2020年06月28日
アロエ・バイネシー(アロエ・バーベラエ)の増やし方:胴切り法
1.はじめに
以前,アロエ・バイネシー(別名:アロエ・バーベラエ)の育て方について,ちょっとまとめた記事を掲載した(詳細は→こちら),その記事内で数を増やす方法として,茎を切断して吹いてきた子株をさし木するという胴切り法を紹介したが,今回は少々具体的に画像を交えてまとめてみた
2..アロエ・バイネシーで胴切りを行う
◆胴切りを行うために下の画像くらいに成長した株を準備する
◆4〜5枚程度葉を除去して赤で示した部分を剪定バサミ等でカットする
◆切り取った上部は葉を思いきりカットしてからボラ土にさし木する
3.アロエ・バイネシー胴切り時の注意点
胴切りの作業は必ず春〜初夏に行うこと,上記に掲載した作業時の画像は6月10日である,これを秋とか冬に行うと芽が全然動かない,下手するとそのまま株が枯れてしまう恐れがある,また上部をさし木する時は,1〜2日切り口を乾かしてから行う,挿し木用土は無肥料のボラ土等を使用する
なお,胴切りを行う前の数日間は,快晴続きで充分に光合成産物を体内に蓄えているような時に行った方がいい,簡単に言えば元気の良い株を使用しましょうということである,また,胴切り後の注意点としては,切り口が直接雨水に当たらないように,しばらくは軒下等で管理した方が良い
4.アロエ・バイネシーの芽吹きの状況
芽が吹いてくるのは結構時間がかかる,約6ヶ月後の状況が下の画像である,見てわかるように3つ新しい芽が吹いている,この段階(1月6日)でも大きさ的にさし木できないこともないのだが,ちょうど真冬なので,ここはそのまま管理を続けて春になって気温が上がるのを待つことにする
いつもそうなのだが,このアロエ・バイネシーは,なぜか芽が結構下の方から吹いてくる,切り花のキクなどは上部を摘むと,上の方の芽ほどよく成長してくるのだが,こういう砂漠のような不良環境で生きてる植物は,生存率を上げるために下の方の芽でも動ける仕組みを持っているのだろうか
5.アロエ・バイネシーの子株のさし木方法
◆年が明けて翌年4月26日にさし木を行った
◆まず子株の下部をきれいなナイフ等を使って親株から切り取る
◆子株の下部は図のようにまず@方向から次にA方向からカットして調整しておく
◆調整した子株は日陰で切り口を乾かしてからボラ土にさし木する
6.アロエ・バイネシーの子株のさし木
このさし木作業も必ず胴切り作業同様春〜初夏に行ったほうがいい,温室等があって適正な温度で管理できればいいが,そうでない場合,秋とか冬に挿し木しても根が全く動かない,じ〜っとそのままでなんか冬眠したような状態になる,根や芽が動くためにはある程度の温度が必要なのだろう
1ヶ月くらいで根が見えてくるが,根があまりに小さいとその後の生育が悪いので,しばらく待って6月の13日に鉢上げを行った,その時の根の状況が上の画像である,意外と少ないなという印象を受ける,しかし太さはあるから,自然界では数は少なくても頑丈な根を深く張るという戦略なのだろう
7.アロエ・バイネシーの鉢上げ
実際に鉢上げしたのが下の画像である,撮影段階では支柱を立てていないが,先ほども書いたように根が少ないのでそのままでは倒れてしまう,そんなに立派なものでなくても,割りばし程度のものでよいから支柱を立ててあげた方がいい,なお,倒れるからといって絶対に深植えしてはいけない
また,切り離した頂部は2ヶ月ほど経って根が出てから4.5号鉢に鉢上げした,その後はどんどん成長して,翌年6月13日には上の画像のような状況になった,このままでは鉢が小さいので,しばらくしたら6〜7号鉢程度に鉢増しして,来年大きくなったらまた胴切りに供するというループ状態
8.おわりに
前年6月10日に胴切りして,翌年6月13日に子株を鉢上げしたわけだから,ちょうど1年ということになる,なお,アテナータの胴切り法を紹介した時も書いたが,株が1鉢しかないような場合,この胴切り法を実施するのは,かなり勇気がいると思うが,時期さえ間違わなければ大丈夫,お試しあれ
2019年10月19日
アガベ・アテナータの増やし方(水挿し法)Part2
1.はじめに
