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2021年03月01日
【ねたきもの】
語釈
くやしくにくらしいもの
枕草子より
ねたきもの 人のもとにこれより遣(や)るも、人の返りごとも、書きてやりつるのち、文字一つ二つ思ひ(い)なほ(お)したる。とみの物縫(ぬ)ふ(う)に、かしこう縫ひ(い)つと思ふ(う)に、針(はり)をひき抜(ぬ)きつれば、はやくしりを結(むす)ばざりけり。また、かへ(え)さまに縫ひ(い)たるもねたし。
くやしくてしかたないもの、それは人のところにこちらから持たせてやった手紙にしろ、人からの手紙の返事にしろ、書いてだしてしまったあとで、手紙の文句(もんく)の一、二箇所(かしょ)の訂正(ていせい)を思いついたとき。大急ぎの仕立(した)て物を縫(ぬ)うときに、うまくできたと思ったのに、針(はり)を引きぬいてみると、はじめに糸(いと)のはしをとめていなかったり、また、きれを裏がえしに縫ってしまったりしたのも、くやしいことこのうえない。
図書
『枕草子』竹下政雄著
【なめげ】
語釈
無礼(ぶれい)な態度で。
枕草子より
受領(ずりょう)などの家に、さるべき所の下部(しもべ)などの来て、なめげいひ(い)、さりとて我をばいかがせんなど思ひ(い)たる、いとねたげなり。
国司(こくし)(=地方長官)などの家に、身分ある屋敷(やしき)の下男(げなん)などがやってきて、無礼(ぶれい)な口をきき、国司風情(ふぜい)では自分をどうにもすることができまい、などと思っているのも、とてもしゃくにさわるものだ。
図書
『枕草子』竹下政雄著
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