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2019年06月16日

昔の人だって高度な知識を持ってたんだぞ!


 今日、ご紹介したいのは『天地明察』冲方 丁 (著)という本である。

 
 なぜこの本を紹介したかったかというと、

 この本は吉川英治文学新人賞を受賞し、かつ本屋大賞も受賞しているほどの作品であるから、面白さはある程度保証されてるといってもよいくらいで、かつ自分で読んでみても結構面白かった.
 だから当ブログ読者の皆様にご紹介申し上げてもよろしかろう、というそういう一般的な理由もあるのであるが、それ以外にも当ブログの趣旨からして、この本をご紹介する理由があるんである。

 そうして、当ブログはワナビの皆様のために資料本とかオススメ本とかを紹介するブログであるから、それはもちろんワナビ的な視点からの理由になるのである。

 
 全日本のワナビの皆様にとって最もホットなサイトは何か?
 それはもちろん『小説家になろう』という小説投稿サイトであると当ブログは固く信じるものである。
 なぜかといえば小説家になろう経由で実際に小説家になり得た(商業本の出版に成功した)元ワナビ現小説家が100人200人単位でいるからである。


 そして、その小説家になろうのサイトにおいては、異世界トリップ系の小説が人気なのである。

 異世界トリップ系と小説というのは、現代社会で生きている主人公が、何らかの別世界にトリップして、そこで冒険するというような設定のお話のことである。
 小説家になろうのサイトで多いのは、いわゆる「中世ヨーロッパ風」というべき異世界に主人公がトリップする設定である。(中世ヨーロッパといいつつ実際の発展具合は近世ヨーロッパっぽい異世界を舞台にとる作品が多いようである)

 そしてそういうような設定にもさらに細かいジャンル分けがあって、その一つに「NAISEI系」というものがあるんである。


 これはどういうのかというと、現代の知識をもつ人間が、もっと遅れた、それこそ中世ヨーロッパなみの技術・知識水準の異世界にトリップし、現代では一般常識として当たり前になっている、ごく初歩の農業上の知識や公衆衛生上の知識を未開の現地住民にご披露し、その技術・知識格差をもって主人公が社会改革を行い、活躍するというような筋立てである。

 つまり「NAISEI」とは「内政」のことなんである。

 現代社会の知識でもって発展途上の異世界を「内政」する、とそういう意味なのであるね。
 まあ若干設定や展開に無理がある作品も多いので揶揄の意味をこめて?「NAISEI」と表記される由である。

 まあそういう話の筋立てはアリかもしれないと私は思う。

 なんでもそれこそ史実の中世ヨーロッパにおいては、細菌の概念がまだ存在しなかったので『ウ〇コ』がいかに汚いのかがまだよく理解されておらず、子供たちは『ウ〇コ』を若干臭いが楽しい遊び道具と見なしていたとか、水が伝染病を媒介すると信じられていたので、人々はほとんど風呂に入らなかったとか、瀉血が医療行為としてひろく行われていたとか、まあ社会の迷妄というのはあったのである。

 そこに現代の一般的知識を持った人物がトリップすれば、立場をうまく作れば、社会改革を行って現地住民を善導することは可能であろうかと思う。
 その過程にストーリー展開上のヨロコビを見出すことも可能であろう。



……がしかし、である。


 そのような設定の小説作品群のなかには、現代社会出身の主人公を容易に活躍させようとするあまり、現地住民の技術・知識レベルを異様なまでに低く設定する弊がある作品もあるのは事実である。

 私の以前読んだ作品には、現地住民が腐葉土とか肥料とかいう概念を知らず、そのため主人公が施肥によって農作物の収量を増大させて褒められるという展開があった。

 これはちょっと幾らなんでも現地住民ナメ過ぎではなかろうか。
 そもそも草木の灰ですら肥料になるのであって、日本であればその利用は鎌倉時代からあったそうで、そうであればそもそも肥料の概念を現地人が知らないというのは……と、これ以上はもうやめておくが、ネット小説界隈で話題になった『肉の両面焼き』に至っては何をかいわんやである。
 これについても詳述は避けるので詳しくは読者の皆様においてググっていただきたい。



 というわけで、当記事の枕部分が終わり、本題に入るのであるが、
 今回ご紹介する『天地明察』という作品は、簡単なあらすじを言うと、かつての日本では中国から輸入した暦を使っていたのであるが、これがどうもズレてきているようで、新たに暦を作らなければいけないということになり、数学者であり囲碁棋士でもあり天文学者でもある主人公に、その暦の作成という大役が任せられるというようなお話である。

 この作品の主人公や登場人物は実在する歴史上の人物で、つまりはこの作品は歴史小説の一種と言えるだろう。

 作品中に徳川家綱とか水戸光圀とかが登場するので、そのあたりの時代のお話である。
 西暦で言うと1650年代後半あたりから1600年代終わりあたりにかけてくらいになる。


 中世ヨーロッパと言いつつよく見ると近世っぽい作品が多いなろう小説の通例からすると、日本の江戸時代あたりを現実の歴史の参考モデルとするのもちょうど良いように思えるのだがどうだろうか。

 まあそれはともかく、主人公は本職が幕府お抱えの囲碁棋士なのであるが、趣味で算術や暦術などもやるのである。
 ここらあたりの描写も、社会がまだ十分に成熟してないので、色々な分野にそれだけのスペシャリストがいるのでなくて、頭の良い個人が色々な分野を掛け持ちしているわけである。
 つまりレオナルド・ダ・ヴィンチが万能の天才であって、科学者でありつつ画家という文化人でもあったのと同じようなことである。