アガベ・アテナータの増やし方について,胴切り法のほかに水挿し法を紹介にしたが,今回はその後にアガベ・アテナータのボーチンブルーを水挿しした時の情報である,前回の水挿し法の記事を先に読んでから,こちらを読んだ方がわかりやすいと思う,その時の記事(詳細は→こちら)
2.ボーチンブルーの水挿しを行う
前回,アテナータは,かぎ取った葉を水に挿しておくだけで,根が出て個体が再生できたので,今回アガベ・アテナータのボーチンブルーを胴切りしたときに,かぎ取った葉が出たので,トップの写真のように,水を入れたペットボトル容器に浸しておいた,これを行ったのが8月17日である
前回,水挿しを行ったとき,容器のまわりを覆って暗くした方が根が出やすいのじゃないかという反省事項があったので,今回はペットボトル容器をアルミホイルで覆ってみた,ただこれをやると根が出たかどうか観察がしにくいこととや,水の傷み具合が解らないので,1ヶ月ほどで除去した
3.ボーチンブルーでも根が出た
暑い時期なので2日ごとに水替えを行い,その都度,根が出ていないか観察したのだが,10月10日に3枚のうちの1つに根が出ているのが確認できた(下の写真),ボーチンブルーでも水挿し成功である,ここで前回水挿ししたときに,用土に葉挿ししたカラズストライプがあったことを思い出した
ほかの植物に隠れていたのでそのままほったらかしになってたのだが,これを取り出して見たら,下の写真のように,4枚のうち3枚からは,根がいっぱい出ていた,ただし,根はかなり伸びているにもかかわらず,芽はぜんぜん動いてないようである,用土が無肥料のボラ土だけだったからだろうか
これは葉挿ししたのが5月10日で,取り出したのが10月10日だから,約5ヶ月後の状況である,条件が良ければ,用土へ葉挿ししておくだけで元気よく根が出ることがわかる,芽が出ていないのは,無肥料の用土だったほかにも,他の植物の陰で日当たりが悪かったのも影響してるかもしれない
4.根の出る葉と根の出ない葉の違い
前回の水挿しでは白覆輪の方は3枚の葉から根が出たのに,カラズストライプの方はまったく何も反応が無かったのだが,なんとなく理由が解ったような気がした,この用土に挿したカラズストライプの葉は上の方の比較的新しい若い葉で,水挿しに用いたのは下の方の古い葉だったのである
白覆輪はそういう区別はせずにかぎ取った葉を全部水挿ししたので,上の方の若い葉から根が出たものと思われる,今回のボーチンブルーの水挿しに用いた葉は,下の方の古い葉は台風でひっくり返ったりして,傷みがひどかったので,たまたま上部の若い葉の3枚のみを水挿しに用いたのである
成長して充実した下葉の方が葉挿しには適しているように思っていたのだが,まったくの勘違いであった,具体的には上の写真の矢印で示したような葉が水挿し(用土への葉挿しも含めて)に適していると思われる,動物だって次の世代を生み出すのはより若い個体が有利なのは自然の摂理である
5.肥料のある用土に鉢上げする
ということで,ボーチンブルー1個とカラズストライプ3個を同日(10月10日)に下の写真のようにいつもの用土に鉢上げを行った,また,その5日後にもボーチンブルーの水挿しに,根がほんのちょっと出ているのが確認できたが,あまりに小さかったので,もっと根が伸びてから鉢上げすることにした
ちなみに前回7月1日に鉢上げした白覆輪は10月10日現在で下の写真のような状況である,これを見る限り,水挿しによる個体再生でも,ちゃんと白い覆輪が再現されていることが確認できる,水挿しの場合,胴切り法に比べれば数は望めないが,捨てていた葉を有効活用できる点は評価できるだろう
前々から疑問に思っていた,用土への葉挿しでも水挿しでも,まったく同じ条件で管理してるのにもかかわらず,根がでる葉と根が出ない葉の違いがどこにあるのかという点に関して,前回と今回の状況等を総合的にみると,葉の若さに要因があるといっていいと思う,これは大きな収穫であった
6.おわりに
単に水に浸けておくだけでいいんだから,何も難しいことはない,アテナータの葉をかぎ取るようなことがあったら,特に上の方の若い葉は水に挿しておくことをお勧めする,これまで捨てていたものなので,これで個体が再生できると,ものすごいお得感がある,お試しあれ!
