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2017年03月30日
アガサ・クリスティから (116) (ミス・マープルと十三の謎*金塊【19】)
(ミス・マープルと十三の謎*金塊【19】)
「ああそれは、ねえ、私は自動車のことは分かりませんけれど、すぐに気がつきましたよ。」
と、ミス・マープルが言った。
ミス・マープルいわく・・・車輪を取り換えるところを何回か見たことがあるとのこと・・・つまり車輪を取り換えたのだと。
ケルヴィンのトラックから車輪を外して、小さな方の戸口から抜け出してニューマンのトラックにはめ込む。
そしてそのトラックに乗って海岸まで降りていき、金塊を積む。
今度はトラックでもう一つの門から帰って来た。
あとは車輪を外して、再びケルヴィンのトラックに取り付けたのだろうと、ミス・マープルは皆に分かるように説明した。
「その間に誰かがニューマンを縛って溝の中に入れたんです。随分、ご苦労なことだったでしょうよ。それに思ったより発見されるのが遅かったですしね。その仕事は園丁と名乗った男が手伝ったんだと思いますね。」
「『園丁と名乗った』ってどうしていうんですか?ジェーン伯母さん。」
レイモンドは不思議そうにたずねた。
「それはね、その男は本当の園丁のはずはありませんからね。本当の園丁ならウィット・マンディ(聖霊降臨祭=キリスト教・ペンテコステという習わし後の第一月曜日)には決して仕事をしませんよ。そんなことは誰だって知ってますわ。」
ミス・マープルはほほえんで、きちんと編み物をたたんだ。
「本当に、私が正しく見抜くことが出来るのはほんの小さなことからなんですよ。」
彼女はレイモンドをじっと見ながら言った。
「おまえが家庭でも持つようになって、ねえ、自分の庭でも持ってみたら、こんな小さなこともいろいろ覚えるんでしょうけどね。」
〜〜ミス・マープル・金塊 THE END〜〜
●今回で金塊は終わります。次号からは、同じくミス・マープルと13の謎の中から、(血に染まった敷石)です。
(次号に続く)
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2017年03月27日
アガサ・クリスティから (115) (ミス・マープルと十三の謎*金塊【18】)
ヘンリー卿はとつぜん大声で笑いながら、はたと膝を打った。
「こんども参ったな、レイモンド。それにしてもミス・マープル、あなたは素晴らしい方ですね・・・」
「君の友達のニューマンはね、ねえ君、もう一つの名前・・・いや実際には5つか6つの別の名前がくっついているんだよ。・・・」
ヘンリー卿は説明を始めた・・・。
いわゆるニューマンと名乗る男は、現在はコーンウォールにはいないで、デヴォンシャイア、正確に言えば、ダートムーアに入っていた・・・プリンスタウン刑務所の囚人になっていたのだ。
警察はその金塊事件では、彼をあげなかったが、ロンドンの銀行の金庫破り事件で逮捕をしていた。
やつの前歴を洗っているうちにポル・ハウスの庭に盗まれた金塊の大部分が埋まっているのを発見した。
あのコーンウォールの海岸地方は金塊をいっぱい積んで沈んだガリオン船の物語が多くあり、それを上手く利用したのだという。
それだからこそ、潜水夫のことも説明がつくし、その後で金が出てきても弁解できる。
しかし、身代わりが必要だった・・・ケルヴィンは、それにはうってつけだった。
「ニューマンはこの一幕ものを実にうまく演じたんですね。そしてわが友、レイモンド君は、作家として令名
高い、申し分ない証人となったというわけですな。」
「でもタイヤの跡のことはどうなの?」
ジョイスが異議をとなえた。
「ああそれは、ねえ、私は自動車のことは分かりませんけれど、すぐに気がつきましたよ。」
と、ミス・マープルが言った。
(次号に続く)
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2017年03月25日
アガサ・クリスティから (114) (ミス・マープルと十三の謎*金塊【17】)
(ミス・マープルと十三の謎*金塊【17】)