 そしてそのような、文化人である科学者の社会的な立場とか、そういう彼が江戸城に出仕したら、どういう動きをするのかとか、そういうことも作品に臨場感を持たせるために色々と書いてある。
 実に面白くこれはプロの仕事であると読ませるところである。

 そしてそんな彼が改暦のために、日本全国で天体観測をしまくり、暦を作り直し、日蝕をピタリと当てたりなどするわけである。


 つまり何が言いたいかというと、現地住民には現地住民なりの技術や知識がちゃんとあり、近世に差し掛かった中世というほどのレベルになれば、それもかなりのものであろうと思われるわけである。
 だから現地住民を作品中であまりアホの子のように描写してしまうと、それは作品の瑕になりかねないのでよろしくないのではなかろうかというのが当ブログの主張なわけである。


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2019年03月06日

権力者が看護されるシーンと亡くなるシーンの資料


 実にお久しぶりな更新であるが、今日ご紹介したいのは、

 讃岐典侍日記 (講談社学術文庫 193) 森本元子 著 である。

 
 この本は、堀河天皇という天皇に仕えた女官である、藤原長子という人の日記である。

 讃岐典侍日記は「さぬきのすけにっき」と読む。

 典侍(すけ)というのは、昔の時代の高級女官の官職名である。
 女官なので、だから正式な妃というわけではないが、まあ実質上は天皇の奥さんの一人ということでもあったようである。
 そしてこの典侍の藤原長子さんの親父さんが讃岐守という役職についていたので、讃岐典侍と呼ばれるということであったようである。


 さて、まあそういう諸々はどうでもいいとして、この本のワナビから見た資料的価値ということである。

 この本の何が貴重なのかというと、堀河天皇がご発病なさって、それからひと月ほどをかけて死に至る過程を、もっとも近くで看護した讃岐典侍さんの目線から克明に描いてあるというあたりである。

 なろう小説なんかだとヨーロッパ風ファンタジー世界な作品が多くて、そこに王様とか出てきたりすることも多いのであるが、その王様が病気でなくなるという展開だってそりゃあり得るというものである。

 そういう展開のときに、単に想像で書くか、似たようなシーンが実録されている資料を参考にして書くかで、読者が読んだときに臨場感がだいぶん違ってくるんではなかろうかと思われるのである。
 だからそこらへんワナビ的には実に貴重な資料になろうかと思われるんであるね。


 また、堀河天皇の寝所で、その讃岐典侍の藤原さんが休んでいると、なんか用事があったらしき人がやってくるのであるが、その時に堀河天皇が、ついっと膝を立てて藤原さんを隠してくれたわけである。
 それでそういう堀河天皇の優しさというか思いやりというかそういうのが嬉しいとか書いているんである。
 そこらへん実にリアルで何とも言えない臨場感リアル感でなかろうか。
 これもまたワナビ的には実に資料的価値ありであるね。


 あともう一つ注目ポイントだったのは、この本の作者はつまりは女官という名の側室だから、他に正室の方もいて、それは中宮というか皇后さまなのである。
 それでその中宮様が堀河天皇が病気だからって、お見舞いに来たよ的なことが書いているんである。

 つまりコレは正室 vs 側室のシーンなわけである。

 まあネタばらししておくと、別に正室 vs 側室だからってキャットファイトが勃発したりはしないのである。
 まあ皇居内なので当たり前であろうが。
 
 というかこの讃岐典侍日記には、主人公の中宮に対する嫉妬心とか、そういう類の感情は書かれていない。
 これは、主人公が特に何も感じていなかったのか、それともそういうことをあからさまに書くべきではないと自制していたのかはよく分からないのであるが、そこは色々想像してみるのも良いだろう。

 まあそれはいいとして、本物の側室から見た正室の姿、みたいなものが書かれた資料がここに現存するわけである。
 これもまたワナビ的にはポイント高いと言えるかもしれない。
 まあわずかであっさりした記述なので言うほど参考にならないだろうが。

 そしてまた、そういうワナビ的視点ではない、一般的な視点から言うと、
 夫を病魔で亡くした女性の追慕や悲しみが胸に迫る非常に心を揺さぶる名著ということになるだろうか。
 

 なかなかの名作であると思うので是非とも確保していただきたいと思ふ。
 私が読んだのは講談社学術文庫での版であるが、在庫数がそんなにないようなので、商品リンクは他の出版社からでているものも貼っておく。 

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2018年07月04日

悲しみは孤独でブーストできる

 今日はTwitterで流れてきた猫マンガについて、少し語ってみたいと思う。

 電気こうたろうさんのお描きになったものである。

 まずはお読みいただきたい。


 



 以下の論述はネタバレになるので、幾らか行を空ける。
 上記作品を読み終わった方は、スクロールして見ていただきたい





















 この作品は、題名が『猫に寿命をわける話』というものであって、あらすじもそのようなものである。

 長年飼って年老いた猫が死にそうになったので、飼い主が自分の寿命を削って、その分を猫の寿命として分け与えるのであるが、そのおかげで猫の寿命はいくぶん伸びたものの、そのような奮闘虚しく、結局のところ猫は死んでしまうというようなものである。


