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2015年11月22日

中国と東京裁判(20):『梅汝璈日記』17

1946年5月8日水曜日
朝起きて新聞を見ると中国のニュースが依然として重要な地位を占めていたが、良いニュースはなかった。公亮(朱世明)によれば、このたびフーバーが東京に来てマッカーサーと数時間会談したが、中国の事情についてはとても悲観的で、彼は記者から中国のことを尋ねられても沈黙を守り、ただ中国での災難は悲惨だと述べただけであった。

 私はマッカーサーの四月の日本管理報告書を読んだが、そこでは日本が次第に真の民主の道を歩んでいるとあった。これはいくぶん粉飾しすぎではあるが、しかしマッカーサーが実行している政策は確かに日本経済に少なからず便宜を与え、次第に復興の道をたどらせている。これは否定できない事実であり、我々勝利した中国と対照的なので恥ずかしさを感じないでいられようか。

 朝食後に私は方秘書が翻訳した極東国際軍事裁判の訴訟手続き細則の原稿を子細に校閲し、幾つか修正を加えた。十時半に裁判所に持って行き羅秘書にたのんで毛筆で写しを書かせることにした。

 ちょうど事務処理をしている際に、ヒギンズ氏から電話があり、彼の事務室に行って来週月曜の開廷の後の休廷時期(およそ三週間)に“中国旅行”の計画を相談しようとのことであった。彼の女秘書のフェロス女史(Miss. Ferros)はとても私達と同行したがったが、それは彼女のいとこが上海にいるからであった。私たちはたくさんの電話をして交通手段と乗り継ぎの方法を聞いた。相談の結果は専用機でなければならず、もし本当に北京にまで行かなければならないのならば、私たちの中国での時間はとても限られ(多くて二週間)、国内は大変に混乱しており、交通手段を探すのは困難であるということであった。私はヒギンズ氏に「私の妻は重慶から上海に到着したかどうかまだわからないが、おそらく十四、五日には到着しているはずだが、保証はできない。もし我々が司令部から一台の専用機を手配できれば、私はあなたと共に祖国へ一度戻って、あなたに付き添って案内したい」と述べた。我々は別れる際に専用機がみつかるよう願った。

帝国ホテルに戻って昼食を食べ、昼寝して起きると、方秘書が裁判所から電話してきて、ヒギンズ氏の周旋の結果、専用機の問題が初歩的に解決し、今晩か明日の朝に私を探して詳細に商談したいという。これは私にも意外なことでとても嬉しい。本当に、数日のうちに帰国できる希望が出てきたのである。

五時から七時まで、私は被告の弁護士が提出した裁判の管轄権に関する意見書を詳細に研究した。なぜならこれが来週月曜日の弁論の下敷きとなるからである。この意見書には合わせて4つの点があり、そのうち重要な二点は次のようなものである。
1.裁判憲章の規定で侵略戦争を発動した罪と平和と人道に対する罪で処罰するのはポツダム宣言違反であり(戦犯の処罰とのみ)、それゆえ範囲を超えた越権行為である。
2.起訴書にある二三の訴因は古い話で、このたびの戦争とは関係がなく、かつソ連とはすでに協定を結んで平和的に解決し、さらにその後に両国は中立条約を結んで交戦状態にあったわけではない。これらの古い件を重ねて提出するのは不合理であり、「遡って罪を罰する」嫌いがある。
この二点は法理上から言えば相当に理由があり、第一点は比較的に解決しやすいが、第二点はやや複雑であり、ただソ連にのみ渉っており、さらに微妙である。ともかく、来週の月曜日に大いに弁論をして、我々がそのときに採決するのもあるいは法学史上において歴史的意義を有するかもしれない。私はこの二問題について前もって詳細に考慮することにした。

夕食後に、私は新聞を読んで、本を読んで、日記をつけたが、祖国への旅行の事を片時も忘れられない。私は三度ヒギンズ氏に電話をかけたが、だれも電話に出ない。十一時半になっても、ヒギンズ氏はホテルに戻っていなかった。おそらく彼も興奮しているのか、あるいはまだ専用機のことであちらこちらへ奔走しているのかもしれない。まあよいだろう。私は太極拳を練習して、シャワーを浴びて、寝たのはもう一時近くであった。

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