「では、さあ、ジェーン伯母さん、何かおっしゃることがあるでしょうね?」
「ちょっと待って。糸目を数え間違えたらしいわ。二目裏編み、三目表編み、すべらし目がひとつと、二目裏編み・・・そう、これでよろしいと。なんですって?レイモンドや。」
「この話に対しての伯母さんの意見は?」
「お前には私の意見は耳が痛いでしょうね。ねえ、若い人たちは皆そうでしょうとも。何も言わない方が良さそうですね。」
「馬鹿なこと言わないで、ジェーン伯母さん、言ってくださいよ。」
「じゃあねえ、レイモンド。」
ミス・マープルは編み物を置いて、甥の顔をのぞいた。
「お前はもう少し友達の選び方を注意しなければいけませんね、お前はすぐ人を信用するからだまされやすいんですよ。物を書く人で創造力があり過ぎるからでしょうよ。みんな夢みたいなスペインのガリオン船の物語ですからねえ!もっと年を取っていて、世の中のことが分かっていたら、すぐそこで用心したでしょうよ。その上、わずか2〜3週間しかつきあっていない人ですもの!」
ヘンリー卿はとつぜん大声で笑いながら、はたと膝を打った。
「こんども参ったな、レイモンド。それにしてもミス・マープル、あなたは素晴らしい方ですね・・・」
(次号に続く)
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2017年03月24日
アガサ・クリスティから (113) (ミス・マープルと十三の謎*金塊【16】)
(ミス・マープルと十三の謎*金塊【16】)
「しかし、われわれは十分な確証もなしに事実をうのみにしているようだね。」
「病院の看護婦の証言を信じる前に彼女が本当のことを言っているのかどうかよく調べなくっちゃね。そんな即座にあげられたアリバイなんて、かえって我々には疑わしく思われますな。」
「ところがもうひとつ女流画家の証言もあるんです。」
とレイモンドは言った。
彼女は痛みのためにほとんど夜中、目を覚ましていた。
もしトラックが出ていけば、普通の音ではないし、嵐の後の静かな夜だったので、聞き逃すはずはないと断言した・・・。
「うむ。」と、牧師が口を開いた・・・。
「確かに新しい事実ですな、ところでケルヴィンは自分のアリバイをはっきりさせていますか?」
レイモンドは説明した・・・ケルヴィンは、家にいて10時から以降は寝床に入っていたと証言した。ただその件についての証人はいなかった。
「看護婦もうたた寝してしまったし、病人もきっと、そうなのよ。だいたい病気の人は、自分じゃあ一晩中まんじりともしなかったなんて思うものなのよ。」
レイモンド・ウェストはペンダー博士をうながすように見やった。
「私にはそのケルヴィンという男が気の毒だと思われるんですがね。犬を殺そうと思ったら、まず狂犬呼ばわりせよ(悪評はなかなか抜けないの意味)ということわざの良い例のように思われますな。ケルヴィンは刑務所にいましたが、たしかにタイヤの跡の一致はさておき、彼に不利なこともとりたててないようです。ただ彼の不幸な前科が悪いだけで。」
「あなたのご意見は?ヘンリー卿。」
元ロンドン警視庁・警視総監であったヘンリー卿は首を振り、「あいにく。」と笑いながら言った。
彼に言わせると、この事件について立場上、知り得ることがあったのだと言う・・・ゆえに皆の推理が終わるまで、しゃべるのを控えるべきだと思ったらしい。
イギリス紳士のフェア・プレイ精神とでもいうべきなのだろう。
「では、さあ、ジェーン伯母さん、何かおっしゃることがあるでしょうね?」
「ちょっと待って。糸目を数え間違えたらしいわ。二目裏編み、三目表編み、すべらし目がひとつと、二目裏編み・・・そう、これでよろしいと。なんですって?レイモンドや。」
(次号に続く)
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2017年03月23日
アガサ・クリスティから (112) (ミス・マープルと十三の謎*金塊【15】)
(ミス・マープルと十三の謎*金塊【15】)
「きゃつをとっちめたぞ。もう確かだ!後部の左の車輪に、あの車の模様の跡がぴったりとあるんだ。さてケルヴィン先生、いくらおりこうさんでももう逃れる道はないと思うがね。」
