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2017年02月27日
宰相をきめる五つの物語
伊藤肇の『喜怒哀楽の人間学』から幕賓の人間学ということで、今回は「宰相をきめる五つの物語」を紹介いたしますが、この『喜怒哀楽の人間学』も残すところ後僅かとなってきましたのでジックリ味わっていただければと思っています。

以下、伊藤肇の『喜怒哀楽の人間学』より

中国史における典型的な幕賓は魏の文候の幕賓だった李克であろう。
文候が魏の宰相を決めねばならぬことになった。
魏成(ぎせい)と翟璜(てっこう)の二人の候補者がいるが、どちらにするかという決断がdぷしてもつかない。文候は迷いに迷ったあげく、李克に下問した。

「先生、嘗て寡人(かじん)に教う。『家貧しくしては良妻を思い、国乱れては良相を思う』と。今、相(しょう)とせんところは、魏成にあらざれば翟璜なり。二子は如何」と。

「先生はかって『家が窮乏したときには、家政のきりもりをうまくやって家を治めてくれる、しっかりものの妻はいないものか、と考え、国が乱れて、民が塗炭の苦しみに陥った時には、うまく、政治をやってくれる立派な宰相がほしい、と思うものだ』と、私に教えられましたが、世はまさに戦国乱世の時代に突入しました。
この国家非常に当たって、よき宰相を得ざれば、わが魏国危しと考え、日夜、肝胆を砕いた結果、ようやく、魏成と翟璜との二人に的がしぼられました。だが、何れを宰相とすべきかについて、どうしても自分の考えがまとまりません。何とか、先生の御助言を頂きたい」

一国の宰相を誰にするか、という最高人事である。軽々には答えられない。

「それはあくまで文候おんみずからの決断に俟(ま)つべき問題であります。拙者が口をさしはさむ余地はござらん」とつっぱねる。だが、文候、よほど困っていたのだろう。「先生、そこを曲げて何とか‥‥」
と再三、くいさがる。

文候にこうまでいわれては、無碍(むげ)に断るわけにもいかない。
暫く考えて李克は「しからば、宰相たるの条件を五つお教え申す」といって、「居てはこの親しむところをみ、富みてはその与うるところをみ、達してはその挙ぐるところをみ、窮してはその為さざるところをみ、貧にしてはその取らざるところをみる。五つのものをもってこれを定むるに足る」

と答える。


今回は以上です

宰相たるの条件が五つ挙げられていますが、よければどういうことなのか考えていただければと思います。
次回は、この五つの条件の内の四つまでを紹介いたします。


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