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2013年12月31日

国盗り物語



 今日も昨日に引き続いて、司馬遼太郎氏の歴史小説を紹介したいと思う。

 『国盗り物語』である。

 この作品の前半部分は、単なる油売りから豪商へと成り上がり、そこから美濃一国を領するまでに至った斉藤道三の物語となっており、後半部分は織田信長を明智光秀の視点から描くという構成になっている。

 この作品で、とりわけ凄まじいのは斉藤道三が徒手空拳の状態から成り上がっていく過程だろう。

 小説投稿サイトである 『小説家になろう』 でも『成り上がりもの』という部類の小説は多数投稿されているが、これはいうなれば日本有数の作家が書いた成り上がりものということができるだろう。

 が、この作品は、だいぶ以前の資料をもとにして書かれているらしく、斉藤道三に関する最新の歴史理解とは異なっているらしいので、詳しいことはウィキペディア先生にでも聞いておいていただきたい。

斎藤道三−Wikipedia


 で、後半部分は織田信長を中心的な人物として描いているのだが、視点人物として明智光秀が用いられており、主人公の織田信長以上に目立っている。

 教科書で日本史を学ぶだけでは明智光秀と言えば、有能であり、最後には織田信長を裏切った人物という程度の感想しか抱けないが、この本を読んでみれば明智光秀という武将に今まで以上に親しみを感じることができるだろう。

 非常に洗練された、日本有数の歴史小説であるから是非とも読んでいただきたい作品である。


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2013年12月30日

項羽と劉邦

 今日紹介するのは司馬遼太郎の歴史本である。


 題名は 『項羽と劉邦』 である。

 劉邦というのは漢の高祖である。
 中国の王朝は、殷・周・秦・漢・三国志、の順であるから、つまり三国志の時代の前の王朝を作った人の話である。

 三国志の主要人物である劉備は、漢王室の復興を目指して戦っているわけである。
 だから、三国志の時代をテーマにしたゲームやら小説やらを理解するためには、この本を読んでおくと、理解がより深まるだろう。

 武人のなかの武人である項羽。
 本人の能力としてはたいしたことがないが、人あしらいが上手く、人材を揃えた劉邦。

 この二人が、まったく無名の状態から身を起こして、ついに両雄として対決するさまを描いた歴史小説である。

 とても面白く、かつ一般常識としても読んでおいて損はない小説だろう。
 非常にオススメの一冊である。


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2013年12月29日

もうちょっとで実現しそうなSF



 SFっていうと、銀河帝国だのワープ航法だのビーム兵器だのがでてくるので、
 どうも絵空事めいていて、あんまり読む気になれないという方も多い。

 そういう方にオススメなのが、今日紹介する、
 『星のパイロット』 という小説である。

 小説の舞台となるのは、現代より少しだけ未来の、少しばかりの技術の進歩があって、民間の宇宙開発が盛んになった時代である。
 小説中には銀河帝国だのワープ航法だのといった、とんでもSFガジェットはでてこない。
 登場する機械などはすべて現在の技術の延長線上にあるものばかりである。

 SFというよりは、わりと現実的な宇宙開発をテーマにした小説といえるだろう。

 主人公である女性宇宙飛行士の羽山美紀が零細民間航空会社へやってきて、そこで色々な宇宙開発のお仕事をするというようなお話である。

 宇宙とか航空とか、そういうことに関心がある人でないと、ちょっと面白くない本かもしれないが、逆にそういう分野に関心がある人にとってはたまらない本である。

 戦闘機から武装を外して自家用機にしていたり、とか、そういう胸熱な描写がたくさんある。
 そういうのが好きな人には本当にオススメの一冊である。


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2013年12月28日

女性型巨大ロボット



 今日紹介するのは 『ARIEL 1 (ソノラマノベルス) 』 という本である。

 作者は笹本祐一さんである。と言っても分からなければ、
 アニメの 『モーレツ宇宙海賊』 の原作者だと言えば分かるかもしれない。

 
 さて 『ARIEL』 の話であるが、このシリーズは色々な要素から成っている。

 
 まず、宇宙人が攻めてきて、これに対抗するために開発された女性型巨大ロボットに、女子大生と女子高生の三人組が搭乗して戦う、というようなドタバタコメディー。
 さらに、非常に雰囲気のある良質なタイムスリップもののSF中篇など。
 さらに、宇宙人がわに視点を移しての、大宇宙を舞台にしたスペースオペラのような艦隊戦など。

