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2017年10月03日

往年の大スターが顔を揃える昼ドラマ 『やすらぎの郷』(最終回)

◆ ・・・そして石坂浩二は名優になった <後篇>

石坂さんと鶴瓶師匠
▲石坂浩二と笑福亭鶴瓶
出典:テレビ朝日のHPから Copyrightコピーライトマーク tv asahi All rights reserved.


 話を『やすらぎの郷』の最終回に戻すが、この最終回に金田一耕助を演じた事のある片岡鶴太郎(今ではコメディタレントというよりも俳優、もしくはインド・ヨガの達人)が出て、石坂さんと絡むところが面白かった。それに笑福亭鶴瓶も一瞬ながら出てくる。『やすらぎの郷』の第1、2話あたりではオープングにナレーションが入るのだが、その声がどうも鶴瓶ぽかった。ノークレジットだったので「誰だろう?」と思っていたが、やはり師匠だったのね。粋な出方だったんじゃないでしょうか。

 本当は石坂さんを巡る元本妻(浅丘ルリ子)と元恋人(加賀まりこ)のことなんかも書きたかったが、番組が終わってしまったので、このコラムも終わりにしますが・・・でも、じゃあ明日から何を観ればいいのかな。
 エ、『トットちゃん!』? 『トットちゃん!』は観ようかどうか、今ちょっと考えている。アザミ役でのびのびした演技を見せた清野菜名チャンが主役だから気になるが、今更『窓際のトットちゃん』でもないだろう、って気も。
 しかも山本耕史が脇で出るようだが、彼は今NHKで『植木等とのぼせもん』でクレージーキャッツの植木等を演じてる。こちらも録画はしているが1挿話も観ていない。だって、まったく似合ってないんだもん、植木さんに。彼は植木等のイメージじゃない。
 むしろ『トットちゃん!』でやってる役柄の方が彼らしいのでは?

 それに加えて、この『トットちゃん!』って企画、番宣を観ている限りではまるでNHKの朝ドラみたい。同じ15分のミニドラマでも、『やすらぎの郷』と続けて放送されてた朝ドラ『ひよっこ』は描いてる内容もインプレションもまったく違っていたから、『やすらぎ−』は成功したな、と思った。爆笑問題の太田光も先日放送された「ENGEIグランドスラム」(フジテレビ、9月23日)の中で、司会の松岡茉優(ハッピー)に向かって、

「オレもやすらぎの郷に入れてくれェー!!」

って叫んでたくらいだからね。
 お昼時に、主婦層や若年層をバッサリ見切って、ヒマでテレビばっか観てる(であろう)高齢者をターゲットにしたっていうのは冒険だったが、うまくいった。きっとこの枠がホンモノになるのは次の『トットちゃん!』の結果次第なんだろう。がんばって欲しいネ。


 とにもかくにも・・・石坂浩二さん、お疲れさまでした。
 七十、八十になって私も石坂さんのように老けられたら本望です(とても無理ですが)。


やすらぎの郷
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★公式ホームページ:http://www.tv-asahi.co.jp/yasuraginosato/


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2017年10月02日

往年の大スターが顔を揃える昼ドラマ 『やすらぎの郷』(その5)

◆ ・・・そして石坂浩二は名優になった <中篇>

DVD犬神家の一族
▲『犬神家の一族 角川映画 THE BEST <デジタル・リマスター・コレクション>』
監督・市川崑 1976年版  出典:amazon

 ステキだったよね、カッコ良かったよね、『犬神家の一族』で那須湖の湖畔を走る若き石坂・金田一の姿って。痩せてて軽快で。

 『犬神家の一族』横溝正史原作の推理小説で、70年代から80年代を席巻した横溝ミステリー・ブームの、探偵・金田一耕助シリーズの火付け役であり、斜陽化著しかった当時の日本映画界の中で13億円もの興行収入を上げた(今の貨幣価値ならこの4、5倍強じゃないか。もっとかな)、ブロックバスターな大作サスペンス。今、KADOKAWAの中にある映画部門=角川映画はコレが第1作である。
 昭和51年10月16日、この作品は全国公開に先駆けて、日比谷映画劇場(※)で封切られたが、その時の熱狂ぶりをオリジナル・サウンドトラックCD『犬神家の一族』のライナーノーツの中で、小林淳さんと森遊机さんが書いている。小林さんの解説にこうある。

