人間関係の心理学

_PaulS_

仲間集団をひいきする心理

仲間集団と書きましたが、社会心理学では自分の所属する集団のことを内集団と言います。

内集団とは自分が所属している集団のことです。
例えば、女性、若者、高卒、○○大学出身、神奈川県出身、日本人などが内集団になります。

「内集団びいき」は自分が所属している内集団をひいきする現象です。

内集団びいきの具体例

ある女性は、「男性は気が利かないけど女性はよく気が効く」と主張します。

ある若者は、「年寄りは威張るだけで仕事ができない」と主張します。

ある高卒者は、「大卒なんて頭でっかちで仕事ができない」と主張します。

ある田舎出身者は、「田舎の人はやさしくて都会の人は冷たい」と主張します。



こうした主張は内集団びいきによるものかもしれません。




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なぜ内集団をひいきするの？

なぜ、内集団をひいきするのでしょうか？


自分が所属する集団（内集団）とそれ以外の集団（外集団）とを分けて、
内集団を肯定的に評価します。

そうするとそこに所属する自己評価も高まります。


しかし、集団に所属していることに恥ずかしさや嫌悪感を感じる様なアイデンティティを持つと、
所属している集団の地位が上がるように試みたり、所属している集団から離れようとします。

例えば、田舎育ちの人が、自分の田舎に自信を持っていれば、堂々と田舎出身だと言うでしょう。
しかし、田舎育ちであることに恥ずかしさを感じている人の場合はどうでしょう？

田舎育ちの人は、田舎の良い所をアピールしたり、
反対に田舎育ちであることを隠したり、都会にいる時間が長いことをアピールしたりします。



内集団をひいきするにせよ、内集団から離脱するにせよ、自己評価の維持が大きく関わっています。




これに関連してBIRGingとCORFingの2つを紹介します。

BIRGingとは？

BIRGing（basking in reflected glory）とは、
高い評価を受けている人(または集団)と自分との結びつきを主張することによって、
自分からの自己評価や他者からの評価を高めようとする方法のことを指します。



例えば、以下のように結びつきを主張します。

「私は芸能人と知り合いなんだ」
「私は人気者と仲が良い」
「私は○○大学を出ている」




このように、ある個人や集団との結びつきがあることを主張します。
そうすることで自己評価や他人からの評価の向上を図るんですね。

CORFingとは？

CORFing（cutting off reflected failure）とは、
低い評価を受けている人(または集団)との結びつきがないことを主張することによって、
自己評価を守ったり、他者からの低い評価を避けようとする方法のことを指します。


例えば以下のように結びつきがないことを主張します。

「がらの悪い地区出身だがそんなの昔の話だ」
「高卒だが今はお金を稼げているからそんなの関係ない」


これらの場合、「がらの悪い地区」「高卒」が低い評価を受けている集団になります。
これらの低い評価を受けている集団と自分を切り離すことによって、自己評価を守っていることになります。




反対に「がらの悪い地区」「高卒」が自己評価の向上につながると思えば、
切り離さずに結びつきを強調する人もいるでしょう。
結びつきを強調するのはCORFingではなくBIRGingになりますが。

CORFingと脱価値化は似ている？

CORFingは社会心理学で研究されている分野ですが、
臨床心理学でも脱価値化という現象に共通している部分があると思われます。


脱価値化とは境界性パーソナリティと呼ばれる人が見せる特徴の一つで、
「ある人を極端に理想化したかと思えば、急にダメな人間だとこき下ろす」ことです。



この脱価値化もCORFingと同じように自己評価を守る役割があると考えられます。





GIRGingにしてもCORFingにしても、自己評価を維持することが目的と考えられます。