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2013年11月30日
実際にはありえない話し方
『〜〜なのじゃ』 という語尾で話す老人はそれほど多くない。
『〜〜ですわ』 という語尾で話すお嬢様も少ないと思う。
『〜〜アルヨ』 という語尾で話す中国人はおそらく存在しないのではないか。
でも、皆さんは、小説や漫画やゲームをやアニメで、こういう話し方をするキャラクターを見たことがあるのではないだろうか。
じゃあ、こういう話し方はどこから出てきたのかという疑問が生じる。
そういう疑問に答えてくれるのが、今日紹介する、
『ヴァーチャル日本語 役割語の謎 (もっと知りたい!日本語) 』 という本である。
この本は、そういう 『〜〜なのじゃ』 式の話し方の起源や歴史を解き明かしてくれる。
ワナビの皆様は、自分の書いている小説の、お嬢様キャラに 『〜〜ですわ』 としゃべらせる前に、この本を一度読んでみてもいいかもしれない。
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2013年11月29日
ゴのつくアレ視点の小説
今日の記事のタイトルからお分かりかも知れないが、今日紹介する小説は、ゴキブリが主人公のゴキブリ視点の小説である。
人外主人公ものとしてはとても珍しいかもしれない。
この作品は、主人公たるゴキブリが人間を観察するという形式で書かれている。
作品の前半においては、眼科医なのに船医になってしまった男にくっついて観察し、
作品の後半においては、売れない小説家にくっついて観察する、
という構成になっている。
この小説を読んでいると、登場人物のなんてことのないおしゃべりをゴキブリの視点から盗み聞きすることができるのである。
新作のSF小説に登場させる怪獣はなにがいいかと、前半の主人公たる眼科医と後半の主人公たる売れない小説家が討論しているシーンとか、
後半の主人公がちり紙に鼻毛を植え込んでいるところを奥さんに見つかって非難されるシーンとか、
自分だけじゃなく、みんなそれぞれにくだらないことを考えて生きてるんだなあと、ほっとさせられる小説である。
作者は、どくとるマンボウ航海記などのユーモアエッセイで有名な北杜夫さんであり、これも非常に楽しく笑いながら読める非常に良質のユーモアあふれる作品である。
読むのに努力はいらないと思う。
とてもオススメである。
人外主人公ものとしてはとても珍しいかもしれない。
この作品は、主人公たるゴキブリが人間を観察するという形式で書かれている。
作品の前半においては、眼科医なのに船医になってしまった男にくっついて観察し、
作品の後半においては、売れない小説家にくっついて観察する、
という構成になっている。
この小説を読んでいると、登場人物のなんてことのないおしゃべりをゴキブリの視点から盗み聞きすることができるのである。
新作のSF小説に登場させる怪獣はなにがいいかと、前半の主人公たる眼科医と後半の主人公たる売れない小説家が討論しているシーンとか、
後半の主人公がちり紙に鼻毛を植え込んでいるところを奥さんに見つかって非難されるシーンとか、
自分だけじゃなく、みんなそれぞれにくだらないことを考えて生きてるんだなあと、ほっとさせられる小説である。
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読むのに努力はいらないと思う。
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2013年11月28日
若主人と腹黒有能執事
執事を主人公、あるいは準主人公にした作品というのは、日本の漫画とかアニメとかゲームとかではよく見られるけれども、執事の本場である海外(例えばイギリス)の作品で、かつ日本語で読めるもの、という条件で探すと、これはなかなかないように思う。
それで、その数少ない例外のひとつが今日紹介する 『比類なきジーヴス』 である。
性格は良いが、貴族のお坊ちゃまで、伯母さんからの小遣いで生活している、ニートのバーディー・ウースター。
なんでもできてとても有能だが腹黒な執事ジーヴス。
この二人が繰り広げるどたばた喜劇を描いた、シニカルでとぼけた、いかにも英国っぽいユーモアが魅力の作品である。
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さらに、この作品は 勝田文 氏によって漫画化もされている。
漫画版は、原作の持つテイストがちょっとばかし薄くなってしまっていることは否めないが、しかし漫画は漫画で原作にはない独自の良い味がある。
ちょっと話がそれるが、
その昔にはスーツはあらたまった服装ではなくて、むしろ室内着だったそうで、『スーツ』というのは正式には『ラウンジ・スーツ』と呼ばれていたものを略したものらしい。
ということを以前に何かの本で読んで、そのときは、ふーん、としか思わなかったわけだが、この漫画版のジーヴスを読むと、確かに主人公のバーディーは自宅でくつろいでいるときにも、きっちりスーツを着てネクタイを締めている。
おお! 確かに『ラウンジ・スーツ』だ! と私は感動した。
やっぱり、漫画は絵がある分、資料としての価値は高まっていると思う。
漫画版は漫画版でとても素晴らしい!
