書。猿岩石ブーム終了からのどん底生活で発見した法則とそこから這い上がった経験則が綴られる。

 始めの方には猿岩石ブームで舞い上がっていた時のエピソードが多々出てくるが、有吉という人の金銭感覚は堅実で、派手な金遣いのせいで転落したわけではないというのがすぐ分かる。落ちぶれてから翌日の仕事の有無を事務所に聞く午後四時の電話が怖くて震えていたエピソードや1日250円生活では夢など見られるわけがないなど、今の彼の境遇から見ると衝撃的な記述が続く。

 とりあえず全章・全ページが衝撃的でかつスリリングなのだが、貧乏生活・一発屋芸人の枠を超えて役に立つ思考法が多い。

 急な冠婚葬祭に怯え7千万貯めていた、身の丈より一個下の生活をする、風俗代を惜しんで風俗嬢と付き合う、といった貧乏時代のエピソードからは彼の徹底した現実性が見て取れる。自分へのご褒美はいらない、寂しいから酒を飲むのは金の無駄、などの記述も。税金対策で散財するのは、未来の自身の出費が増えるだけという考えは面白い。

 また、生き残るための法則として、宿主を常に変える寄生虫として生きろ、自分磨きに意味はない、金が無くても幸せはブスでも満足と一緒、仕事のヤリガイなんて金物屋のババアの手芸品と同じだ、結婚するなら金持ちの出身なのをコンプレックスにもつ女と結婚しろ、などこれも勢いが止まらない。

 経済的充足と精神的充足についての昨今の風潮−国民総幸福量(GNH)などを論点のすり替えを行っているにすぎないと喝破するところが痛快である。実際、俗世的なもの(金銭や利得など)と非物質的なもの(価値観や思想など)が絡み合う幸福度、戦後賠償、環境問題に関する論議では論点のすり替えが頻発する。

 この人自身の価値観は、文字面としては「金」を全面に押し出しているが、本書の内容全てを通してみてみると「身の丈に合った生活の保障」さらには「明日も食っていけること」にあることが分かる。FXや株には到底手を出さないであろう点で、「人に強くなる極意」の佐藤優の金銭観と比較してみるのも面白い。

 現代日本の「厚黒学」とでも言うべきか。






2014年01月06日
「人に強くなる極意」 佐藤優 
対人関係の心構えについて述べている本というのは2種類に大別される。1つは心理学者やカウンセラー、精神科医といった「人の心と向き合うプロ」が自身の専門知識・学説・経験を元に書いたものである。もう一つはそれこそ多種多様な経歴の「成功者」達が自身の「人間論」を書き下ろしたものである。前者は「ウツにならない方法」「ストレスをためない」といった内容のものが多い。現代医学からチャクラ、呼吸法、瞑想などその内容は多岐にわたる。

 一方後者については執筆者自身の力量・実績自体に大きな差があるばかりでなく、内容としてもモノにより相当な差がある場合が多い。装丁・文面・執筆者どれも世間的に見て優等生的な堅実な面をしておきながら、中身が完全な誤謬や虚構・妄想にまみれている本も世の中には多い。しかし、そもそもその「外面」の時点から失格な本が多いのが「心構え」「自信のつけ方」と言った分野である。

 上でいう後者すなわち「成功者」の手からなる「人間論」の本については私は基本的に読まない。執筆者の他の著作やその実績まである程度知っている上でしか手には取らない。まあ、酔った親戚の中年オヤジの訓戒と、飲み屋で横になったオヤジの訓戒どちらがまだ聞いてて苦痛でないかというぐらいしか違いはないが。

 本書の著者・佐藤優の凄いところは(一般的な意味ではなく原義的な意味で)インテリでありながらその言葉に彼の経験により裏打ちされた重みがあることだ。

 「怒らない」「びびらない」「飾らない」「侮らない」「断らない」「お金に振り回されない」「あきらめない」と題された各章では佐藤自身の経験・読書歴からさまざまに事例・教示を引き出しながら如何に「人に強くなるか」が展開される。

 「びびらない」では「人間は限界のわからないものに対して恐れを抱く」というチェコの神学者コメニウスの引用から始まり、びびらないために相手や対象を知り、相手の本質や意図を見極めること(外交の世界でいう「相手の内在論理を知る」)が重要と続き、北朝鮮のミサイル問題、検察の取り調べ、太平記の引用と飛びに飛ぶが話が飛躍するたびに読者レベルの事象に対応するために戻って一区切りつけている構成なので、自分で実践する時ばかりでなく、人にアドバイスする際にもこまめに役立つであろう。