 1976年10月16日、東京・日比谷の(旧)日比谷映画劇場。この伝統ある洋画系ロードショー劇場におびただしい数の群衆が押し寄せた。この日、ある日本映画の先行ロードショーの幕が切られたのである。(中略)
 劇場には異様な熱気が渦巻いていた。立ち見客が何層にも重なり、超満員となった場内の観客は心の底からこの映画を楽しんだ。(中略)……事件を解決した金田一が汽車で那須を去っていく大団円に映画の興奮を覚えた。劇場には二種の興奮が充満していた。これから話題作『犬神家の一族』を観ようとする客たちの期待感、場内から出てきた人々が発する『犬神家の一族』を観たという満足感。こういった劇場風景はそうそうお目にかかれるものではなかった。
(「角川映画コレクション1 犬神家の一族 オリジナル・サウンドラック」〔発売元:カルチュア・パブリッシャーズ、販売元:ワーナーミュージック・ジャパン〕のブックレット解説より)



 私がこの映画を観たのは中2、つまり公開の翌年(1977年)で大ヒットによるリバイバル上映だったと思うから、小林さんが書いてるようなこれから話題作『犬神家の一族』を観ようとする客たちの期待感、場内から出てきた人々が発する『犬神家の一族』を観たという満足感。こういった劇場風景はそうそうお目にかかれるものではなかった≠ニいうような、初物に触れる異様な興奮、感動というものは場内に漂っていなかったが、初めて全本篇を観た私は(というのは、殺しの場などの一場面が当時ちょくちょくテレビで流されていたのだ)、それこそ異様な興奮でもって頭がガンガンしてたし、金田一耕助が汽車に飛び乗って那須の町を去って行くラストシーンには感動して、その余韻に浸った。

           この人(金田一)、いい人だなあ・・・って感じで。

 またそうそうお目にかかれない、上映前後の興奮状態の劇場風景≠ヘ、当時ならばスピルバーグ監督の『未知との遭遇』の初日、アービン・カーシュナー監督の『スターウォーズ/帝国の逆襲』(今言うところのEPISODE5ね)で味わうことができた。ギッシリ満員の札幌日劇、帝国座の上映前のロビーにはその興奮が漂っていた。ああいう雰囲気ってもうないね(日劇も帝国座も今はない)。
 もっともその頃の映画ファン大期待の、超大作だったフランシス・コッポラ監督の『地獄の黙示録』、黒澤明監督の『影武者』(両作とも1980年公開)にも上映前≠ノは、そんな興奮状態が確実に劇場内に充満していた。ところが上映後は、どちらも恐ろしいまでに、その熱気が冷めていて「エ、コレなの? これが地獄の黙示録≠ネの? 影武者≠ネの?」というような、シラケた空気が流れていた。私自身、「たった今観た作品とは別な地獄の黙示録≠竍影武者≠チて作品が、他にあるんじゃないの???」と思い、妙にナットクできない、疑わしい気持ちで劇場を出たことを昨日のことのように思い出す。

 ま、コッポラやクロサワさんの事はどうでもよい。市川崑監督の『犬神家の一族』は期待を裏切らなかった、いや、期待以上の映像体験を観客に提供した、と言っていいと思うし、その証拠に金田一シリーズはあちこちで作られ、テレビでも石坂さん以外の俳優さんが金田一を演じて、それはもう雨後の筍のように作られたのだから。

 でも、まあ、やっぱり一番良かったのは、市川=石坂コンビによる70年代の金田一シリーズ−『犬神家の一族』『悪魔の手毬唄』『獄門島』『女王蜂』『病院坂の首縊りの家』−だね(同じ市川監督でも1996年に東宝で撮った『八つ墓村』はいただけなかったが)。


▲ 『犬神家の一族』予告編(1976年版)  https://youtu.be/7onKhHoJEy0


 『犬神家の一族』は市川監督が亡くなる直前にセルフリメイク(2006年・東宝映画)して、その時、石坂さんは再度、金田一を演じたが、他のドラマ(例えばテレビの『白い巨塔』とか『相棒』等)ではまだまだ若々しく思えた彼の容姿が、とった年齢なりに貫禄が付いていて、もはや金田一耕助とは思えぬ体型、また老顔になっていたのでシュンとなったものだ。この映画の最後、事件が解決し、すべてが終わった後で、田舎の小径を画面の向こうに歩いて行く金田一耕助が、立ち止まって観ている観客の方に振り返って、小さくお辞儀をして去って行く−−という印象的なシーンがある。あまり巧くいってなかったセルフリメイク作の中で、僕が唯一感動したのがこのシーンで、コレを観れただけでも幸せだった(本当はコレを、当時、市川=石坂の金田一シリーズの最後と言われた『病院坂の首縊りの家』でやって欲しかったのだ)。

 金田一耕助を愛したファンのみなさん、ありがとう、さようなら−−というようなメッセージが聞こえてきて嬉しかった。リアルタイムでこのシリーズを観ていた僕らとしては。<続く>