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2013年11月27日
ラノベしか読まないという方にもオススメ
ラノベはよく読むけど、普通の小説はあんまり読まない、という人はわりにいる。
もちろん、普通の小説にくらべて、ラノベのほうが願望充足的なので、心が満たされて面白いと言われてしまえば、もうそれ以上に言うことはない。
けれども、普通の本は、ラノベにくらべて面白く感じられないとか、読むのに気力がいる、だからラノベのほうがいいという人もいるのだろうと思う。
そういう人にオススメしたいのが、今日紹介する『四畳半神話大系 (角川文庫)』 である。
オススメしたい理由は色々あるが、一番の理由は 『読みやすい』 ということである。
この本はアニメ化にもなったし、作者は、森見登美彦という人で、本屋大賞受賞者でもあるのでご存知の方も多いかもしれない。
極めて格調高いわりに、ふざけていて、あまりに上手く、かつ読みやすいという、稀有な文章を書く人で、読むのに気力や努力はまったくいらないと思う。ラノベと同じ感覚で読める、
とてもオススメなので、未読の方はぜひご一読を!
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2013年11月26日
中世の兵士
今日紹介するのは、
『中世兵士の服装: 中世ヨーロッパを完全再現! [単行本(ソフトカバー)]』
という本である。
この本は、amazonの商品のイメージを見るとよくわかるが、版型が大きなだけあって、大きな写真がたくさん使われている。
写真では、モデルの人が、中世兵士の服装を、甲冑はもちろん、下着にいたるまで再現し、実際に着て見せてくれている。
私が、この本で個人的に良いと思ったのは、中世の兵士がはいていたパンツの写真があったところだ。
中世ヨーロッパ風異世界トリップ系小説では、主人公は着の身着のまま異世界にトリップするというパターンが多い。
そんな場合に、主人公は、最初に穿いていた同じパンツを永遠に穿き続けるわけにもいかないから、替えの下着を現地で調達する、という展開があるわけである。
ワナビの皆様が、そういう展開を書くときに、この本で中世ヨーロッパのパンツをよく見ておけば、描写により一層の説得力が加わるだろう。
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2013年11月25日
『NAISEI』系小説を書くには必読の書
中世ヨーロッパの、とある農村で、麦が豊作になったとしよう。
その収穫した麦を、今だったらトラックとかでしかるべきところに運ぶのだが、中世ヨーロッパにはトラックなんてものはないから、荷馬車とかで運ぶのである。
けれども、その荷馬車というものには当然、馬という生き物が必要であって、そうすると収穫物を運ぶためには、その馬を平素から飼っておく必要がある。
馬というものには飼葉なり穀物なりを食わしてやらなければならないのであって、それは、限られている農耕地を馬の餌のために割かなければならないことを意味する。
つまり、もっと根源的な言い方をすれば、運動エネルギーの調達先が農耕に依存していたということなのである。例外としては、帆走船、水車、風車などといったところだろうか。
しかし帆走船は、陸の上では使えない。
水車、風車は、据え置き式なので移動・運搬のためのエネルギーは取り出せない。
といった欠点がある。
さらに、昔は炊事のための燃料も、暖房のための燃料もすべて薪が頼りだったわけである。
薪というのは木で、森や林から調達されるものだから、これも農耕地と競合する。
つまり、現代と中世ヨーロッパでは何が違うのかと問われれば、
『化石燃料など、植物以外のものから、エネルギーが好き放題に取り出せるようになったこと』
これも答えのひとつである。
で、今日紹介するのは、
『生活の世界歴史〈10〉産業革命と民衆 (河出文庫)』 である。
この本には、人間の生活が物質的な面で改善されるとはどういうことなのか。工業化された社会と、工業化されていない社会では何が違うのか。といったことについて書いてある。
異世界トリップ小説(NAISEI)系を書こうともくろんでいるワナビの皆様にはぜひともオススメしたい一冊である。
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2013年11月24日
言語設定の極致
昨日は、異世界を舞台にした小説における言語設定、というテーマで書いた。
異世界語の言語設定をすると言ったって、素人ではオリジナルの言語を一からでっちあげるのは難しいから、例えばキャラ名とかは既存の外国語を流用することも多いんだけれども、そういうときは、使う言語をそろえて統一感をだすのがいいかもしれない。
……という話だった。
で、今日紹介するのは、とあるSF本である。
この本の特筆すべきところは、言語の設定、である。
この本の作者は、作中に登場する『アーヴ』という種族の話す言語の『アーヴ語』を、人工言語として一から作ってしまった。
つまり、作中の登場人物しか話さない言語を人工的に作ってしまったのである。
さすがにプロ作家のやることは違う!