 これらが混ざり合って非常にコクのあるシリーズに仕上がっている。

 シリーズの最初のほうは、メカに対する愛が溢れた、女性型巨大ロボットを主軸に置いたドタバタコメディーであるが、しかしシリーズのこの時点では、オススメするほどに面白いものではない。

 だから、読むのをやめちゃおうかなと思う人もいるかもしれない。
 けれども、本当にお願いだから、少しばかり辛抱してシリーズの中盤まで読み進めてほしい。

 なぜなら、このシリーズは巻が進むにしたがって、本当に尻上がりに面白くなっていくのである。
 タイムスリップやらスペースオペラ的艦隊戦などは中盤以降になってやっと始まるのである。

 そこまでたどり着けば非常に面白いものになるので、ぜひとも読んでいただきたいと思う。
 たぶん、使った時間に見合うだけの面白さはあるだろう。


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2013年12月27日

ガレー船の絶頂期

 その昔、軍船の主流はガレー船だったそうだ。

 ガレー船というのは、船体の左右から櫂が何十本も突き出しているような船のことで、
 櫂がある分だけ、凪のときや、進行方向と風向きが合わないときでも進めるというメリットがある。

 けれども、耐波性が弱かったり、船体側面に櫂がある関係で、大砲の搭載が十分にできなかったり、喫水線を高く取れない、などの理由で、結局のところ帆走軍船に主力の座を明け渡してしまう。


 しかし、しかしである。ガレー船には浪漫があるのだ。

 
 風と船体の姿勢とを読みながら、チェスのようにして行う、
 帆船による海戦にも独特の魅力がある。

 が、しかし、
 風などとは無関係に、額に青筋をたてて櫂を漕ぐ男たちの人力で行う衝角突撃。
 漕ぎ手=戦闘員の、数に任せた白兵戦。
 
 まさしく漢の船である。


 で、今日紹介するのは 『レパントの海戦』 という本である。

 この本は、ガレー船がその絶頂を極めた時代に、ガレー船を大量に使用して行われた海戦について書かれた本で、地中海を舞台に、オスマン・トルコ 対 キリスト教連合軍 の戦いを描いた一大海戦絵巻である。

 作者は 『ローマ人の物語』シリーズで有名な塩野七生さんであるから、面白くないわけがない。
 とてもオススメの一冊である。


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 コーエイというゲームメーカーの大航海時代シリーズの『大航海時代U』とか『大航海時代外伝』などをプレイされた方には、知ってる種類の船や、あるいは航海士として登場したキャラクターなどが登場するので、よりいっそう楽しめるだろう。


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2013年12月26日

古代ローマの映画



 今日はちょっと趣向を変えて、DVDの紹介をしようと思う。


 なんとなれば、小説というものは、テレビや映画と違って、映像ではなく文字で書かれている。

 だから、作者の書いた言葉の意味を知らなければ、
 情景描写の文章を読んでも、読者は想像ができない。

 それに、作者が思い描いて書いたことと、
 書かれた文章を読んで、読者が思い描くこととは、どうしても乖離がある。

 これは小説というメディアが抱える本質的な限界、宿命であるということだと思う。


 では、そのような宿命にどのように対処すればよいのだろうか。

 そのひとつの方法は、ひとりひとりの読者が、
 あらかじめ多くの画像・映像の資料を頭のなかに蓄えておくことだ。

 例えば、司馬遼太郎の時代小説を読む前には、あらかじめ、戦国時代なり幕末なりをあつかった映画や大河ドラマを見ておけば、小説を読んだときに、その小説の描写から得られるイメージはよりいっそう明確になるだろう。

 ということは、昨日紹介した 『ローマ人の物語シリーズ』 や、あるいは『小説家になろう』で古代ローマ風異世界小説を読むときなどにも、あらかじめそれっぽい映画などを見ておけば、よりいっそう楽しめるというわけだ。

 ということで、今日は古代ローマを舞台にとった 『ベン・ハー』 という映画を紹介する。

 あらすじとしては、親友に裏切られて、犯罪者になり奴隷となってしまった男が、うまくチャンスを掴んで、自分を裏切った男と対決する、というようなものである。

 が、この映画は、あらすじとかストーリーとかもは評価はたかいようであるが、個人的には、そんなのはどうでもいいと思う。
 
 この映画には、ガレー船をこいでいるシーン、ガレー船での海戦のシーン、大迫力の戦車競争のシーン、ローマ帝国の軍装などが登場して、予算をふんだんにかけて作られた映画だけあって、非常に贅沢な映像に仕上がっている。

