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2018年05月17日

自己責任 【呪われた怖い話】





予めお断りしておきます。



この話を読まれたことで、
その後に何が起きても保証致しかねます。


自己責任のもとでお読み下さい。


今から5年前、私は中学生だった頃に、
一人の友達を亡くしました。

表向きの原因は精神病でしたが、
実際はある奴等に憑依されたからです。


私にとっては忘れてしまいたい記憶の一つですが、
先日、古い友人と話す機会があり、
あの時のことをまざまざと思い出してしまいました。



文章にすることで少し客観的になれ、
恐怖を忘れられると思いますので、ここに綴ります。


私たち(A・B・C・D・私)は皆、家業を継ぐことになっていて、
高校受験組を横目に暇を持て余していました。


学校側も、私たちがサボったりするのは
受験組の邪魔にならなくていい、と考えていたようで、

体育祭が終わった以降は朝学校に出て来さえすれば、
抜け出しても滅多に怒られることはありませんでした。



ある日、

AとBが近所の屋敷の話を聞いてきました。

改築したばかりの家なのに、持ち主が首を吊って自殺し、
一家は離散。


今は空き家になっているというのです。


サボった後のたまり場の確保に苦労していた私たちは、
そこなら酒やタバコが思う存分できると考え、
翌日すぐに昼から学校を抜けて行きました。


外から様子のわからないような、とても立派なお屋敷で、
こんなところに入っていいのか、少しビビりましたが、

AとBの二人は「大丈夫!」を連発しながら、
どんどん中に入って行きます。


既に調べを付けていたのか、勝手口が開いていました。


書斎のようなところに入り、窓から顔を出さないようにして、
コソコソと酒盛りを始めました。


でも、大声が出せないのですぐに飽きてきて、
5人で家捜しを始めました。



すぐにCが「あれ何や」と、
今いる部屋の壁の上の方を指差しました。

壁の上部に、学校の音楽室や体育館でよく見る、
放送室のような感じの小さな窓が二つ付いているのです。


「こっちも部屋か」


よく見ると、壁のこちら側にはドアがあるが、
本棚で塞がれていました。


肩車をすると、左上の方の窓は手で開きました。


今思うと、

その窓から若干悪臭が漂っていることに、
その時は疑問を持つべきでした。


それでもその時の、
こっそり酒を飲みたいという願望には勝てず、
無理矢理に窓から部屋に入りました。


部屋にはカビやホコリと、
饐えたような臭いが漂っています。



雨漏りしているのか、じめっとしていました。


部屋は音楽室と言えるようなものではありませんでしたが、
壁には手作りで防音材のようなものが貼ってあり、
その上から壁紙が貼られていることはわかりました。


湿気で壁紙はカピカピになっていました。


部屋の中はとりたてて調度品もなく、質素な作りでしたが、
小さな机が隅に置かれており、
その上に真っ黒に塗りつぶされた写真が、
大きな枠の写真入れに入ってました。


「なんやこれ、気持ち悪い」


と言って、

Aが写真入れを手に取り、持ち上げた瞬間、
額裏から一枚の紙が落ち、その中から束になった髪の毛が
バサバサと出てきました。


紙は御札でした。


みんな、ヤバイと思って、声も出せませんでした。

顔面蒼白のAを見て、
Bが「急いで出よう」と言いながら
逃げるように窓によじ登った時、
そっち側の壁紙全部がフワッと剥がれました。


写真の裏から出てきたものと同じ御札が、
壁一面に貼ってありました。


「何やこれ・・・」


酒に弱いCはその場でウッと、反吐しそうになりました。


「やばいてやばいて」

「吐いてる場合か急げ」

よじ登るBの尻を、私とDでグイグイ押し上げました。


何がなんだか、訳がわかりませんでした。

後ろでは誰かが、

「いーーー、いーーー」

と声を出しています。


きっとAです。祟られたのです。

恐ろしくて振り返ることも出来ませんでした。


無我夢中でよじ登って、反対側の部屋に飛び降りました。


Dも出てきて、部屋側から鈍いCを引っ張り出そうとすると、

「イタッイタッ」

Cが叫びました。


「引っ張んな足!」

部屋の向こうでは、
Aらしき声がワンワン変な音で呻いています。


Cは余程すごい勢いでもがいているのか、
足でこっちの壁を蹴る音がずんずんしました。


「B!かんぬっさん連れて来い!」


後ろ向きにDが叫びました。


「なんかAに憑いとる!
裏行って神社のかんぬっさん連れて来いて!」

Bが縁側から裸足でダッシュしていき、
私たちは窓からCを引き抜きました。


「足!足!」

「痛いか?」

「痛うはないけど、なんか噛まれた」

見ると、

Cの靴下のかかとの部分は
丸ごと何かに食いつかれたように、
丸く歯形が付いて唾液で濡れています。


相変わらず中からはAの声がしますが、
怖くて私たちは窓から中を見ることが出来ませんでした。