 さて、この作品を最初に読んだときは、率直に悲しくなり、落涙さえしたのであるが、読んでしばらく考えているうちに、この作品を読むと悲しくなるのは、単に猫が死んでしまったからというだけのことでもないなと考え至ったのであった。

 この作品には幾らかのトリック、というと語弊があるが、読んだ人が悲しい気持ちになるように、設定とかもうまく作ってあると気づいたのである。

 そうであれば、この作品の何が悲しいのかが分かれば、その作劇上のテクニックを、他のなろう小説とか書くときにも応用して使えるはずであるねということにもなるのであった。

 そういうわけで少し書いておこうと思ふ。



 この主人公のオバちゃんは、猫が弱ってきたときに、人間の寿命を猫に分ける方法があると言われて、それを施術してもらうのであるが、猫の寿命を1年延ばすために、人間は10年の寿命を失うというような設定になっている。

 まあ人間より猫のほうが寿命が短いのであるし、猫に人間の寿命を強引に移植する無理を思えば、これくらいの交換比率でも妥当なところかなと思わなくもない。

 が、人間の側からしてみたら、これってかなりな負担である。
 なんたって寿命が10年縮むのであるからそりゃ大変なことだ。

 家族が聞いたらたぶん止めるだろう。
 しかしながら、この漫画には主人公のオバちゃんの家族らしき人は登場しない。

 そうしてこのオバちゃんは、都合3回も寿命の交換をやってしまう。


 最初に猫の寿命を延ばした日の夜に、猫と一緒の布団で寝ながら、オバちゃんは、チュッチュッ(猫の名前である)に、

 
チュッチュッがおれば何もいらんよ 服もいらんし友達もいらん ジュースも我慢できるし、しわだらけになっても平気よ だからチュッチュッ 長生きしてね・・・


と、語りかける。



 服やジュースはまあいいし、しわは覚悟のうえとしても、この友達がいらないという言葉から浮かんでくるのは彼女の孤独でもある。
 彼女が早くに死んでも悲しむ友達もいないのかもしれないし、もっと言えば、この言葉からは、彼女にとって大事なのは、この猫であって、それ以外の要素は重要でない残余のことであるというようにも聞こえる。

 つまり彼女には、家族や友達がおらず、家庭や社会における義務や責任が重くなく、個人的な楽しみごとにはさほど意義を感じていないということになるかもしれない。
 そしてそのぶんだけ相対的に、彼女にとっての猫の重要性が増してくるのである。
 
 彼女にとっては価値というものは、この猫だけであると感じているようにすら、私には思える。

 そしてそのような状況で、その唯一の価値である猫を奪い去られるならば、それは確かに悲劇以外のなにものでもないではないか!


 というわけで、ここがミソとなる部分である。

 つまり主人公が持っているものを少なく設定し、その唯一持っている貴重なものが奪い去られるという展開にすれば、単に貴重なものが奪われるというのに比べて悲劇性を増すことができるのである。

 考えてみれば、というか考えなくても、父母、祖父ちゃん祖母ちゃん、おじさんおばさん、兄弟姉妹、親しい友達、など全部持っている人が例えば母を失うのに比べて、
 お互い以外には親類もいない天涯孤独の母子家庭の母親がなくなったりするほうが、子供にとってはより一層の悲劇でもあろう。



 さらに発展して考えてみれば、何で見たのか忘れたが、

 家で飼っていた犬が死んで、子供が深く悲しんでいると、お父さんが勝手に子犬とかを新しく買ってきてしまって、子供にプレゼントするものの、子供は、亡くなった犬とこの子犬はぜんぜん別の犬だからかわりにならないやい! みたいなことを言って反発し、お父さんは無神経だと責められるというような展開はありがちであるような気がする。

 考えてみればこのお父さんは確かに無神経であるかもしれないし、亡くなった犬と新しい子犬は、ぜんぜん別の犬であるというのも事実であろう。

 しかしながら、孤独や、持っているものの少なさが悲しみを深めるというテーゼが真であるならば、お父さんのやったことは正しい対処であるということになる。
 お父さんはデリカシーがなく無神経で小狡いかもしれないが、実際的な対処に秀でていたのであった。

 ある対象への依存が大きければ喪失のダメージは大きく
 愛情の対象がたくさんに分散していれば、そのうちひとつを失っても、そのせいで自分の人生ごと否定するような深い悲しみには襲われずにすむということなのであるね。



 そういうことであるから、作者の皆様がたにおかれては、主人公などの設定を調節して、悲劇性の度合いも自由自在に調節し、読者の涙も自由自在にちょちょぎれさせられるようになっていただきたいというのが当ブログの願うところである。



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2017年10月17日

野村監督が教え子のなかから選ぶベストナイン!


