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2018年02月16日

輪 廻【怖い話】



YTM∞(MUGEN) YouTube トレンドマーケティング∞(MUGEN)



寒さで凍える夜・・・

午前零時過ぎ・・・

新宿歌舞伎町のスタンドバー。

私は仲の良いH刑事に、

「何かいいネタはないか」

と取材中だった。

当時、監修を任されていたTBS連続ドラマ『私、味方です(館ひろし主演)』
の監修に役立てるためだ。

話が弾んでいたころ、彼のポケットベルが鳴った。
新宿署と連絡をとった彼が、

「今、コロシがあった。ゲンバは目と鼻の先だ。行くか?」

と。
私はこれまでにも幾度となく彼が遭遇する事件に首を突っ込んできた。
断るはずがない。


新宿区百人町二丁目、Pデンス。
表玄関からエレベーターホールにかけて血が滴り、引きずった跡がある。

『犯人は死体を運んでいる!いったいどういうことだ』

ガイシャ(被害者)の部屋のドアの前で、
ひどく取り乱したパジャマ姿の中年女性が、
若い巡査に向かってギャーギャー叫んでいた。
殺人現場独特の光景だ。

H刑事を見た巡査は、軽く会釈をして

「殺害されたのは、独り住まいの若い女性です」

と告げた。

六畳のワンルーム、ドアを開けてすぐに血溜まりがあり、彼が踏み込んだ途端、

「ピチャッ」

といやな音がした。

続けて私も入る。
白い壁や天井には、おびただしい量の血しぶき。
まるで血の塊をぶつけたようだ。

まだ乾いておらず、犯行があって間もないことを物語っていた。

しかも、玄関に脱ぎ捨てられたハイヒールの中に、脳みそらしい塊が飛んでいる。
いったいどんな殺し方をしたのか!
やはり死体はなかったが、大きなハンマーが転がっていた。

血をたっぷり吸ったらしく、犯人が握っていた柄の部分以外は、
べっとりと赤く光っている。

H刑事に小声で

「下に降りています」

と伝え、階段を駆け下りた。

私は探偵(一般人)だから、
彼の同僚が来る前に現場から離れておかないと、迷惑がかかる。
それに、一刻も早く、エレベーターホールから玄関へと続く血の行方を知りたかった。

滴る血は、歩道へと続き、車道でピタリと消えている。
犯人は車に死体を積んで逃走したらしい。

H刑事が初老の男性と一緒にマンションから出て来た。
目撃者だ。

彼の話によると、

「ギャーッ」

という悲鳴が聞こえたので自室のドアの覗き穴から見たところ、
ガイシャの部屋のドアの前に女性が立っていた。
異様なくらい髪の長い女だ。

しばらくすると、若い男が、何やら大きな袋を引き摺って出てきた。

不審に思った彼は、アベックがエレベーターに乗ったのを見て、
階段で下に降り、車にその袋を積むところやナンバープレートをしっかり記憶したという。

はじめは怨恨による殺人事件かと思ったが、殺り方がずさんすぎる。

人に出くわす可能性の高いエレベーターで死体を運ぶというのは、
目撃されることすら恐れていないことを意味している。

私はH刑事に聞いた。

「手配は?」

「しないよ。この手のホシ(犯人)は、下手に手配して追い詰めると、
 興奮してまた殺しをやるかもしれない。
 先に身元を割り出して迎え(逮捕)に行くよ。
 たぶん、精神異常者の犯行だろう。逃げも隠れもしていないはずだ」

彼は同僚の刑事三人とともに、ナンバープレートから割り出した
犯人・間田英雄(仮名)宅に向かった。私も、その後を付ついて行く。








犯人の家は千葉県八街町にあった。
ごく普通の建売住宅だ。
カーポートに白いマークU。
バンパーに血のりが付いている。

刑事がチャイムを鳴らすと、三十歳前後の男が目をこすりながら出て来た。

「どなたですかぁ?」

ひょうひょうとしている。

しかし彼の目を見た途端、背筋に激しい悪寒が走った。
常人ではない!
ひどい三白眼は、血の通った人とは思えないほど鋭く冷たい。
私は息を呑んだ。
わずかな時間をおいて、違う刑事が男に尋ねる。

