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2024年01月19日

浅草蔵前「元楽」は「背脂チャッチャ」でくくれない唯一無二の老舗

浅草から一駅離れた蔵前駅

すぐ近くにある「元楽」。いわゆる「背脂チャッチャ系」と呼ばれるラーメンの老舗です。

連日多くのお客さんが訪れ、品切れや時間前の閉店が多いことでも知られています。

外国人のお客さんが多いのも特徴。決して分かりやすい場所にあるわけではないのですが、おそらく外国のガイドブックなどで紹介されているのでしょう。

店内はいかにも昔のラーメン屋さんの佇まい。厨房はたいがいの時間は、年輩の男性が二人できりもりしています。



主な麺メニューは店名が由来の「元らーめん」と「楽らーめん」。簡単に言うと「元」が醤油ラーメン、「楽」が塩ラーメンということになるのですがこれがそれぞれ大変な個性

これが元らーめん。醤油の色が濃く、これが麺に絡むというよりも、麺にしっかりしみているかんじ。ところどころ、まだらに茶色に染まって焼きそばのような色になっている部分も。

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ちなみにこちらが「隠れ名物」の豚めし(小)とのセット

ラーメンでも使われるとろとろのチャーシューの御飯。ごま油とたれを好みでかけていただきます。のりの風味がいいんです。
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スープはとんこつがベース。拳骨の部分を使って、じっくり三日三晩煮込んだもの。そのほか鶏がら、椎茸などの野菜の味も感じられます。

色に似合わず、複雑で強度のあるだしにより、塩味を強く感じません。

そしてもちろん、網に載せた背脂をちゃっちゃと切ってたっぷりと。この甘みのある脂がたまらないんです。臭みがないのでしつこさを感じません。

とはいえ、らーめんの注文時は「(普通でも)こってりですがよろしいですか」と確認されるほどのこってり感。苦手な方は「あっさり目」と頼んだ方が良さそうです。



スープの個性をみるならこちら塩味の「楽らーめん」。見た目がいかにもクリーミーでインパクト十分ですよね。甲乙つけがたいけど、やはり総合的に味が充実している醤油味の「元」がおすすめです。

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ところで、いわゆる「背油チャッチャ」の代表格であり、お店自身も「チャッチャ系」を自称していたりもするのですが

ただ

このお店、その「系」でくくってよいものか、という気もします。「●●系」で表される流行の味は似てしまうものだけど、どうもこの言葉で表すのは気が引けるほど唯一無二の物だからです。

多くの「チャッチャ系」は、むしろスープは味気なく、抜けた感じがするお店もあります。それをたっぷりの背脂で覆ってごまかすような、どこか力技な感じがすることがあります。

しかしこのお店、背脂はあくまでハーモニーの一角。数十年にわたり作り上げてきたスープに調和しています。

元楽の伝統の味、ぜひ味わってみてください。

注意点としては、早めにしまってしまうことが多い、臨時休業もあるようです。また、チャーシューめんなど一部のメニューや大盛りなどができなくなるなどもあります。なるべく早めにいくことがおすすめです



2022年11月16日

日本堤「山谷酒場」で、人生のスパイスを味わう(情報更新につき加筆修正)

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今回紹介する居酒屋は、2018年9月に東京・台東区の山谷地区にオープンした大衆酒場、その名も『山谷酒場(さんやさかば)』です。

お店の紹介の前に、皆様は『山谷』という町をご存知でしょうか。

町といっても、現在行政区画として山谷という地区はなく、台東区の東浅草、日本堤、清川、橋場、荒川区の南千住を含む一画を指しています。





この地域は、大阪の釜ヶ崎、横浜の寿町と並ぶ「労務者のまち」として知られ、長年、日雇い労働者が早朝その日の仕事を得る「寄せ場」、またドヤと呼ばれる安い宿泊所、そして酒場が集まり、肉体労働に従事する人たちでにぎわっていました。

漫画『あしたのジョー』の舞台としても有名です。

作中、丹下団平は山谷で流れ者のジョーと出会いジムを構えます。名せりふ「泪橋を逆にわたる」の泪橋も山谷にあります(もっとも、いまは川も橋もなく、単なる交差点)。

しかし現在、山谷には寄せ場はほぼありません。産業構造の変化による建設現場の急減、また住民の高齢化等によりかつての男たちの活気は失われました。ドヤはかつての労務者が住むほか、安宿を求める外国人バックパッカーが集まり、客層もだいぶ変わっています。

前置きが長くなりましたが、山谷酒場は、この山谷の中心部にある商店街「いろは会商店街」にあります。

いろは商店会の入り口には「ジョー」像。「ジョーの街」として町おこししています。

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とはいえ、同商店街も、お世辞にも栄えているとはいえません。閉店した店舗が年々増え、とくに夕方以降はほとんど明かりが消えてしまいます。

