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2021年04月01日

「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,97


「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,97



ナオミは衣装をつけてしまうと、

「さ、譲治さん、あなたは紺の背広を着るのよ」



と、珍しくも私の服を出して来てくれ、埃を払ったり火熨斗(ひのし)をかけたりしてくれました。

「僕は紺より茶の方がいいがな」



「馬鹿ねえ、譲治さんは!」

と、彼女は例の、叱るような口調で人睨み睨んで、



「夜の宴会は紺の背広かタキシードに極まっているもんよ。そうしてカラーもソフトをしないでスティッフのを着るもんよ。

それがエティケットなんだから、これから覚えて置おきなさい」



「へえ、そういうもんかね」

「そう言うもんよ、ハイカラがっている癖にそれを知らないでどうするのよ。この紺背広は随分汚れているけれど、でも洋服はぴんと皺が伸びていて、型が崩れていなけりゃいいのよ。さ、あたしがちゃんとして上げたから、今夜はこれを着ていらっしゃい。



そして近いうちにタキシードを拵えなけりゃいけないわ。でなけりゃあたし踊って上げないわ」

それからネクタイは紺か黒無地で、蝶結びにするのがいい事、靴はエナメルにすべきだけれど、それがなければ普通の黒の短靴にすること、赤皮は正式に外れている事、靴下もほんとうは絹がいいのだが、そうでなくても色は黒無地を選ぶべきこと。



どこから聞いて来たものか、ナオミはそんな講釈をして、自分の服装ばかりでなく、私の事にも一つ一つ嘴(くちばし)を入れ、

いよいよ家を出かけるまでにはなかなか手間がかかりました。





引用書籍

谷崎潤一郎「痴人の愛」

角川文庫刊



次回に続く。


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