※日比谷映画劇場  今の日比谷映画(今、日比谷映画とされている映画館は、かつて千代田劇場と呼ばれていた)ではなく、現在のTOHOシネマズシャンテ及び日比谷シャンテの位置にあった大劇場で、日劇有楽座と並ぶ東宝ご自慢の豪華なロードショー館であった。


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2017年10月01日

往年の大スターが顔を揃える昼ドラマ 『やすらぎの郷』(その4)

◆ ・・・そして石坂浩二は名優になった <前篇>

石坂浩二 現在
▲ 『やすらぎの郷』で主役の菊村栄を演じた石坂浩二
出典:テレビ朝日のHPより  http://www.tv-asahi.co.jp/yasuraginosato/cast/
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 4月からテレビ朝日系でお昼に放送されていた『やすらぎの郷』が9月29日をもって終わった。春からずっと見続けていたウォッチャーとしてはなんとも淋しく、やすらぎ≠ヌころかやすロス(喪失感)を噛みしめているのだが、ものみなすべて終わる、のだから番組終了は致し方がない。とはいえエンディング、殊にラストシーンを見る限り、来春あたりに『続・やすらぎの郷』として戻ってくるような気もする(そんな終わり方だったよね。だって石坂浩二ほか、浅丘ルリ子、加賀まりこといったメインどころは亡くなりもせず、シャンとしたまんま《終了》したから)。

 それはともかくこの終り方、特に9月の最終週で描かれた終章にはちょっと文句がある。結局、石坂浩二演じる脚本家・菊村栄がライター志望の若い女学生アザミ(かつて自分と関係のあった女優の孫)との老いらくの恋を成就できるか、否か、というところに焦点を当ててそこで締めくくってしまった感があるのだが、若き石坂さんが主演した『犬神家の一族』(1976年、角川春樹事務所=東宝)で三國連太郎が好演した犬神家の当主・佐兵衛翁じゃあるまいし(佐兵衛翁は老いてから若い女を溺愛し、身ごもらせる)、80歳の菊村が二十歳そこそこのアザミとどうなるこうなる、なんて話は、老いらくのロマンス(メルヘン)としても「どうなのかなあ」というような生々しさで、それが年喰ったオッサンの偽らざる感情(願望)だとしても、観ていてあんまり気持ちのいいものではなかった。

 45分にブローアップされた最終回のスペシャルでは、若い娘のアザミと飲んでヘベレケになり、テレビ界や自分に対する不満や愚痴を言いまくって正体なく寝込み、翌日、起きたら下の世話(暴飲暴食の末、漏らしたのだ)までアザミにみてもらった、と知り、悄然として己の不明を恥じて落ち込む・・・というような出だしでスタートし、菊村は清野菜奈扮するアザミからショッキングな事実を告げられると同時に、彼女の恋人を紹介されて、再び正体もなく慌てる。

 謝罪するアザミと男(神木隆之介)を交互に見つめ、アタフタと慌て、たじろぐのだが、その様子、表情はまるで森繁久彌のようだった。

 あー、石坂さんもこんな、飄逸味のある老いた、いい芝居≠するようになったんだなあ、とつくづく思った。

 私たち50代の映画マニアは、石坂さんが金田一耕助を演じる前後からスクリーンやテレビで彼を観ている。若くてハンサムだった、いやハンサムは今もホントにハンサムだ。そこらの、いや、私なども着たらダサいようにしか見えないジャンパーやジャケット姿も石坂さんならものすごく若く、お洒落に、スマートに見える。それは『やすらぎの郷』の最初からそうで、しかもそれに石坂さん独特のモノローグが加わる。

 主演者の気持ちや考えが心の声≠ニしてナラタージュされる、倉本聰の叙述スタイルは代表作『拝啓、おふくろ様』『北の国から』などでお馴染みだが、ここでは菊村栄に扮した石坂浩二がそれを担当する。

 その語りがいいんだな。語る声のトーンがいい。観る者に思わず聴く耳を立てさせて、話の中、人物の内面にググッと引きずり込む。

 思えば石坂さんのこの語り(ナレーション)は、1980年代にNHKで放送されたドキュメンタリー)『シルクロード』(NHK特集、今のNスペ。音楽は喜多郎)で大評判を取った「伝家の宝刀」であり、その訥々とした語り口は素晴らしいの一語に尽きるのだが、それをこういう老境を描いた、石坂さん自身の俳優人生とリンクする、同時進行のドラマで聴けた、というのがとても貴重な気がした。

 老境が演じる俳優の人生とシンクロするドラマ・・・「そうか、僕らの金田一耕助も老いたものだなあ」と感慨にふけることしばしであったが、そういう自分も五十の坂を過ぎている。年を取るって残酷だ。<続く>

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2017年08月18日

往年の大スターが顔を揃える昼ドラマ 『やすらぎの郷』(3)

◆ 『グラン・トリノ』か、往年の日活アクションか!

