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エピジェネティック(epigenetic)情報って何?

 ヒトゲノムの基礎知識

真核細胞のDNAは、細胞内で核膜におおわれて存在し、
ヒトのDNA(ヒトゲノム)は30億塩基対(30億b.p.)からなる。
また、ヒトゲノム中には約2万2000個の遺伝子が存在する。

DNAはヒストンタンパク質などの塩基性タンパク質に巻き付いて
ヌクレオソームという単位で存在し、ヌクレオソームが数珠状につながったものがクロマチン(染色質)となり
また分裂期には染色体(クロモソーム、chromosome)として観察される。
※-omeは集合の意

クロマチンは
・凝集状態で存在するヘテロクロマチン(=隙間がなく、遺伝子の転写活性が低い)と
・分散状態で存在するユークロマチン(=隙間があり、遺伝子の転写活性が高い)が
存在する。

■ヒストンタンパク質は、塩基性アミノ酸のリジンやアルギニンが多く含まれており、
細胞内で正電荷(+)を帯びている。一方、DNAは、リン酸が含まれており、負電荷(−)を帯びているため、
親和性が高く、ヒストンタンパク質にDNAが隙間なく巻き付いている。

■ヒストンタンパク質にアセチル化が起こると、以下のような反応が起こり、正電荷が消失するため、
 ヒストンタンパク質とDNAの親和性が低くなり、隙間ができ、ユークロマチンとなり、転写活性が上昇する。

ヒストンのアセチル化.png
ヒトの体細胞は2倍体細胞であり、その細胞内のDNAとしては
父親由来の23本の染色体+母親由来の23本の染色体
⇒体細胞には合計46本の染色体として存在しており、その情報はどの組織、どの細胞でも共有である。

しかし、細胞内のDNAは共通の配列であるのに対して組織は全く異なる性質を持つ。
(肝細胞は、アルブミンを合成し、膵臓ランゲルハンス島B細胞はインスリンを合成し、赤血球の前駆体はヘモグロビンを合成するetc)

※一方で解糖系の酵素などどの細胞でも共通して発現する酵素も存在し、ハウスキーピング遺伝子という

これは一体なぜだろうか?

 エピジェネティック情報

脊椎動物ではDNAのメチル化によって遺伝子発現が抑制され、遺伝子は休止状態となる。

メチル基の5'側からシトシンとグアニンの順に並んだ2塩基配列(CpG)におけるシトシンの5位炭素原子に
付加される。

細胞分裂の際にDNAが複製されても安定的にメチル化は維持される
DNAの塩基配列自体には変化が起こっていないが、遺伝子発現(ON/OFF)が変化する。

このような現象をエピジェネティック(epigenesis:(後成説) + genetics(遺伝学) を組み合わせた造語)な変化という。
DNAのメチル化は、個体の発生や細胞の分化に密接に関与する。

 ヒストンのメチル化

さらにヒストンタンパク質でもDNAが巻き付いているタンパク質をコアヒストンと呼び、
H2A、H2B、H3、H4がそれぞれ2分子含まれる8量体構造のタンパク質である。

コアヒストンのコア領域から飛び出しているしっぽのような部分(ヒストンテール)に存在するアミノ酸が
メチル化をされることでも遺伝子の発現が制御(活性化または抑制)される。

具体的には、H3のN末端から4番目のリジンのジメチル化(H3K4me2と表記する、Kはリジン、meはメチル化を意味する)は遺伝子発現が抑制される。
また、H3の9番目のリジンのジメチル化およびH3の27番目のトリメチル化は発現が活性化する。

このようなエピジェネティック情報によって
肝細胞は分裂後も肝細胞であることを忘れずにいて、
皮膚の細胞も分裂後も皮膚の細胞として各細胞に必要な遺伝子を発現させているわけである。




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