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2015年10月12日

【 迷い道 】N 最終回

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     【 迷い道 】N最終回


 加奈は 一度結婚したけれど、あまりにも悔しい出来事が数多くありすぎた。

一握りの幸せでいいから早くつかんでほしい。

沙代子は 友人たちのことをあれこれ考えながら さてこれから自分はどうしたらいいのか分からなかった。

もう 彼に会わないほうがいいのかもしれない。

恋を経験しない女性より、恋を経験した女性は 人に優しくなれる。

それがたとえ実らない恋であっても・・・

真紀が経験した別れの意味が何となく理解できるような気がした。

沙代子は 3度の恋を経験して少し自分を表現できるようになった。

 彼とは別れよう、沙代子は決めた。

好きだけど 今の彼とは お店の中だけしか会えない人。

沙代子は 彼の事をあまりに知らなさ過ぎる。

沙代子は 自分が栄子の生き方と重なっているような気がしてならなかった。

でもどこかで正当化している自分がいた。

決していい加減にしてきたわけじゃない。

 随分悩んだ挙句 今の自分の思いを彼に伝えようと、彼のお店に行った。

これが最後だと自分に言い聞かせながら。

 彼の顔と声を記憶にしっかり刻み込んでおこうと、彼から目をそらさなかった。

沙代子は 自分の気持ちを正直に話した。

彼は 沙代子を そっと抱きしめた。

「寂しい思いをさせてごめんよ。沙代子を幸せにしてあげられなかったね。でも僕は 僕なりに精一杯沙代子に接したつもりだ。分かってほしい。」

沙代子は 自分から別れ話をしておきながら、悲しかった。

好きなのにどうして?

彼と正面向き合って話したのは これが初めてだった。

彼の目には 涙がにじんでいた。

自分で納得したはずなのに、彼の店からの帰り道 涙が止まらなかった。

彼を苦しめたかもしれない、という思いもあった。

いつも彼の店を出るときは 朝だったけど 今夜は違う。

別れ話を切り出してしまった沙代子は いつものように翌日 店から出勤なんてことは出来ない。

多分 彼は拒まないだろうけれど・・・

 その翌日から 沙代子は 猛烈に仕事に打ち込んだ。

自分は人を傷つけてしまった。

このモヤモヤした気持ちを晴らしたくて 友人たちと遊ぶことなく、仕事漬けの毎日を送った。

そして 沙代子は 自分に厳しくあり続けた。

23歳だった時の奥手の沙代子は そこにはいなかった。

 そこにいるのは 恋を経験し、恋に破れた沙代子。

自分も傷つけられ、人をも傷つけてしまった沙代子は 人の心が理解できる大人になった。

そして29歳の誕生日を迎えたのだった。

 真紀もあれから 吹っ切れたように笑顔が戻った。

彼女も沙代子も恋は実らなかったけれど 互いに幸せだったと思う。

 栄子、加奈、君江、冬子、真紀。

皆 個性あるけれど 素敵な女性ばかりなのに 独身族だ。

この先 人生長いのだもの。何かが起こってもおかしくない。

 沙代子にも また新たな出会いが待っているかもしれない。

その時は 自分自身も相手も共に大切にしよう。

 1年後の沙代子の誕生日には どんな変化が起こっているのだろうか?

それは 沙代子自身が最も知りたい事。

今までよりも激しい恋に陥るかも知れないし、親に勧められるままに お見合い結婚しているかも・・・

 沙代子の友人たちは それぞれに価値の異なる生き方をしている。

彼女たちの1年後、5年後には 形は違えども幸せであってほしいと思う。

 結局は何が幸せかなんて 考えても答えが出ない。

沙代子にも沙代子自身の幸せが何なのかわからない。

 また来年 彼女たちと三十路のお祝いをしようと思う。(終)


