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2018年04月07日
クールな猫
それからおよそ3年。
この間に私も人並みに恋をした。
白状すると、ハズカシながらすっかり恋人に心奪われて
ルネに寂しい思いをさせていたかも知れない。
と言うのは、この頃のルネの思い出が
ほとんど頭から抜け落ちてしまっているので
(;´ Д `A
でも、わずかな記憶の中のルネはいつも「私のルネ」だった。
私が外出から帰るといつの間にか傍に居て
抱き上げると喉を鳴らし私の胸に頭をスリスリして甘えた。
しかし相変わらず私の膝の上では絶対にくつろがなかったし
脚にからみついたりじゃれたりエサをねだって騒いだりもせず
食事のときには私の席の横に置いたルネ専用の丸椅子に座って
私が食べているのをじっと見ている。
宝石のような青い眼で見詰められれば
私のおかずから肉や魚を分けて上げたくなってしまう。
自分から催促する事が無くて
今思えばなんだか不思議な猫だった。
それまでの我が家の猫たちと違って、
とってもクールな印象だった。
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2018年04月20日
新しい生活
私は結婚して
ルネを家に残して実家からほど近い新居に移った。
今思えばなんと薄情にも
「じゃあね、また来るからね 」と新しい生活に心弾ませ
気軽にルネに別れを告げて・・・ ( ̄▽ ̄;)
* * * * * * * * *
およそひと月ほどして新しい生活にも慣れ
ふいにルネが気になって実家に帰った。
「ただいまー 」
真っ先にルネが迎えてくれるとばかり思ったのに
玄関に出て来たのは母だけだった。
「あなたが居なくなって2週間ほどしたら
ルネが居なくなっちゃってね」
エーッ
「ついさっき帰って来たのよ」
「なあんだ、よかったあ」 ホッ
「猫には予知能力が有る」と良く聞くけれど
私が帰るのを予知して戻って来たんだろうか?
きっとそうに違いない
「それがね、何も食べてくれないのよ」
「牛乳と卵は?」
「それもすぐやってみたんだけど見向きもしないの」
(ルネは卵と牛乳を溶き混ぜたのが好きで、
時々、卵1個を溶いて牛乳と混ぜたのを
大匙2杯ほどお皿に入れてやり、
残りに砂糖とバニラエッセンスを加えて
私が飲んだものだった)
そんな会話をしていると、ルネが出て来た。
「ルネ!」
抱き上げると、
すっかりやせ細ったルネが私の手を舐めてくれた。
「ああ、ごめんね!私のルネなのに
置いて行っちゃいけなかったよね。
ごめんね、ごめんね」 (;´ Д`;)
急いで卵1個を溶いて小皿に入れてやると
ピチャピチャとおいしそうにほとんど飲んで私の傍に来たので、
抱いて椅子に座ると相変わらず膝から降りてしまう。
2階の私の部屋に抱いて行き
私が部屋に残しておいた小物などを片付けたりしている間、
ルネは自分の席になっていた飾り棚の上に乗って
私のすることを見たり毛づくろいしたりしながらくつろいでいた。
夕方、私はもちろんルネを車の助手席に乗せて帰った。
新しい住まいに慣れるまでは外には出せないだろう。
当時まだ猫トイレなど売っていなかったし
トイレ用の砂も、もちろん無い。
取り敢えず
私が勤めていた会社で木の箱を貰い
近所の河原で砂を採って車に積んで。
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タグ:猫 予知能力
2018年04月27日
ルネも引っ越し
車で15分程走って家に着いた。
実は、夫は結婚前から「猫は嫌いだ」と言っていたので、
運転中は夫がなんと言うだろうかと
そればかり考えていた。
夫の車がもうすでに家の横に停まっている。
「おそるおそる」な気分でルネを抱いて
「ただいまー」と玄関を入ったのだが・・・
すると、夫は「お、やっぱり連れて来たか 」
と言うではないか
なんだか拍子抜けした気分だったがホッとした。
(*^Д^*)
「『猫可愛がり』ってこれのことかってくらい可愛がってたのに
置いて来いって言うのがムリさ」
わあ、そんな風に思っていてくれたんだ 。
やっぱりこの人は優しいんだなあ
ところが、ルネが落ち着かない。
私など全く眼中になく家の中をソワソワ歩き回り、
珍しくニャーオ、ニャーオと大きな声で鳴くのだ。
本当に、ルネの鳴き声なんて滅多に聞いた覚えが無いのに (・ω・;)
”クールで高貴なルネ” なのに一体・・・
ああ、そうだ!なんとしたことだ
「猫は家に着く」とかいって
住み慣れた家以外の所には簡単には慣れないと聞いていたのに、
知っていたのに ( * _ * ;)
夫がなんて言うだろうかとそればかり気にして
ルネは猫なんだということをしっかり考えていなかった。 (;´ Д `A
でも連れて来なかったら
またルネはどこかに行ってしまうだろうし・・・
あっ、そうだ!猫を連れて引っ越しする時は
いつも使っていた布団や毛布などがあれば
新しい家に落ち着くと聞いたことがあった。
きっとルネの椅子を持って来れば良かったんだ
そんな話をすると
夫が「よし、俺が持って来てやろう」と言ってくれた。
あれもこれも、今日の出来事は全て意外な展開だった。
撫でてやっても抱いてみても
全く「私のルネ」に戻ってくれないルネにオロオロしながら
夫を待った時間の長かったこと (;´ Д`;)
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タグ:猫可愛がり