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放射性同位元素の半減期とその利用・応用

半減期

3H…12.3年 (水素化合物の追跡)

14C…5730年 (炭素化合物の追跡、年代測定に利用)

18F…110時間 (18F–FDGとしてPETに応用)

32P…14日 (リン化合物の追跡)

35S…87日 (硫黄化合物の追跡)

51Cr…23日 (臨床血液学への応用)

59Fe…45日 (臨床血液学への応用)

60Co…5年 (放射線殺菌、放射線治療に便利なγ線源となる)

99Mo…67時間 (ミルキングの基となるRI)

99mTc…6時間 (99Moからミルキングにより得られる。SPECTに応用)

123I…13時間 (甲状腺疾患の検査)

125I…60日 (甲状腺疾患の治療

131I…8日 (甲状腺疾患の検査)

※赤は低エネルギーβ−線をだすため、液体シンチレーションカウンタに◎


放射性同位元素に関する用語説明



放射性同位元素

原子番号が等しく,質量数の異なる原子を同位元素(isotope)あるいは同位体といい,
そのうち放射線を放出するものを放射性同位元素(radioisotope)という。
具体的な例としては,1H 2H 3H は互いに同位元素であり,このうち3H(トリチウム)は放射性同位元素である。


放射能と放射線の違い

原子核が崩壊して,他の原子核に変わる過程で放射線を出す性質を"放射能"という。
一方,"放射線"とは放射性同位元素の崩壊に伴って放出される粒子線あるいは電磁波のことで
粒子線としてα線,β線,中性子線があり,電磁波としてはγ線,X線がある。


α崩壊

α崩壊は,質量数の大きな(200以上)放射性核種に起こる現象で,エネルギー的に不安定な原子核が
α線(=運動しているヘリウム原子核)を放出して他の原子核に変わる過程のことである。


α線

α線の本質は,陽子2個・中性子2個からなるヘリウム原子核で,大きな電離作用を有する。
従って,α線を放出した親核は質量数が4,原子番号が2少ない原子核に変わる。
α線は大きな電荷を有するため,物質の貫通力は非常に弱く,ほぼ紙1枚で止まってしまう。


β崩壊とβ線

β崩壊には3種類のパターンがあり,β-崩壊,β+崩壊,軌道電子捕獲の3つである。
いずれのパターンでも質量数は変化しない。β線のスペクトルは連続となり,
β線の飛程はエネルギーによって異なるが,一般の空気中では数センチ〜数メートルである。
β線は密度の大きいアクリル板やアルミニウム板では数mmのもので止められる。


β-崩壊

陰電子崩壊とも呼ばれ,原子核内の中性子が陰電子(e-)と中性微子(反ニュートリノ),
そしてβ-粒子線を放出して,陽子に変わる現象である。


β+崩壊

陽電子崩壊とも呼ばれ,原子核内の陽子が,陽電子(e+)と中性微子(ニュートリノ),
そしてβ+粒子線を放出して,中性子に変わる現象である。


軌道電子捕獲

英語ではElectron CaptureといわれECと略す。
原子核内の陽子が軌道電子(主にK軌道)ほ捕獲して,中性子に変わる現象である。
この崩壊では,原子核から粒子線が放出されることはないが,捕獲された電子のいた
軌道を埋めるために外側の電子が落ち込んでくる。このときの位置エネルギーの差に
相当するエネルギーが電磁波(特性X線)のかたちで放出される。


ニュートリノ

電荷を持たない素粒子の1つで,中性微子とも呼ばれる。もともと,β崩壊の際に,
崩壊前と崩壊後のエネルギー収支のバランスが合わないことから
「未知の中性の粒子が放出されていて,エネルギーを持ち出しているのではないか」
という仮説から発見に至った粒子である。


γ線

核崩壊が起きた際に生成した娘核の原子核はたいていの場合,エネルギー準位の高い
励起状態にある。これが基底状態に移行するとき,余分なエネルギーを電磁波として放出する。
これがγ線である。すなわち,α崩壊やβ崩壊では,多くの場合γ線の放出を伴う
γ線のエネルギーは原子核によって決まった値の線スペクトルをとる。


γ線とX線の違い

γ線もX線も粒子波ではなく,電磁波の一種であり,その波長も区別はない。
何が異なるかというと「原子核内から放出される電磁波をγ線,原子核外から放出されるものをX線」
として区分しているのである。


核異性体転移

娘核が励起状態となっている時間は極めて短いが,稀に観測しうるほどの寿命も持つとき,
他のエネルギー状態のものと区別して核異性体(nuclear-isomer)という。
核異性体のうち,エネルギー準位の高い方に質量数を表す数字のあとにmと付けて表す。
この崩壊形式を核異性体転移という。
核異性体転移によるγ線の放出では,質量数・原子番号ともに変化は起きない。


内部転換と特性X線

励起状態の核が,基底状態に移行するときのエネルギー差をγ線として放出することなく,
軌道電子に与えることで,軌道電子を原子の外にはじき出す現象を内部転換という。
はじき出された電子は内部転換電子という。そして,空席となった軌道には,その外側の
電子が移動して補完する。この軌道転移のエネルギー差に相当するエネルギーは
電磁波として放出される。この電磁波のことを特性X線という。


崩壊図

放射性核種の崩壊の形式や,そのときのエネルギー準位などを
分かりやすく図示したものを崩壊図という。表現法にはルールがあり,
原子番号が増えれば右に,減れば左に,不変なら真下といった具合である。


光子

γ線およびX線は,質量も電荷ももたない波長の極短い電磁波で,そのエネルギー
E=hν で与えられる光子の流れとなる。光子は光と同じ速度で進行し,
光子が物質中を透過する起こる現象が3つに分けられている。
それが光電効果コンプトン効果電子対生成の3つであり,これらの現象が競合的に起こる。


光電効果

光電効果とは,光子が原子の軌道電子に衝突して,自らのエネルギーを全て電子に与え
エネルギーをもらった電子が,原子から飛び出す現象をいう。
この現象によって飛び出した電子を光電子といい,光電子増倍管などに応用されている。


コンプトン効果

コンプトン効果とは,比較的エネルギーの大きな光子が,原子の軌道電子にぶつかり,
軌道電子ははじき飛ばして,自らはエネルギーの低い光子(=波長の長いもの)になって
散乱する現象である。はじき出された電子はコンプトン電子と呼ばれる。


電子対生成

電子対生成とは,高エネルギーの光子(1.022MeV以上)が原子核の近傍を通過するときに,
陰電子と陽電子の対を生成し,光子は消滅する現象である。
電子1個の静止質量のエネルギーは0.511MeVであるので,つくり出された電子の運動エネルギーは
E+ + E- =hν − 1.022 MeV となる。
なお,陽電子は運動エネルギーを失うと陰電子と結合し,消滅γ線となる。
この消滅γ線は,ほぼ180度対向方向に放出される特徴があるため,PET装置に応用されている。

   
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