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2024年03月20日

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 [ ハンス・ロスリング ]



★★★★★
本の概要

事実に基づく世界の見方を教えてくれる本。世界にまつわる多くの勘違いを是正することも目的としている。
データに基づいた様々なチャートが用いられている。
世界について勘違いしやすいことに関するクイズも多く掲載されている。
章ごとの最後にまとめセクションがある。
同様の目的のために設立されたギャップマインダー財団の創立者であるハンス・ロスリングと、その共同創立者である息子夫婦による共著。
2021年1月6日時点で、日本で累計100万部に達したとのこと。
感想など

気になっていた本をやっと読めた。最初から最後まで、大変興味深かった。とても多くのことを学べた。世の中に対して持てる希望も増えた。
世界の人々に関して、これまで我々がどれほどまでに勘違いしていたのかということを突き付けられた。賢人的な肩書の人々でさえ多くの勘違いをしていたという事実。

一番印象的だったのは、やはりギャップマインダー財団およびこの本による独自のチャートだ。事実データに基づいているのはもちろんのこと、感覚的にとても理解しやすい。

この本のメインたる、人間がいかに様々な「本能」にとらわれているか、というところもかなり興味深かった。原始時代とかには役立ちまくったであろうこれら「本能」も、この現代社会においては社会に対する事実誤認の原因になってしまう。
自分自身を冷静に振り返ってみたら、これら「本能」は確かに自分の中にあると感じた。だからこそ「ファクトフルネス」への意識が必要なのだ。

また、データを用いた本でありながら、「数字だけに頼ってはいけない」とちゃんと警告してくれているのもありがたい。

現状のマスメディアやジャーナリズムについても納得できた。センセーショナルなニュースだけが飛び交ってしまうのは、もはや仕方がないということを。
だからというのもありギャップマインダー財団が立ち上げられたのだろうし、このような読書等を機に一人一人が事実に基づく世界観を持ち始めることが大事なのだろう。
インターネットが広がっている今、他にもそういった取り組みはあると思う。ギャップマインダー財団もそうだろうし、公平な事実を求める人たちからお金を集めて運営されることが一つの道なのだと思う。

現代の特に社会的なことについては、自分の中の情報を随時アップデートすべきということも改めて分かった。
私は約20年前に国際関係学部を卒業したが、その時に学んだ時事情報や国・地域情報だけではもはや古すぎるということだ。当たり前と言えばそうなのだが、ついついこれまでのイメージだけで決めつけたがってしまうのも人の「本能」。
とはいえ随時アップデートというのも大変だ。そんなとき、ギャップマインダー財団のこういったチャートなどが素早い理解と知識獲得に役立つのだろう。
こういった社会学の分野に限らず、様々な分野において、そういった知識アップデートの効率化により役立つツールが世の中でどんどん出てくればよいと思う。

翻訳品質についても、とても読みやすかった。

なお、脚注には複数のURLが掲載されている。
これらURLの中で一番良かったジャンプ先は、ハンス・ロスリング氏自身による説明の動画ページだ。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドクっぽい(^O^) 快活でユーモアに溢れていらっしゃる。
脚注内の他のチャートへのリンクについて、2024年の時点ではリンク切れ状態だったり、改訂中のためにコンテンツが無いページもいくつかあるが、2019年が初版なのでやむを得ないだろう。

2023年01月01日

マンガ 財政破綻論の大嘘

マンガ 財政破綻論の大嘘 単行本(ソフトカバー)
★★★★★
本の概要

マスメディアなどにより長年言われ続けてきた財政破綻論。それが嘘だということを事実と客観的なデータを使って暴いていく様を描く。テレビ局のADが主人公のストーリー仕立てな漫画となっている。主人公や彼女を取り巻く人々のほとんどは架空の人物だと思われるが、彼らの話の対象となる人々については本名で語られる。
感想など

三橋貴明氏監修ということで読んでみた。氏の過去の著書の内容を漫画化したものだろうか。マンガというのもあるせいか、読みやすかった。

私は経済の専門家でも経済学士でも経済マニアでもフリークでもないので、世の中で経済に関して言われていることについて一体何が本当なのか、確信を持つことは難しい。しかし40年ほど生きてきて、自分や周囲を見渡したとき、やはり経済的に違和感を覚えざるを得ないことは多かった。
例えば、若い頃にテレビの週刊こどもニュースを見ていて、「国の借金」という言葉を何度も聞かされたように思う。他のテレビ番組などでも何度も言われてきた単語。そして、それは国民一人一人が背負うみたいな印象を植え付けられてきた。