「今日、君はどこにいっていたのかなぁ?」

「えーと、秋葉原」

「そう。今、家の中には誰がいるの?・・ふんふん、ご両親と妹さんね。
 すまないが、ちょっと・・・・」

男の肩に手をかけた瞬間、そばにいた二人の刑事が彼の両腕を素早く押さえた。
男はひと言も抵抗らしき言葉を発せず、されるがままになっている。
刑事たちは男を車に押し込むと、静かにドアを閉め、尋問を開始した。

しばらくして、応援の車両が続々と到着。
鑑識も含め、その数は二十人ほどに膨れ上がる。
捜査員に抱きかかえられるようにして、男の妹が出てくる。
端正な顔つきだが、やはり非人間的な眼つき。
髪は異様なほど長く、ふくらはぎに届いている。
それに彼女の青白い顔がつくと、円山応挙が描いた幽霊画そのものだ。

問題のトランクが開けられると、えび茶色の布団袋が現われた。
ついさっき殺されたばかりの死体が入っている。
トランク内はさほど汚れていない。
自分の部屋に血液を出し尽くしたのか。
ひもを解くと・・・






ものすごい形相の若い女の顔が飛び出した!
ハンマーで何度も叩き割られた額やほお。
そのとき飛び出たのか、目の玉が口の中に押し込まれている。

脳みそが鼻から噴出し、頭蓋骨がささくれのようになって、
あちこちから突き出ている。それにソバージュの髪がからまる。

この女はほんの数時間前まで生きていた。
信じられないという気持ちと恐怖が、同時に私を襲った。
犯人の母親が、窓から外を眺めている。無表情だ。

父親は、玄関にしゃがみ込んで泣き叫んでいる。
まともなのは父親だけだと、H刑事が舌打ちした。







約三時間後の新宿署。
取り調べは続いている。
徹夜になりそうだが、私はH刑事を待った。
帰る気も、寝る気もしない。
他殺体を見たことはあっても、あれほど無惨なものは初めてだった。

外が明るくなったころ、彼が出てきた。

「ホトケは、マントルの女だったよ・・・」

「遺伝だろうな」

「いったい・・・」

「ホシが誰かを殺そうと街を徘徊しているときに、
 たまたま公衆電話のピンクチラシを見て、マントルに行ったんだ。
 そこで、ホトケの住んでいたマンション名と電話番号を教えられた」

「じゃあ、殺された女は客だと思ってドアを開けて・・・」

「そう、運が悪かった・・・いきなりハンマーでガツン!だもんな。
 殺しの動機は、妹の精神薄弱を治すためらしい。
 強いショックを与えれば、治ると信じていたようだ。
 目撃者が見た髪の長い女は、ヤツの妹だよ」