 さて、今日はワナビのための資料本ではなくて、たまにやる野球関連本のご紹介である。
 野球観戦は当ブログの管理人の数少ない趣味なのであるからご勘弁いただきたい。
 もっとも極度の運動音痴であるからやるほうはゲーム専門なのであるが。

 
 それで今日ご紹介するのは、
 『私の教え子ベストナイン  野村 克也 著』
 である。

 これは、ノムさんがかつて監督を務めた、南海、ヤクルト、阪神、楽天で指揮を執ったときにいたチームメイトのなかから、50人をノミネートし、そこからさらにベストナイン(投手は先発と救援の両方が選ばれる)を選ぼうという企画の本である。

 自分の知ってる選手について野村監督が寸評を加えてくれるというから好きな人にとってはたまらん感じです。
 さらに打者の類型とか配給論にも触れられてあり、そこで書いてあることをパワプロやプロスピで実践してみるなどするのもまた楽しからずやというところでもある。


 あと、ここは本の主要な部分ではないが、野村さんが評論家や解説者になって、それから監督になるにあたって、伝えることが仕事になるから、本を読んで言葉を増やしたみたいなことが書かれてあった。
 監督の仕事は自分の意思を選手に伝達することだみたいにも書かれていた。

 結局のとこ、環境の変化に応じて必要な努力や勉強を行い、適応していける人だから成功するんだなとも思った。人間は努力しなけりゃいけませんという教訓的な本でもある。

 
 あとこの本は野村監督の監督生活を通しての話になるから、出てくる選手も古い人が多い。
 もちろん一番新しい世代だと田中のマー君もいるのではあるが、だから読者としてはどっちかというと、10代、20代の人よりは、30代以上のヤクルト黄金時代をよく知ってるくらいの年齢の方が読むとより楽しめるように思われる。

 まあ中古で1円のもあるし、確保しといて損はないだろう。


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2017年09月09日

なろう小説的ファンタジー世界で田舎者が都会に出てきて就職するときはどういう流れをたどればよいかがわかる参考資料だよ!


 さて、またしても久々の更新であるが、今日ご紹介したいのは、

『ダルタニャンの生涯―史実の「三銃士」』 (岩波新書) 佐藤 賢一 著 である。

 
 ダルタニャンというのが誰かということについて一応補足しておくと、ダルタニャンというのは、アレクサンドル・デュマという作家の書いた小説の登場人物としてひときわ有名になった人なのである。
 彼は小説の登場人物であるから、架空の、想像上の人物なのかと思いきや、実は実際の歴史に登場する実在の、それもわりと有名な人物でもあるのである。


 ダルタニヤンという人物と三銃士という作品がどのようなものであるが、極めて簡単に説明すると、ダルタニヤンというのは、銃士すなわちマスケット銃兵である。(実際にはマスケット銃が陳腐化する過程で、マスケット銃ではない銃も使われるようになったようではあるが)

 そして銃兵であるが、単なる銃兵であるだけではなくて、馬にも乗れる騎兵でもあって、というのは、ダルタニヤンの所属していた銃士隊というのは、まあ国王やら権力者やらの側近でもあって、何か事があるととりあえず派遣されたりする、近衛部隊というか、便利使いされる部隊というか、そういう立ち位置なのである。

 そしてそういう立ち位置な主人公でであるからして、国王陛下の密命なんか受けちゃったりして、外国までまたにかけて、色々陰謀あり戦闘あり恋もありみたいな一大スペクタクルな作品が書けちゃったりするのである。
 私も作品を読んだことがあるが、このデュマという作者はストーリーテリングというか物語の面白さにおいて、なかなか凄いものがあって、だからこの三銃士もぜひ読んでいただきたいと思うところではある。


 私が思うところ、ファンタジーオンラインゲームに入り込んじゃったよ的な、なろう小説異世界系においては、コンピューターゲームの模倣としての魔法というものが使われるが、これは魔法の矢であれ、ファイヤーボールであれ、要するに意味合いとしては遠距離攻撃の一種なのである。

 この遠距離攻撃の威力をどのように設定するかというのは、なかなかに加減が難しいところで、あまりに威力を大きくし過ぎると第一次世界大戦ばりの、塹壕にこもりまくってひたすら土掘る塹壕戦みたいな世界になってしまい、物語世界としての魅力に欠けることになってしまう。


詳しくは下記のページを参照していただきたい。
リンクはいずれも当ブログの過去ページである

1.兵器・武器と世界観との関係
2.機関銃という恐るべきもの


 とりわけ、この2番目のほうの記事で紹介している書籍は、機関銃の登場がどのように戦場の様子をかえて、戦争からロマンも英雄性も奪い去り、人の考え方まで変えてしまったかということについて書いてある、一線級の名著なので是非とも読んでいただきたいところである。


 それで、魅力ある世界観を構築するためには、適度に威力のある遠距離攻撃としての魔法があるわけであるが、この適度に威力のある遠距離攻撃ってどんなもんかなと考えると、史実ではライフル銃が登場する前の火縄銃とかマスケット銃あたりのものがそれに相当するんでなかろうかなと思うのである。

 そういうわけで、なろう小説をお書きになる皆さんは、この近世ヨーロッパっていうのか、そういう時代の小説、つまり三銃士を是非とも読んでいただきたいと思うのである。

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 さて、話がわりとそれてしまったが、冒頭に紹介した本のことについて述べる。

 要するに三銃士の登場人物の一人について詳しく書いてあるのだが、これがそれだけにとどまらないのである。

 若き日のダルタニヤンさんが田舎から出てきて就職するにあたって、どのようにしたか。
 ぶっちゃければ同郷の人物の縁故に思いっきり頼るのであるが、そういう方法とか、郷土の人間関係が、その当時のパリにおいてどのような意味を持っていたのかとか、そんなことが詳しく書かれている。