それから実際にも様々に、あまりよろしいとは言えない経済的な体験をしてきたり見聞きしたりしてきた。就職氷河期から始まり、薄給、ブラックやそれに準ずる労働環境、増える非正規雇用、ICTの遅れ、設備やインフラの老朽化や抑制、そして老後資金問題や年金問題、非婚化や少子化、その他様々な日本劣化の一端だと思われるニュースや情報、などなど。
そういうことを通して、政治や経済の様々な専門家がいるはずなのになぜこのような状況が続くのか、という疑問をうっすらとだが常に持たざるを得なかった。

そして結局、あの頃から連呼されている「国の借金」とやらが本当は一体何なのかがよく分からず過ごしてきて、でもなぜかまだ日本は滅びてはおらず、しかし少しずつ貧しい方向に向かっている。そんな謎に薄暗い世相を直に感じ続ければ、そろそろいい加減、その原因と対策をはっきりさせたいという気持ちにもなってくる。そんな気持ちから、この本を手に取ってみた。

内容は期待通り面白かった。マンガではあるが、グラフやデータもしっかりと出てくる。この手の話によく登場する、元凶の一人たるお馴染みの人物もまた出てくる。

しかし説明系の漫画とはいえ、若いADの主人公が専門的なことをめちゃくちゃ饒舌に論じ続けたり、大物解説者を楽々と論破したりする様にはけっこうウケた(;^ω^) しかしその内容は本当に興味深く、とても説得力がある。本当の意味で日本の経世済民が成される方向に向かってほしいと、改めて思った。
タグ:財政破綻論

2022年09月25日

ニッポン没落のカラクリ

本の概要

この本のサブタイトルや帯書きにある通り、日本のこの失われた30年が「改革」という名の売国政策によるものであるということと、その経緯・変遷や解説などが述べられている。
この著者自身が令和3年に行った講演に基づいた内容であるとのこと。
★★★★
感想など

とても分かりやすく簡潔に書かれている印象を受けた。元凶となったという過去の日本のリーダーらの名前もきちんと書かれている。改革は諸刃の剣であるということもよく理解できた。

私はアラフォーだが、そのうちの4分の3である30年が「失われた」と言われているし、その間確かに違和感もあったし、今や確かにそうだおかしいと実感できるのだから、そろそろその元凶を特定して本気で解決・修復してほしい・したい、という気持ちも当然さらに高まってくる。そんなとき、この本を手に取ってみた。
これまでも、同様なことを同様の立ち位置から取り扱った本やメディアは見聞きしてきたが、これほどまでにこの問題について全体的に分かりやすく納得しやすいものはあまりなかったと思う。
ただしその分、個々の事柄の細部やさらなる深部を知るには、他の情報源にも多数あたる必要はあるだろう。

なお、この本のタイトルをワールドワイドウェブで検索してみたところ、全然別だけど似たタイトル名の書籍『ニッポンのカラクリ! 』という本がひっかかってきたのには偶然にしてもウケた。なぜならそちらの著者は、この本『ニッポン没落のカラクリ』においてもろに名指しで指摘されている人物であるから。

人は過ちを犯すものだが、それを正すことができるのも人間だ。30年という期間はそれにしても長いと感じるが、そろそろ本気で修復・改善し、悪しきものから良いものを防衛していかなければならないのではないか。それには、できるだけ多くの日本人がこの本に書かれているようなことへの気づきを持ち、修復・改善・防衛していく気概が必要なのだろう。
タグ:没落

2020年06月19日

覇権・監視国家──世界は「習近平中国」の崩壊を望んでいる

覇権・監視国家──世界は「習近平中国」の崩壊を望んでいる (WAC BUNKO 316)