やすらぎの郷
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 連ドラはまったく観ないのだけれど、4月から放映されているテレビ朝日系の『やすらぎの郷』は1話も欠かさず観ている。先週の金曜日(8月11日)は裏で雨上がり決死隊・宮迫の不倫生釈明があったから(こんなオモロイもの、見ないわけにはいかない)、生では「バイキング」(フジテレビ)を観て、『やすらぎの郷』はあとで録画で観たのだが、それにしても今週からこんな展開になるとは・・・。

 このドラマの癒やし的存在、養老施設内のバー「カサブランカ」のバーテンダー、ハッピー≠アとゆかり(松岡茉優)が地元の暴走族に輪姦され、その仇をとろうと施設内の男性スタッフ達が動く。まず暴行されたハッピーを助けた、彼女に気のある一馬(宮下勇樹)がゾクの働く工場に押しかけ、徹底的にブチのめされて、その姿に男スタッフ(施設の男スタッフ達はみな一時ヤバイ稼業にあった前科者や保護観察中の方々)はいきり立ち、早速、ハッピーと一馬の敵討ちを計画。
 そのことを察知した郷の住人・原田(伊吹吾郎)と那須(倉田保昭)、そして秀さん(=高井秀次、藤竜也)は、男スタッフを説得し、自分たちで落とし前を付けると宣言。勇躍、ゾクのたむろするスナックに乗り込む・・・ってのが第96〜99回(8月14〜17日)の放送内容。


 このドラマ、中高年の視聴者向けに企画されたシルバータイム・ドラマってことで、お昼のど真ん中、『徹子の部屋』のすぐ後に放送されるってのに、そんな時間帯に輪姦=Aレイプなんてもってきちゃっていいのかな、と心配した。描写としては昔のテレビドラマみたいに行為そのものを描いて見せてはいないのだけど、それにしても・・・といらぬ心配をまずはした。
 で、その後、一馬が自分がグレてた頃の仲間、すなわちハッピーを襲ったゾクの勤める工場に乗り込んでケンカするのだが、この件にしても、またヤラレた一馬とハッピーの敵討ちに出ようとする男スタッフにしても、なんというか、昭和の青春映画(ドラマ)的なノリを感じてしまうのです。これには少々、マイリました。

 昔だったらそういくかもしれないが、ネット、SNS、スマホ全盛時代の今(21世紀)ならば腕力でいかなくとも、ITを使ってもっと楽にゾクを追い込めることができるハズ。でもそうした簡便でスマートなITとは縁のない秀さん達にとって、落とし前を付けるとなれば、やることはひとつ(ケンカ)。秀さん曰く、

「今の法律はやわですからね。きっとヤツラもタカくくってンですよ。
 痛めつけてやンなきゃ、判らんですよ、アイツラ」


と言って腕力に打って出る。そして、ゾクをたたきつぶすのは老人の、すなわち老い先短い自分たちの仕事だ、とばかりに高井秀次以下3名は若くて凶暴なゾクの根城に突入し、大立ち回りを見せる。

 これはまるで『グラン・トリノ』(平成20=2008年)でクリント・イーストウッドが演ったウォルト・コワルスキーだ。自分より若い者のために身体を張って悪に立ち向かう、という犠牲的精神、誇り高き老いぼれの男の美学

 とはいえ、『グラン・トリノ』のイーストウッドは腕力や武器を使って悪とは闘わない。ただ撃たれて死ぬだけであったが、やすらぎの3人は闘うんですな。日活アクションの石原裕次郎小林旭、はたまた東映仁侠映画の(高倉)健さんみたいに・・・。


グラン・トリノ
▲ 『グラン・トリノ』(2008・米) 監督・主演:クリント・イーストウッド
ブルーレイ(2D) 2381円(税別) 
販売・発売:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント 
https://warnerbros.co.jp/home_entertainment/detail.php?title_id=2661/
コピーライトマーク2009 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.


 この殴り込みの前に、倉田保昭がケンカ道具の中にあったヌンチャクを手にとって、バサッ、バサッ、バサッと振り回すシーンがあるのだが、懐かしかったねえ。『闘え!ドラゴン』(昭和49=1974年、東京12チャンネル)を思い出したゼ! しかも倉田さん、愚連隊のゾクをぶちのめすときに、脚を真横に挙げての水平キック!!! やー、まだ脚上がるんだなあ(と感心)。 それにこの蹴り方! 『Gメン'75』(昭和50〜54=1975〜79年、TBS)でなんぼ見たか。