そのジョー像のすぐ近くに山谷酒場はオープンしました。




夜は暗く寂しい商店街ですが、その中で山谷酒場は明るく、通りから店内がみえるオープンな雰囲気。

近くに「吉原」もあり「男性の街」の佇まいのある地域ですが、女性でも入りやすく、実際にお客さんは他の大衆酒場と比べても、女性の割合は高いように感じられます。

お店に入ると庶民的な丸椅子と長机があり、バナナやパイナップル柄のカラフルなテーブルクロスと、赤い壁の色彩が目に飛び込みます。

あえて調和を目指さない、雑多な華やぎに、どこか心が踊ります。

山谷酒場の店主さんは、以前は都内の他の場所で喫茶店を経営されていましたが、山谷に魅せられて喫茶店を閉め開業されたそうです。

喫茶店ではナポリタンなど料理の評判も高く、山谷酒場もおつまみのメニューはとても豊富。焼きそばやチャーハン、カレーなど食事メニューも充実しています。

また日替わり料理が用意され、当日にTwitterで紹介されることもあります。

とくにコロナ後は、テイクアウト料理も充実させており、プリンやクッキーなど、お土産にもピッタリなスイーツなどにも力を入れています

さて、このお店の料理には、ある大きな特徴があります

それは、一言でいうと「スパイシー」。

多くの料理で多彩なスパイスが使われ、独特の味わいになっているんです。

私がおすすめする必ず頼みたい料理を紹介します。それは

「ジャンル―(醤肉)」
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甘みのある醤油味の煮豚。脂身は多いですが、しっかり煮込んであるためしつこくはありません。そして、すっと鼻を抜けるスパイスの香味がアクセントとなっています。

そして私の一番のお気に入り(メニュー全て食べたわけではないのですが)は

麻婆豆腐!
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こちらもスパイスがふんだん。かなり辛いのですが、辛味だけでなく花椒や八角など?が効いていて、辛さだけではない奥行きがあります。





そしてスパイスを効かせているのは料理だけではありません。

実はお酒もなんです

山椒酒やカルダモン(しょうがの一種)酒などスパイスを漬けたお酒の数々。

なかでも山谷酒場で必ず体験してほしいお酒は

お店オリジナルの「山谷酒」。

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焼酎をベースに、数種の秘密のスパイスで風味付けをした一品です。

一口含むと、薬膳種のような複雑な風味、柔らかな刺激が口の中に広がります。

最初のアタックでくせの強さに怯むかもしれませんが、慣れるとどんどんハマっていきます。ぐっと舌を抑えるようなビターさで、辛い料理の刺激も緩和され、酒も食事もどんどん進みます。

飲み方は炭酸、あるいはウーロン茶わり、お湯割りなど。特にお湯割りにすると、立ち上る香気が鼻腔の奥を刺激してきます。
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はじめガツンと来るインパクト、そしてじんわりとしたしびれ感、後に残るさわやかな清涼感。それらが混然一体となった山谷酒に、この店の個性が集約されているといっても過言ではありません。

山谷酒をたっぷり楽しみ、お店を出てきたときの、残り香がほかの居酒屋とは全く異なります。ほかのどこでもなく「ああ、山谷で飲んだなあ」という感覚としていつしか刷り込まれてしまうのです。





このスパイシーな体験と山谷の関係についてもう少し考えてみます。

山谷酒場の店長さんは、長く飲食経営をしていたこともあり、徒手空拳ではなく、この場所にお店を出すことの勝算をかなり考えて開業されたと思うんです。

交通の便があまりよくない場所でもあり、この地域で生き残っていくには、わざわざ足を運ばせる独自性が必要であるということにも意識的なように思います

ですから、スパイスによるほかにない味付けは「差別化」という言葉であらわすことができます。しかし、そんなビジネス用語だけでは、文字通り味気ない。そう感じさせる「何者か」がこの味にはあるんです。

思うにこの味は、ただ奇をてらった趣向ではなく、まさにこの「町」を表現したものじゃないでしょうか。

独特の内装にもいえますが、山谷酒場が私を含め多くの人を引き付けているのは、店主さんが山谷という町の個性を自らのセンスでとらえ直し、新たな魅力として提示し、それが共感されているからだと思います。

人生の辛み、苦味といってはずいぶん陳腐ですが、スパイスの効いたメニューからは、この山谷に生きる人々、街の歴史がかもしだす空気そのものを、お店全体のコンセプトとして落とし込もうとする意志を感じるのです。

と、力んで書いてしまいましたが、料理もお酒もみんなウマいので、みなさまもぜひ

山谷酒場 東京都台東区日本堤1-10-6 
【交通】日比谷線三ノ輪駅から徒歩8分
南千住駅から徒歩10分、バス「吉原大門」
月曜・火曜定休(祝日など例外あり)



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