 考えてみりゃ人間関係が希薄化したのなんのと言われる今でも縁故採用なんてあるのに、これが昔の時代の田舎の人ら(ダルタニヤンはガスコーニュというフランスの田舎の生まれの人である)の人間関係ともなればその濃さは推して知るべし、わたしだったら絶対に住みたくなかろうと思えるよな気もするというものである。


 だからこの本を読んで参考にして、主人公が都会に出てきて、先に都会に出てきてる有力者のコネを頼りまくってなんとか就職するシーンとか入れれば作品にリアル感マシマシである。


 他にも例えば『売官制』についても色々書かれてある。
 売官というのは、国とかの公の役職がお金で売られていたりする制度のことである。
 今の日本人的な感覚から言えばとんでもないが、昔はそれで普通だったりしたのである。

 例えばナントカ銃士隊隊長になりたいと思えば、その職を持っている人にお金を払って、その地位を買うのである。びっくりである。お金を払えば軍人の士官になれちゃうとかもうね。
 そんで、本人がそういう実際の部隊指揮とか無理じゃん? と思えば銃士隊長代理とかを別に任命して、そいつに指揮を取らせたりするのである。

 王様とかも王様とかで、例えば功績のあった部下に、売って金に換えていいからねって意味合いで、褒章として官職を与えて、もらったほうはその官職を、そのへんのおっさんに売り飛ばしてお金に換金したりするのであった。


 ということは、よく、なろう小説の戦記物なんかで、主人公が戦争で手柄をたてて、段々と出世していくなどというストーリーはありがちであるが、ここを金にものを言わせて、中隊長とか大隊長とかそんくらいの役職をお金でポンと買っちゃって、そこで手柄あげて出世みたいな、そういうストーリーもありなわけである。
 我ながらこのストーリー展開ってわりに斬新じゃなかろうか。



 他にも、そういう公私混同ぎみの時代であったから、財務大臣などは、国家の財政から自分の懐に入れるというより、もう国家の懐が自分の懐状態になってしまって、公金を好きにできるかわりに、戦争にでもなったら、私費を投じてでもなんとかしなきゃならんかったりとか、はえー、と感心するばかりである。


 また他にも、失脚しかかった権力者がどのように地方に一旦逃れてから捲土重来するかとか、
権力ある要人を逮捕するときにどのような手順がとられたかとか、そういう、小説書きとしては、非常にタメになりそうなお話がいっぱい書いてある本なのである。

 久々にかなりのヒットのオススメであるから、是非とも読んでいただきたいのである。

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2017年06月07日

メイドさんのいる社会は晩婚なんですってよ

 さて、ほとんど放置気味になりながらも細々と更新が続いてきた当ブログもついに100回目の更新である。
 100回というとなかなかのものではないか。
 なろう小説でも100話越えというとなかなか「おっ」と思わせるものである。


 さて閑話休題


 今日ご紹介したいのは『イギリス近代史講義』川北 稔(著) である。

 この本を見る限りの個人的な感想であるが、この川北 稔という先生は中々のものである。

 学者先生の本というのは、
 ・まず研究の対象が面白いこと。
 ・それから本の書き方が作品として優れていること。

 この二つの条件を満たさないと面白くない。
 どうでもいいような興味をそそられない研究内容であったり、
 研究の内容自体は面白くても、読ませる書き方ができてないので本としては面白くなかったりするのも多いが、この本はそうではない。

 内容が、面白くかつ読ませる本である。


 この本読んで、ワナビ視点でとりわけ面白く感じたのは、イギリス人のライフステージというか人生の設計についての話だった。

なんでもイギリスにおいては、十代の前半から十代の半ばごろになると、家を出てよその家庭に働きにでる習慣が一般的にあったようであったとのことである。

 つまり若者は外へ奉公に出て、そこで10年かそこら働いて、なにがしかの財産を作り、それから結婚するというような流れになっていたそうである。
 ということは晩婚になるのである。
 さらにもっと言えば、子供が実家で住んで家業を手伝うというというのでなくて、奉公先に出て働き、その奉公先の家の半分家族みたいな、つまり一門ということであるが、一員になってしまうので、当然ながら実家には年老いた両親が残されるかたちになるのである。
 なんだか核家族化した現代日本みたいな話であるね。

 イギリスの歴史では、やたら救貧法とかそういうような法律が頻々と出てくるそうであるが、それは子供が実家に居残って、その居残った子供が親の世話をするという流れがないために生じたものでもあるということである。


 これをワナビ的に具体的に当てはめて言えば、
 イギリスのようにメイドさんが普通にそこらじゅうにいる社会というのは、
 つまり晩婚な社会なのであるということなんである。

 よそで奉公して一人前になって、それから結婚という流れだからである。
 昔の日本みたいに大家族で早婚な社会とはちょっと違うんだということなんである。

 このように、ある社会における普通の人生の流れというのはどのようなものであるか、という思考が、作品の中の登場キャラクターの行動を決定し、世界観に深みをもたらすんである。


 ◆


 あと、もうひとつ気になったところであるが、それは貴族とはなんであるかということについての言及である。

 私が読んだ限りではであるが、
 貴族とは土地の所有をもってする資本家であって、
 後の時代には成功した貿易商や銀行家なども、ジェントルマンとして、貴族階級の一部をなしたとのことである。

