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2020年03月21日

Self-isolation, Day 3; 厚生労働省が発表した新型コロナウイルス感染症対策専門家会議による「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」

 Self-isolation (まだ3日目ですが…)期間中の私の頭の中は否が応でも7〜8割方がCOVID-19によって占められています。感染症の専門家ではないものの、元来がヘルスケア関連の研究者だということもありますが・・・。

 3月20日夕方5:30 (EDT)に更新された最新情報(毎日2回更新されます→こちら)では、オンタリオ州の陽性例は311例(この他に改善5例、死亡2例)と午前中の数字から3例増えています。これまでの検査施行19,511例のうち陰性13,718例、検査結果待ち5,475例ですから、検査結果判明例のうち陽性例の割合は (311+5+2) / (19,511-5,475) = 2.3% となります。

 一方日本国内(国内事例+チャーター便帰国者事例)の状況は、厚生労働省の集計によると検査施行18,844例のうち陽性例943例(うち無症状者が101例)で、陽性率は5.0%です。日本とオンタリオ州の検査陽性率、また対人口比検査施行数(オンタリオ州の人口は1457万人、日本の人口は1億2480万人)を単純に比較すると、日本はやや検査数を絞っているとは思いますが、把握できていないケースが非常に多いかというとそうでもないように思います。つまり、日本の陽性率が高いのはより事前確率の高い人々に対して検査を施行していることを示しており、逆に検査対象となっていない人に検査を施行した場合の陽性率は5.0%を大きく下回ると予想されます(これを厳密に示すためには母集団のランダムサンプリングのデータが必要ですが、少なくとも重症肺炎が急増しているという話は聞こえてきません)。

 前の記事で欧米での人工呼吸器不足に対する危機感を取り上げましたが、日本での分析・方針はどうなっているのかを確認すべく、昨日厚生労働省が発表した新型コロナウイルス感染症対策専門家会議による「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(原文は→こちら)を読んでみました。

 まずintroductionではCOVID-19についての性質とその公衆衛生上の問題点を概説しています。
・罹患しても約 80%の人は軽症で済むが、5%程の方は重篤化し、亡くなる方もいる。高齢者や基礎疾患を持つ方は特に重症化しやすい。
・これまで世界で 19 万人以上の感染者と、8,000 人近い死亡者。
・特に、気付かないうちに感染が市中に拡がり、あるときに突然爆発的に患者が急増(オーバーシュート)すると、医療提供体制に過剰な負荷がかかり、それまで行われていた適切な医療が提供できなくなる。

 その上で、この提言は「オーバーシュート」を「回避し、できるだけ被害を小さくするための提案」であると要約しています。

 次に基本方針として次のことを述べています。

・現時点では、社会・経済機能への影響を最小限としながら、感染拡大防止の効果を最大限にするという、これまでの方針を続けていく
・「@クラスター(患者集団)の早期発見・早期対応、A患者の早期診断・重症者への集中治療の充実と医療提供体制の確保、B市民の行動変容、という3本柱の基本戦略」を維持、必要に応じて強化
・国内に持ち込まれる新型コロナウイルスへの対応、国内でのクラスター(患者集団)の感染源(リンク)が追えない事例が発生していることなどへの対策

 そしてこれまでの施策の評価を行っています。

・北海道では緊急事態宣言の前後で、「実効再生産数(一人の感染者が生み出す新たな感染者の数)を推定すると 0.9(95%信頼区間:0.7-1.1)から 0.7(95%信頼区間:0.4-0.9)へと減少した。
 →緊急事態宣言を契機に人々が行動を変容し、事業者も迅速に対策を講じたことにより、一定の効果があった。

・日本全国の実効再生産数は、1をはさんで変動している状況が続いたものの、3月上旬以降をみると、連続して1を下回り続けている。
 →大規模イベント等の自粛や学校の休校等の直接の影響なのか、それに付随して国民の行動変容が生じたのか、その内訳までは分からないものの、一連の国民の適切な行動変容により、国内での新規感染者数が若干減少するとともに、効果があった。
(*一般に感染症は実効再生産数が1を下回ると収束に向かうとされています。)

 しかし現状は決して楽観できるものではないことを続けて説明しています。

・感染源(リンク)が分からない感染者の増加が生じている地域が散発的に発生している。
・この状況が増加していくと、どこかで爆発的な感染拡大(オーバーシュート)が生じ、ひいては重症者の増加を起こしかねない。