2019年08月25日
アガベ・アテナータの増やし方(水挿し法)
1.はじめに
前々回アガベ・アテナータの斑入り種の胴切りに関する記事を紹介したが(詳細は→こちら),これをやると,当然だが,かぎ取った葉がたくさん出てしまう,この葉をそのまま捨ててしまうのは,もったいないと思い,これまでやってきた用土への葉挿しではなく,今回は水挿しに挑戦してみた
2.水挿しを行う(5月10日)
方法は簡単,かぎ取った葉を綺麗な水に葉の基部を浸しておくだけである,水挿しの容器として2リットルのペットボトルを半分にカットした物を利用した,この容器に3cmほど水道水をいれて,かぎ取った葉を入れておくだけ,なお葉に付いている土ホコリ等の汚れは事前に綺麗に洗い流しておいた
上の写真が実際の水挿しの状況である,左が白覆輪,右がカラズ・ストライプである,これを東側の窓辺に置いて,随時ブラインドの角度を調節して,直射日光は当たらないようにしながら,なるべく明るい環境で管理した,気温が高い時期なので,水が腐らないように3日に1度は水を入れ替えた
3.根が出た(6月30日)
水を入れ替えるたびに何か変化がないか確認したのだが,ペットボトルは全部が透明なので,この確認作業には便利であった,水挿しを行ってから51日目に,容器の底をよくよく見たら白覆輪の方に根の出ている葉が確認できた,しかも2本も出てる,感動である,下がその実際の写真である
植物は基本的に明るい方へ芽を伸ばし,暗い方へ根を伸ばす性質があるのだが,この水挿しを行う場合,葉の上部は明るく,水に挿してる部分は,多少観察がしにくくなるがアルミホイルで覆うなどして暗くしたら,もっとスムーズに根が出てくれたのかもと,後で思ったが,いわゆる後の祭り
4.鉢上げする(7月1日)
根を傷めないように注意しながら4号鉢に鉢上げしたのが下の写真である,葉挿しを行った時のように,葉の上部をカットしてないので,そのままでは後ろにひっくり返ってしまうので,針金で支えている,用土は観葉植物用とサボテン用の用土を半々に混ぜた,いつもの鉢上げ用土である
根が出たんだから芽も出るだろうとかなり期待しながら,しばらく様子を見ることにしたのだが,気温が高く日差しも強い時期なので,置き場所や水管理に結構気をつかう,午前中少しばかり日が当たる場所において,水に関しては,他の鉢などとは別に,状況をみながら細やかに水かけした
5.芽が見えた(8月14日)
台風等の対応で植物を屋内に避難したり,ネットで囲ったりしてて気づかなかったが,よくよくみたら下の写真のように用土から芽が顔を出してる,お〜やったぁ,水挿しでの個体再生に成功である,本来なら捨てる葉なのだが,水に浸けておくだけで個体が再生できるなら極めて楽チンである
ドラセナなど挿し木で簡単に個体を再生できるような植物は,枝などを水につけておくだけでも,根が出てくるものが多い,ただこの場合は節があるから,そこから根を出すのだろうが,今回のような葉だけの場合はやや状況が違う,それにしても根が出る葉と出ない葉の違いがよくわからない
6.そのほかに2枚から根が出た
6月30日に最初の根がでた後も,白覆輪の方はあと2つの葉から根が出てきたので,同様に鉢上げしておいたら,こちらもちゃんと芽が出てきた,白覆輪は最初に水挿しした葉は8枚だったから,3/8,つまり約38%の成功率ということになる,用土への葉挿しと比べると成功率は高いと言えよう
用土への葉挿しの場合は,天気の状況にもよりけりだが,たまに水のかけ忘れとかで,鉢の用土を乾燥させてしまうことがある,この点,水挿しはそういう心配が無いので管理が簡単である,アテナータの場合,かぎ取った葉がたくさん出たら,捨てるくらいならとりあえず水挿ししておけばいい
