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2018年03月27日

廃寺に潜む何か 【怖い話】





もう10年くらい前、
俺がまだ学生だった頃の出来事。


当時友人Aが中古の安い軽を買ったので、
よくつるむ仲間内とあちこちドライブへ行っていた、

その時におきた不気味な出来事を書こうと思う。



ある3連休、
俺たちは特にすることもなく、当然女っけもあるわけもなく、
意味も無く俺、A、Bで集まってAのアパートでだらだらとしていた。



そしてこれもいつものパターンだったのだが、
誰と無くドライブへ行こうと言い出して
目的地もろくに決めず出発する事になった。



適当に高速へと乗ると、なんとなく今まで行った事の無い方面へと
向かう事になり、3〜4時間ほど高速を乗りそこから適当に
一般道へと降りた。



そこから更に山のほうへと国道を進んでいったのだが、
長時間の運転でAが疲れていたこともありどこかで一端休憩して
運転手を交代しようという事になった。



暫らく進むと車が数台駐車できそうな
ちょっとした広場のような場所が見付かった。


場所的に冬場チェーンなどを巻いたりするためのスペースだろうか?


とりあえずそこへ入り全員降りて伸びなどをしていると、

Bが「なんかこの上に城跡があるらしいぞ、行ってみようぜ」

と言ってきた。



Bが指差した方をみると、ボロボロで長い事放置されていただろう
木製の看板があり、そこに「○○城跡 徒歩30分」と書かれ、
腐食して消えかかっていたが手書きの地図のようなものも
一緒に描かれている。