「なんてことだ・・・」

「もっと驚いたのは、母親に
『今から人を殺して妹に見せる。そうすれば病気が治る』
 と言ってたことだよ」

「母親は止めたのか?」

「いいや」

「ということは、彼女も同じ精神病・・・」

考えられない顛末に、私は絶句した。
しかも翌日、H刑事からまたも悲痛な知らせを聞いた。

唯一まともだった父親が、自宅で首を吊って自殺したというのだ。
私は、この呪われた家族には何かの因果があるのではないかと思った。
そこで調査を開始した。


系譜の調査により、わかったのは、
間田家は代々一人しか子どもが生まれていないこと。

つまり、直系が続々と続いている家系で、子孫はみな、
ある年齢に達すると精神に異常をきたし凶暴になって人を傷つけ、
その後、病院に収容されて生涯を終えている。


だが不思議なことに、身柄を拘束される前に、かならず子どもをつくっている。
まるで、狂った血を途絶えさせまいとするかのように・・・

犯人・間田英雄の場合はどうだろう。
今のところ、親しかった女性や妻子がいるという情報は入っていない。
彼の近くにいた女性といえば、あの妹だけ。


しかし数日後、精神薄弱の妹は、自殺した父親の連れ子で、
間田家の血は受け継いでいないという情報が飛び込んできた。
ということは・・・


私は急いで妹の住む町の産婦人科を調査した。
その結果、案の定、彼女が父親不明の子どもを妊娠していることがわかった。
いうまでもなく、その子の父親は間田英雄である。
やはり間田家の血は、新しい命に取り入り、生きていた。
こうなると、間田家の血族をさかのぼり、呪われた血の源を探るしかない。
私は、戸籍にあった英雄の母親の青森県にある出身地を訪ねることにした。

しかし、呪われた血により、無惨に殺された女もまた、
深い恨みを残し、霊となって彷徨っているのではないだろうか。

私は青森に発つ前に、殺人事件の現場に向かった。







ハッカー(カギ開け道具)を使い、部屋の中に入る。
カーテンを閉めているせいか、真っ暗だ。
電気をつけようとスイッチを探したが、見つからない。
ジッポーの火をつける。

部屋いっぱいに広がるおびただしい血痕の跡はそのままだ。
スイッチを見つけたが、電気がつかない。
ドアの上部のブレーカーに異常はない。

『おかしいな、外にもスイッチがあるのか?』

と思いながらドアのノブを回したところ、びくともしない。
と、そのとき、強烈な寒けが背後から襲ってきた。
振り向こうとしても、体がまったく動かない!
手も足も顔も、冷気にさらされたように冷えていくが、額から汗が吹き出す。
どういうことだ・・・

突然、

「良介・・・殺す・・・殺す・・・」

低く、しわがれた声が耳もと近くから響いてきた。

その方向に目を移すと、なんと、殺された女の首がぴったりと私の肩に乗っていた。
トランクの袋から飛び出した、あのむごたらしい顔である。
あまりの怖さに全身の力が抜けた・・・

もう見たくない。
目を強くつぶると、青白い光りが回っているのが瞼に映った。
瞼の力が抜けていく・・・

そっと目を開けると、血まみれの顔が私の鼻先にあった。女の顔。
それがだんだん男の顔に変わっていく。
ぱっくりと割れた額に、小さな髷が見える。
誰だ、おまえは・・・

得体の知れない霊との睨み合いは、しばらく続いた。
私は、知っているお経をすべて唱え、消えてくれることを祈った。
しかし、どんなにあがいても金縛りは解けない。


どれほどの時間が経ったろう。
怖さを通り越し、私の中に成仏できない霊に対する哀れみの気持ちが広がった。
すると、男の生首は、苦しそうに

「ウ〜・・・」

と呻きながら、スーッとかき消えていった。

突如、部屋の電気がついて、私はうしろに引き倒された。
腰が抜けたのか、足に力が入らない。
また電気が消えたら・・・という恐怖がこみ上げる。

私はなんとかドアのノブに手をかけた。開いた・・・
やっとの思いでマンションから出た私は、何度も吐きながら自宅へ戻った。


冷静さをとり戻すと、いくつかの疑問が頭に浮かんだ。
殺された女の霊が出たことは納得できる。
しかし、髷を結った男は誰なんだ?
霊が呟いた『良介』という名前も気になる。

私は翌日、予定通り、間田英雄の母親の出身地、青森県の苫和地村を訪ねた。






この地は津軽藩の統治時代に、すさまじい大飢饉(農作物の凶作による飢餓)があった。
飢えに苦しみ抜いた人々は、隣の子供と自分の子供を取り替えて殺し、煮て食べたという。