 こうした派手な趣向も面白いのだが、例えばテレビドラマでセット美術を手がけたベテラン美術マン・ちのやん(=茅野大三郎、伊藤初雄)とその妻のカメコ(=茅野順子、長内美那子)が日をまたいで共に息を引き取る挿話(第71〜73回)も印象的だった。末期ガンで病床に伏していたカメコが亡くなる第72回の次の73と74回の「やすらぎの郷」のタイトルだけが、雨のそぼふる青に染まった悲しい色調にしてあって、その細やかな心配りに感銘を受けた(このタイトル、8月7日の第91回よりイラストが夏の草原から秋の草原に変わっている)。
 それに長内美那子さん! 私がガキの時に、淪落の恋に身を焦がす昼メロのヒロインとか時代劇に出てくる綺麗な町娘、武家の御妻女なんて役をなさっていて、憧れたもの。病床で亡くなる間際の役だから、囁くというか呻くような感じで台詞はほぼなかったが、その容姿は綺麗にお老けになったというか、若い時分のしとやかな美しさを備えていて嬉しかったし、若い頃の容貌が遺影の中にチラッとのぞいて、感動した。

 放送は9月末までだから、あと1ヶ月。一体、これからどんな事件が起こるのかな。


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2017年07月07日

日本の映画監督 天才監督・山中貞雄の皮肉な運命 <最終回>

◆ 山中貞雄に会ってみたい

 そうなのだ、山中貞雄は中国戦線に征かずにすんだのである。

 山本監督の本で紹介されている経緯が本当ならば、彼は日本に残っておれたのだ。戦争に行かずに、スタジオに戻ってまた映画を撮れたのだ。
 それが・・・召集した兵士が多すぎて、一旦、除隊させるとなった中に山中もいたというのに、その夜に自殺し損なった律儀な忠義者のせいで、再び戦地送りとなってしまったのだ。

 まったくなんてことだ! なんてことなんだよ!
 その作品を観た誰をも魅了する、素晴らしい映画を創った天才をむざむざ犬死にさせてしまうなんて・・・。

 悔しい、悔しすぎる・・・『丹下左膳餘話 百萬両の壺』みたいな、現代感覚満点のハイカラ&洒脱な時代劇コメディを作り得た天才を亡くした俺たちには、一体ナニが残っているというのだ・・・と「山中を偲ぶ会」で囁かされたかどうかは知らないが、おそらくそんなことでみなが沈んだ気持ちになった事は想像できる。

 今公開中の『ハクソー・リッジ』で敵も味方もとにかく助ける非武装の衛生兵(デスモンド・ドス)は見上げた信念の徒だが、除隊することになった応召兵がそれを恥と感じて死のうとしたのも信念の証。私ならデスモンドの生き方を選ぶ、と言いたいところだが、その時代に生きていなかった自分に果たしてそれが出来るかどうか(できないね、きっと)。おそらく自殺しそこなった応召兵や山中貞雄らと同じように、なすすべなく戦地に赴いたに違いない。

 戦時下というのは、そんな無力な、無慈悲な、異常な時間である。

 山中貞雄の皮肉な戦場送り、そしてその死は「戦争は悪だ」という当たり前のことを、改めて思い起こさせてくれる。


 因みに、私にはあの世に行ったら、肉親や友人以外に会ってみたい人が3人いる。


     伊藤大輔、小津安二郎、そして山中貞雄がその3人だ。   <完>


丹下左膳餘話 百萬両の壺
▲ 『丹下左膳餘話 百萬両の壺』(昭和10=1935・日活) 出典:amazon

<山中貞雄・餘話>
 今から15年くらい前の日曜の昼下がり、録り溜めたビデオの中からヒョイと選んで再生。オープニング・タイトルもロクに見ずに・・・ということはなんの映画かも知らずに観ていたら、なんとも言えない心地よい軽いタッチ、いや、その巧妙なる仕組みと演出にただならぬものを感じ、情婦の尻に敷かれた滑稽な大河内傳次郎のズッコケ左膳に大笑い。コメカルな作風がモダンなストーリーテリングとあいまって光り輝いている事に驚愕した。

       そーか、これが『百萬両の壺』か! これが山中貞雄なのか!!!


 巻き戻して見直したタイトルこそが『丹下左膳餘話 百萬両の壺』で、私は背中にゾクゾクッと嬉しい寒気を感じたのである。


※出典および参考文献
●『映画監督 山中貞雄』 加藤泰、キネマ旬報社
●『カツドウヤ水路』 山本嘉次郎、筑摩書房
●『日本映画監督全集』 キネマ旬報社
●『日本映画俳優全集・女優篇』 キネマ旬報社


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2017年07月03日

日本の映画監督 天才監督・山中貞雄の皮肉な運命 <4>

◆ 山中貞雄は戦地に征かずともよかったのだ!

