2017年03月18日
メイドさんとか使用人の皆様が大活躍する英国ミステリ
今日ご紹介するのは『家政婦は名探偵』
エミリー・ブライトウェル (著), 田辺千幸 (訳)
である。
重度の執事やメイドさんスキーの方なら当然ご存知であろうとは思うが、いちおう解説しておくと、英国における家政婦というのは、英語で言うとHousekeeperであって、その職掌は、女性使用人を統括するいわゆるメイド長的な立場の人物を指して用いられる言葉である。
決して日本でいうところのいわゆる家政婦の市原悦子さんのそれではないのである。
市原悦子さんみたいな、家事をなんでも一人でやるようなメイドさんは、メイド・オブ・オールワークスと呼ばれ、翻訳としては雑役女中などと呼ばれる。
最初から話がわきにすっ飛んで行ってしまったが、つまりそのメイド長たるところの主人公が大活躍する英国ミステリ小説なのである。
英国ミステリって何か実にいい響きですね!
なお作者はアメリカ人であるが。
なんか本が薄いわりに高いので、いちおう中古品へのリンクを貼っておいた。
最近はちょっと本って高くなってない?高いよね?と思う今日この頃である。
ちょっと前だったらこのくらいの厚さの本は新品でせめて700円くらいだった気がするが……
閑話休題。
この作品のミステリとしての評価はまあ可もなく不可もなくといったところである。
ものすごい奇抜なトリックがあるでもないが、それでも小説として手堅くまとまっていて良いと思う。
また、舞台が執事さんやメイドさんのいた時代であるから、登場人物の道徳観も非常に昔気質で慎み深い。
極端にグロテスクだったり残酷だったりする描写もなく、お子様でも安心して読める健全さであるから、当ブログとしてはそこらへん実に推したいところである。
当ブログ推薦である!
で、そういう作品としての一般的な評価とは別に、当ブログはワナビのための資料本とかオススメ本とか紹介するブログであるから、そういう観点でこの本を見てみるとこれがなかなかオススメなのである。
この本の筋立ては、
まず、主人公である家政婦のジェフリーズ夫人というのがいて、
主人公の雇い主はウイザ―スプーンという名の警部補で、彼は刑事である。
しかし、このウイザースプーン警部補は刑事なのに、残念ながら犯罪捜査はあんまり得意でないのである。
それでジェフリーズ夫人が配下の使用人たちを指揮しつつ、彼らと一緒に独自の捜査を行い、集めた情報を、警部補本人にも気付かれないようにしつつ、ウィザースプーン警部補にそれとなく知らせ、事件を解決に導く、
というものである。
このウイザースプーン家の使用人は以下のごとくである。
ジェフリーズ夫人:家政婦
グッジ夫人 :料理人
ベッツィ :メイド
ウィギンズ :従僕と訳されている。おそらくフットマン。
スミス :御者
通常であれば、男性使用人は執事が統括し、
女性使用人は家政婦が統括する、というのが家事使用人の標準であるが
これを見ると分かるようにウイザースプーン家は執事がいないのである。
ウィザースプーン家はウイザースプーン警部補本人以外に家族もいないし、大きな家でもないので、そこらへん小ぢんまりとしているのである。
それで、家政婦のジェフリーズ夫人がコック以外をまとめて統括するような配置になっているのである。
(コックは通常、家政婦の指揮下には入らない)
フィクションだとやたら執事とか出てくるが、そもそも男性使用人の、さらに執事ともなれば給金が高いし、そうやたらめったら執事なんか雇っている家はないはずで、むしろメイドと料理人を1人ずつとかのが大多数であろうかと思われるんである。
そういうわけで、この作品は、そういう、いくぶん小ぢんまりした家での使用人模様を描き出しているあたり貴重な資料であるとも言える。
さらに作中に登場する別の家であるが、奥様とフランス人の侍女の組み合わせとか、
ネタばれになるので書かないが、作中の小道具として訪問カードが用いられていたり、
実に英国的フレーバーなテキストにあふれた作品である。
英国、執事、メイド
このへんのワードに反応してしまうあなたにはぜひ買っていただきたいところである!