 当ブログの過去記事の

『君は英国王の戴冠式の手順を知っているか!』

でも少し書いたことであるが、貴族とはすなわち資本家であるのである。
そして政治家も兼任している。

そして、法的な特権と大資本に守られた金持ち、というのが、貴族の正体なのである。
だから貴族を横暴で暴力的な姿で描くのは事実に即さない面もあるということなのである。

金持ちというとビルゲイツさんでも、孫正義さんでもいいが、そんな人は一見してわかるほど粗暴で暴力的だったりはしない。
 むしろ人当たりがよく礼儀正しかったりするのではなかろうか。

 貴族や金持ちと貧乏人との間には、もちろん格差があるのだけれど、その搾取の構造みたいのがもしあったとしても、それは法律とか社会制度のなかに根深く固定されているのであって、豚みたいな横暴貴族が貧乏人を苛め殺すみたいな描写ももちろん真実の一面ではあるのだが、そればかりに偏るのもおかしいというものである。

 富裕層の上位1%が世界の富の半分を持っているなどとよく言われるところであるが、
 そこに何らかの搾取や不道徳な要素があるのかないのかは私にはよくわからない。

 ただ、そのような富の偏在は鞭を振り回すような、分かりやすい暴力によって担保されているのではないというのは事実であろう。

 そうであれば、自作品に登場する貴族の姿というのもいくらか再考の余地があるのではないかと思うのである。

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2017年05月14日

野球ゲームの王道

 今日は少しブログの趣旨と外れるのであるが『プロ野球スピリッツ2015』というゲームを紹介しようと思う。

 実は私、野球ゲームが非常に好きで、今までは『パワフルプロ野球』シリーズを何作か買ってきていたのであるが『プロ野球スピリッツ2013』が中古で500円で売っていたので、気まぐれに買ってみたのである。

 そしたらこれが実に素晴らしい!


 『パワフルプロ野球シリーズ』も、もちろん素晴らしいゲームのシリーズで、色々と年度ごとに工夫を凝らしてゲーム性を高める努力がなされている。
 けれどもプロ野球スピリッツシリーズの何がパワプロに勝って素晴らしいかというと、それはやはりリアル志向であることだろう。
 パワフルプロ野球はキャラクターも人形チックで、だからプレイ画面がリアル感に欠けることは否めない。
 リアル志向じゃなくてゲームチックなのである。

 とりわけ、プロ野球スピリッツ2015は選手のモデリングに際して、3Dスキャンが行われており、そのデーターをもとに選手のデーターが作られてるのであるが、これがもう似てるのなんのって、顔とか本人そっくりである。見たらひとめで分かるレベルである。
 球場の芝生などの画面は奇麗だし、選手の動きを見ているだけで楽しくなってくる。
 これはパワプロにはない楽しさだろうと思う。


 このゲームの他の要素の評価としては、
 やれ守備の時の動きが、若干変であるとか、
 →守備のときのカットプレイやカバーリングが現実とはいくらか違う。

 スタープレイヤーモードで投手プレイをしていて、順調に勝ち星を積むと、突然相手側AIが強くなってボコボコ打たれだすとか、
 まあいつも通りにアラはあるのであるが、それでもなお、このグラフィックだけでも買う価値があると私は思う。

 一般に、パワプロやプロスピのファンはソフトの完成度について、異常に細かく色々文句つける傾向があるが、冷静に考えてちょっと要求が厳しすぎるのでないかと個人的には思う。
 現実そのものの動きをゲーム上で再現するのは並大抵のことではないし、だから今の水準であっても十分以上に素晴らしい完成度であると思う。


 個人的に素晴らしいと思うのは、スタープレイヤーモードという、いち選手になりきってシミュレーションするモードがあるのであるが、これで内野守備をするとすごい難しいのである。
 テレビで野球観戦とかしてると、選手がちょっとエラーとかしたりすると、厳しい目で見てしまいがちであるが、このスタープレイヤーモードをやれば、守備というものがいかに難しいか、草野球程度しか体験していないものにも分からせる効果があると思う。


 あと注意事項としては、スタープレイヤーモードのAIにはひとつ重大な欠陥があって、自分が走者としてプレイしているときに、相手が牽制球を投げてこないのである。
 これについては、アップデートパッチがでていて、ネットからダウンロード可能であるから、プレイ前にゲーム機をネット接続して、AIの挙動を修正してからプレイするほうが良いだろう。
 もちろん俊足の選手で盗塁しまくる無双プレイをやりたいならパッチをわざとダウンロードしないという選択肢もないわけではないが……
 

 閑話休題

 プロ野球スピリッツシリーズは、本作である『プロ野球スピリッツ2015』の次に『プロ野球スピリッツA』という新作が出てはいる。
 しかし、これはいわゆるスマホゲーで、ガチャゲーである。
 いままでのプロ野球スピリッツシリーズとは全く別物だ。
 ゲームの有名シリーズがスマホゲーというかガチャゲーというかソシャゲというか、そういうものになっていくのは、時代の流れではあろうけれど、そのおかげでゲーム性や操作性が極端に変わって別のゲームと化してしまうのはちょっと悲しすぎる……

 そういうわけで家庭用ゲーム機のソフトとしては、これがいまのところシリーズ最新であるので、これを是非とも買っていただき、売り上げをあげて『プロ野球スピリッツ2017』それが無理なら『プロ野球スピリッツ2018』で家庭用ゲーム機用ソフトとしての復活を目指す一助にしたいというのが我が野望である。 