7.おわりに
アテナータはかぎ取った葉を水に挿しておくだけでも,状況次第だが個体が再生できることがわかった,ただ,この状況次第の「状況」がなんなのかがよくわからない,この点がはがゆいところである,今回成功したのは白覆輪だけで,カラズストライプの方は,まったくなんの反応も無かった
なぜカラズ・ストライプは,根が出ないのか,前々回の胴切りでの芽の出方を見ていると,カラズ・ストライプの方が株としての勢いは強いのに,この辺がどうもよくわからない,その後8月25日まで様子を見たが,特に変化は無かったので,同日でこの水挿しチャレンジは終了ということにした
8.関連記事
◆アガベ・アテナータの増やし方(水挿し法)Part2(詳細は→こちら)
2019年08月14日
アガベ・アテナータの増やし方(胴切り法)Part2
1.はじめに
以前,アガベ・アテナータの初緑を用いて,数を増やす方法として胴切り法を紹介したが(詳細は→こちら),今回は同じアテナータの斑入り種を用いて胴切り法に挑戦してみた,具体的には上の写真の左の白覆輪と右のカラズ・ストライプの2種である,この元株は小株を2年ほど養成した株である
2.前回斑入り種の胴切りは大失敗した
アガベ・アテナータの初緑で胴切り法を紹介した時にも書いたが,このアテナータの斑入りの2種については,秋にこの作業を行って大失敗している,かなりの高額で購入した子苗を大事に育てて,ようやく胴切りできるような大きさになってから行ったんだが,失敗したため大損害であった
大事なことなので,再度記載しておく,「アテナータの胴切りは,夏の間に大きく株が成長し,株が充実した秋に行うのが良い」,というネットの情報を信じて秋に行ったのだが,この情報は間違いである,アテナータの胴切りは,春〜初夏の木々が芽を吹く「目に青葉」の時期が最適と覚えておこう
3.胴切りを行う(5月10日)
今回,改めて斑入り種の胴切りを行ったわけだが,具体的な切り方の要領や注意点は,初緑の記事で紹介してるので,そちらを参考にして頂きたい,実際に胴切りした状態が下の写真である,左が白覆輪,右がカラズ・ストライプである,カラズ・ストライプの方が若干株が大きめである
今回も最初は切り口に保護剤等は何も使用しなかったのだが,カラズ・ストライプの方が鉢土の水分状態が多かったのだろうか,いつまで経っても切り口が乾かずジュクジュクした状態で,このままではまずい状況になりそうだったので,カルスメイトという切り口保護剤を塗って対処した
4.カットした上部は挿し木
カットした上部は前回も書いたが,余分な葉を除去して挿し木しておけば株が再生できる,これまで用土は,挿し木や種まき用のものを使用してたのだが,この手の用土は多少肥料分あったり,あるいは保水性よすぎるからかもしれないが,発根する前に株元が腐ってしまうことがあった
ということで最近は上記の写真のように肥料成分などは一切含んでいない,ボラ土の細粒を使用するようにしている,またイロイロやってるうちに気づいたんだが,切り取ってすぐに挿し木するより,カットした上部は,葉を除去してから1日程度日陰で切り口を乾燥さしてから挿し木した方がいい
5.胴切り後1ヶ月(6月11日)の状況
1ヶ月後の状況が下の写真である,白覆輪の方は8個ほど小さな子株が吹いてるのだが,カラズ・ストライプの方は,ようやく芽が動き出したばかりである,元々の株はカラズ・ストライプの方が若干大きいし,鉢も白覆輪は5号鉢だが,カラズ・ストライプは6号鉢なので,これはちょっと意外だった