 まさしく一見の価値があるので、とてもオススメである。


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2013年12月25日

『帝国』というものについての資料


 ファンタジー小説とかSF小説には 『帝国』 や 『皇帝』 というものがたまにでてくる。
 もちろん、ワナビとして小説を書く側であっても、帝国やら皇帝やらを登場させたい、
 という場合があるかもしれない。響きもなんとなくカッコいいし。


 帝国や皇帝といえば、おおむね悪役であることが多い、ような気がする。
 悪の帝国を治める悪の皇帝である。
 なぜ帝国や皇帝といえば悪なのかという問題は、それなりに大きな問題ではあるが、
 それはさておき帝国と皇帝である。
 

 帝国とか皇帝っていったい何ものであろうか。

 まあ、一般的なお話はウィキペディア先生に聞いてみるのがよいだろう。、

  帝国 - Wikipedia
  皇帝 - Wikipedia

 で、今日紹介する 『ローマ人の物語』 塩野七生 著 というシリーズは、
 ヨーロッパにおける最初の帝国たるローマについての通史が書かれた本なのである。

 ローマという国の通史だから、ローマが皇帝など存在しない、一地方を領する共和制の小さな国であった時代から、地中海全域を要する大帝国になった時代にいたるまで、網羅的に書かれている。

 まじめに歴史を勉強する人にとっては、このシリーズは色々と読み込むべき部分があるのかもしれない。
 例えば、ローマ人の歴史を通して見えてくる現代日本の閉塞した状況への処方箋、とかなんとか、そんなかんじであろうか。

 しかし、ワナビの皆様が注目すべきなのは、そんなところではない。

 この本は、ローマが小さな国から大きな帝国になり、そのうちに皇帝などが登場するようになる過程を描いている本なのである。

 ということは、これはすなわち帝国やら皇帝やらについての、成り立ちや沿革について書かれた資料ということになる。

 この本を読めば、あなたはヨーロッパ風の 『帝国』 や 『皇帝』 といったものに関して、
 より本質的な理解を得られるかもしれない。

 何十分冊にもなる極めて大部のシリーズではあるが、
 amazonで1円からの中古がたくさんあるので、少しずつ買ってみるのもよいだろう。


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2013年12月24日

藤子・F・不二雄SFの世界



 亡くなって惜しいひとばかり早死にするような気がするが、
 ドラえもん作者の藤子・F・不二雄さんが亡くなってだいぶんたつ。

 というわけで全集が発売されているようだ。


 私はかつて大学生だったが、1年生のころから真面目にやって、単位をひとつも落とさなかったので、大学の3年生の後半から4年生にかけて、超絶暇人になってしまった。

 なにしろ週に1回、3時間程度のゼミに行く以外に、なにも用事がなかったんである。
 今から考えれば、バイトなどをして有意義に過ごすべきだったと思うが、まあ実際にはネットをしたりブックオフで古本を漁ったりして時間を過ごしていたのであった。


 そして、その漁った古本のなかにはドラえもんもある。
 小学生が指をくわえて見つめる前で、大人の財力を発揮して、持っていなかった巻を大人買いである。

 ドラえもんは、子供のころの懐かしいノスタルジーに浸ろうと思って買ったわけだが、
 読んでみると、大人の感覚からしても、普通に面白いのだ。

 考えてみるにドラえもんっていうのは、確かに子供向けの漫画であるが、純粋の子供向けっていうばかりの作品でもない。

 ドラえもんやらスネ夫やらの発するセリフが、ときどき黒い、というかシビアなのもそうだし、恐竜やら何やらが登場するような話では、わりと難しい科学用語でも、解説付きではあるが、普通に使ってくる。

 そしてそれこそが作品に、いわゆる『お子様向け』ではない『本物感』を与え、それが逆に子供を引き付ける結果になっているのだと思う。

 つまり子供向けじゃない要素が、ドラえもんに魅力を与えている要素のひとつになっているわけである。

 じゃあ、その子供向けじゃない要素だけで藤子・F・不二雄が作品を書けばどうなるだろう。

 というわけで、今日紹介するのが、
 『藤子・F・不二雄大全集 SF・異色短編シリーズ』である。


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 藤子・F・不二雄の描くSF短編は非常に質が高く、極端なエロ・グロ・暴力などもない、が、子供に見せたらちょっとトラウマになりそうなものもあって、そういう意味では大人向けだ。

