5月25日 朝日新聞 ｂｅ（土曜日版） 今さら聞けない の記事からです。
おなかの消化や洗濯などで大活躍酵素でダイエット成功とか、洗濯物の汚れが落ちるとか、
酵素の働きに期待をかけるうたい文句をよく耳にします。
そもそも、酵素って、ナニモノでしょうか。
自らは変化せず、他の物質の化学変化を進めるたんぱく質。
これをひっくるめて、酵素と呼びます。
酵素が作用する相手は、たんぱく質や糖、脂質と様々で、
生き物の体内で起きる反応のほとんどに酵素が関わっているといえます。
たとえば、食べた物を吸収しやすく分解する消化。
たんぱく質を分解するプロテアーゼ、でんぷんを分解するアミラーゼ、
脂質を分解するリパーゼといった酵素たちが活躍しています。
「酵素パワー」のＣＭが耳になじんだ洗濯洗剤。
食べ物や皮脂の汚れを分解するリバーゼやプロテアーゼが含まれています。
また、繊維を分解するセルラーゼも入っていることはご存知でしょうか？
あれ、それでは洋服がボロボロになってしまうのでは、と心配しなくても大丈夫。
繊維の分解はなかなか難しく、セルラーゼが効くといっても、
ほつれた糸が少し切れて、生地が柔らかくなる程度。
繊維の隙間に入り込んだ汚れを取り出すのに、ちょうどよい働き具合とのことです。
木綿のシャツをボロボロにするくらい強い酵素が見つかったら、
世界のエネルギー事情が一変するそうです・
サトウキビなどから作る生物由来の燃料バイオエタノールを製造するために、
熱に耐え効率よく繊維を分解する酵素探しが、業界の目下の課題なのだそうです。
ブドウ糖を果糖に変える酵素、グルコースイソメラーゼは、製造コストが安く甘みも強いため、
清涼飲料など多くの食品に使われています。
サツマイモは石焼にすると、強火で焼くより甘くておいしくなります。
これも酵素のおかげ、アミラーゼが働くからです。
酵素もたんぱく質の一種なので、いきなり高熱にすると壊れてしまいます。
石焼のようにじっくり火を通すとアミラーゼがよく働き、
でんぷんがたっぷり分解されて、糖へ変わるので、おいしい焼き芋ができるというわけです。
動物性たんぱく質でできたゼラチンを使って、ゼリーを作り、
切ったばかりのパイナップルやキウイなどを置いてお来ましょう。
これらの果物は、プロテアーゼを含むので、ゼリーは溶けてしまいます。
一方缶詰のパインのように加熱加工されたものや、
バナナなどプロテアーゼを含まない果物ではゼリーは溶けません。
マイタケを入れると、茶碗蒸しの卵液が固まらないのも同じ原理です。
私たちの体内にはもともと、たくさんの酵素があります。
ジュースやサプリメントなどで、少々飲んだり食べたりしてもからだに変化を及ぼす科学的根拠は、
現時点ではわかっていないということです。
特に、一般家庭で作る「酵素ドリンク」など食中毒に注意が必要です。
容器の中で何かしらの発酵が起きているはずですが、
毒素を持つ菌も同時に発生している恐れを否定できないからです。
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