★★★☆☆
本の概要

中国共産党の現在の目論みや活動、そしてそれに対する中国以外の国々の動きなどについて書かれた本
感想など

この本を読んで、日本のテレビなどではほとんど報道されない中国共産党の企てやその危険性を、改めて認識できた。
彼らは覇権を握るため、実に様々な手段や方略を用いているということが分かった。その中にはやはり、狡猾なものが数多く含まれている。
それに対してファイブ・アイズと呼ばれるネットワークが活動しているということを、今回初めて知った。それはアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで構成されている。
それに比べて日本はこの辺りの事柄に関してかなり脆弱かつ鈍感であるということも、改めて認識できた。日本ももっと危機感を持たなければ危うい。

全体としてとても興味深い内容だった。

ただし、本としてはちょっと読みにくいと感じた。一文が長かったり、話の流れがちょっと分かりづらかったりと。せっかくの内容なので、もう少し分かりやすかったらもっと面白く読めたと思う。
またこれは私の問題なのだが、中国人の漢字の名前が全然頭に入ってこなかった・・。せめて読み仮名でもあればなあと思う。

ところでこの本によれば、中国共産党もファーウェイらの5Gなどを利用しつつ、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』を彷彿とさせる監視社会に向かっているとのこと。
そしてちょうどこの本を読んだ直後くらいにたまたま『攻殻機動隊 SAC_2045』を見ていたら、同じ『1984年』の本が劇中に出てきた!
なので、その映画版『1984』を猛烈に見てみたくなった
タグ:中国共産党

2020年03月10日

先読み世界情勢 2020年の10大予測

★★★★☆
本の概要

国際政治学者の藤井厳喜氏の語り起こし。2020年の世界情勢や国際情勢は一体どうなるのか、に関する藤井氏の予測が、10項目に分かれて記されている。
ダイレクト出版の本。全74ページ。
感想など

とても分かりやすく読みやすかった。
台湾の総統選挙の結果など、この本に書かれている内容の一部については、既に実際にその予測通りになっている。(2020/3時点)
読んだときは、他の予測についても、きっとそんな感じになっていくんだろうなあ、と思った。
また日本のことに関しては、予測だけではなく提言もなされている。

しかしコロナウイルスのことについては、藤井氏にとってもやはり予想外の大事件であった模様。2019年12月に作成されたこの本に、そのことは当然記されていない。このことにより、他の予測の内容が実際にはこれからどのように動いていってしまうのかが気になる。 少なくとも、悪くなるという予測は、より悪くなる、という風になってしまうのかな・・。
タグ:2020年

2019年10月12日

日本経済2020年危機 経済学の「嘘」が日本を滅ぼす

日本経済2020年危機 経済学の「嘘」が日本を滅ぼす



★★★★☆
本の概要

三橋貴明氏による、大手メディアではほとんど言われない日本経済のリアルに迫った本
キーワードは、デフレ、GDP、安倍総理、プライマリーバランス、消費税、財務省、生産性、インフラ、財政拡大、など。
感想など

私は経済に疎い方だと思うのだが、そんな私にとってもとても分かりやすく、読んでいて納得できる内容だった。
この手の話を見聞きするたびに、理にかなっていて本質を突くような良質な情報を選びとる大切さと、自分自身でものごとを考えて判断するという大切さを、いつも痛感させられる。
この20年間は、失われた〜みたいによく言われるように、やはり日本は相当損をしてきたんだなあ、ということが改めて分かった。
でも三橋氏の提言などを読んでいると、徒労感だけではなく、希望も見えてくる。
氏の別メディアでの話も合わせて聞いていたりすると、本の内容がよりよく理解できると思われる。

私自身は氷河期世代なのにもかかわらず、この間まではこのような情報にあまり詳しくなく、主に時勢的なものによるぱっとしない感には甘んじるのみで、それを糧にした攻めの姿勢に自分自身をあまり転換できていなかった気がする。今後はこの本のような情報を、実際的な糧としてはもちろん、共感や尊敬、そして真実への好奇心から来る充実感を伴う精神的な糧ともすることでより前向きに色々と取り組んでいきたい、と思えた。

三橋貴明氏の他の本

国民を豊かにする令和の政策大転換


タグ:経世済民

2013年08月18日

日本国憲法を口語訳してみたら

日本国憲法を口語訳してみたら

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★★★★☆

面白かった。口語だと頭の中にすーっとスムーズに入ってくるから不思議。
口語といっても、相当砕けた若者調の言葉だったけど・・・ でもその思い切って崩した感じが良かったと思う。中途半端になるよりは。