私はこの村の元庄屋で、史実にくわしいO氏(七十六歳)を訪ねた。
東京で起きた忌まわしい殺人事件を告げると

「やっぱり・・・」

と深いため息をもらし、重い口を開いた。
その内容は、身の毛もよだつものだった。


その昔、裏山の麓に水のない井戸があり、それは、
大飢饉のときに人を殺して食べた残骸の捨て場所となっていた。

村中の人が次つぎに捨てるものだから、首と皮や骨だけの死体が溢れ、
その様から『重ねの井戸』と呼ばれるようになったという。

その頃、喜助という百姓がいた。
大飢饉の中、彼は壁土を食って飢えをしのぎ、決して人には手をかけなかった。
ところが、不幸なことに、最愛の女房を『良介』という百姓に殺され、
食われてしまった。

そして死体を重ねの井戸へ・・・

『良介』という名は、あのマンションに現われた霊が発した名前と同じだ!
私は身を乗り出して、話の続きに聞き入った。

変わり果てた女房を見た喜助は、気が狂い、
井戸の死体をすべて掘り出して干上がった自分の田畑に埋め、一心不乱に耕しだした。

そのため、頭を割られた何十もの生首が土から飛び出し、
まるで地獄絵図のような光景だったそうだ。
それを知った良介は、村人たちを率いて喜助を取り囲み、

「おまえの女房はうまかったぞ」

と吐き捨てて、彼を殴り殺してしまった。
なんともむごい話である。

これでは喜助が浮かばれない。
案の定、喜助は霊となって良介を襲った。
殺されたときの傷を露にし、ものすごい形相で良介を追い立てたのだ。

そして、苦しみもがいた良介は、腹をかき破るという怪死を遂げた。

のち、飢餓も収束に向かい、この村にも平和が訪れたが、喜助を殺し、
食った良介の子孫には、次々と不幸が訪れた。

一族から生まれてくる男の子は、みな精神分裂で、
周囲の家に火をつけたり、娘を強姦したり、殺人を犯したというのだ。
その良介の子孫にあたるのが、間田家だったのだ。

非業の死を遂げた喜助の霊が、自分を殺した相手を呪い続け、
代々にわたって発狂させたのか。

私は、輪廻(生まれ変わって因果を繰り返す)の恐ろしさに心を震わせながら、
O氏に教えてもらった村の墓場に向かった。

良介の子孫、間田家の墓に線香をたむける。
ふっと上を見上げると、小高い丘のようなものが見えた。
私は、引き寄せられるようにその方向に足を進めた。
すると、草むらの中に、ぽっかりと口をあけた古井戸が見えた。

『その昔、裏山の麓に水のない井戸があり、
 大飢饉のときに人を殺して食べた残骸の捨て場所となっていた・・・』

O氏の言葉が蘇る。

周囲を観察すると、地形はちょうど山のすそのに位置していた。

「これが重ねの井戸か・・・」

水らしきものはなく、どこまでも深い穴のように感じられる。

その井戸から十メートルほど離れたところに、大きな石があった。
昔の墓のようだ。よく見ると字が刻まれていた。

【本多家の墓】

・・・と。

たしか、殺されたマントルの女の名前も、本多・・・
本多啓子(仮名)だった。

私は急いで村に戻り、近くで農作業をする老婆に、本多家の墓や喜助のことを聞いてみた。
老婆の顔は一瞬こわばったが、深くうなずき、

「本多家は喜助の子孫だよ。でも、明治初期に滅びたと聞いている」

と言った。

私は翌日、役場に出向いた。
やはり、本多家は滅びてなかった。転出しただけだ。
静岡に移り住み、小作人として大地主の元で働いていたという噂も入ってきた。

市役所でウラをとると、マンションで殺された本多啓子は、
喜助の血を受け継いでいることが判明した。
私は、やっと、あのマンションで女の霊が

「良介・・・殺す・・・殺す・・・」

と訴えた理由がわかった。

では、喜助の呪いにかかった良介の子孫、間田英雄が、
喜助の子孫である本多啓子を殺したとは、どういうことなのだろうか。
私は考えた。


代々に渡って間田家を狂わせた因果が巡りめぐって、
今度は喜助自身の子孫の命を奪われた。つまり自業自得に陥ったのかもしれない。

いや、待てよ。
こうは考えられないだろうか。

喜助の霊が間田家の英雄を狂わせる。
そして彼を、自分の子孫である本多啓子の元に呼び寄せ、彼女を殺させる。
すなわち、現実社会での重罪を犯させることによって、
発狂よりもさらに激しい復讐を狙った。
そのためには、自分の子孫も犠牲にできた・・・