 パワプロとかプロスピは、みんなでワイワイ楽しめる健全な社交用ゲームソフトでもあるので、ぜひ1本はお手元に確保しておかれることをおすすめしたい。


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2017年04月07日

原始的生活の動画


 今日ご紹介したいのは『Primitive Technology』というYouTube動画チャンネルと、その公式ブログである。

 動画チャンネルへのリンクはこちら で

 ブログへのリンクはこっち である。


 これはどういう動画であるかというと、オーストラリアのクイーンズランド州北部で、原始生活を実践してみる男性を撮影したものである。

 これが見てみるとすごく面白い。

 まず大き目の石を小さな石でぶっかいて、さらにそれを平たい石で研いで、石斧を作る。

 それから木とかを石斧でへし折って、支柱にして、植物の茎の皮でそれらを縛り付け、小屋ぐみをつくる。
 さらに、そのへんの枯れ葉を、木の枝を割いてまっすぐにしたものに刺して並べ、それを何本も重ねて屋根を葺く。

 河原の粘土で瓦を焼いてみたり、野生の?イモを育ててみたり、
 投げ槍を作ってみたり、

 最終的には炉と炭を自作しての製鉄にまで至る。

 という非常に興味深く楽しい動画がある。


 異世界トリップ系なろう小説などでも、現地世界へトリップしてすぐ人里へたどり着き、すぐに文明的な生活へと移る主人公もいるが、そうでないパターンをたどると、わりと森の中で何日か生活するという場合もあったりするのである。

 それで、そういう場合は主人公は、飲み水の確保からはじめて、寝床の確保に食料の確保にと色々するわけであるが、そのような描写をする場合に、この動画は非常に参考になるだろうと思う。


 個人的な所感としては、トリップ先の森の中で長々と原始生活をするようなパターンのなろう小説作品は、最近は減ってきたようにも思われる。

 思うにこれは、異世界にトリップするという状況だけでも、主人公にとってわりにストレスフルな出来事であろうかと考えられるのに、いきなり知らない人たちのど真ん中へトリップさせるというのは中々に厳しいものがあろうかという作者の配慮であろうか。
 あるいは、いわゆるなろう小説的『中世ヨーロッパ()』風の異世界を念頭に置いたときに、面積から言えば、都市や町や村などよりは、人里離れた森などのほうが圧倒的に広いのであるから、当然、トリップする先も森や原野などであるほうが確立的に蓋然性があるということであるかもしれない。
 つまり、素直に考えたら森やら原野やらに落ちるのが自然だよねーということである。


 けれども、そういう展開の作品が少なくなったのは、つまり結局のところ、ストーリーの展開というものは他の人(もしくはそれ相当の知的存在)とのかかわりによって生ずるのであろうから、原野にトリップした主人公が必死こいて水や食料を確保してサバイバルするとかいうような原始生活の描写は、ぶっちゃけて言えば冗長でストーリー展開上の無駄であるという認識ができてきたからではあるまいか。


 と、そう言ってしまえば、今回の記事が無意味になってしまうので少し悲しいところではあるが、まあ古き良きなろう小説的な原始生活展開も、書きようによっては輝きを持たせることもできるかもしれない。
 個人的にはそういうの好きである。


 というわけで一番最初の動画をひとつ貼っておくが、できればこの

 『Primitive Technology:All』という再生リスト から全部の動画を視聴していただきたい。
 それだけの価値はあると信ずる。


 



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2017年03月26日

ひとりで何体もの体を動かすという発想


 今日ご紹介したい本は、

 『叛逆航路 (創元SF文庫)  アン・レッキー (著)  赤尾 秀子 (訳)

 である。


 SFのテーマのひとつに、人間の能力の拡張というものがある。

 これは何も難しい話ではなくて、例えば望遠鏡とか自動車もそうである。
 望遠鏡があれば視力の限界を超えて遠くのものが見えるし、自動車があれば脚力の限界を超えて、早く移動したり、遠くまで移動したりできる。

 このように、人間の能力の拡張は、SFの中だけではなくて、現実の世界でも普通にあるわけであるが、SFの世界だと、やっぱりそこはSF的なガジェットを用いて、能力拡張の幅も、より凄まじいものになるんである。

 そのようなSFのひとつとして、当ブログでは以前に『司政官シリーズ』をご紹介した。


 2013/12/23 ワンマン行政官(司政官シリーズ) の記事へのリンク


 詳細はリンク先を見ていただくとして、この『司政官シリーズ』では能力拡張の手段としてロボットが用いられる。
 行政官たるたった一人の人間に、高度な知能をもつ、何千体ものロボット群をつけて、人間には判断だけやらせるという方式である。
 
『知能の高いロボットを人間の補助として何千体もくっつければ、人間はたった一人しかいなくても、なんでもできるんじゃね?』という考え方なんであるね。



 で、今回ご紹介する『叛逆航路』ではどういう方式をとっているかというと、

 なんでも『属躰』っていう方式をとるのである。
 『属躰』っていうのは、まあ元は異星人なんであるが、これにある一つの人格を転写して、それらを接続して、ひとつの意識で動かすというやり方なんである。 

 つまり『ひとつの意識で何千体も体を動かせばいいじゃん』という方式なんであるね。


 ひとりに何千体もロボットつけるか
 ひとつの意識で何千体も体を動かすか

 それぞれに長所と短所があるので、詳しく論じたいところであるが、これを論じてしまうと、幾らかストーリー展開上のネタバレになってしまうので、まあ詳しくは読んでいただきたい。


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 それで、そういうSF的なガジェット以外の評価なのであるが……私には正直よくわからないんである。

 ヒューゴ賞、ネビュラ賞など英米で計7冠! とか宣伝の文には書かれてたりするので、すごーく面白いのかと思いきや、私としてはあんまりだった。
 
 でもアマゾンのレビューとかでは星を五つつけて絶賛してるのもあるし、まあ面白い人には面白いというか、そういう読み方をする人には面白いのかなという感じなのでしょうかね?