エミリー・ブライトウェル (著), 田辺千幸 (訳)
である。
重度の執事やメイドさんスキーの方なら当然ご存知であろうとは思うが、いちおう解説しておくと、英国における家政婦というのは、英語で言うとHousekeeperであって、その職掌は、女性使用人を統括するいわゆるメイド長的な立場の人物を指して用いられる言葉である。
決して日本でいうところのいわゆる家政婦の市原悦子さんのそれではないのである。
市原悦子さんみたいな、家事をなんでも一人でやるようなメイドさんは、メイド・オブ・オールワークスと呼ばれ、翻訳としては雑役女中などと呼ばれる。
最初から話がわきにすっ飛んで行ってしまったが、つまりそのメイド長たるところの主人公が大活躍する英国ミステリ小説なのである。
英国ミステリって何か実にいい響きですね!
なお作者はアメリカ人であるが。
中古価格 |
なんか本が薄いわりに高いので、いちおう中古品へのリンクを貼っておいた。
最近はちょっと本って高くなってない?高いよね?と思う今日この頃である。
ちょっと前だったらこのくらいの厚さの本は新品でせめて700円くらいだった気がするが……
閑話休題。
この作品のミステリとしての評価はまあ可もなく不可もなくといったところである。
ものすごい奇抜なトリックがあるでもないが、それでも小説として手堅くまとまっていて良いと思う。
また、舞台が執事さんやメイドさんのいた時代であるから、登場人物の道徳観も非常に昔気質で慎み深い。
極端にグロテスクだったり残酷だったりする描写もなく、お子様でも安心して読める健全さであるから、当ブログとしてはそこらへん実に推したいところである。
当ブログ推薦である!
で、そういう作品としての一般的な評価とは別に、当ブログはワナビのための資料本とかオススメ本とか紹介するブログであるから、そういう観点でこの本を見てみるとこれがなかなかオススメなのである。
この本の筋立ては、
まず、主人公である家政婦のジェフリーズ夫人というのがいて、
主人公の雇い主はウイザ―スプーンという名の警部補で、彼は刑事である。
しかし、このウイザースプーン警部補は刑事なのに、残念ながら犯罪捜査はあんまり得意でないのである。
それでジェフリーズ夫人が配下の使用人たちを指揮しつつ、彼らと一緒に独自の捜査を行い、集めた情報を、警部補本人にも気付かれないようにしつつ、ウィザースプーン警部補にそれとなく知らせ、事件を解決に導く、
というものである。
このウイザースプーン家の使用人は以下のごとくである。
ジェフリーズ夫人:家政婦
グッジ夫人 :料理人
ベッツィ :メイド
ウィギンズ :従僕と訳されている。おそらくフットマン。
スミス :御者
通常であれば、男性使用人は執事が統括し、
女性使用人は家政婦が統括する、というのが家事使用人の標準であるが
これを見ると分かるようにウイザースプーン家は執事がいないのである。
ウィザースプーン家はウイザースプーン警部補本人以外に家族もいないし、大きな家でもないので、そこらへん小ぢんまりとしているのである。
それで、家政婦のジェフリーズ夫人がコック以外をまとめて統括するような配置になっているのである。
(コックは通常、家政婦の指揮下には入らない)
フィクションだとやたら執事とか出てくるが、そもそも男性使用人の、さらに執事ともなれば給金が高いし、そうやたらめったら執事なんか雇っている家はないはずで、むしろメイドと料理人を1人ずつとかのが大多数であろうかと思われるんである。
そういうわけで、この作品は、そういう、いくぶん小ぢんまりした家での使用人模様を描き出しているあたり貴重な資料であるとも言える。
さらに作中に登場する別の家であるが、奥様とフランス人の侍女の組み合わせとか、
ネタばれになるので書かないが、作中の小道具として訪問カードが用いられていたり、
実に英国的フレーバーなテキストにあふれた作品である。
英国、執事、メイド
このへんのワードに反応してしまうあなたにはぜひ買っていただきたいところである!
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