カツドウヤ水路
▲『カツドウヤ水路』山本嘉次郎、筑摩書房
※同書は『続・カツドウヤ水路』等と合本され、『伝記叢書301 カツドウヤ自他伝(伝記・山本嘉次郎)』として大空社から刊行。


 山中貞雄はなぜ死ななければならなかったのか−−その重い運命は『やすらぎの郷』とは遠く離れてしまうのだけど、ついでだから紹介しておきたい。

 その、歯ぎしりしたくなるような皮肉な運命は、溝口健二を調べている時に読んだ山本嘉次郎監督の本の中にあった。以下にその全文を掲載するが、私は山本監督の本から抜き書きしたこのメモに、

         「運が悪いとしかいえない、山中の召集と戦死への道」

 というタイトルを付けた。読めば判るが、その道筋は運が悪い≠ニしか言えないのだ。


 彼〔山中〕の生れは京都だったので、伏見の連隊へ入隊した。そして、師団のある福知山へ集結させられた。
 そこで解除になったという電報が、東京の知人にとどいた。
むやみに召集したので、員数が余ったのである。その余ったなかに彼が入っていた。彼は帰されることになった。
「サドやん(山中の愛称)アゴが長いよってン、あいつのアゴに合うアゴヒモのシャッポンあらへンよって、帰されたンとちがうかいな」

 ところが、当然帰京して来る日がきても、彼は姿を見せなかった。心配して調べてみると、
彼の召集解除は取消しになって、ふたたび召集されてしまったことが判った。それには次のような事情があった。
 彼は除隊になり、その夜は他の除隊になった壮丁(つまり兵隊適合者である)たちと、福知山の駅前の旅館に同宿した。その夜更けに、
ひとりの自殺者が出た。短刀かなにかでノドを突いたが死に切れずに、大騒ぎとなったのである。自殺は未遂に終った。
 憲兵が飛んで来て事情を取調べると、その男は、
「歓呼の声に送られて、故郷を出て立って来たからには、
いまさらオメオメと生きては帰れません。今回は不幸にして一命を取り止めましたが、かならず死んでこの恥をそそぎます」
 というのである。これが憲兵から連隊長へ伝えられた。
「それほどに思いつめているならば……」

 男は、再び入隊が許されることになった。
「…(略)…。ほかにも再入隊志願のものがあろう。…(略)…」
 連隊長の好意のこもった言葉が同宿の青年たちに憲兵によってもたらされた。みな、われもわれもと再入隊を志願した。山中ひとりが、
「わたしは、ちがいます。帰してもらいます」とはいえなかった。
 そして彼は、みなと一緒に、ふたたび「帰らざる旅」へ出発してしまったのである。おそろしいことである。


 こうして山中は、行きたくもない戦争へヒョンなことから連れて行かれ、徐州会戦を前にして悪性の腸炎のため、あたら天才を中支の泥土のなかに埋めてしまったのである。
                 (『カツドウヤ水路』山本嘉次郎、筑摩書房) ※〔〕内、高村註。

 これを読んだ時、二、三日、気分が悪かった。持って行き場のない怒りがこみ上げてきて、腹が立って仕方がなかった。 <続く>

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2017年07月02日

日本の映画監督 天才監督・山中貞雄の皮肉な運命 <3>

◆ 山中の位牌の前で涙して・・・

映画監督 山中貞雄
▲『映画監督 山中貞雄』 加藤泰、キネマ旬報社


 女性に奥手な山中貞雄は映画で起用した深水藤子を気に入ったものの、積極的に口説いたりすることもなく、でもなんとなく気に入っているようだった・・・というのが山中関連の映画本(今、それが稲垣浩監督の本だったか、上記の加藤泰のだったか、どの本だったか判らないが)で知った二人の仲で、深水の方が「山中にお嫁さんにもらってもらえるのなら・・・」と乗り気だった、と書いてあった記憶がある。
 深水の本名は安田富士子、「安田」でピンと来る人もいるだろうが、彼女は後に大映でプログラム・ピクチュアを撮った安田公義監督の妹である。山中の作品には『国定忠治』『丹下左膳余話 百萬両の壺』『関の弥太ッぺ』『街の入墨者』(以上、すべて日活京都、昭和10=1935年)などに出演。この『街の入墨者』の頃から山中との仲が囁かれるようになる。

 ところが山中は兵役に取られて戦地に去り、そのまま北支戦線(中国)で戦病死してしまう−−昭和13年9月17日。数えで三十、満で二十八歳と十ヶ月(二十九歳)であった。

 内地(日本)には10月になってから悲報が届き、東京や京都で「山中を偲ぶ会」が有志によって数度開かれ、追悼上映会なども催された。
 そんな10月のある日、山中の位牌が置かれた京都の(貞雄の)長兄・山中作次郎宅を深水藤子は訊ねている。