私個人としては、恥ずかしいことにこれまで日本国憲法をまともに読んだことがなかったふらふら でもこの本のおかげで、苦もなく初めから終わりまで読むことができた。
口語と原文が見開きの左右に載っているので、原文もすぐに確認することができる。口語を読んだ直後に原文を読むと、これもスムーズに頭に入ってくるから不思議。

歴史漫画シリーズみたいに、もともとお堅い本をこのように砕けた口語に直したシリーズが今後出てくると、けっこうヒットかも本

これに乗じて色々な法律の内容とかも口語訳されて欲しい。あと『資本論』とか『社会契約論』とか、有名な昔の本で難しそうだけど興味をそそる本とか、それ以外のジャンルでもこういうのが出てくれたらけっこう読みたいかも本

この本では口語訳以外にも、日本国憲法に対する著者の考えがコラムやコメントとして掲載されているのもよかった。
それによると、最近の生活保護の問題については、たったの0.39% の不正受給者のために全体を削られてしまいそうになっているらしい。そう考えると、テレビの報道の大きさや、特定の芸能人にスポットを当てて咎めるとか、そういうことをするメディアや政治に対して、どうしても陰謀的なものを感じてしまう・・・。また、他人の不幸やひとたび攻撃の的になったネタにはとことん食らいついていくという、人間の嫌な部分とか。

あと、憲法第9条についてもコメントされていて、それを読んで私が思ったのは、やはり9条の内容と自衛隊との関係。
進んで戦争しないにしても、万が一のときのために自衛隊的なものは絶対に必要だと思うけど、9条を文字通り解釈すると、やはり矛盾が生じてしまっているんじゃないだろうか。具体的にいうと、「戦力」って言葉にひっかかる気がする・・・。
でも自衛隊的なものは必要なので、9条の良さを生かしつつも、矛盾を無くすべくちょこっと文を修正するくらいはした方がいいんじゃないだろうか。
でないと憲法の他の部分も今後ゆるく解釈されることで、民に良くないことがなされてしまうかもしれないし・・。

ところで、24歳の現役大学生が書いたということで、知識の蓄積度と頭の柔らかさが一番バランスよさそうな年齢に思えて、若者独特の可能性を持っていることに、30代の私としては少しうらやましく思えた。


大阪おばちゃん語版

日本国憲法 大阪おばちゃん語訳

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タグ:憲法

2012年08月14日

それをお金で買いますか――市場主義の限界

それをお金で買いますか――市場主義の限界

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★★★★★

モノと情報がこれでもかとばかりに溢れる時代。さらには、様々な金融商品やら色んな口述業者とか広告業者とか、絶妙な隙間を担ぐ仲介業者とかが、これでもかとばかりに巧みなサービスや急進的な戦略で、世の中をかき回している。
そんなことを長いことひしひしと感じていたところに、この本のタイトルが目に留まった。

原題が"What Money Can't Buy" に対して、邦題がこれである。日本語に翻訳されたときにタイトルが過剰に演出されるパターンに今までいくつか遭遇しているので、その点については少しだけ嫌な予感がしたが、いやいや中身はとても興味深いものだった。

内容を一言二言でいうと、人々がお金で売買するまでもなく今まで自主的に普通にやってきたこととか、従来なら賄賂っぽいとされてきたことを、市場原理の効率法則みたいなものに従って何でもかんでも売買の対象にしてしまうと、不平等や腐敗が起こるよ、ってことである。

紹介されていた事例はというと、私が期待していた部分よりもさらに外郭の部分のお話だった。それは、野球の特等席だとか、ダフ屋だとか、命名権だとか、保険の転売だとか、誰かや何かの死や致命的被害を予想する賭博だとか、まあ言うなれば少し極端な部分のことだった。

それでも、それらが相当な勢いで今の世の中に増えていっているんだということが分かった。おそらく、日本よりはアメリカがこういう分野でも先をいってるんだろう。日本ではまだ広まっていると感じられない事例も多かったが。
でも命名権については、身近では「東京スタジアム」→「味の素スタジアム」になってたことを思い出したりした。
しかし、それらは分かりやすい氷山の一角であって、根ざしたものはすぐ身近にもある気がする。