 例えば 『ミノタウロスの皿』 という作品がある。

 ある宇宙船のパイロットが、とある惑星に不時着したら、そこは、牛そっくりの宇宙人がいて、その宇宙人は、人間そっくりの生物を『家畜』として飼っているのだった。
 宇宙船のパイロットは、その人間そっくりの『家畜』の女性としたしくなるが……

 というような筋立ての話である。


 この作品などを読むと、藤子・F・不二雄の原型はこっちで、この原型を子供向けに多少ソフトにして、それに夢の要素を追加するとドラえもんになるんだなと思う。
 普通のSF短編小説、例えば星新一の諸作品とかと比べても、漫画だから絵があるわけで、そのぶん臨場感もあって、とても良い。

  
 藤子・F・不二雄ファンでかつお金があるなら、ドラえもんも含めて、この全集は全巻揃えるべきだろう。


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2013年12月23日

ワンマン行政官



 唐突だが 『銀河英雄伝説』 などのSFのスペースオペラには、巨大宇宙戦艦どうしの、
 大艦隊決戦とかいうものが、たまにでてくる。

 それで、何千隻という艦船が沈み、というか爆発し、何十万という死者がでたりするのである。


 でも、私はそういう類の小説を読むたびに疑問に思っていたことがある。

 つまり、宇宙戦艦が爆発して膨大な死者が出るということは、その爆発した宇宙戦艦に多数の乗組員が乗り込んでいたということに他ならない。

 しかし、それってどうなのだろうか? ということである。

 現代でも、最新鋭の石油タンカーなどは、数人で運用するのが普通のようである。つまり高度な自動化の結果、少人数で運用できるようになっているんである。

 もちろん、軍艦なんかだとタンカーなどよりは、ずっと必要な人員が多くなるわけであるが、それでも、なんであれ機械というものは自動化して、少人数あるいは無人でも運用できるようになっていくのが自然な流れであると思うのだ。
 昨今の無人戦闘機などもその流れの一端であろうと思う。
 人間というものは経済的にも、あるいは戦争で死んだりされると政治的な意味でも大きなコストがかかってしまうからだろう。

 それなのに、宇宙空間で超音速ミサイルやらビームやらを撃ちあっているはずの、未来の宇宙戦艦が、乗組員の数だけは、現代の海上をいく戦闘艦のように、多数を必要とするというのが、どうにも解せないのである。


 というわけで今日紹介するのは 『司政官 全短編 (創元SF文庫) 』 眉村 卓 著
 というSF本である。

 この本は、地球連邦内にある、原住民が居住する殖民惑星を統治するために派遣される行政官、すなわち『司政官』を主人公として書かれるSFである。

 それでこの作品の設定の特異なところは、その『司政官』は統治するさきの惑星の行政権をほぼ一手に握る行政官として派遣されるのにも関わらず、なんと、おおむね単独で派遣されるのである。
 他の行政官僚の手伝いは無し!
 たった一人で全部の仕事をしなきゃならないんである。

 惑星をまるごとひとつ統治しなきゃあイカンのにそんなんじゃあどうするんだ。
 ということで登場するのがロボットの群なのである。

 『SQ1』などのように、役割ごとに記号やナンバーで体系化された、
 官僚ロボット群、警備・軍事用ロボット群。
 これらを司政官は自由自在に使いこなして、ことを進めていくのである。

 
 ある意味で、非常にリアルな、面白い設定のSFであると言えるだろうし、
 昨今の、SFであるはずなのに、なぜかやたらと宇宙船から地上に降りて、原始的な肉弾戦などをやらかしたりしがちな、アメリカ的ミリタリーSFへのアンチテーゼともなっている作品だと言えるとも思う。


司政官 全短編 (創元SF文庫)

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◆2017/03/23追記◆




 今日は上記でご紹介した『司政官シリーズ』の別の作品を読み終わったのでご紹介しようと思う。


 『消滅の光輪』 眉村 卓 (著)  である。
 
 司政官シリーズというのは、たった一人の行政官が無数のロボット官僚の助けを得て、惑星を統治するという思考実験のようなSFである、ということは上に述べたとおりであるが、そのシリーズの長編作品である。


 今回はその司政官が、母恒星の新星化によって消滅してしまう予定になっている植民惑星ラクザーンに赴任する。
 司政官たる主人公のマセ・PPKA4・ユキオは、刻限までに惑星上の住民全員を退避させるという難事業に挑まなければならないのであった……
 というような筋立てである。