 ……山中貞雄の位牌は、父、喜三右衛門、母、ヨソの位牌とともに置かれ、映画監督山中貞雄の写真が飾られ、燈明、供物が絶やさず供えられてあったのである。深水藤子は、その位牌に線香をと挨拶し、通されて、その仏壇の写真と対面したのである。そのときのことを〔貞雄の〕姪の道子がこう語っている。
「それでね、戦死、聞いたときに、(深水さん)家へ来はって、で、お仏壇にお詣りしはって、ちゃんと坐ったまま、しばらく動かはらへなんだもんね。ポロポロポロポロ、涙こぼして。うちら……どうしよう、言うて……。なぐさめようもないし。だいぶ長いこと坐ってはった……」
                      (『映画監督 山中貞雄』 加藤泰、キネマ旬報社)


 ずっと後年、深水藤子が山中について語った記録(インタビュー)もあるのだが、それがどの本の中にあったか判らないので、引用できない。引用できないけれども、上記の『映画監督 山中貞雄』の一文を読めば、深水藤子がいかに山中を慕っていたか、愛していたかが判ると思う。

 『やすらぎの郷』の姫こと九条摂子と千坂監督の悲恋もこんな感じじゃないのかなあ・・・と想像するのはとても楽しい。楽しいけれど、私が紹介したいのはこういう戦火の淡い悲恋話ではない。

 山中貞雄はなぜ死ななければならなかったのか、という重い運命についてである。 <続く>


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2017年06月28日

日本の映画監督 天才監督・山中貞雄の皮肉な運命 <2>

◆ 出征後、山中の家を訪れた深水藤子

深水藤子250
▲ 深水藤子(右上)
出典:ウエブサイト「昭和モダン好き」=「雑誌記事「深水藤子・吉野朝子・八雲理惠子・大川平八郎・藤原釜足」(1935)」より   http://showamodern.blog.fc2.com/blog-entry-1294.html


 昭和12年8月に山中貞雄が出征した時、彼はすでに京都(日活)を去って上京しPCL(現・東宝)で映画を撮っていた。彼は東京の青山南町に家を借りており、ここには友人で映画監督の滝澤英輔(本名・滝澤憲、名作『雄呂血』などの監督・二川文太郎は彼の兄)と同居のような状態であったが、そんな男所帯に「映画界で働きたい」と山中の従兄弟・加藤泰が押しかけて一緒に住むことになる。
 だが山中はPCL入社第1回作品『人情紙風船』(昭和12=1937年、山中作品としては21本目)を発表してすぐに戦争にとられる。

 かつて山中貞雄監督が召集令状を受け取った時、手が震えて煙草の火がつかなかったという話を聞いていた…(略)…。

 と書いたのは松竹大船の監督・吉村公三郎だが、吉村は赤紙が来た時、この山中の話を思い出し、わざと煙草に火を付けて吸ってみた。手が震えて火が付かないなんて事もなく、煙草の味も変わらなかった、と自著『あの人この人』(協同企画出版部)に記している

 山中は赤紙を恐れていた。それは、戦争に行けば自分は死ぬ、と判っていたからではないのか。
 作品論を挟むと長くなるのでやめたいが、『森の石松』など山中貞雄の後期の作品はおしなべて「暗い」との評判で、それを稲垣浩ら鳴滝組の仲間達は心配した。遺作の『人情紙風船』を観れば、生きるのを投げたようなその「暗さ」がいやというほど判るが、それが後に戦死する彼の運命を暗示していた、とはよく言われることである。

 主の山中なき青山の家で、一人留守番をすることになった加藤泰は、日がな一日、山中が置いていった本を読んでいた。すると玄関の方で声がした。

 それでノソノソ玄関に出て行った。パーッとその目に華やかなものが飛びこんだ。小柄な、目のパッチリした丸ポチャの、この世にこんな綺麗な女がいるのかと思うような女がそこに立っていた。その母親らしい年配の婦人がその横に立っていた。「山中さんは……?」とその年配が口をきいた。ぼくは飛び上がって坐って、シドロモドロで、「もう出かけた」という意味のことを口走ったようだった。綺麗で若い方が、その大きな、鈴を張ったような目をしばたたかせ、何か言って急いで、丁寧に腰を折って、二人は去った。 …(略)…。
 そして、ああ、深水藤子だったと気がついた。(『映画監督 山中貞雄』加藤泰、キネマ旬報社)


                                          <続く>

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2017年06月27日

日本の映画監督 天才監督・山中貞雄の皮肉な運命 <1>

◆ 『やすらぎの郷』第61話の〔 姫と監督 〕って・・・

やすらぎの郷
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★公式ホームページ:http://www.tv-asahi.co.jp/yasuraginosato/