本書は、経済をテーマに、市場に関する原理主義に対して問題定義をしていると言える。
しかしこれらの根本的な問題は、経済界に限らず、他の分野にも言えると思う。
たとえば、原発推進とか、宗教・思想的な問題とか。
つまり、あらゆる分野に少なからず内在する原理主義に対する問題提起や批判をするためにも、応用できるお話だと思う。
現実を一定の頻度で顧みない、もしくは顧みても何もせず「原理に従えばすべてうまくいく「はず」だ」という原理主義は、何につけても危険な考えだろうと思う。

サンデル教授の中ではほとんどの問題提起に対する答えが既に決まっているのであろう。しかし、そこを敢えて読者に回答権を委ねることにより、民主主義的ないくつかのことを彼は実践しているのではないだろうか。
一つは、あくまで一人ひとりが社会が抱えている重要な問題について考えるべきだということ。もう一つは、強制的な回答渡しでは受け手が納得しきれない可能性があることに対する考慮だろうか。
また、読者との対話との中で、新たな可能性が開けてくることもあるのだろう。例え同じ講堂にいるのではなくても、出版した時の反響は大きいのだろう。

しかし、なかなかもどかしかったところもある。この本ではあまり書かれていなかったこと。それは、なぜ「友情」とか「寛容」とか「愛情」とか、そういう道徳的と言われることを腐敗させるのはよくないことなのか。その答えは当たり前すぎて、言うまでもないことなのかもしれない。でももう少しそこに踏み込んでもよかったと思う。
でもそこは、また違う大きなテーマに踏み込んでしまうことになるので、本書に書ききれないことなのかもしれない。社会心理学の領域とかなんだろうか。

あと、繰り返しを多用していた。本書の結論的なことがらを、各章の各事例ごとに繰り返していた。それほど大事なことなのだろうが、少ししつこい感じもある。その代わり、頭の中にその内容を深く刻みこまれた。
これも、優れた話術や文章術ということなんだろうか。

訳書独特の感じはしたものの、こういうテーマを扱う訳書としては分かりやすかったと思う。翻訳の技術にも感服した本


文庫版

それをお金で買いますか (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

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2010年07月21日

マインドコントロール 日本人を騙し続ける支配者の真実

マインドコントロール 日本人を騙し続ける支配者の真実

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★★★☆☆

おかしいと思いつつも日常に埋もれてしまう違和感がある。これに対して冷静になって向き合い、自分の頭や感覚を使って考えてみること犬
そういうことがめちゃくちゃ大事なんだなあと、改めて気づかされた。
それが、この本を読んで一番良かったことぴかぴか(新しい)

『パール・ハーバー』がプロパガンダ映画だということについても、筋が通った書き方をされていた。私はたまたま先月観たばかりだったので、そのタイミングに驚くとともに、とても興味深かった。

私が実際に『パールハーバー』を観ていたときに、何か変だなあと違和感を感じながら観ていたのにもかかわらず、観終わった時にはどうでもよくなって、単なるエンターテイメントとしてこの映画を捉えることしかしていなかった映>画
でもこの本を読んで、私のそんな惰性な観賞法に喝が入れられた感じがしたどんっ(衝撃)

次に注目すべき点は、この本に書かれている情報が真実か否かということ本
著者の経歴や語り口から、きっと真実なのだろうと思いたくなる。

ただ、それらの情報をどこから引っ張ってきたのかという記述が、少なすぎる気がした。
また、裏付け作業があまり無く、全てストレートな文章で真実と断定しているような述べかたをしている部分が多かった。そこが少し気になった。

しかし、著者の頭の中に膨大な知識量と確固とした考察や経験があるんだとしたら、過去に参照した参考文献など改めて引っ張り出さずとも、すらすらと自信を持って真実として堂々と述べることができるんだろうね。

また、私としても、裏付けが少なくとも、自分がもともと感じていた違和感や疑問点と一致している点が多かったので、意外とすんなり納得したり共感しながら読むことができた。
あと、著者の経歴や語り口や、鋭い着眼点などから、きっと真実なのではないだろうか、と信じたい気持ちにはなる。
流れの本質をとらえようとする著者の姿勢にも共感できた。