レイモンド・ウェストはここまでで、話を突然、切った。
ジョイスは首をかしげた・・・。
「それからどうなの?」とジョイスが言った。
「今までのお話にはぜんぜん問題にするようなことがないじゃあありませんか?・・・金塊が見つからなかったとでも言わない限り。」
「たしかに金塊は見つからなかったんですよ。そしてケルヴィンもつかまえられなかったんです。やつの方が警察より役者が上だったからだと思います。しかしどう細工をしてごまかし通せたか今だってわからないんだ。彼は当然、逮捕されました・・・タイヤの跡の証拠でね。だけど途方もない引っ掛かりが出て来たんです。」
レイモンドは説明を始めた・・・ガレージの大きな戸口の向かい側に女流画家が夏の間だけ借りている小さな家があり、その女流画家が2〜3週間病気のため、二人の病院の看護婦が付き添っていたとのこと。
夜間勤務の看護婦は窓のよろい戸を上げ、肘掛け椅子を窓際まで引っ張って行って、そこに腰かけていた。
彼女は、確かにトラックが向かいのガレージを出なかったと断言したのだ。
「それはたいして問題にはならないと思うわ。」
とジョイスが言った。
「その看護婦は寝ちゃってたのよ。もちろん。あの人たちいつもそうなんですもの。」
「それも・・・まあ・・・ありそうなことですな。」と弁護士のペザリック氏が、物分かりの良さそうな口を聞いた。
「しかし、われわれは十分な確証もなしに事実をうのみにしているようだね。」
(次号に続く)
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2017年03月22日
アガサ・クリスティから (111) (ミス・マープルと十三の謎*金塊【14】)
(ミス・マープルと十三の謎*金塊【14】)
想像通りに金塊が隠されていたという歴然とした証拠はつかめたが、その金塊がまた移された後のどこか新しい隠し場所を見つける手掛かりは皆無であった。
だが、ただ一つの手がかりがあった・・・そのことを警部は翌朝、レイモンドに説明してくれた。
「あの道は自動車がほとんど通らない道なんですが、2〜3箇所にははっきりとタイヤの跡があるんですよ。一つのタイヤから特徴的な三角形の跡がちゃんと残っているのです。それが屋敷の門の中に入って、あちこちぼんやりした跡を残して、もう一つの門を出ていました・・・これは確かに私たちが調べたい車のようだと分かる事柄でした。そして何故、向こうの門を出て行ったのでしょう?このトラックは村から来たものだということが明らかだと思います。ところで、村にはトラックを持っているものはそう多くはいません。・・・せいぜい2〜3人ぐらいだと思いますがね。三錨亭のケルヴィンはその一人ですよ。」
「ケルヴィンの元の商売はなんだったんですか?」とニューマンが聞きました。
「あなたがそんなことをお聞きになるのはおかしいですね、ニューマンさん。ケルヴィンは昔、本職の潜水夫だったんですよ。」
ニューマンと僕は顔を合わせた。
ひとつずつの事実が合わさって、謎はしだいに溶けていく気がした。
警部は、海岸にいる男のうちにケルヴィンらしいものがいなかったか?と、ニューマンに聞いた。
ニューマンは首を振り、残念そうに言った。
「そういうことは何も言えないんですよ、何も目をとめる暇がなかったもんですから。」
三錨亭まで、レイモンドも同行することを警部は快く許してくれた。
ガレージはすぐその横丁にあった・・・大きな入り口は閉まっていた。
しかし、すぐ横の小道を登ると小さな入り口は開いていて・・・タイヤを少し見ただけで警部は満足の大声を上げた。
「きゃつの車をとっちめたぞ。もう確かだ!後部の左の車輪に、あの車の模様の跡がぴったりとあるんだ。さてケルヴィン先生、いくらおりこうさんでももう逃れる道はないと思うがね。」
レイモンド・ウェストはここまでで、話を突然、切った。
ジョイスは首をかしげた・・・。
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2017年03月21日
アガサ・クリスティから (110) (ミス・マープルと十三の謎*金塊【13】)