 値段も新品だと高いかと思うので、個人的には中古があれば確保程度でいいように思う。
 というわけで広告も中古のほうで貼っておいた(´・ω・`)



2017年03月18日

メイドさんとか使用人の皆様が大活躍する英国ミステリ

 今日ご紹介するのは『家政婦は名探偵』
 エミリー・ブライトウェル (著), 田辺千幸 (訳)
 である。

 重度の執事やメイドさんスキーの方なら当然ご存知であろうとは思うが、いちおう解説しておくと、英国における家政婦というのは、英語で言うとHousekeeperであって、その職掌は、女性使用人を統括するいわゆるメイド長的な立場の人物を指して用いられる言葉である。
 決して日本でいうところのいわゆる家政婦の市原悦子さんのそれではないのである。

 市原悦子さんみたいな、家事をなんでも一人でやるようなメイドさんは、メイド・オブ・オールワークスと呼ばれ、翻訳としては雑役女中などと呼ばれる。

 最初から話がわきにすっ飛んで行ってしまったが、つまりそのメイド長たるところの主人公が大活躍する英国ミステリ小説なのである。
 英国ミステリって何か実にいい響きですね!
 なお作者はアメリカ人であるが。


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 なんか本が薄いわりに高いので、いちおう中古品へのリンクを貼っておいた。
 最近はちょっと本って高くなってない?高いよね?と思う今日この頃である。
 ちょっと前だったらこのくらいの厚さの本は新品でせめて700円くらいだった気がするが……


 閑話休題。


 この作品のミステリとしての評価はまあ可もなく不可もなくといったところである。
 ものすごい奇抜なトリックがあるでもないが、それでも小説として手堅くまとまっていて良いと思う。
 また、舞台が執事さんやメイドさんのいた時代であるから、登場人物の道徳観も非常に昔気質で慎み深い。
 極端にグロテスクだったり残酷だったりする描写もなく、お子様でも安心して読める健全さであるから、当ブログとしてはそこらへん実に推したいところである。
 当ブログ推薦である!


 で、そういう作品としての一般的な評価とは別に、当ブログはワナビのための資料本とかオススメ本とか紹介するブログであるから、そういう観点でこの本を見てみるとこれがなかなかオススメなのである。
 
 この本の筋立ては、
 まず、主人公である家政婦のジェフリーズ夫人というのがいて、
 主人公の雇い主はウイザ―スプーンという名の警部補で、彼は刑事である。
 しかし、このウイザースプーン警部補は刑事なのに、残念ながら犯罪捜査はあんまり得意でないのである。
 それでジェフリーズ夫人が配下の使用人たちを指揮しつつ、彼らと一緒に独自の捜査を行い、集めた情報を、警部補本人にも気付かれないようにしつつ、ウィザースプーン警部補にそれとなく知らせ、事件を解決に導く、
 というものである。


 このウイザースプーン家の使用人は以下のごとくである。

 ジェフリーズ夫人:家政婦
 グッジ夫人   :料理人
 ベッツィ    :メイド
 ウィギンズ   :従僕と訳されている。おそらくフットマン。
 スミス     :御者

 通常であれば、男性使用人は執事が統括し、
 女性使用人は家政婦が統括する、というのが家事使用人の標準であるが
 これを見ると分かるようにウイザースプーン家は執事がいないのである。
 ウィザースプーン家はウイザースプーン警部補本人以外に家族もいないし、大きな家でもないので、そこらへん小ぢんまりとしているのである。
 それで、家政婦のジェフリーズ夫人がコック以外をまとめて統括するような配置になっているのである。
 (コックは通常、家政婦の指揮下には入らない)

 フィクションだとやたら執事とか出てくるが、そもそも男性使用人の、さらに執事ともなれば給金が高いし、そうやたらめったら執事なんか雇っている家はないはずで、むしろメイドと料理人を1人ずつとかのが大多数であろうかと思われるんである。
 そういうわけで、この作品は、そういう、いくぶん小ぢんまりした家での使用人模様を描き出しているあたり貴重な資料であるとも言える。

 さらに作中に登場する別の家であるが、奥様とフランス人の侍女の組み合わせとか、
 ネタばれになるので書かないが、作中の小道具として訪問カードが用いられていたり、
 実に英国的フレーバーなテキストにあふれた作品である。

 英国、執事、メイド

 このへんのワードに反応してしまうあなたにはぜひ買っていただきたいところである!
プロフィール
西村紅茶さんの画像
西村紅茶
ワナビ(小説家になりたい人の意)というほどのワナビでもないが、いつかは一冊でいいから自作のネット小説が書籍化になったら嬉しくて心臓麻痺おこすかもしれんと妄想しているヌルいワナビです。 でも書くのはへたくそなんですが……
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