一般的に斑入り種など,基本種から変異したバリエーションは,生物学的な活性は低くなってる場合が多い,斑入りで葉色が淡くなったり白くなれば,それだけ同面積の正常葉にくらべ葉緑素が少なくなるわけで,基本的に同化量は少なくなり,生育的には劣ってしまうのは必然とも言える
6.胴切り後2ヶ月後(7月10日)の状況
ということで2ヶ月経ってみたら,あら不思議,カラズ・ストライプは,アテナータの基本種からかなり変異したもので生物学的には弱いんだろうと思っていたのだが,2ヶ月経過した株を比べた下の写真を見てもらえば一目瞭然,これはもう明らかにカラズ・ストライプの圧勝である
子株の数を数えたら白覆輪の方は10個,カラズ・ストライプの方は,なんと14個である,圧倒的な差である,出だしは遅かったが,もともと株が若干大きかったし,鉢も一回り大きかったので,潜在能力が高かったということなのかもしれない,この点に関しては私の認識ミスであった
7.胴切り後3ヶ月後(8月7日)の状況
さらに1ヶ月経過した状況が下の写真である,かなり子株が混雑しているが,これまでは大ききくなった子株から順次かぎ取って挿し木していたのだが,今回はそのままの状況でどう成長していくのか,ちょっと様子を見たかったので,子株を外さないでそのままにしておいて様子を見てみた
ここで詳細に子株の数を調べたら白覆輪が11個,カラズ・ストライプが17個であった,多少元株が大きかったとはいえ,数的にもカラズ・ストライプの圧勝である,胴切りを行う場合,元の株はそこそこの大きい株を準備した方が,数を増やすという面では圧倒的に有利と考えた方が良さそうである
8.子株の挿し木を行う
3ヶ月を過ぎると大きな子株は,株元に小さな根のような突起が出ているものもある,挿し木の作業に慣れてないとかで不安がある場合は,少々時間がかかるが,親株に付いたまま子株がある程度の大きさになるまで待ってから挿し木を行った方が,成功率は高くなるだろう
実際の挿し木を行った様子が上の写真である,このような子株を挿し木するような場合,黒いポリポットを使う場合が多いのだが,希少性の高い植物などの場合,とにかく失敗は避けたいだろうから,ちゃんとした鉢を準備して,水はけが良いように鉢底石も入れて挿し木したほうがいい
ポリポットの場合,鉢底には水があるのに表面は乾燥するので,どんどん水かけしてしまい過湿で株を腐らしてしまうことがある,また特に夏場は黒のポリポットは鉢の温度が上がりやすいという点もマイナス要因である,なお用土は腐敗防止剤等が入った挿し木等の専用用土を利用するのが無難
9.おわりに
前回,胴切りは秋に行った方が良いという情報を信じて,高額で購入した大事な株をダメにしてしまったのだが,今回のアテナータ斑入り種の胴切りチャレンジは,成功したといっていいだろう,ということで,アテナータは斑入り種でも,胴切り法で子株を簡単に数多く得られることが解った
以前,アテナータの数を増やそうと何度も葉挿しに挑戦したんだが,単に数を増やすということならば,効率性で言えばこの胴切り法が一番と言えよう,胴切りができるまでの大きさに育てるのが少々時間がかかるが,アテナータは比較的成長が早いアガベなので,特に問題にはならないだろう
10.関連記事
◆アガベ・アテナータの増やし方(水挿し法)(詳細は→こちら)
11.追加情報
昨年8月に鉢上げしたものが,葉の展開幅が10〜15cmくらいになったので,4月10日に枯れた葉や冬の低温で傷んだ葉などを除去して4.5号鉢に植え替えを行った,上の画像がその状況である(撮影は4/28),ここまでに途中でダメになった株は全く無かったので,だいぶ数を増やすことができた
2019年04月23日