作品のシリーズ自体も、とてもレベルが高く、読みやすく、冒険あり、大艦隊戦あり、でとってもおすすめできる。
未読の方は、ぜひともご一読を!
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2013年11月23日
キャラ名に統一感をだそう。
異世界SFとか異世界ファンタジーとかが、普通の小説と違うところはなにか。
それは、小説の舞台となる世界が、現実世界ではないことだ。
それで、そういう小説を書く上で、問題になってくるのが言語である。
異世界なんだから、言語も日本語とかではなくて、まあ異世界語であるのが順当なところであるが、一般的なワナビは、発想が貧困だから、例えばキャラ名とかも、まあ適当にピエールとか、エドワードとかつけるわけである。
けれども、ピエールはあきらかにフランス語で、エドワードは英語である。
小説中の、異世界の、同じく国の、同じ地方の人間が、なぜか地球の英語とフランス語で呼び合っているわけである。
まあ別に気にするようなことではないといえばないわけだが、気にする人には気になる。
かといって、いくら異世界の言語の設定をするといったって、素人がいちから異世界語をでっちあげるのは、かなり困難である。
けれどもまあ、人名くらいは統一感をもってそろえたいという人には下記のようなサイトがある。
『欧羅巴人名録』 (http://www.worldsys.org/europe/)
このサイトを見れば、良さげな名前が国別に整理されているので、これを参考にキャラ名を、異世界の国や地方ごとに決めれば、ある程度の統一感を出すことができる。
あと、異世界の物、例えばアイテム名などに、小説中で意味ありげなルビをふりたいときなどには、以下の本が使えるかもしれない。
この本は、いろいろな単語を13ヶ国語で対照して記載してある本で、これを使えば、ある程度統一感のあるルビがふれるはずである。
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2013年11月22日
戦記ものには誘拐の描写が足りない!
今日紹介するのは
【新版】 雑兵たちの戦場 中世の傭兵と奴隷狩り (朝日選書(777)) である。
この本を読むと、昔の戦争にどれほど誘拐がつきものだったのかが分かる。
この本の中に、とある雑兵が妻にあてて書いた手紙が出てくる。
内容を要約すると、
『やあ、ハニー、元気かな?
今度の戦争で、子供をひとり誘拐して帰ることにするので、
連れて帰ったら家の雑用係として使おうね☆』
となる。
もうドン引きである。
これが、リアルの戦場だッ!!
ワナビさんたちは読んでぜひ参考にしていただきたい。
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今度の戦争で、子供をひとり誘拐して帰ることにするので、
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2013年11月21日
『殺すKAKUGO』のシーンを書くときに資料になる本
今日紹介するのは『殺すKAKUGO』のシーンを書くときに資料になる本だ。
『殺すKAKUGO』といっても、分からない人も多いかもしれないから説明しよう。
これは『小説家になろう』などの小説投稿サイト主流である異世界トリップ系の小説のストーリー展開の一種をあらわす言葉である。
その展開というのは例えば、
ごくごく普通の学生さんやニートさんなどが、ある日突然、異世界にトリップしてしまうのだ。
そいで、その平和な日本人であるところの主人公さんは、トリップした先の、文明が未発達で治安の悪い異世界において、野盗とかに襲われるんですね。
そうすると、正当防衛として、その野盗を主人公は殺したりするストーリー展開になるわけです。
しかし、ごく平凡な日本人であるところの主人公が、正当防衛とはいえ、平然と殺人をすると、ちょっとばかし、違和感があるなということです。
そういうとき主人公の内面で『殺す覚悟』を固めるという、心理描写の手続きをふむ必要があるわけです。
作者さんそれぞれに工夫をこらして書いてあるわけですが、はっきりいって下手なのも多いですから、どこか、殺す覚悟()というか、殺すKAKUGO、と言いたくなるようなものも多いわけですね。
じゃあ、どうすりゃいいんだと言われたら、当ブログとしては、資料本にあたってリアリティーを増すようにしてみるのはどうですかとなるわけです。
で、紹介するのが、
戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫) である。
この本は、心理学者かつエリート軍人でもある著者が、人を殺すというのはどういうことなのか、殺す側の心理はどういうことになってるのかという問題を、豊富な事例によって分析していくという本になる。
アメリカの軍士官学校の教科書にもなっているという、極めて本物臭のする良書である。
すごく、おすすめです。
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