********************************************

最後まで読んでくださって ありがとうございました。

毎日 連載を載せていて 毎日 読んでくださる方がいることに小さな喜びをかみしめていました。

今日をもって A8は しばらくブログから離れることにします。

FC2の方は この連載の終わりをもって ブログ更新をやめることにします。

今まで ありがとうございました。

いつか いつか 私の心の傷が癒えるときまで・・・

2015年10月11日

【 迷い道 】M

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       【 迷い道 】M


幸せが途切れるのが怖くて 息せきって走っている自分がいる。

ひとりになるのが怖くなっているのかもしれない。

そう、真紀の言うように自分を大切にしなくちゃ。

沙代子は 彼の店に行くことをとどまった。

本当は 会いたかった。

でも今度会えば どうなるかわからないという予感がした。

強くなろう、これからは自分に強くなろう。

と自分自身に誓った。

真紀も沙代子と同じく 自分を大切にしようと思い始めている。

 冬子は相も変わらず 職場男性社員のために おいしいお茶を入れ続けるだけの それだけの日々。

人に喜ばれることを自分自身の幸せと感じているのだ。

沙代子には変化のない生き方に見えても、冬子は平凡な生活続ける事ほど非凡だって言った。

彼女は 終わりのある恋をするのが怖くて逃げているわけでもない。

でも両親のために家を守っている彼女が なぜか 不憫に思える。

冬子は そんな自分を丸ごと受け入れてくれる人が現れるまで 焦らず平凡な生活の中で小さな幸せ探しをしている。

 人生にはそんな幸せもあるものだ。

栄子は相変わらず 自分を磨き続け、世の男性たちから熱い視線を感じることを幸せの基準と考えている。

そうやってこれからも生きていくのだろうか?

彼女なら自分に自信があるから、年老いても妥協結婚することなく 男たちから目を引く女性であり続けるだろうと思う。

 君江の幸せは 仕事?

彼女の場合は 少々理解できない部分がある。

それは女でありながら 性格が男みたいなので仕方ないことだ。

沙代子にしてみれば、同年代の男をしのぐ収入を得ている彼女は幸せだと思う。

確かに幸せはお金で買えないものだけど あまりに貧乏だと心も貧しくなりそうだ。

 男たちと対等に仕事の話をし、時には負かす勢いで議論だってする。

大したものである。

またそういう友人を持っている事を誇りにさえ感じる。

自分の人生は 自分で責任を持つ!

これは君江の持論だ。

そして幸せなんて探すものでなく 自分で作り出すものだ!

これも君江の口癖だ。

だから沙代子は 君江の幸せは仕事かなと思ったりする。最終回Nに続く

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2015年10月10日

【 迷い道 】L

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      【 迷い道 】L

彼女は 沙代子の軽はずみな行動を叱った。

沙代子本人としては決して 軽はずみでないつもりだった。

「今、彼は あなたの体に触れはしないけど、男の人はいつまでもそんなことは絶対続かない。後悔しないうちに考え直して!」

そう言われて ふと沙代子は自分が真紀と同じ生き方をしているような気がした。

 不意に真紀のことを思い出し、彼女に電話をかけた。

あの頃は 何も知らない沙代子だった。

だから真紀の行動が沙代子には突拍子もなく感じられた。

だが、今は違う。

電話口に出た真紀の声は 静かだった。

あれから何があったのだろう?

真紀と別れてから 沙代子にもいろんな事があった。

決して欲張った幸せを願っているわけでもないのに ほんの小さな幸せさえ手にすることすら出来ない。

沙代子の声に敏感に察した真紀は 気を許して少しずつ その後のことを話し始めた。

結果として彼と別れたそうだ。

けれど真紀は言い張った。

「私たちは別れたけれど、喧嘩別れなんかじゃない。お互い会えば、彼も私も自然になれたもの。ただ今度生まれ変わったら、結婚しようねって言って別れたの。うまく言えないけど、沙代子に私の気持ちを理解してもらおうなんて思ってないから。」

 何で?

真紀のどこが彼の気に障ったの?

沙代子も あの時 真紀と別れてから自分に起こった出来事をすべて話した。

彼女は 沙代子の突飛な行動に驚いていた。

彼女も沙代子も恋に惑わされているようだ。

ひとつの恋が終わるまで幸せなら、それでもかまわない、と彼女は電話を切る前に言った。

お互い自分を大切にしようよ、とも言った。

 沙代子は 真紀との電話を切ったあと、今 自分は幸せなのだろうか?と自問自答した。Mに続く

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2015年10月09日

【 迷い道 】K

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     【 迷い道 】K


 沙代子は 自分のおどおどした心を隠すために 他愛ない話を続けることに専念した。

でも夜遅い時間だから、時々襲ってくる眠気には勝てず そのまま座敷に横になってしまった。

彼は 当然 沙代子が覚悟してきているものと思ったのか 沙代子の横に同じように寝そべった。

沙代子は 震えていた。

どうしようと言う後悔と 抱きしめてほしいという気持ちが沙代子の頭の中で渦巻いた。

彼にも そんな沙代子の体の震えが伝わったようで 強引には求めてこなかった。

彼は 沙代子の服を脱がすこともせず、優しく髪をなでるだけだった。

そして言った。

「君って意外と腰が細いね。女の子は見かけじゃわからない。でも僕には君が震えているくらいはわかる。だから今夜は 君になんにもしない。必ず約束するから朝までゆっくりお休み。」