 事件に継ぐ事件・・・といっても老人ホームのささやかな内輪揉めの連続であるが、老人ホームとはいえ入居限定の超高級な施設で、時代を彩った大物スターやバイプレーヤー、タレント、裏方のスタッフといったテレビ黄金期の要人たちが群れ集う、昼ドラマ『やすらぎの郷』は相変わらず快調だ。

 藤竜也扮する女殺しの二枚目スター・高井秀次の情けないギックリ腰事件や、富士真奈美が演じた落魄した元人気女優・犬山小春の限りなく切ない末路などを見、その折々に笑って泣き、特に犬山小春が歓迎会で物語ったNYで知り合った俳優の話(社長の座を放り出して50代で俳優を目指し、ついに『セールスマンの死』の主演を演じるようになった)は感動的で、胸に迫った(でもこの話、どこかで聞いたことがある)。
 そして野際陽子さんの死・・・こういった番組内外の事件について、【往年の大スターが顔を揃える昼ドラマ 『やすらぎの郷』(1)(2)】〔2017年4月6日付〕と同じようにリアルタイムで触れたかったが、野暮用に時間をとられて当ブログに書けずじまい。

 そうしたら6月26日放送の第61話、八千草薫扮する往年の大女優・九条摂子が、昔のロマンスを語るメランコリックなシーンを見ていたら、天啓のように背中にビビッと電流が走った。


       アレ、これはもしかすると、山中貞雄深水藤子のことなんじゃないか、と。


 九条摂子は戦前からの生き残りの大スターで、姫≠ニいう愛称で呼ばれている老女優。90歳を超えながらカワイイ容姿と物腰を有する、といった設定は宝塚歌劇団時代にお姫様役を演じていた八千草さんにはピッタリすぎるほどだが、その姫は自分を映画界に引っ張り上げて女優として磨いてくれた監督の千坂浩二(石坂浩二と一字違い)とアツアツで、熱愛の関係にあった。だが千坂監督は出征して戦地で亡くなる。以後、姫は誰とも結婚せず、その純愛を胸に秘めながら女優業を続けた。彼女は生前、千坂監督の爪をもらっていて、監督が亡くなったと知った時、悲しさのあまり、それをポリポリ食べた・・・というのが61話の内容だったが、戦死した映画監督ととり残された美人女優というキーワードは、日本映画界随一の天才監督との呼び声が高い山中監督と、彼の映画に出演してつかず離れずの仲であったという深水藤子を想起させずにはいられない。

 『やすらぎの郷』の作者・倉本聰さんは、映画界・芸能界に伝わるのゴシップや伝説などを巧みに織り交ぜてストーリーを進めているようだから、もしや、とも思うが、九条摂子と千坂監督の話は山中貞雄とはなんの関係もない、ただの似かよった話ってことかもしれない。それでもそれに<強引に>託けて見るのが映画ファンの楽しみであるから、この連想、間違いであったとしてもくれぐれもお許し願いたい。 <続く>

山中貞雄監督
▲ 山中貞雄監督 出典:ウエブサイト「DrillSpinデータベース」
http://www.drillspin.com/person/view/ARDSA0835723


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2017年06月26日

新作プレビュー 『 ハクソー・リッジ 』

◆ 今まで作られた戦争映画の中で、最高の1本かもしれない

ハクソー・リッジ
▲ 負傷兵を助けるために、武器を持たずに(?!)戦場を駆け巡る、
アンビリバボーなデズモンド(アンドリュー・ガーフィールド、中央) 
 (C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016



    こんな人物(へいし)が、あの時代、あの戦場(オキナワ)にいたなんて・・・。



 奇蹟を超えたなにものかに突き動かされる、炎のような誠実さと凄惨な戦場に胸をえぐられる、
真実の史実(ものがたり)。



              見るべし!!!




https://youtu.be/w20WhNIxySk

       ★★★★ 『 ハクソー・リッジ 』 公式HPhttp://hacksawridge.jp/


ハクソー・リッジ・ポスター
▲ メル・ギブソンの監督作品としては間違いなくベスト!
(C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016

■  6月24日よりTOHOスカラ座ほか全国でロードショー  配給キノフィルムズ  ■


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『 ラストシーンの余韻 』
巨匠・溝口健二監督の生涯をつづった『 ラストシーンの余韻 酒乱と失態、女難と頑迷、監督・溝口健二の狂おしき人生 』 を電子書籍(アマゾンKindleストア 及び 楽天ブックス)と紙の書籍(製本直送.com)で発売中。直近の各コラムの末尾にある発売告知から販売サイトに遷移、またはポップアップ画面が出ますので、そこからご購入ください。 
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