どうも途中に城跡以外に何かあるらしいのだが、
消えかかっていて良く解らない。


時間はたしか午後3時前後くらい、
徒歩30分なら暗くなる前に余裕で戻ってこれるだろう。


俺たちはなんとなくその城跡まで上ってみる事にした。



20分くらい細い山道を登った頃だろうか、
途中で道が二手に分かれていた。



看板でもあれば良いのだが、
あいにくそういう気の効いたものはなさそうで、
仕方なくカンで左の方へと進んでみる事にした。



すると、
先の方を一人で進んでいたAが上の方から俺たちに

「おい、なんかすげーぞ、早く来てみろ!」

と言ってきた。


俺とBはなんだなんだと早足にAのところまで行ってみると、
途中から石の階段が現れ、更にその先には城跡ではなく
恐らく長い事放置されていたであろう廃寺があった。


山門や塀、鐘などは撤去されたのだろうか、
そういうものは何も無く、本殿は形をとどめているが
鐘楼やいくつかの建物は完全に崩壊し崩れ落ちている



本殿へと続く石畳の間からは雑草が生え、
砂利が敷き詰められていただろう場所は
一部ほとんど茂みのような状態になっていた。


ただ不思議なのは、山門などは明らかに
人の手で撤去された様な跡があったにも関わらず、
残りの部分は撤去もされず朽ちていてかなり
中途半端な状態だった事だ。



時間を確認すると、まだまだ日没までは余裕がありそうだ
俺たちはなんとなくその廃寺を探索することにした。


が、周囲を歩き回っても特に目に付くようなものはなく、
ここから更に続くような道も見当たらず、

Aと「多分さっきの分かれ道を右に行くのが正解なんだろうなー」

と話していると、

本殿の中を覗き込んでいたBが「うおっ!」と声を挙げた。


Bの方をみると本殿の扉が開いている。


話を聞いてみると、だめもとで開けてみたら
すんなり開いてしまったという。


中は板敷きで何も無くガランとしている、
見た感じけっこうきれいな状態で中に入っていけそうだ。


中に入ってみると、床はかなりホコリだらけで
恐らくだいぶ長い事人が入っていないのが解る、
なんとなくあちこちを見回していると、
床に何か落ちているのが見えた。



近付いてみると、それはほこりにまみれ
黄ばんでしわくちゃになった和紙のようで、
そこにはかなり達筆な筆書きで

「うたて沼」

と書かれていた。



なんだなんだとAとBも寄って来たので、
俺は2人に紙を見せながら

「うたてって何?」

と聞いたのだが、2人とも知らないようだ。


そもそもこの寺には池や沼のような物も見当たらない。


本殿の中にはそれ以外なにもなく、
「うたて沼」の意味も解らなかった俺たちは、
紙を元あった場所へ戻すと、城跡へ向かうために廃寺を後にした。



元来た道を戻り、さっきの分かれ道を右の方へと進むと、
すぐに山の頂上へとたどり着いた。


ここには朽ちた感じの案内板があり

「○○城跡 本丸」

と書かれている、どうやらここが目的地のようだった。


山頂はかなり開けた広場になっており、
下のほうに市街地が見えるかなり景観のいい場所だ。


と、なんとなく下のほうを見るとさっきの廃寺も見えた。


3人でさっきの廃寺って結構広い敷地なんだなー
などと話していると、ある事に気がついた。


寺の庭を回った時に一切見かけなかったはずだが、
庭の端の方に直径数mくらい、大きな黒い穴のようなものが見える。


「あんなものあったっけ?」

と話していると、寺の庭に何か小さな動物が出て来ていた、
そしてその動物が庭の中を走り出した瞬間、
その穴のようなものが「動いて」まるで動物が穴の中に
消えてしまったように見えた…



わけが解らない現象を目の当たりにした俺たちは

「…今あの穴動いたよな?なんだあれ…」

と唖然としていると、更にとんでもない事が起きた。



その物体が突然宙に浮くと、
かなり高い距離まで上りそのまま移動し始めた。


その時になって、俺たちはあれが穴などでは無く、
真っ黒で平面のなんだか良く解らない物体である事に気がついた。



その平面状の物体は結構な高さを浮いて、
俺たちが来た道の上を山頂へと向かって進みだした。


その時、
恐らく移動する物体にびっくりしたのだろう、
木の間から大きめの鳥が飛び出し、
宙を浮く平面状の物体とぶつかった。


が、鳥はそのまま落ちる事も物体を通り抜ける事も無く

消えてしまった…


何がなんだか解らないが、とにかくあれは何かヤバそうなものだ、
そしてそのヤバそうなものは明らかに俺たちの方へと
向かってやってきている、その事だけは理解できた。



とりあえずここからすぐに退散した方が良さそうだ。


3人でそう話して気がついた、
あの物体は俺たちが登ってきた道沿いにやってきている


ということは、来た道を戻れば
確実に鉢合わせしてしまうという事だ。


とりあえず逃げようと言ったは良いがどうしたら良いのか解らない。


すると、

Bが「ここ通れそうだぞ!」

と茂みの方を指差した。


そこへ行ってみると、
近くまで行かないと解らないであろうくらい
細い獣道のようなものが下へと続いている。


ただし、この道がどこへ続いているか全く解らないうえに、
俺たちが登ってきた道とは完全に反対方向だ、
当たり前の事だが逃げれるには逃げれるが車からは遠ざかる事になる。


その事はAもBも解っていたのだろう、
この獣道を下るかどうか躊躇していると、
突然耳に違和感を感じた、感覚としては車で山を登っていて
気圧差で耳がおかしくなる感じが一番近いだろう。



AもBも同じ違和感を感じたらしく戸惑っている、
その時俺はふと下のほうを見た。



すると、例の物体はもうすぐそこ、
恐らく二の丸であろう平地の部分までやってきていた。


もう迷っていられるような余裕も無い。


俺は2人にもうあれが凄くそこまで来ている事を伝えると、
おもいきって獣道のある茂みを下る事にした。



2人もそれに続き、
殆ど茂みを掻き分けるように道を下っていくと、

後ろの方からAが

「ヤバイ、もうすぐそこまで来てる!急げ!」

と言ってきた。



俺が後ろを振り返ると、例の黒い物体が
もうあと10mくらいのところまで近付いてきている。


俺たち3人は最早草や木の枝をかき分けることすらやめ、
がむしゃらに獣道を駆け下りた。



どれくらい走っただろうか、
暫らくすると木の間から舗装された道路が見えてきた、
俺たちは泥だらけになりながらも必死で殆ど転がるように道を下り、
なんとか舗装された所までたどり付くことが出来た。



その時、
突然金属質の耳鳴りのような音が聞こえ、
次いで後ろから「バチンッ!」と
何かが弾けるような音が聞こえてきた。



びっくりして後ろを振り向くと、そこには例の黒い物体はなく、
爆竹か何かを破裂させたような、そんな感じの煙が漂っているだけで、
俺たちは呆然としてしまった。



その後、民家も無いような山道を散々迷い、
殆ど真っ暗になる頃にやっと最初に車を停めたところまで
戻る事が出来た。



結局その後もあれが何だったのかはわからない、
そもそもあんな体験をしてまた同じ場所へ戻る勇気などなかったし、
そんな事をしても俺たちに何の得も無かったからだ。



タグ:怖い話 廃寺
posted by kowaihanashi6515 at 15:40 | TrackBack(0) | 洒落怖

諭す【不思議な話】





七年前に勤めた会社が倒産し就職難の中、
運転手に転身したTに起きた事です。



最初は小さい2t車での仕事だったTも運転手に転身して
一年も経つと4t車に乗る様になり、
県内だけでなく県外にも足を延ばすようになった。



今から五年程前の雨の夜に隣県から帰る為に
県境の峠道を走っていたTは尿意を覚えて
山頂の少し手前の広い所にトラックを停めて用を足した。



雨は小雨程度だが霧が出ているし交通量も疎らな峠道にいつになく
嫌な雰囲気を感じていたが、用を足してスッキリしたTが
トラックに戻ろうと振り向くと・・・・・


助手席側に人が立っているのに気がつき一瞬身を固くする。


こんな真夜中に峠で人が?