 そしてラテン・ヨーロッパの例を引き、オーバーシュートの怖さを説明しています。

・オーバーシュート(爆発的患者急増)が始まっていたとしても、事前にはその兆候を察知できず、気付いたときには制御できなくなってしまう。
・オーバーシュートが起きると、医療提供体制が崩壊状態に陥り、この感染症のみならず、通常であれば救済できる生命を救済できなくなる。
・爆発的患者急増が起きたイタリアやスペイン、フランスといった国々では、数週間の間、都市を封鎖したり、強制的な外出禁止の措置や生活必需品以外の店舗閉鎖などを行う、いわゆる「ロックダウン」と呼ばれる強硬な措置を採らざるを得なくなる。

 オーバーシュートについては、下のグラフ(「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」から引用)が全てを物語っていると思います。ある時点で感染者数が指数関数的に増加してしまうと手が付けられなくなることを如実に示しています。

 
イタリアに続いてフランス、スペイン、ドイツで患者数の急激な増加が認められています(ドイツでは死亡数は少ないようですが・・・)。この「オーバーシュート」を避ける施策が重要です。20200321_CumulativeNumberofCasesperNation.png


 ここ数日、カリフォルニア州、ニューヨーク州で急速に強硬な措置がとられていますが、既にオーバーシュートが始まっていることを前提としているものと思われます。

 提言書では、悪い想定のシナリオと人工呼吸器の整備については下記のように述べています。

・基本再生産数が欧州(ドイツ)並みの2.5程度であるとすると、人口10万人のコミュニティでは、軽症者・無症状者を含めて流行 50 日目には 1 日の新規感染者数が 5,414 人にのぼり、最終的に人口の 79.9%が感染する。
・呼吸管理・全身管理を要する重篤患者数が流行 62 日目には 1,096 人に上り、この結果、地域における現有の人工呼吸器の数を超えてしまう。
・ただし、今回の推計に基づき各地域ごとに人工呼吸器等を整備するべきという趣旨ではなく、今回示した基本再生算数がもたらす大幅な感染の拡大が生じないよう、クラスター対策等強力な公衆衛生学的対策を講じることで、これから各都道府県が整備しようとしている医療提供体制を上回らないようにするべき。

 人工呼吸器をすぐ増産する、というのではなく、あくまでも「クラスター対策等強力な公衆衛生学的対策」により「オーバーシュート」を防止する、と言う立場のようです。私個人としては、これまでの緻密なクラスター対策が効果的であったことを評価する一方、これは非常に手間と時間がかかる作業であり、どこかで破綻してしまうことを危惧しています。特に欧州・北米で感染がこれだけ感染が広がっている現状では、流入者を起点として、どこかで指数関数的な感染者増加が発生する可能性は常に考えておかないといけないと思います。

 そして今後個々人が遵守すべき対策としては、下記の3つの条件が重なる場を避ける努力を重視しています。(Social distancingに加え、換気の重要性を記している点が良いように思います。)
  @換気の悪い密閉空間
  A多くの人が密集
  B近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声

 これも個人的な意見ですが、日本での社会規範を守ろうとする強い意識・無言の強制力(横並び意識)、そして人混みの中では大声での会話を避ける傾向が結果的にCOVID-19では良い方向に作用していると思います。例えば、今回の一時帰国中でも電車に乗っている80-90%ほどの人はマスクを着用しており、無症状者・軽症例から感染が拡大するこの感染症の性質を考えると、非常に理に叶っていると思われます。また、今後日本が温暖な気候になり、室内換気がより促進すると思われるのもプラスに作用すると期待されます。

 しかし、基本再生産数が少し増えると感染者数が爆発的(指数関数的)に増えることになるため決して油断できません。日本は北海道を除き行政からの強制力をもった施策は一斉休校だけのように思われますが、個々人の規範に頼るだけでは、自粛疲れも出てくるでしょうし、限界があると思います。先ほども述べたように、特に現状で中国を上回る流行地になっている欧州、そしてそれに続きつつある北米からの渡航者に対するより踏み込んだスクリーニング、施策が必要なのではないでしょうか? あ、カナダに住む私たちが帰国する時にはスクリーニングの対象になってしまいますね・・・。尤も飛行機も運休する状況では日本に帰る術もなくなってしまうのですが・・・。



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posted by 霧ヶ峰 at 00:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | COVID-19
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