 興味深いのは佐藤のお金に関する記述である。講演をできるだけ引き受けないようにしているのはギャラが高すぎるから、単行本執筆時には初版が労働のまっとうな対価であり、重版による収入は不労所得、など彼独自のストイックな金銭論が展開する。ある意味この章は独立させても十分に本になる骨子を持っている。

 他の章も「『自分を大きく見せたい』という意識が利用される」「夢や目標をただの『執着』と区別する」など示唆に富んでいる。各章末に2冊ずつその章に見合った本が紹介されるのも彼らしい。






2014年01月05日
「日本の地下経済−脱税・賄賂・売春・麻薬」
 書店に並ぶ本の中で、地下世界について現実社会と同じ目線で立ち会っている本というものは少ない。地下世界の特異性・反社会性に対してある種尊敬のバイアスがかかっているような「ヤクザ・黒幕・フィクサー」ジャンル。対して差別意識・特権問題に対する著者の立ち位置が絡むため、純粋な議論とは言い難い「同和・貧困・左翼思想」ジャンル。蔑みと好奇の目の塊である「性風俗」ジャンル。

 本書はこれまで正確な統計資料もなく、議題にも上がらなかった「地下経済」について「表世界の経済」と同様の手法を用いて推測しようとした本である。覚せい剤の売却益や形式別の風俗業界の売上などの総計で地下経済を捉えようというのである。

 地下経済が「表世界の経済」と連動し、税率や法規制、景気などの要因により互いに密接に連動し合っていることや、「表世界の経済」からみても無視できないレベルの大きさであることなど、はたと驚かされる記述も多い。

 経済の素人にわかりやすいよう本論は一般的な語句や解説に留意し、専門的な数式・手法の解説はコラムに回している作りも分かりやすくてよい。

 日本の地下経済の分析の後、世界各国の地下世界についての分析が語られるがシンガポールのようなガチガチの法治国家においても地下経済が広がっているという事実に驚く人は多いだろう。

 本書では地下経済の存在を無視したまま経済を語るとかじ取りを誤るという箇所があったが、「表世界」と同じ尺度・手法で「地下世界」を語る書籍がもう少しあってもいいかもしれない。

地下世界






2014年01月05日
「知の武装‐救国のインテリジェンス」 手嶋龍一・佐藤優
 元NHKワシントン支局長・手嶋龍一と元外務省主任分析官・佐藤優の著書はどれも分析の広さと深さにおいて他の論客の追随を許さない。かれらの論評を読んだ後では、新聞の批評を読む気が失せるほどだ。それほどに彼らの著作には中毒性があふれている。専門バカではなく、ゼネラリストな知識人を志向するものにとって、著作・著作家の中毒は避けねばならないものであるが、ともかく彼らの発言には危険な魅力がある。

 彼らの共著は本作で3冊目である。1冊目「インテリジェンス‐武器なき戦争」の頃はインテリジェンスについての解説にもだいぶ稿が割かれていたが、3冊目ともなるとある程度の予備知識が読者にはある前提で容赦ない論評が怒涛のごとく続く。

 テーマは今話題の東京オリンピックからTPP、スノーデン事件、尖閣諸島問題などがメインである。特定機密保護法案については自明の理なのか触れられてすらいない。

 読書の際、少しでも気になる箇所には付箋を貼って読む習慣があるが、この本がここ最近では最も多かった。オリンピックのもつ国際政治への影響力について国連となぞらえてみたり、スノーデンらアナキズムを心に抱える技術者を雇う情報機関の苦悶やメディアでは議題に上らないTPPの戦略的意義と、油断して読むことのできないほどの議論が続く。

 特に、飯島勲内閣官房参与の訪朝写真を題材に、各国の情報屋たちがどの様に分析して見せるのか実演するくだりは圧巻である。

 間違いなく、現在巷に出回っている中で最高レベルの政情分析の書であり、10年後も2013年暮れの政情分析の傑作断片標本として「古典」的価値を持つに値する書である。






2014年01月05日
「梟雄」 坂口安吾
 堕落論で有名な坂口安吾による時代小説である。彼は他にも「二流の人」「鉄砲」「織田信長」といった歴史モノを多く残している。精神主義を嘲笑うような合理主義と緻密な内面描写が特徴である。