祟りとは、際限なく広がり、時に残酷すぎる結果をもたらすのかもしれない。

私は翌日、岐阜県の高野山別院の高僧と連絡をとり、喜助の霊を弔う方法を尋ねた。
彼は弔いを引き受け、マンションの壁紙の一部をちぎり郵送するよう指示した。

「霊界の深淵を一度覗いてしまうと、何度も覗くはめになるぞ」

と言われたが、喜助の霊を成仏させられるなら、それも仕方ない。
精神薄弱の妹が身籠っている子供のためにも・・・








posted by kowaihanashi6515 at 14:22 | TrackBack(0) | 洒落怖

夜道のいざない【不思議な体験】



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去年の7月くらいに体験した話。

うちの母方の祖父が亡くなり、通夜と葬式のため親の実家の北海道へ行きました。

当日は祖父を神社まで運び、その夜は従兄弟や叔父、叔母とみんなでそこに泊まり、
蝋燭と線香の番をすることにしました。

みんなで寝る支度をして、歯を磨いたり顔を洗ったりしていました。

そこは神社なので当然お風呂が無く、
自分は髪にワックスをつけていたためどうしても流したくなり、
いっそのこと風呂に入りたいと思っていました。


神社から祖母のやっている旅館が歩いて10〜20分くらいの所にあり、
お客さんが泊まっているという事もあって、母と祖母と父は旅館に戻っていました。

なので旅館に戻って風呂に入ろうと思い、母に電話をしました。

自分は少し霊感が強いのか、子供の時などに幽霊を見たりしたことがあったので、
母に電話すると、

「あんた危ないわよ!? 確かに旅館は近いけど、お通夜の日の夜中に歩くなんて、
普通の人でも危ないのに、あんた大丈夫なの!?」

と言われました。

でも何故かその時は、夜中の知らない道を歩くのが怖いという感覚は全く無く、
とにかく風呂に入りたいと思い、道を聞き行く事にしました。

今考えればそれもおかしいのです。

基本的にビビりなので、誰か居ないとそんな日の夜中に
知らない田舎道を歩くなんてことはしません。


でもその時は、何故か全く気にせず行きました。

「神社を出て真っ直ぐ歩いたら川があるから、そこの橋を渡って、
左に真っ直ぐ行けばコンビニが見えるから、そこからは分かるでしょ?」

と教えてもらいました。

さほど遠くはなく、来る時は車で5分くらいの距離でしたが、
一応心配だったので、

「わかった。まあすぐ着くと思うけど、
迷ったら電話するから、携帯目の前に置いといて」

と言い、電話を切りました。


その後、傍に居た従兄弟二人と叔母に

「行って来ま〜す!」

と言って部屋を出て、別の場所で飲んでいた叔父にも

「行って来ます」

と言い、神社を出ました。


この時はみんな確かに、

「はいはい〜」

と返事をしていました。



そしてしっかり携帯を握り締め、神社を出ました。






神社を出てすぐに、暗くて何の施設かは判らなかったのですが
大きな建物があり、不気味で引き返そうかなと思ったのですが、
足は止まらず走っていました。


ちなみに、そこは大通りからちょっと入った所なので街灯はあったのですが、
薄暗く人通りも無いような場所でした。


でも、心の中で『大丈夫大丈夫』と呟きながら、真っ直ぐ走って行きました。



すると、母の言っていた橋が見えたので、そこを左に曲がりました。

後は真っ直ぐ行けばコンビニがあると思っていたので、全速力で走りました。

ですが、暫く走っていても全くコンビニが見えません。

10分以上走ったと思います。

母から電話が来ました。

「あんた今どこ? 迷ってない?」

「橋曲がって真っ直ぐでしょ? 今走ってる」

「そんな時間かからないはずよ? 間違えたんじゃないの?」

そう言われたので少し考え、何故か

