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2020年09月22日
武蔵→慶大合格→浪人 東大のブルペンを支える“メガネの変則左腕”の存在
東大3番手・小宗が法大のイケイケムードを断つ3回1失点の力投
春の王者の猛攻を赤門の変則左腕が食い止めた。東京六大学秋季リーグ戦は20日、東大が法大に1-10で敗戦。開幕2連敗となった一戦で光ったのが、3番手で2試合連続登板した小宗創投手(3年)だ。1-8の5回からマウンドに上がると、5、6回は完全投球、7回に1点を失ったが、3イニングを1安打1失点に抑えた。神宮に憧れ、浪人を経て入学した背番号18が、東大ブルペン陣を支える存在になっている。
メガネの変則左腕が、神宮の空気を変えた。投手陣が立ち上がりから毎回失点し、回ってきた小宗の登板。5回は春の首位打者・永廣知紀を仕留めるなど、3者凡退。続く6回はプロ注目の4番・村田雄大らクリーンアップも抑え、2イニング連続完全投球。3イニング目となった7回に安打と四球でピンチを招き、犠飛で1点を失ったが、3回1失点で王者・法大のイケイケムードを断つ上々の内容だった。
「点差がついた後に攻撃陣が1点を返してくれたので、その流れを切らせたくなかった。自分たち、中継ぎで試合を作っていくしかないと思っていたので(結果は)良かった」
何より目を引くのは、巨人の高梨雄平を彷彿とさせるような変則のサイドスロー。昨秋に痛めていた肩に負担のかからないフォームを模索し、コーチの助言もあって腕の位置を下げた。それでも球速は下がらず、最速137キロの直球にカーブ、スライダー、チェンジアップを投げ分ける。「特に左バッターに対しては効果的」と元中日の井手峻監督が言うように、背中から来るスライダーは威力を発揮している。
神宮に憧れ、東大を目指した。小4で野球を始めると、小6から並行して受験勉強も開始。東京の私立御三家の一つ、武蔵中に合格した。そのまま進学した武蔵高では「神宮で戦うこと」を掲げたが、2年夏は16強で敗退。目標にあと一歩届かず、エースだった3年夏は初戦敗退した。それが、悔しかった。現役で慶大に合格したが、神宮でプレーする最短距離を考え、浪人を決意。1年後に見事、東大に合格した。
入学後は浪人生活で落ちた体力を戻すのに苦労したが、1年秋にリーグ戦デビュー。この日も抑えた選手の出身校を見ても、大阪桐蔭、常総学院、横浜など、甲子園常連校ばかり。そんな名門校出身の逸材と対峙し、抑えてしまうのだから面白い。コンディション面もあり、今年は春のリーグ戦から中継ぎで起用されているが、井手監督が「本来は先発なので」と言うように、期待値の大きい次期エース候補だ。
「自分自身は与えられた場所で投げ、規定投球回にはいかなくとも防御率3点台を目指したい」と今季の目標を語った小宗。「3点台」の根拠については、チームとして「クオリティ・スタート」を先発陣が掲げており、それを考慮。「そこに中継ぎの失点がさらに加わると負けにつながってしまうので、自分は3イニングで1失点(に抑えられるように)とイメージして投げている」と目標を明確化している。
赤門のブルペンを担う頼もしい18番。ちなみにフォームともう一つ、特徴的なオークリーのメガネの理由は「高校時代にコンタクトにしたら合わなかったから」だという。
今後の活躍にも目が離せない。
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明石商8強進出、二刀流福本が先発粘投「ゴロ意識」
<高校野球秋季兵庫大会:明石商5−3滝川二>◇21日◇3回戦◇明石トーカロ
明石商が難敵・滝川二を振り切り、8強に進出した。
投打の二刀流が、「投」で奮闘した。相手の意表を突く形で、中堅手の福本綺羅(ひかる、2年)が先発。「低めに投げて、ゴロを打たせることを意識した」。毎回先頭打者に出塁を許す苦しい投球となったが、味方の守備にも助けられて3回2/3を5安打1失点と粘投した。
9月上旬に行われた明徳義塾(高知)との練習試合でも登板し、6回1安打に抑えた腕を買われた格好。普段は人前が苦手という恥ずかしがり屋な一面を持つが、野球だけは別。「アドレナリン、ただそれだけです」。公式戦初先発の相手が、強豪・滝川二。大会序盤にやってきた、1つの山を強心臓で乗り切った。
だが、4回2死満塁とピンチを招いた所で、エースの西村元輝投手(2年)にスイッチ。2球で遊飛に打ち取る安定感ある投球でピンチを脱した。5回1/3を3安打7奪三振と好救援し「テンポよく、すぐ追い込めたりしてたのが良かったと思う」と振り返った。
狭間善徳監督(56)は「とんでもない当たりがセーフになったりとか、ついてたところはあった。1戦1戦気持ちを切り替えてやっていきたい。今日勝てて自信になると思う」と息をついた。
打線は1点を追う3回表、無死満塁から敵失や4番亀田雄陽内野手(2年)の中前2点適時打などで4点を奪って逆転した。
今後の活躍にも目が離せない。
天理の1m93右腕・達 7回11K零封で8強貢献!さらなる目標掲げる「理想は1イニング10球」
◇令和2年度 秋季近畿地区高等学校野球大会奈良県予選 3回戦 天理9―0橿原 ※7回コールド(2020年9月21日 橿原市運動公園硬式野球場)