リュウゼツランとアオノリュウゼツランの間違い
<開花中のアオノリュウゼツラン>
1.はじめに
よく新聞などで,上のような写真を掲載して,○○公園のリュウゼツランに花が咲きました,リュウゼツランはセンチュリープラントとも呼ばれ,100年に一度しか花が咲かない植物として知られています,なんて記事を目にすることがあるのだが,こういう記事は結構まちがってることが多い
2.リュウゼツランには種類が有る
その掲載写真を見るとリュウゼツランではなく,アオノリュウゼツランという場合がある,どちらもアガベ・アメリカーナだが,青一色の方がアガベアメリカーナの基本種Agave americana,斑入りの方はアメリカーナの変種としてAgave americana var. marginataの学名が付けられている
<左:アオノリュウゼツラン 右:リュウゼツラン>
斑入りの方は,いろいろな変種や園芸種等も存在しているが,とりあえずアガベ・アメリカーナは大きく分けて,葉が青一色の原種であるアオノリュウゼツラン(Agave americana)と,斑入りの変種であるリュウゼツラン(Agave americana var. marginata)が存在するということである
3.なぜ斑入りの変種が基本種のような名前なのか
通常なら原種のAgave americanaをリュウゼツランと命名して,斑入りの変種の方は,フイリリュウゼツランとかの名称にすべきだったのだが,日本には,変種のAgave americana var. marginataの方が先に入ってきて,その時点でリュウゼツランと命名されてしまったのである
そのため,基本種のAgave americanaが入ってきた時に,しょうがなくアオノリュウゼツランの呼称を付けたわけである,ということで,リュウゼツランはアオノリュウゼツランの変種であって,学術的には,あくまでもアオノリュウゼツランが基本種,リュウゼツランはその変種なのである
4.リュウゼツランとアオノリュウゼツランは区別しよう
リュウゼツランに花が咲きました,というような場合,よくよく確認しないと,リュウゼツランではなく,アオノリュウゼツランという場合がけっこう多い,アオノリュウゼツランは生育速度も速く,株が大きくなれば10年以下の株でも開花するから,あまり珍しいこととも言えない
斑入りの方のリュウゼツランも花が咲かないわけではないが,アオノリュウゼツランに比べたら,その頻度は低い,葉の緑色の部分が少ないから葉緑素が少ないのだろうか,アオノリュウゼツランに比べたら生育も緩慢である,こちらに花が咲いたら,そこそこ珍しいので話題にして良いと思う
5.アオノリュウゼツランの生命力
ちなみにアオノリュウゼツランにかぎらず,アガベの仲間は繁殖に関して,ものすごい機能を持っている,開花は数年に一度だが,種での繁殖以外にも,球芽(ムカゴ)といわれる子株をばらまく繁殖方法もあるし,また地下茎を伸ばして子株を作ることもできる,つまり3つの繁殖方法を備えている
極めて強力な子孫を残すシステムに驚いてしまう,またアガベは光合成に関しても,日中は気孔を開けると水分が失われるので,気温の低い夜間に二酸化炭素を取り込むという,非常に複雑なCAM型光合成という,水分の少ない砂漠等の過酷な環境に対応した光合成システムを持っている,驚愕である
6.おわりに
とりあえず要点をまとめると,全体が青いほうが,和名でアオノリュウゼツランと呼ばれるアガベ・アメリカーナの基本種であり,斑入りの方は和名ではリュウゼツランとあたかもアガベ・アメリカーナの基本種みたいな名前で呼ばれているが,あくまでアオノリュウゼツランの変種である