 梟雄とは残忍猛々しく、狡猾な傑物を指す。梟雄としてよく名が挙がるのは、北条早雲や毛利元就、浮田直家、松永久秀といったどれもまあ納得の面々である。そしてその筆頭ともいえるのがこの作品の主人公、斉藤道三である。

 京・妙覚寺の高名な学僧・法蓮房は薄っぺらな寺社会に嫌気がさし、「時運にめぐまれれば一国一城の主となることも天下の権力者となることもあながち夢ではない」乱世を目指し還俗する。「人生万事、ともかく金だ」と油屋の娘と結婚する。講談で有名な油売りの秘儀など手練手管を用い、蓄財に励む傍ら、彼は独自の兵法研究に余念がなかった。やがて財を成した油売りは、サムライになろうと考える。かつての学僧仲間を頼り美濃に落ち着いた彼は、内通・毒殺・クーデターと謀略の限りを尽くして美濃を奪い取る。主を変える度に名を変えた油売りは、その都度自身に流れる新しい「血」を見つめていた。しかし美濃奪取後、彼が奪った「血」は思いもかけぬ形で彼の胎外で成長を遂げ、彼に向かうのだった…。

 斉藤道三を扱った小説では司馬遼太郎の長編「国盗り物語」が代表作であろう。本作「梟雄」は短編であるが切れの良さと構成の巧みさでは「国盗り物語」と比べても全く遜色ない。むしろ心理描写の秀悦さでは部分的には上回る場面もある。道三の美濃奪取後や、義龍謀反後の心理描写がそれである。「国盗り物語」の斉藤道三編の終末部は、織田信長編に移行するために道三個人の描写が少なく淋しいものがあった。

 道三自体は父子2代説が近年提唱されていたりと、メジャーな武将に比べ正体が不明な人物であり、そのイメージの大半は江戸期以降の軍記・講談文化がつくりだしたものである。道三が斉藤妙椿と同居していたりと史実的誤謬も見受けられるものの、道三の内面を「血」というキーワードで解き明かそうとしたこの作品は、道三という梟雄ひいてはクーデターでのし上がった権力者の内在論理を理解するにあたり格好のテキストと言えるだろう。

梟雄 斉藤道三






2014年01月03日
「世界一わかりやすい『ゲーム理論』の教科書」 小関尚紀
タイトルにあるように、世界一分かりやすいゲーム理論の本である。ナッシュもノイマンも出ては来ないが、実際のビジネス業界において個人レベルで必要な概観のツボは抑えてある本だ。ゲーム理論のゲームの意味も知らないドジっ子OLが、合理主義者で意地悪な先輩や正体不明の資料庫の老人に導かれながら、会社の課題を片付けて行き、バリバリのキャリアウーマンへと変貌を遂げて行く。

本書では、プラス・マイナスサムゲームや合理的なブタ、囚人のジレンマなどが扱われる。主人公の目を通して、ビジネスの現場でこれらはどう機能するかを知ることができる。それぞれについて、大手牛丼チェーンの価格競争や高級シャンプーなどの実例を引いているため、ゲーム理論をより実感出来るようになっているのも良い。

20世紀半ばに誕生して以来、ゲーム理論は経済、軍事、生物学、社会学などなどを記述するに当たり、強力な理論であり続けている。その概観に触れるに当たり絶好の入門書。

ゲーム理論






2014年01月03日
「インテリジェンスの賢者たち」 手嶋龍一
 インテリジェンス作家として活躍する手嶋龍一の、インテリジェンスをテーマとしたエッセイ集である。オックスフォード、アルザス、ワシントンDC、ボン…それぞれの舞台を異とする30篇近くの物語が繰り広げられる。

 内容はル・カレとアデナウアーの逸話や手嶋がNHK時代に経験したパワーゲームの現場での体験談といったインテリジェンスそのものといった話から、イタリアのジゴロの話や競走馬の話などインテリジェンスとあまり関わりがない話まで多岐にわたる。

 文章が巧みである為、情景がありありと広がるものばかりだ。ある程度の歴史や政治の基礎知識は必要だが、短編な分、難解さは少ない。

 読後に驚くのは、筆者自身の体験談の豊富さ、重厚さである。筆者がかつての職にあったころ、世界のキーパーソンと対等に渡り合い、かつキーパーソンの一人でもあったことがうかがえる。

 商社マンや官僚、政治家以外の形で国際進出した日本人の1典型を見て取れるばかりでなく、欧米社会におけるエリートの空気にも触れることができる1冊だ。






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