2018年03月10日

「むこうぶち」から見る主人公の形


 ここでは近代麻雀で超・長期連載している、

ご無礼」さんこと「むこうぶち」のお話です。

この作品と、主人公である「」についてはリンク先の方で説明を見ていただくとして。



 主人公とはあくまでメインのヒーローでいないといけないのか?


いつも前線に立ち、立ちはだかる敵を切り裂くのが主人公なのか?




 それを覆すのが人鬼こと、傀なのです。

 きざったらしいことを書きましたが、はっきり言って傀は大きな存在で、最後に勝ちを持っていく主人公、それだけです。つまり「アカギ」でいうところの「鷲巣巌」の様な敵がいるわけでもなく、かといって「ムダヅモ」の様な、勝利をもぎ取る系主人公でもないのです。

 ではむこうぶちの面白さは何?

 まず第一にお話の安定感があります。
例えば「水戸黄門」大好きなご老人が、「45分になったら印籠を出す」お約束を楽しみにしているように、読者は「最後は傀が「ご無礼」といって勝利していく」というお約束を待っているのです。
どうやら日本人とはそういう性の民族で、「ドラゴンクエスト11」が売れたのも、このお約束好きが理由であるとかないとか。
 悪く言えばワンパターンということなのですが、そのお約束を長く楽しめる、という読者達が惹かれていくわけですね。

 もう一つは主人公が無色透明だから(まあ色的な意味では真っ黒だけども)。
 言い方をかえれば、お話ごとにメインになる(そして負ける)キャラが、投げやりなキャラクターではないこと。そのキャラごとに戦う理由も、戦い方も、性格もきちんと設計されているのです。テキトーなモブに毎回傀が勝っていくだけのお話ってどうでしょうか?最初のうちは面白いですが、それなりの個性のキャラクターたちが主人公にひれ伏し、主人公もそれに便乗して無双していく。そんな話であったら既に連載が終了しているかもしれません。

 まあもう今の時点で準レギュラーになっているキャラクターについては賛否あるのですが……。

 短編集が面白い

 さてこの「むこうぶち」、通常は月二回の連載で三回~四回分、つまり一ヶ月か二ヶ月で決着が付くお話が多いです。しかし今回推すのは短編の方です。
先程も書いたとおり、むこうぶちはぽっと出のモブのキャラクターたちの個性がとても立っています。だから一話だけちょっと出て完結するお話も面白いのです。

 例えば三体の幽霊と麻雀を打つ話(先程の傀のリンク先でも少し触れていました)。
傀は何も知らず雀荘に入って、あるカーテンに仕切られた卓に腰掛けます。しかしそこは本来誰も居ない席……卓に座ったものしか見えないような席で、他の卓に座っている人がコソコソと話しています。「あそこの席のやつら死んでるんだぜ」みたいなことを。
 そう、この時点で読者を引き込む要素があるわけです。知らない黒尽くめの男が、誰も居ないはずの卓に座り、麻雀を打っている。最終的には黒尽くめの男=傀が彼らを「ご無礼」して成仏させてしまうわけですが、たった一話で幽霊と卓を囲む男を見ながら、色んな話をする人たちの話を読み、読者は如何にヤバイところにいるかを悟るわけです。
 コンビニ版の雑誌で、単品解決する話だけを集めた、総集編の様な本があったのですが、運が良ければ古本屋にあるかもしれません……。

 そんなわけで「むこうぶち」の「傀」は、主人公が絶対的な力を持ちながらも、周囲を立てまくっていることで格好が付き、安定した好感度を保っている主人公なわけです。

 今日もありがとうございました。





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