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2024年02月13日
2021年12月05日
【月のいとあかきに】
月がたいへん明るいときに
枕草子より
月のいとあかきに、川を渡れば、牛のあゆむままに、水晶(すいそう)などのわれたるや(よ)うに、水の散りたるこそを(お)かしけれ。
訳)
月がこうこうと照っている夜に、牛車(ぎっしゃ)で川をわたっていくと、牛の歩くのにつれて、ちょうど水晶(すいしょう)が割れたようにして川の水がとび散ったのは、じつに美しいものだった。
図書
『枕草子』竹下政雄著
2021年12月03日
【めでたし】
すてき、すばらしい
枕草子より
十月ばかりに、木立(こだち)おほ(お)かる所の庭は、いとめでたし。
訳)
十月ごろは、立ち木のたくさん植えてある家の庭は、とてもすてきなものだ。
図書 『枕草子』竹下政雄著
2021年12月01日
【競馬】くらべうま
毎年五月、武徳殿(ぶとくでん)で行われた。賀茂(かも)、石清水(いわしみず)の神事にも行われた。駒(こま)くらべともいう。
枕草子より
胸つぶるるもの
競馬(くらべうま)見る。
訳)
ひやひやして胸がドキドキするものは、競馬(けいば)を見るとき
図書
『枕草子』竹下政雄著
2021年11月07日
【しろがねの毛抜き】
眉毛をぬくための銀製の毛ぬき
枕草子より
ありがたきもの
毛のよく抜くるしろがねの毛抜き
訳)
めったにないもの
毛がよくぬける銀製の毛ぬき
図書
『枕草子』竹下政雄著
【そらごとする人】
語釈
よくうそをつく人
枕草子より
そらごとする人の、さすがに人のことなし顔にて大事請けたる。
訳)
うそつきの人が、それでも人のことをしてやるといった顔つきで、たいせつなことを引きうけたとき。
図書
『枕草子』竹下政雄著
2021年04月19日
【虫送り】
毎年夏頃になると田んぼに発生する虫(害虫)を、松明(たいまつ)や太鼓や人形などを使って、村の外れまで送り出す風習
詳細
虫送りについては、別のサイトにまとめてありますので、宜しければそちらをご覧下さい
>>千年先に残したい日本の美しい風景
図書
『火の昔』柳田国男著(海鳴社)
【御国を憂えたもうた和歌】亀山上皇
弘安御百首(こうあんおんひゃくしゅ)より
世のために 身をば惜しまぬ命とも
荒らぶる神は 照らし覧るらむ
よのために みをばおしまぬいのちとも
あらぶるかみは てらしみるらむ(ん)
訳)
世の中のためには、自分の身ひとつは、どうなってもよいと思っていることを、力づよい神さまは御照覧(ごしょうらん)になることであろう
詠み人
亀山上皇(かめやまじょうこう)
*亀山上皇は1305年に崩御されました。
図書
『和歌ものがたり』佐佐木信綱著
2021年04月02日
【春の和歌】紫式部
『源氏物語(胡蝶の巻)』より
春の日の うららにさしてゆく舟は
棹のしづくも 花ぞちりける
訳)
春の日の光がうららかにさし、花の影の映っている池の面(おも)をゆるやかに棹(さお)さしてゆく舟は、棹をつたってこぼれ落ちるしずくまでが、花の散るのかと思われる。
『和歌ものがたり』より
源氏物語の中には、七百九十余首の歌が入っています。ここにあげたのは、源氏物語の中の胡蝶(こちょう)の巻にのっている歌で、物語のなかで姿も心も一番美しい紫上(むらさきのうえ)という夫人の住む六条院(ろくじょういん)の庭に、秋好中宮(あきこのむちゅうぐう)という、これも美しいお后(きさき)を迎えて、花の盛りに池に舟をうかべてお遊びのあった日に、女官の一人が詠んだことになっています。
「さしてゆく舟」の「さして」には、日がさすことと、棹(さお)をさすこととが、つながるようになっています。
「うらら」「うららか」という言葉は、千年の時を経た現代でも心地良く穏やかな響きが伝わってきます
図書
「和歌ものがたり」佐佐木信綱著