「んーもうちょい行ってみる。また電話する」

と言い、電話を切りました。

後から考えれば、明らかにおかしかったのです。

何せ車で5分くらいの場所なので、そこまで走る訳がないのです。

しかも橋からコンビニなんて、走ってもせいぜい5分くらいの場所です。

ですがその時は、何故かこっちで合ってる、
間違ってるはずがない、と思っていました。



更に走っていると、歩道の右手に小さな祠みたいなものがありました。

そこを少し過ぎると、車が全く通りません。

そこは北海道の田舎なので、車の通りは確かに少ないのですが、
一応二車線の大通りでしたし、そこの祠を通るまでは車も少し走っていました。

しかし、そこの祠を過ぎて暫く走っても、一台も車が通りません。

本当に不気味に思えてきました。







更に走っていると、大きな橋がありました。
その下は川が通っているみたいでした。
川の音に混じり、笑い声が聞こえて来ました。

子供がその橋の下の川で遊んでいるような笑い声です。

でも時間は深夜の0時過ぎ。有り得ません。

その時『やばい!』と思い、全速力で来た道を戻りました。



戻っている時に気付いたのですが、軽く5キロくらい走っていたのです。

戻る前は全く疲れず、自分の中では15分くらいしか走っていないと思ったのですが、
実は相当走っていて、携帯を見ると時間もかなり経っていました。

とにかくやばいと思って、誰かに電話をしなければと思い、
従兄弟、兄、母に電話しました。

誰も出てくれません。

母にもう一度かけると、出たと思ったら

「あ……ぅ……」

と言ってすぐ切れました。

電波が悪いんだなと思い込み、走りながら電話をかけまくりました。



すると、さっき見た祠の所を過ぎた辺りで、やっと電話が通じました。

「何で出ないの!? と言うか超怖いから!
電話出ようよ!電波悪いならかけ直して!?」

と、焦っていたため怒鳴るように言いました。

すると母は、

「電話? 鳴ってないわよ? 目の前にずっとあるけど。
着信履歴も何も。今かかって来たわよ?」

と言いました。

ぞっとしました。

さっき出たのは誰?

と言うか、
何故こちらでは何回も呼び出し音が鳴っているのに、
そちらの携帯には着信履歴すら残っていないの?

色々な事が不安になり、母に

「とにかく!車!出して!お願い!大通りのとこ真っ直ぐ!」

と言い必死に走りました。



30分ほど走って、やっと母と祖母を見つけました。

「あんたどっち行ったの? 橋を過ぎたら右って言ったでしょ?」

と言われました。

今思い返しても、母は左と言っていたと思います。

そして母に事情を説明すると、

「あっち山の方よ? と言うか橋まで5キロはあるよ? 
途中で気付かなかったの? 住宅も減るのに。あんた、呼ばれてたんじゃないの?」

と言われました。

本当に呼ばれていたのかもしれません。

と言うか、そんな洒落にならない事を軽く言わないで欲しいものです。

ちなみにその後、ビビりつつも風呂に入り、車で送ってもらい神社へ戻りました。



その後、叔母に

「○○ちゃん(自分)、いつ出てったの?」

と言われました。

従兄弟も、叔母も、叔父も、誰も俺が出て行ったのを知らなかったのです。
でも俺はちゃんと行って来ますと伝えたはずです。返事も確かに聞きました。
でもみんな、いつの間にか居なくなったと言っていました。

ちなみに、兄貴と従兄弟の携帯の着信履歴にも、自分の名前はありませんでした。
そのまま引き返していなかったらどうなったかと思うと、今でもぞっとします。



後日、母が

「神隠しって、案外そういう風に消えたりするのかもね…」

と呟いて、更にぞっとしました。











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