来秋ドラフト候補に名が挙がる天理の1メートル93の長身右腕・達孝太投手(2年)が先発。7回3安打無失点、11奪三振の好投でチームを準々決勝へと導いた。
初回から角度のある直球を軸に、三振の山を築いた。8―0の3回には無死満塁の場面を招いたが、2、3番打者を空振り三振に仕留めるなど得点は許さない。「カウントを変化球で取ったりして、理想とは違ったけど、慎重に投げることができた」。細心の注意を払い、危なげなく7回を投げ抜いた。
勝利の原動力となったエースに、中村良二監督(52)はあえて厳しい言葉を投げかける。「7回で108球は投げすぎ。100は切らないと」。トーナメントを勝ち進むためには体力の温存も必要となり、加えて今年からは「1週間500球以内」の投球制限も設けられた。テンポの良さを追求すると同時に、今後を見据えると“省エネ”を学習していく必要性もある。「彼が普通に投げることができれば、試合はつくれる」と期待は大きいからこそ、高いレベルの内容を要求する。
達は「三振を取りに行く中で打ち取ることができれば。理想は1イニング10球」と掲げた。最速154キロ右腕の大阪桐蔭・関戸をはじめ、全国的に同学年の投手のライバルは多い。それでも「自分は球速以上に、打者にスピードを感じさせるタイプ」と他者は気にしない。自己最速は145キロで、まだまだ伸びしろは十分。潜在能力に加え、長身に長い手足など、自分だけの武器で勝負する。
今後の活躍に目が離せない。
連発の活躍!丸佳浩を支える「僕の都合のいい、プラス思考」
土壇場で見せた驚異の粘り腰 九回7点ビハインドから猛追5得点「明日につながる」
「ヤクルト8−6広島」(20日、神宮球場)
驚異的な猛攻もあと一歩及ばなかった。1−8の九回、3連続適時打を含む8安打を集中し、一挙5点。奇跡の逆転劇が一瞬ちらついたが、失った点が大きすぎた。今季初登板初先発の中村祐太投手(25)が初回に先頭から3連続被弾し、五回途中には左足がつり緊急降板。救援陣も崩れ、一方的な展開を作ってしまった。ただ最終回に見せた意地の攻撃は未来につながるはずだ。
驚異的な粘り腰で、敵軍のブルペンを慌てさせた。しかし、土俵際までツバメを追い詰めながらも、あと一歩及ばなかった。敵地に詰めかけた鯉党のボルテージが最高潮に達した一発同点のシーン。最後は代打・正隨のハーフスイングが空振り三振となり、勝負は決した。
完全に大敗ムードだった。相手先発・小川をスイスイと泳がせ、八回まで1点に封じられる完投ペース。だが27個目のアウトを奪われるまで、女神がどちらにほほ笑むのかは分からない。九回無死一、三塁で堂林の投ゴロ併殺の間に1点を返して2−8とするも2死無走者。もはやここまでか−。しかし反撃の炎が消えかけても、気持ちは途切れない。
連打で一、二塁として代打・坂倉、ピレラ、上本の3者連続適時打で4点を追加。ここで小川を引きずり降ろし、相手の守護神・石山を登板させるまで追い込んだ。最終的に黒星を喫したが、九回だけで8安打を集めた猛攻と高まったムードを、佐々岡監督は「ああやって攻撃してくれて、明日につながる」とプラスに捉えた。ただ、土壇場で猛追が及ばなかったのは、投手陣が精彩を欠いたからでもある。
今季初登板初先発となった中村祐は4回2/3を4安打3失点。五回途中にアクシデントが発生し、降板を余儀なくされた。初回、先頭の浜田、青木に連続ソロ。余韻が冷めやらぬ中、3番・山田哲にも左越えに被弾し、プロ野球史上5度目、球団史上初となる初回先頭打者から3者連続本塁打を許した。
五回2死一塁、青木の打席で左足がつるアクシデントに見舞われて緊急降板したが、二回から四回までは無安打投球。初回を忘れさせるほどだった。しかし六回から登板した島内が4失点するなど、中継ぎ陣が踏ん張り切れない夜でもあった。チーム防御率4・504はリーグワーストとなり、課題は浮き彫りだ。
投打の歯車がかみ合わない現状にもどかしさもあるが、最終回の粘りは必ず生きる。21日からは敵地・東京ドームで巨人と3連戦。赤ヘルの意地を、首位相手に見せつけるしかない。
「デッドボールでも何でもいいから塁に出る」中日・根尾3戦ぶりマルチ 失策直後の打席で能見から右前へ
◇20日 ウエスタン・リーグ 阪神2―1中日(鳴尾浜)
中日の根尾昂内野手(20)が「3番・遊撃」で先発出場し、3試合ぶりに2安打を放った。試合は逆転負けで、阪神に3連敗。
阪神・藤浪、中日・吉見の息詰まるような投手戦が動いたのは7回だった。
中日が石岡の適時三塁打で先制すると、阪神もすかさず3本の安打で同点とし、その後だった。1死一、三塁で熊谷の打球は二塁へのゴロ。併殺でチェンジ、と思われた瞬間、この回から二塁に移っていた根尾の送球が左に大きくそれ、2点目を失った。
逆転を許した後、8回の先頭打者は失策をした根尾。「もう、デッドボールでも何でもいいから塁に出ることしか考えていなかった」。長いシーズン、ミスはどうしてもある。そんな時は挽回するしかない。これまでの野球人生で絶対譲れない、と心掛けてきたことだ。
阪神2番手・能見の127キロ変化球をとらえた打球は中堅右で弾んだ。後続が抑えられ、阪神に逃げ切られたが、意地をみせることはできた。
6回の第3打席でも中前打を放った。3試合ぶりの2安打。その間、2試合安打が出なかったが、その間も「悪い凡打が続いたわけではなかった。何かを変えたわけではなく、基本のセンター返しの結果です」。打撃の手応えは上々だ。
今後の活躍に期待したい。