 退避をしようとしない先住民がいたり、退避計画に反発する植民者がいたりとか、そんなこんなを解決してゆく司政官というところで、なかなかに面白いSFになっていると思う。

 司政官とロボット官僚のかかわりとか、そういう設定的においしいところもたっぷり味わえるというところでは良いとも思う。

 しかしまあ上・下巻の大部であるし、だから値段も高い。
 無理してまで買う必要があるとは思わないので、もう中古しかないところであるし、お金に余裕があって、気が向いたら確保程度で良いと思う。

 

消滅の光輪 上 (創元SF文庫 ま 1-2)

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消滅の光輪 下 (創元SF文庫 ま 1-3)

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 このシリーズの作品を読む順番としては、
『司政官 全短編 』を読んだ後で、
『消滅の光輪』に進むのが良いと思う。

 なぜなら、『司政官 全短編 』の巻末のほうに、司政官シリーズの詳細な解説がついてあって、ロボット官僚群の構成とか、その時代ごとの変遷とかが細かく書いてあるんである。
 実に素晴らしい解説で、目新しい設定のお勉強として読むのであれば、作品そのものよりも、そっちの解説のほうが価値が高いくらいである。

 だからまあ設定の資料本として買うなら『司政官 全短編 』のほうだけ確保しておけばそれでいいかなという気もするんである。

 それで『消滅の光輪』を読むうえでも、その解説を読んでおいてからのほうが圧倒的に作品が理解しやすくなるので、読む順番は上記の通りでお願いしたいところである。

 ……とここまで言うとなんだかつまらない作品であるかのように聞こえたかもしれないが、『消滅の光輪』もじっくり読める優良なSF巨編であるのでそういうの好きな方にはお楽しみいただけると思うので、これはこれでオススメである。


2013年12月22日

漢字のはなし



 今日は漢字の話をしようと思う。


 何の本で読んだのだったか忘れたが、前に、

 『血』とか『毒』とか、そういう字って印象が強烈だから、そういう字を使うだけで、内容とは別に、なんか小説が書かれている紙面に、ある種の禍々しい印象がついちゃうよねー。

 というような話を読んだことがある。


 私もこの考え方は正しいと思う。

 漢字というのは表意文字で、その文字のひとつひとつが意味を持っている。
 だから、漢字のもたらす絵画的あるいは記号的表現は、良かれ悪しかれ、紙面を見る人に強い印象を与えてしまう。

 もちろん、ひらがなやカタカナといった、音のつらなりからなる単語も、それなりの印象を読む人に与えるのであるが、その鮮烈さや強烈さという面で漢字にはだいぶ劣ると個人的には思う。

 だから、小説を書くときに、漢字を用いる場合には、その用いる漢字の持っているイメージを正確に把握して、そのイメージを意識的に利用しなければならない。

 このブログを読んでくださっている皆さんは、もちろん日本語話者であろうから、自分独自のそれぞれの漢字についてのイメージというものをお持ちであろう。

 しかし、小説家になりたいワナビとしては、その漢字に対して持つ独自のイメージを、正確な(最大公約数的な)ものにし、また漢字に対して持つイメージというもの自体を深めなければならないと思うのである。
 漢字の持つ読者に与える印象というものは、書き手が用いうる強力な表現手段のひとつであると思うからだ。


 で、今日紹介する本は、そのための資料となり得る

 『白川静 漢字の世界観 (平凡社新書) 』 という本なのである。


 この白川静なる人物は、なんでも『字統』 『字訓』 『字通』 なる、
 漢字に関する三部作を著した、古代漢字の研究者の『すごい人』であるらしい。

 だから、本当はこの 『字統』 『字訓』 『字通』 とやらを読めばいいのだろうけれど、
 これらは古くて立派な本だから、値段がすげえ高かったりして、ちょっと手が出しにくい。

 というわけで、今回は漢字の世界についての入門書になりそうな本を紹介することにした。

 表現のための武器が足りない! と悩んでいるワナビの皆様にはオススメなので、
 ぜひご一読あれ!


白川静 漢字の世界観 (平凡社新書)

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プロフィール
西村紅茶さんの画像
西村紅茶
ワナビ(小説家になりたい人の意)というほどのワナビでもないが、いつかは一冊でいいから自作のネット小説が書籍化になったら嬉しくて心臓麻痺おこすかもしれんと妄想しているヌルいワナビです。 でも書くのはへたくそなんですが……
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