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2018年01月31日
新型LSの試乗レポートが本格化!しかし!
今年に入り、街中で見かける機会が一気に増え、そのクーペライクなデザインは外で見ると、非常にカッコいいです!
さて、今まではwebメディアでのレポートが中心でしたが、輸入車専門誌でも、メルセデス・ベンツSクラスやBMW7シリーズなどと比較・試乗レポートが本格化してきました。
LSクラスになると「指名買い」が大多数を占め、クルマ好きな方以外は他ブランドとの比較はされないのかもしれませんが、やはり新型LSがどれくらいのパフォーマンスに達しているかは気になるところです。
とくにこのクラスのライバル車に乗車・所有するのは非常にハードルが高いため、専門家のインプレッションは貴重な情報源となります。
まず、「GENROQ」誌、「ENGINE」誌ではどちらも残念ながら非常に厳しいインプレッションとなっています。
どちらも大部分はハイブリッド仕様の「LS500h」に関するインプレッションであり、LS500では少し違った内容になる可能性もありますが・・・
特にこの時期の雑誌でのレポートは、12月にトヨタ自動車が各メディアを招待し、おそらく品川(高輪)のプリンスホテルからスタートし、伊豆・修繕時エリアのサイクルスポーツセンターまで往復するというもので、相当なコストをかけて運営しているはずです。(つまり、雑誌単独でのレポートではないため、通常「忖度」により、評価が甘くなる傾向にあるので、これでもまだオブラートに包まれた表現という印象。)
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当方はここ10年ぐらい、レクサスの新型車のレポートはざっと目を通してきたつもりですが、このクラスはライバルが明確であり、各メーカーとも力が入った手強いというのもありますが、他車を十分研究しつくす時間があるなか、発売直後にここまで厳しい評価にさらされているのは初めてではないでしょうか。
(当初は絶賛でもだんだん手厳しくなっていくのが一般的)
これらのレポートでは、静的質感や製造品質、耐久性などはほとんど加味されないため、自動車の基本性能といえる、動力性能や乗り心地、燃費、官能的なフィーリングが評価の中心となりますが、従来レクサスが得意としてきた「乗り心地」の面と、「燃費」の面でアドバンテージが取れていないのが大きく影響しています。
他ブランドが複合素材を組み合わせ大きく軽量化しているなか、「GA-L」プラットフォームは外板にアルミやカーボンといった素材を使用しているにもかかわらずLCでも「1940kg〜2020kg」とかなり重く、LSに至っては更に200kg〜300kg程度重い「2150-2390kg」ということも影響してか、巨体をスムーズに動かすためのパワーがライバルに比べ足りていないようです。また、1500−2000rpmあたりのトルクが高くないということもあるでしょう。これにより必然的にアクセルを踏み込むシチュエーションが多く、エンジン回転数が高まり、ハイブリッドでは、モード燃費を大幅に下回るリッター10〜11km/L台しかマーク出来ていないのでしょう。
また、乗り心地の面ではエアサスペンションを採用にもかかわらず、特に後席の微振動やノイズについて言及しているメディアが多く、厳しい評価につながっているようです。ノイズに関しては、LCで初採用したマルチステージハイブリッドのエンジン部分に起因するものも多いと思われますが、ドライバーの意図しない高回転域をキープする傾向があるのはLCと基本的に同様であり、LSではずいぶんマイルドになったとはいえ、歓迎されないでしょう。
第3世代レクサスの先鋒である「LC」で、ジャーマン3勢と同じフィールドで比較されることが増えて評判があがっていたところですが、(といっても中心はV8のLC500ですが)LCは趣味嗜好製の強いジャンルのクルマであり、「LS」のような自動車の王道といえるジャンルで、幅広い層に使用されるフォーマルなクルマではまだまだ・・・ということなのでしょうか。そして、今年は新型アウディA8の登場により、更に厳しい戦いが予想されます。
もちろん、評価基準は人それぞれではありますが、今回のLSは価格的にも上昇し、ライバルメーカーと価格的にもかなり近くなっており、従来のように「他社の80%の価格なので性能も80%」ということは通用しなくなっています。
日本国内においては「新型センチュリー」や「新型クラウン」という従来型王道セダンの発売が控えており、同じブランド内にも「レクサスGS」がある中、新型LSがこのままの方向性で突き進むことができるのか?特に「LS500h」に関しては、現状では早々に方向変更が行われる予感がしてなりません。
新型LSはモータージャーナリストからの意見や従来のオーナーからの声にどのように応えようとしているのか、それとも当初に定めた方向性を貫き通すのか。クルマとしての基本性能はもちろん、未だに評価の高まらない操作デバイス(リモートタッチパッド・ドライブモードセレクトスイッチ)や、LTAのレーンキープ性能が思ったより高くないなど細かな点も含め、新型LSはまだまだ日本市場におけるチューニング不足という印象も強く、11年ぶりのフルモデルチェンジを迎えたLSに課せられた課題は大きい印象です。