ただし、一般的にはオカルト分野とされている話題にまで少しだけ踏み込んでいる箇所があった。そこはさすがに、裏付けが何も書かれていないと、首をひねりたくなるバッド(下向き矢印)
そこも、なんとなく言いたいことは分かった。でも、少なくとも今の一般書籍としては、やや抽象的すぎるんじゃないかという表現もあった。勿体ない気がした。

また、日本、特に江戸時代以前に関するの記述からは、やはり著者は日本人であるからか、かなり日本びいきな感じがした。
良く言えば、日本を愛する気持ちがとてもよく伝わってきた。
悪く言えば、やや日本びいきしすぎ。
いや、もしかしたら、今まで西洋が日本に与えてきた自虐的史観への洗脳に比べたら、これくらいの日本びいきは、むしろ必要なのかも。

でもとにかく、世の中がマインドコントロールで溢れかえっているというのは、どうやら真実のよう。
この本を読むことで、水をぶっかけられた感があって、なんだかすっきりしたクリア
こらから考え生きていく上での糧になりそう右斜め上

続編?

マインドコントロール2 今そこにある情報汚染

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タグ:洗脳

2010年07月04日

デジタル社会はなぜ生きにくいか (岩波新書)

デジタル社会はなぜ生きにくいか (岩波新書)

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★★★★☆

デジタル社会、というかPC/ネットワークベースな社会における、色々な不満点や非効率的な点や不幸な点を、片っ端から羅列して、それぞれ詳細と所感を述べている感じペン

読んだきっかけとしては、私がデジタルというか今日のPC/ネットワークベースな社会に対して、不満とイラだちと、それらによる社会の持続可能性に対する憂いを、ここ何年も感じていたので、それを共感してくれるこの本のタイトルを偶然にも発見し、即座に読むに至った本

この本の著者は、コンピュータやネットワークの研究者である。
いわゆるPC難民の人がこの本に書かれているようなことを言ったら、単なる愚痴に終わるかもしれない。しかしこの本は当然ながら、コンピュータの研究者という実績を持つ人が書いているからこそ、説得力がある。それに内容は勿論、技術的/知識的に、専門的な部分を含んでいるCD

ちなみに私自身も、子供時代からけっこうどっぷりPCやネットワークに慣れ親しんできたデジタルネイティブを自負しているので、多少は愚痴る資格はあると思っている。

この本に羅列されている多くの問題点は、コンピュータを使う多くの人々が既に感じていたり、既に考えたりしていることなのかもしれない。
しかしそれらの問題点が分析され、解決策が模索されているという点で、この本を読む価値がある。

書かれていた中で、最も根本的で、興味深い問題。それは、デジタル機器を作り出す「送り手」にある問題。これは、全般を通して書かれている。
ただし、実際の解決策としては、ほとんどは結局「受け手」が防衛策を張るというところまでしか書かれていない。

あと、問題の具体例として、実際にあったITにまつわる事件が、匿名で書かれている。それも違った意味で結構面白い。
あ!あのウイルス検知ソフトの誤検知暴走事件だw とか、わかると結構面白い。

読みながら、ほぼ全て項目に対して共感しながら読むことができた本
勿論、今のデジタル社会に何の不満もない人や無関心な人が読んだなら、正反対の感情を抱いたり、単に保守的と罵るだけで終わるかもしれないが。

IT化が進み、ITを称賛したり促進するための書物は、既に死ぬほど世に出ているペン
新製品や多機能化やバージョンアップをネタに、無限と思えるよな増殖。
しかし、それらの問題点を指摘しているこの本みたいなのは少ない。だからこそ興味深い。

内容に対してさらに欲を言うなら、人間や社会がどれほどまでの複雑さに適用できるのかとか、社会におけるデジタル製品の今後の開発に対するコントロールの必要性とか、その辺りにまで踏み込んでくれたら、もっと面白かったかもしれない。
とはいえ、それはもう脳科学や人類学や、社会学や経済学の分野なのかもしれないが。そうなると、技術的なバックグラウンドを持つ人だけではなく、他の分野からの知見が必要になるんでしょう眼鏡

ピンポイントで笑えたのは、各章の扉ページに書かれている、皮肉めいた一言。どれも際どく核心をついているような一言で面白い。
ペラペラとめくりながらこれらを読むだけでも、この本を手に取る価値はあるかもw

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