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2015年11月18日

中国と東京裁判(16):『梅汝璈日記』13

1946年5月2日木曜日
明日は極東軍事法廷の開幕で、私はずっと臨時法官会議が開かれるのではないかと気にかかっていたので六時前に目が覚めた。熱海は温泉浴で有名なので、私は再び湯船に浸かってひと風呂浴びすこしの菓子を食べてから淡如(王之将軍)と車に乗って東京に向かって出発した。運転手は少し疲れているようだったが自動車は平穏に進みスピードも出したので、九時半にならないうちに帝国ホテルに着いた。

方秘書から電話があり、法官会議はなく、法官たちも二三名が裁判所にいるだけとのことであった。私はそこで裁判所には行かない事にし、その時間で起訴書をじっくりと読むことにした。
起訴書は非常に長くて、大きな紙に字がびっしりと約40数枚もある。しかし主文は十四枚だけで残りは附録である。
訴因は全部で五十五項目あり、三つに分類される。
第一類―平和に対する罪(訴因1−36)
第二類―殺人及び殺人共同謀議の罪(訴因37−52)
第三類―通例の戦争犯罪及び人道に対する罪(訴因53−55)
起訴される戦犯は二十八名で、みな近年来日本の政治、軍事、経済、文化の各方面で重大な責任を担っていた首脳級の人物である。彼らをアルファベット順に並べると次の通りである。
1荒木貞夫
2土肥原賢二
3橋本欣五郎
4畑俊六
5平沼騏一郎
6広田弘毅
7星野直樹
8板垣征四郎
9賀屋興宣
10木戸幸一
11木村兵太郎
12小磯国昭
13松井石根
14松岡洋右
15南次郎
16武藤章
17永野修身
18岡敬純
19大川周明
20大島浩
21佐藤賢了
22重光葵
23島田繁太郎
24白鳥敏夫
25鈴木貞一
26東郷茂徳
27東条英機
28梅津美治郎
この二十八人の名前は、大方私の良く知るところであり、ほとんどがかつて中国に害をなした者たちで、特に土肥原というのは中国に分裂と内乱を起こす専門家で、さまざまに陰謀をめぐらし詭計に長じた人間である。彼の半生の歴史は中国を害した歴史でもある。その次は松井石根で、彼は南京大虐殺の総指揮官で、中国人は永遠にこの殺し屋の頭目を忘れないだろう。板垣・小磯・梅津はどれも中国侵略の将軍で子供や婦人でも知っている。それから九一八満州事変の後に国際連盟に出席した松岡、一二八淞瀘戦争後に虹口で足を爆破された重光、「日中提携三原則」の提唱者の広田、これらの人物も二三十年来多くの中国を害する罪を犯してきた人々で中国人は彼らの名前を骨に刻むほど恨んでいる。

起訴書はとても長くて、昼食時間まで読んでもわずか三分の一を読み終えただけであった。昼食後に少し寝た。起きた後に太極拳を練習した。四時から再び起訴書を読み始めたが、読めば読むほど怒りがこみ上げてくる。六時には正文を大体読み終えた。淡如(王之将軍)が来て、向明思(向検事)もちょうど中国から着いた所で、明日の開廷に出席する準備をしているとのこと。私はお菓子を取り寄せて彼らとお喋りをした。

あさっては中国の専用機が上海に戻るので、李済之博士がこの機に乗って帰国する。明日は開廷で一日忙しいので、私は今日の晩に急いで数通の手紙を書いて彼に託すことにした。晩飯の後に手紙を書くことに没頭し、あわせて八通の手紙を書き、そのうちの一通は孫院長に三ヶ月の連続した休暇を申請した。私が立法院に申請した休暇届けは三ヶ月(2月10日から)で今月の10日は満期になるからである。その他の数通の手紙は父親、波師、澧叔、秋原、一飛、敏恒、傑夫(復旦の友人)に宛てたものである。手紙には英文の新聞の切抜きを二枚、起訴書の要旨が掲載されたものと、裁判審理手続きと裁判官の写真が掲載されたもの、それから各被告戦犯の個人の写真(羅秘書に彼らの名前の上に漢字を加えさせた)を添付した。こうして、私の手紙はとても簡単だが、彼らは添付された文書をみればすぐに私の言いたい事を理解するはずだからである。

このような方法で、私は二時間以内に八通の内容がとても豊富な手紙を完成し、封筒にあて先を書いて、切手を貼った。私はとても満足に感じた。バーに行ってコーラを飲んでいる時に、裁判長のウェッブ氏に出会うと、彼は「明日は開廷の吉日だから、今日は早く休むほうがいい」と言った。私たちはお互いを見て笑った。私は部屋に戻って日記を書き、寝た時の時間は一時近くになっていた。

今日は熱海から東京に戻る途中で横浜一帯で多くの労働者団体がデモをしているのを見たが、秩序は良好で、男女の工人たちはみな衣服が清潔で、身体も壮健で、千万人の群衆の中に少しも栄養不良の様子は見られなかった。私はどうしてマッカーサー司令部は毎日日本人のために食料不足を叫んでいるのか不思議で、彼らのために至れり尽くせりなのかと疑った。このような敗戦国はほんとうに「運のいい」敗戦国である。我々のような災難が多い戦勝国に比べると、我々は嘆息せざるを得ない。

メーデーのデモでもう一つ気が付いた現象は赤旗が特に多いということである。私が一人の日本人の知識人に尋ねると、彼は「以前はこんな事はなかった。赤旗は革命の象徴で、赤化を意味している。世界が左向きに向かっているから、大勢の赴くところは、誰にも止められない」と語っていた。

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