(ミス・マープルと十三の謎*金塊【13】)
嵐がすぎて、すっかり晴れたので、彼は11時ごろ散歩に出かけたらしい。
彼は絶壁伝いにしばらく歩いていき、通称『密漁船の入り江』といわれていうところまで来た。
たくさんの洞穴があり、そこからこの通称がついたらしい。
ふと気づくと、数人の男たちがボートから何か荷を降ろしていた。
何をやっているのかといぶかって、ニューマンはぶらりと降りていった。
なんだかわからないが、相当重いものらしく、一番遠い洞穴に運ばれて行くようだった。
何かがおかしい・・・。とニューマンは気づかれないまま、すぐ近くまで来てしまった。
突然、誰か来たぞ!と叫び声がし、・・・二人のたくましい水夫が襲いかかって来た・・・ニューマンはそのまま気を失った・・・。
気が付いた時には車に乗せられて、ゴトゴトと揺られながら、海岸から村に行く小道を登っていた。
そして驚いたことにニューマンの家の門を入って行った。
彼らはひそひそささやきながら、彼を引きずりおろして、邸内にあるなかなか見つからないような深い溝に彼を投げ込んだらしい。
そして、また4分の1マイルほど村の方に寄った別の門から、ニューマンを放り投げたトラックは出て行ったようだった。
何者かは全く分からぬままだったが・・・確かに水夫に違いなく、またこの土地のコーンウォール訛りがあったという。
バッジウォース警部は大変、興味をそそられたようだった。
「きっとそれは例のものが隠されていた場所なんですよ。」と叫んだ。
「どうやって引き上げたのか・・・とにかく難破船から出して、どこか人目のつかない洞穴の中に隠しておいたんですね、我々が『密輸船の入り江』の洞穴を全部捜査して、これからもっと手を広げようとしているのを知った。それで夜になってから金塊を運び出したんだ・・・既に捜査の済んだ洞穴のどれかに移そうとしたわけだ。一度調べたところはなかなか二度とは調べませんからね。あいにく奴らは金塊を始末するのに今まで少なくとも18時間あった訳だし。ニューマンがつかまったのが昨夜なら、今でも何かそこで発見できるとは考えられませんがね。」
それでも警部は急いで調べに出かけた。
想像通りに金塊が隠されていたという歴然とした証拠はつかめたが、その金塊がまた移された後のどこか新しい隠し場所を見つける手掛かりは皆無であった。
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2017年03月20日
アガサ・クリスティから (109) (ミス・マープルと十三の謎*金塊【12】)
(ミス・マープルと十三の謎*金塊【12】)
「この辺の人たちに言わせると、あなたのお友達はあんまり、余計なことに出しゃばりすぎるからいけない、ということですね。ひどい目にあっていなければいいと思いますがね。」
・・・・・・・
捜査は以前にも増して真剣に続けられた。
遂に努力が報われ、行方以不明になっていたニューマンを見つけ出したのは、午後も遅くのことだった。
ニューマン自身の屋敷の片隅の深い溝に押し込められていたのだ・・・手足はしっかり縄で縛られて、ハンカチで猿ぐつわをはめれている状態だった。
ニューマンは疲れと苦痛で大変な思いをしていた。
監禁されていた手首足首もよくもんでもらった後、ウィスキーを一口飲むと、やっと重い口を開いた。
ようやく、何が起こったのか説明できるようになった・・・。
嵐がすぎて、すっかり晴れたので、彼は11時ごろ散歩に出かけたらしい。
彼は絶壁伝いにしばらく歩いていき、通称『密漁船の入り江』といわれていうところまで来た。
たくさんの洞穴があり、そこからこの通称がついたらしい。
ふと気づくと、数人の男たちがボートから何か荷を降ろしていた。
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2017年03月19日
アガサ・クリスティから (108) (ミス・マープルと十三の謎*金塊【11】)
(ミス・マープルと十三の謎*金塊【11】)
ニューマンは自分で言ったように夜の散歩に出かけて、どういう訳か帰ってこなかったのだ。
何故だろう?