沙代子は 彼の言葉に安心し、腕枕もしてもらいながら 何事もなく一夜を過ごした。

翌朝 沙代子は その店から出勤した。

「また会いたいから、いつでもおいで。約束だよ」

彼からのひと言は 昨夜 彼を拒んでしまった沙代子にとって嬉しい言葉だった。

 同僚には、この出来事 なんとなく話せなかった。

沙代子の行動を理解してもらえるのか自信がなかったからだ。

だから 1人で悩めば悩むほど 彼の店に行くの躊躇した。

このためらいは どこから来るのだろう。

こんなことを考えながら 数日たったある日。

彼から電話があった。

誘いの電話だ。

 沙代子は、この間の彼の優しさが忘れられず、自然と足が彼の店に向かって行った。

沙代子は、優しさに飢えていただけかもしれない。

前と同じく 閉店間際に店についたときは もう誰もお客はいなかった。

 店の片付けの手伝いをしながら、とりとめのない話をするのが楽しい時間だった。

はっきり言って かなり遅い時間だ。

若い女性がうろうろする時間でもない。

沙代子の迷う気持ちも彼は知っていたから、キス以上のことは沙代子に求めなかった。

寒い時期で 朝まで沙代子の体を腕枕で 温めてくれるのだった。

 そして 翌朝 お店から出勤。

このことが何度か続いたある日、同僚に気づかれてしまった。Lに続く

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2015年10月08日

【 迷い道 】J

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      【 迷い道 】J


気を紛らわしたくて同僚と飲み歩き、泥酔する日が多くなった。

同僚もそんな沙代子に 付き合ってくれた。

恋を知らなかった時の沙代子は、女友達と遊び歩くだけで心が充実していた。

 知ってしまった今は どこか違う。

「虚しさ」という言葉とは縁遠い生き方をして来た沙代子だけに 初めて味わう切ない気持ちを持て余していた。

 友人の栄子は、少々自己過信していることろもあるが 沙代子の様な軟弱な精神ではない。

恋に振り回されない強い自分を持っている。

自分に合わないと感じれば 引きずることなく別れることの出来る強さを持っている。

自分の生活リズムの中で、幸せ探しの出来る彼女は 立派なもので沙代子も見習いたい。

恋でつぶされた心は 恋で癒すしかないのかも知れない。

 同僚と飲みに行く店は 毎回決まっていた。

私たちは その店に行くうち カウンター越しに板前さんと親しくなった。

その店に行くと 胸のつかえを吐き出せた。

次第に沙代子は落ち着きを戻していった。

 接客上手な人で 当たり前だけど 沙代子たちの気分を害すること一度もなかった。

ある日、同僚と店に行くと彼は勤務移動することが決まったことを 私たちに話した。

なので 是非 そちらの店にも来てほしいとも言われた。

まぁ社交辞令だと思うけれど、新しい店の住所が書かれた名刺を 二人にくれた。

見ると その店は 沙代子の家から かなり近いところにある。

今までは 仕事の帰りに同僚と行ってたが 新しい店は仕事帰りに行くには少々不便。

また 他の店を開拓しようかって同僚と話したものの 沙代子は その店が気になっていた。

沙代子は 自分の家の近くに店を構えた その板前さんに無性に会いたくなった。

 まだ前の恋の傷跡が癒えてなくて ようやく前に歩き出そうとしたばかりなのに・・・

沙代子は同僚に相談することなく 1人でその店に行くことを決めた。

手にしている1枚の名刺には新しい店の電話番号が 書かれていた。

開店前の時間に思い切って ダイヤルを回すと彼の声が聞こえた。

沙代子は 今、自分だけであること、急に会いたくなったことを伝えた。

彼は、

「じゃ、閉店前においで」と優しい声で答えてくれた。

沙代子は 買い物などしながら時間を潰し 約束の時間に彼の店に入った。

ちょうど、最後のお客が帰ったばかりで彼1人で 暖簾を下ろしたり片づけをしているところだった。

沙代子を見つけると 笑顔で迎えてくれた。

「奥の座敷に上がって待っていてくれる?」

店の片づけを済ませた彼は 沙代子が待っている座敷に上がって来た。

そのとき、沙代子は自分に問うた。

私は この人に何を求めに来たんだろうか?

この人が ここで新しく店長として働いている姿を見に来ただけだろうか?

恋に傷ついて まだ立ち直り切れない自分の心を この人に救いを求めているのだろうか?

同僚に相談せずに 1人で来てしまった沙代子は 今更ながら自分の行動を後悔した。

だからと言って、今 帰るわけにはいかない。

沙代子は ほんの少し 怖くなってきた。Kに続く

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