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2018年08月10日
新型クラウンとレクサスESはなぜリチウムイオン電池を使用しないのか?
新型カムリでようやく本格的にハイブリッドバッテリーに「リチウムイオン電池」を採用したトヨタですが、2018年に発売した新型クラウンと2018年10月現順に発表予定のレクサスESでは、なぜか「ニッケル水素電池」が使用されています。
また、11月下旬に発売予定の「レクサスUX(UX200/UX250h)についても同様に「ニッケル水素電池」を使用しますので、リチウムイオン電池を本格的に採用しているのは、"マルチステージハイブリッド"を採用するレクサスLS(LS500h)LC(LC500h)そしてクラウン3.5Lモデルと、新型カムリぐらいでしょうか?(その他、新型プリウスの一部グレード等)
もちろん、ニッケル水素電池も最新世代のものは以前より軽量化がすすんでいるようで、例えば新型ESでは、ニッケル水素電池は、リヤシート下に収められており、トランクスペースを圧迫していません。
しかし、ニッケル水素電池は、リチウムイオン電池と比較すれば大きさ(体積)あたりの出力や、重量の面では不利のはずですし、なにより充電効率、たとえば、回生ブレーキの際の電池の充電効率はリチウムイオン電池の方がかなり有利とされています。
実際、新型カムリでは、ハイブリッドバッテリーの残量がいったん減少しても、再充電スピードがとても速いと思いましたし、かなり意識的にEV走行をした場合でも、信号待ち等でエンジンが始動し、強制充電状態になるケースがほとんどありませんでした。これは従来型の2.5LHVカー(ニッケル水素採用車種)では感じなかったことです。
・・・・と、ちょうど大変興味深い記事がありました。
■オートックワン
トヨタ新型クラウン2.5ハイブリッド実燃費レポート|見た目だけじゃない!?15回目の進化を検証してみた(2018/8/9)
https://autoc-one.jp/nenpi/5002559/
新型クラウンの2.5LHVモデルで従来モデルと燃費比較をしているものですが、すべてのシチュエーションで従来型を上回る、非常に好成績を収めていますが、特に新基準の「WLTCモード」比では、「市街地走行」を除けばWLTCモード燃費を超えているのは、信頼性が高いと言えます。
これだけのセダンでリッター20km/Lを達成するのは素晴らしいですね。
なお、記事では、新型クラウンの燃費面での進化に触れつつ、惜しい点として、
「これがよりコンパクトで充放電性能に優れるリチウムイオンバッテリーになれば・・・」 とあります。
新型レクサスES(ES300h)での JC08モード燃費は約「23.2km/L」と予想され、新型カムリの「28.4km/L」とは約「5km/L」とかなりの差があります。
システム最高出力は若干ESの方が高いものの、エンジン・モーターは同スペックですので、車両重量とわずかな最高出力の差だけでこれだけの「差」は生まれないと思われますので、ハイブリッドバッテリーの「性能差」(ニッケルとリチウムの差)もあるのではと思うのですが・・・どうなんでしょうか?
さて、新型クラウンは、なぜニッケル水素電池を採用したのでしょうか・・・?
■必要な性能は「ニッケル水素電池」で確保できた
■電池自体の重量で車両の前後重量配分を調整した
・・・など表向きの理由はあると思いますが、もしニッケル水素電池を格納するスペースと同じ体積でリチウムイオン電池を搭載すれば、電池の容量はさらに大きくなり、充電切れの頻度も少なくなると思われますし、高速走行時のパワー持続性も高まるなど、よりモーターを活かした走りができるようにも思います。500万円超の高価格帯の車でも「コスト差」を考慮してニッケル水素電池を選んだのでしょうか?
仮に新型クラウン(2.5LHV)やレクサスESのニッケル水素電池がリチウムイオン電池に置換されれば、「さらに魅力的な走り」ができるのでは?とも思いますし、仮に性能差が違うのであればぜひリチウムイオン電池版も実現してほしいものです。(当然さらに価格は上昇すると思いますが・・・)
いずれにせよ、モータージャーナリストの方にはなぜリチウムイオンではなくニッケル水素を使用したのか、ズバッと切り込んでいただきたいところですが・・・
ちなみにレクサス「LC500h」ではリチウムイオン電池を採用していますが、バッテリー容量がそれほど大きくないこともあり、割と頻繁に強制再充電がかかります。ただでさえトランクスペースを圧迫しているので構造的に厳しいとは思いますが、もう少し「電池容量が多ければ・・・」、と思うシチュエーションは多く、残念に感じるポイントの一つでもあります。