事故があったのか?
崖から落ちたのだろうか?
早速、捜査しなければ・・・。
2~3時間で、レイモンドは救助隊を募った。
皆で崖づたいに、あるいは眼下の岩の上などを四方八方捜査したが、ニューマンは影も形もなかった。
困り果ててしまったレイモンドは、バッジウォース警部に助けを求めた。
ここに来る道中の列車で再開した例の警部である。
警部は顔を曇らせた。
「何かひどい目にあったんじゃないかと思われるな。ここはちょっと手に負えない奴らがいるんでね、三錨亭の亭主ケルヴィンという男に会いましたか?」
会ったことがあるとレイモンドはうなずいた。
「あいつは4年前に監獄にほうりこまれたんですよ、知っていますか?暴行殴打で。」
「そうですか、道理で。」
「この辺の人たちに言わせると、あなたのお友達はあんまり、余計なことに出しゃばりすぎるからいけない、ということですね。ひどい目にあっていなければいいと思いますがね。」
・・・・・・・
(次号に続く)
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2017年03月18日
アガサ・クリスティから (107) (ミス・マープルと十三の謎*金塊I)
(ミス・マープルと十三の謎*金塊I)
目覚めた時、朝の八時だったが、頭はずきずき痛み、まだ恐ろしい夢がしみついていた。
そして窓を開けたとたん、またひどい恐怖に襲われて、思わず、後ずさりをした。
レイモンドが見たもの・・・見たと思ったもの・・・それは墓穴を掘っている男だった・・・。
・・・1〜2分たってやっと我に返ったレイモンドは、その男がニューマンの園丁だと思い出した。
そして(墓)と思ったのは新しい3本のバラを植えるための穴だということが分かった。
しっかりと穴に植えられるように、3本のバラが芝の上に置かれていたのだ。
園丁は顔をあげてレイモンドに挨拶をした。
「おはようございます、旦那様、結構な朝で。」
確かに良い天気だったが、まだ気持ちの悪さをぬぐえてはいなかったレイモンドは適当な返事を返した。
ニューマンは住み込みの女中を雇っていなかったが、近くの農場に住んでいるふたりの中年の姉妹が、階下の食堂で朝食の用意をしていた。
「おはよう、エリザベス。ニューマンさんは」まだ降りていらっしゃらないのか?」
エリザベスが言うには・・・ニューマンは朝早くに出かけたらしい。エリザベスがこの邸に着いた時には既にいなかったとのこと。
この言葉を聞いたレイモンドは、再び不安に襲われた。
慌てて、ニューマンの寝室に駆けのぼり、ベッドを調べてみると、彼の不吉な予感は当たっていた・・・ベッドには寝た形跡がなかったのだ。
夜着が無く、夜の散歩から戻らなかったことは確実だった。
夜出かけたままなのだ・・・。
不吉な予感が正しかったことは、もはや疑いもなくなったのだ。
ニューマンは自分で言ったように夜の散歩に出かけて、どういう訳か帰ってこなかったのだ。
何故だろう?
事故があったのか?
崖から落ちたのだろうか?
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