恐る恐る観察するTに人影が振り向いた。


若い・・・二十代前半位の女性。


肩までくらいの髪も、どこかの会社の制服と思しき衣類も
全部が雨で濡れている。


思わず声をかけようとしたTより先に女が言葉を発した。


「峠を降りた○○まで乗せて下さい」


小さく、か細く・・・

しかしはっきりと聞き取れる声だった。



女の申し出に一瞬よく耳にする様々な怪談話を思い出すTだったが、
その女の何とも哀しく寂しそうな顔への同情が恐怖を上回った。


いいですよ、どうぞ。


そう言うとTは助手席のドアを開けてやり、女に乗る様に促した。


ステップを踏み手摺りに手をかけ女が乗り込む時、
ふとTは彼女の足元を見てやっぱりなと感づく。



助手席側や運転席側のドアを開けると
室内灯が点くようにしてあった。


光があたれば物体は必ず影を残すはずなのに
彼女には影が無かった。


だが不思議と恐怖を感じないままにTは彼女が助手席に座ると
そっとドアを閉め運転席へと乗り込み車を走らせた。


走らせながら彼女の横顔をチラチラと横目で伺う。


最初と変わらない寂しげな横顔のまま言葉もなく
ただ俯き加減に座っている。


意を決してTは彼女に勝手に、独り言のように話しかけた。

悲しい事とか色々あったりしましたか?


「辛い事、悲しい事、何があったのか僕には分かりませんけど
 こんな所に居ては駄目です。
 行くべき所があなたにはあるんじゃないですか?
 僕にはしてあげられない事かもしれませんが。」

Tの言葉に彼女は反応を見せない。



この峠を下り彼女の望む所までにはまだ二十分はかかる。


その間もTは構わず一方的な会話を続けた。


「○○にはあなたの何かがあるのかな?

 そこに行ってその後どうするんですか?

 またあの峠に戻ってしまうのですか?

 繰り返しては駄目だと思います。次へ進まないと。」


彼女はただ俯いたまま黙っている。


聞いているのかさえ分からないままTは話しかけ続け、
ようやく峠を下った。



突然彼女は前方を指差すと

「あそこで。」

とだけ言った。


なんの変哲もない住宅街への交差点だった。


Tはハザードランプを点けトラックを停めると彼女のほうを見た。


「ありがとうございました。」


微かに聞こえる声だけ残して彼女は消えてしまった。


そしてもう一言、

どこからともなく聞こえた「行きます」の声にTは
安堵のため息を吐き出し、再び車を走らせ無事に会社に帰った。



後日、Tはあの峠で起きた事件を同僚から聞いた。


十年前、情事のもつれから当時二十二歳の女性が絞殺され
死体が遺棄されていたのだと言う。


当時の彼女が住んでいた町こそTが彼女を降ろした住宅街だったそうだ。



その後あの峠で彼女を見る事もないままTは
三年前に子供をもうけ幸せに暮らしていた。


生まれた女の子も大きな病気や怪我もなく
明るい元気な子でTは溺愛し娘も父親を慕っていた。



そして今年・・・


峠の彼女の事も記憶から忘れていたTは再び彼女と再会する。



9月の半ば、夜中に目を覚ましたTが
喉の渇きを覚え台所で茶を飲み寝室に戻った時だった。


妻の横で寝ている愛娘が布団から飛び出して寝ていた。


なんて寝相だと苦笑しながら娘を布団に戻したその時・・・


娘が眠ったままTの手を握り

「ありがとう、あなたがあの時助けてくれたから私は今生きてます。

 本当にありがとう」

と言った。


彼女の声で・・・

娘の口で・・・


生まれ変わりなのか娘の口を借りただけなのか分からなかったが、
恐怖は感じず不思議な温もりを覚えた出来事でした。


私(T)も家族も何ら不幸なく平穏に過ごしてます。

オチなしの怖く無い上に長文失礼。





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