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2018年10月31日

N子の性癖【怖い話】





小学校のときの同級生にたまたま会って、

店で飲もうって話になったんだ。



結局出るのはあいつはどうなったとか、

あいつは結婚したとかの友人の近況ばかりだったんだが、

ひとつだけ気になることを同級生は話してくれたんだ。



小学校のころの話だ。


ある朝教室に行くと鳩が窓の下で死んでいた。


見ると、一枚窓が開いていてそこから入った鳩が

ガラス窓に気づかずに何度も体当たりしていくうちに

力尽きたのだろう、て話になった。


血がにじんでみひらいた眼をした鳩に

誰も近づきたくなくて気持ち悪い、とか

先生よぼう、とかいう話がちらほら出た。


いつもは空気のよめないバカガキも鳩の物まねしたりして

おちゃらけるのがやっとであまりのグロテスクさに

近寄りさえしなかった。


ところが、そのときクラスのN子がすっと

チリトリをもって近づくとすっとその鳩を拾った。


「かわいそうだから、うめてくるね」


と落ち着いた声で友だちに言うとすっと教室を出て行った。


普段はあんまりしゃべらない子で、

友だちからも無口な子と思われていた

かわいい子だったんだ。


みんな

「やさしい子だな」とか

「勇気があるな」とか、

声には出さないもののそんな感じの空気になった。


まるで道徳の教科書にのってるような光景だった。


しばらくして、また同じようなことがあった。


教室の水槽のヒーターが焼きついて壊れていて

魚が全滅して水カビが生えていた。


そのときもやっぱりその子がうめにいった。


そんなふうに小動物が死んだとき、N子はいつも


「かわいそう、うめてくるね」


と言って一人で教室を出て行った。


友だちの女子も何人か「私も」って、

ついていこうとしたけど、

追いかけるともう姿は見えなくなっていて

結局一人でいつもでかけてしまっていた。


そして不思議なことにどこにも墓とかそういうものも

みつけられなかった。


そんなとき、クラスでたぶんN子を好きだったんだろう

男子が


「あいつをつけてやろう」


って話になった。


そいつは

「どうせ先生かなんかに媚を売りに職員室にでも

 いってるんだろう」


とか理由をこねていた。


実際男子たちは、

その行為を偽善的に感じていたのかもしれない。


N子の裏をみてやる、ってそんなつもりだった。


しばらくしてその男子はくさむらにあった

モグラの死体を見つけ実行に移した。



N子はやっぱりそれを拾うと教室を出て行った。


あらかじめ教室の外にまちぶせていたその男子は

ふらりと気づかれないようにあとを追いかけた。


「職員室にむかうぞ。

 結局用務員かなんかに任せていい子ぶるんだぜ」


ところがN子は職員室を通り過ぎると

足早に学校の裏に走っていった。


途中何度も振り返りだれもいないことを

確認しているようだった。


男子はそのせいであまり近づけなかった。


とある家の庭に面したところでN子は立ち止まった。


「なんだ、ほんとうに埋めに行ったのか」


にしては、変だ。



N子は庭にその死体を放り投げた。

それも叩きつけるように。

するとそこに大きな犬が近寄ってきた。

するとばりぼり、とその死体をくらい始めた。


比較的とおくの物陰にみている男子にもその音がきこえ、

グロテスクに感じるほどだった。


N子はその様子をじっとしゃがんで見ていたのである。


やがて犬が食べ終わるとN子はこちらに引き返してきた。


その表情はいままで見たことが無いくらい

満足げな表情だった。



男子は背筋がぞっとするような感じがして

見つかるまえにそっと逃げ出した。


おそらくN子は、

今までもこんなふうに死体をずっとあそこに

もっていっていたんだろう。


男子はそのことは誰にも言わなかった。


その男子とはもちろんいま話している同級生自身のことだ。


そしてN子は今は俺の妻だ。


そんなこと、とてもいいだせる雰囲気じゃあなかった。





posted by kowaihanashi6515 at 19:52 | TrackBack(0) | 洒落怖
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