2017年05月27日

認知症対応型通所サービス(デイサービス)の実態

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今回は、某有名通所サービス(以下デイサービス)の管理職として勤務している介護職員から現場の実態についてインタビューをしました。

デイサービスとは、日中に来所して入浴やリハビリ、昼食の介助などのサービスを受けられる送迎付きの施設です。

自宅の前まで施設の車で送迎してくれるので通所の手間が無く、利用するご本人やご家族の負担も軽くなります。

[施設概要]
1日の利用者が50人程と規模の大きい施設です。そのうち10人の方が「認知症対応」が必要な重度の認知症の方でした。

認知症と言っても様々です。自分で自由に身体を動かすことが出来ず発語もない方、見た目は元気でスタスタと歩いてお話や運動だってできるのに、物事の理解力が低くなってしまった方、中には気にいらないと暴力や暴言が出てしまう人も。

デイサービスは、リハビリメニューへの参加やレクリエーション・入浴時以外は基本的に待ち時間です。

ご自分の席に座ってお友達とお話しするフリータイム、学校で言うところの休み時間のような雰囲気ですね。

通常来所されている40人の方は広いホール、「認知症対応」が必要な方は奥にある小さな部屋で過ごされます。

自由時間中、出歩かれる「認知症対応」の方がいらっしゃると他のご利用者様の対応は様々です。

話しかけて一緒にコミュニケーションを取ってくださる方、露骨に嫌なそぶりをして「この人あの部屋から出さないでよ」と苦情を言う人。

同じ様に来所されている立場なのに「認知症対応」の方の肩身が少し狭いように感じられたのが印象的です。

デイサービスの入り口は二重扉になっており中からは開けられる事が出来ません。

なぜなら「認知症対応」の方が出て行ってしまうことがあるからです。

そもそも「忘れっぽい」認知症の方、自分がデイサービスに来ている事すら忘れてしまいます。

職員が付き添わない外出は基本できないようになっていますが、それでもほんの些細な隙を見てお1人で外に出てしまう事故も多いです。

ちなみに外出して怪我をしたから事故という概念ではなく、無断外出をした時点で「事故」という扱いにしています。

[認知症に対する知識の無さ・対応力の低さ]
ご利用者様同士で「認知症対応」の方に冷たく接するというのは、たびたび目にしましたが、それは職員でも起こります。

何度こちらが説明しても「帰りたいんだけどバスはまだ?」と不安が強まる方。

これから入浴する事を伝えても拒否し、いすに触ろうとするだけでどこかに連れて行かれると思い暴れてしまう方。

ずっと同じ歌をうたっている方。

リハビリ中レクリエーション中にも立ち歩いてしまい全体の進行の困難を妨げてしまう方等。

すべて認知症の方にとっては当たり前の現象、出来事です。

良くあることです。

しかし、認知症の方に対する知識のない職員は「さっきも言ったでしょ!」「○○さん座ってて!」「ご家族からお風呂に入れるように頼まれていますから!」と高圧的にご本人の意思を受容することなく対応します。

認知症の方は「お風呂に入りましょう」と言われても「お風呂」が思いだせないのです。

ましてや住み慣れた自宅の浴室ではなく外出先の浴室。私たちだって心の準備なしに外でお風呂に入ろうなんて思いませんよね。

ご本人の気持ちに共感し、受容しないとどんどん心を閉ざされ事態は難航するのに、なぜか全く共感せずこちらの都合だけを伝えご本人は理解していない。

そんな悲しい事がたくさん起こっています。

デイサービスは、特別養護老人ホームに勤務している職員に比べ、圧倒的に認知症についての知識が無い事も問題ですが、自宅での生活を継続するケアが優先の為、新たなケアを取り入れる事が難しいのも問題です。

認知症高齢者は環境の変化に弱く、デイサービスでの認知症ケアの取り組みがパニックを起こす原因になる事もあります。

[やむおえない身体拘束]
身体拘束は虐待である。絶対にしてはいけない。

そのように通達されています。

しかし、筋力が弱く座位の保持が困難な方、怪我をして保護・安静が必要な個所がある事を忘れて身体を動かしてしまう。

そんな時は、やっぱり身体拘束が必要になります。

実際に施設でもそのような方に腰ベルトやミトンを使用していました。

なにも事情を知らない方がその光景を見たらやはり「虐待だ!」と思うかもしれません。

ですが、現場にはどうしても身体拘束が必要な場合があります。

そんな場合には必ずご本人、ご本人の理解力が低いようならご家族の了解を得て「ご本人のための」身体拘束行っています。

また、厚生労働省が「身体拘束とは」とある程度の基準を設けていますが、それに該当しないようにグレーな対応をする事もあります。

ミトンやベルトを外したい気持ちはあっても、特別養護老人ホームと違い、夕方には帰宅される利用者に対して身体拘束を無くすためのケアを十分に行う事ができない事も身体拘束が無くならない理由の一つです。

[職員の質・対応]
上にも記載した通り、認知症の勉強をしているはずの職員でも対応を間違えている事があります。

それは何故でしょう?

答えは簡単です。

職員の心の中に常に「私はこの人にやってあげている」という無意識のマウンティングが生まれているからです。

「お風呂に入れてあげている」「ご飯を食べさせてあげている」それは本当にやってあげている事なのでしょうか。

私は違うと思います。

例えばご利用者様本人が来所を拒否、又は入浴・食事を強く拒否した場合、サービスの提供が出来ません。

サービスの提供が出来ないということはつまり、介護報酬が受けられないことになります。

利用していないのにお金だけもらうなんて不正請求ですからね。

介護サービスとは職員が一方的に提供しているものではありません。

ご利用者様に協力していただき初めて提供できるものです。

毎日同じことを繰り返してしまう認知症の方を相手にしているうちどこか「自分はやってあげている人」という上から目線、「相手はどうせ何を言ってもわからない」という見下す心が生まれます。

特に「認知症対応」のデイサービスでは理解力が高い人・低い人で二極化しやすいです。

白と黒の世界だけで生きていると麻痺してくるようです。

認知症のご利用者様の前で「どうせこの人たちは生きてるんだか死んでるんだかわからないんだからなにやってもいいんだよ」「暴れるなら押さえつけたらいいじゃない。」「○○ちゃん(利用者様の名前)こっちおいで」と、言いたい放題の発言が飛び出します。

いつから職員は特別な存在になってしまったのでしょうか。

職員は賃金を受け取りサービスを提供する、ご利用者様は対価を支払い介助を受ける。

そんな対等な関係が本来のあり方だと思います。

[最後に]
私は職員の質の低さに幻滅しています。

もちろん施設の職員の中には利用者様を尊重し、その人のペースで介助をしようとする人、日常生活を少しでも安楽に送れるようにと質の高いサービスを提供しようとする人もいます。

しかし、実際にはその思いは職員全体に浸透することはなく、つらい思いをしているご利用者の方も多いです。

介護の資格は比較的取りやすく、人手不足のためすぐにでも働けます。

経営者側が「介護の質」ということにこだわらない限りこのような質の低いサービスは継続されるかもしれません。

認知症の方も温かい対応を受け、少しでも不穏な気持ちを感じることなく過ごせる介護施設がこれからは増えてほしいと思います。
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