「あいつ、俺に祟らんかなぁ」

「祟るてなんや!Aはまだ生きとるんぞ!」

「出てくる時、めちゃくちゃ蹴ってきた・・・」



『しらー!』

縁側からトレーナー姿の神主さんが、
真っ青な顔して入って来ました。


「ぬしら何か!何しよるんか!馬鹿者が!」

一緒に入って来たBはもう、
涙と鼻水でぐじょぐじょの顔になっていました。


「ええからお前らは帰れ。
こっちから出て、神社の裏から社務所入って
ヨリエさんに見てもらえ。あと、おい!」

と、いきなり私を捕まえ、
後ろ手にひねり上げられました。

後ろで何か『ザキッ』と音がしました。

「よし、行け!」

そのままドンと背中を押されて、
私たちは訳のわからないまま走りました。



それから裏の山に上がって神社の社務所に行くと、
中年の小さいおばさんが、白い服を着て待っていました。


めちゃめちゃ怒られたような気もしますが、
それから後は、逃げた安堵感でよく覚えていません。





次の日から、Aが学校に来なくなりました。

私の家の親が神社から呼ばれたことも何回かありましたが、
詳しい話は何もしてくれませんでした。


ただ、山の裏には絶対行くな、とは言われました。


私たちも、あんな恐ろしい目に遭ったので、
山など行くはずもなく、学校の中でも、
小さくなって過ごしていました。


期末試験が終わった日、

生活指導の先生から呼ばれました。


今までの積み重ねをまとめて大目玉かな、
殴られるなと覚悟して進路室に行くと、
私の他にもBとDが座っています。

神主さんも来ていました。

生活指導の先生などいません。


私が入ってくるなり、神主さんが言いました。


「あんなぁ、Cが死んだんよ」

信じられませんでした。



Cが昨日学校に来ていなかったことも、その時に知りました。


「学校さぼって、こっちに括っとるAの様子を
見に来よったんよ。

病院の見舞いじゃないとやけん、
危ないってわかりそうなもんやけどね。

裏の格子から座敷のぞいた瞬間に、
ものすごい声出して倒れよった。

駆けつけた時には白目むいて、虫の息だった」



Cが死んだのに、そんな言い方ないだろうと思って、
ちょっと口答えしそうになりましたが、
神主さんは真剣な目で、私たちの方を見ていました。


「ええか、Aはもうおらんと思え。
Cのことも絶対今から忘れろ。

アレは目が見えんけん。

自分の事を知らん奴のところには憑きには来ん。

アレのことを覚えとる奴がおったら、
何年かかってもアレはそいつのところに来る。

来たら憑かれて死ぬんぞ。

それと、後ろ髪は伸ばすなよ。

もしアレに会って逃げた時、
アレは最初に髪を引っ張るけんな」

それだけ聞かされると、
私たちは重い気持ちで進路室を出ました。


あの時、神主さんは私の伸ばしていた

後ろ毛をハサミで切ったのです。


何かのまじない程度に思っていましたが、
まじないどころではありませんでした。


帰るその足で床屋に行き、丸坊主にしてもらいました。


卒業して家業を継ぐという話は、
その時から諦めなければいけませんでした。



その後、

私たちはバラバラの県で進路につき、
絶対に顔を合わせないようにしよう、

もし会っても他人のふりをすることに
しなければなりませんでした。


私は1年遅れて隣県の高校に入ることができ、
過去を忘れて自分の生活に没頭しました。


髪は短く刈りました。


しかし、

床屋で「坊主」を頼むたび、
私は神主さんの話を思い出していました。


今日来るか、明日来るかと思いながら、
長い3年が過ぎました。


その後、さらに浪人して、
他県の大学に入ることが出来ました。





しかし、

少し気を許して盆に帰省したのがいけませんでした。



もともと私はお爺ちゃん子で、
祖父はその年の正月に亡くなっていました。


急のことだったのですが、
せめて初盆くらいは帰って来んかと、
電話で両親も言っていました。


それがいけませんでした。


駅の売店で新聞を買おうと寄ったのですが、
中学時代の彼女が売り子でした。


彼女は、私を見るなりボロボロと泣き出して、
BとDがそれぞれ死んだことを捲くし立てました。


Bは卒業後まもなく、
下宿の自室に閉じこもって首を括ったそうです。


部屋は雨戸とカーテンが閉められ、
部屋中の扉という扉を封印し、

さらに自分の髪の毛をその上から一本一本、
几帳面に貼り付けていたということでした。


鑞(金属用のロウ)で
自分の耳と瞼に封をしようとした痕があったが、
最後までそれをやらずに自害したという話でした。


Dは、17の夏に四国まで逃げたそうですが、
松山の近郊の町で、パンツ一枚でケタケタ笑いながら
歩いているのを見つかったそうです。


Dの後頭部は烏がむしったように、
髪の毛が抜かれていました。


Dの瞼は閉じるのではなく、絶対に閉じないようにと、
自らナイフで切り取ろうとした痕があったそうです。


この時ほど中学時代の人間関係を呪ったことはありません。


BとDの末路など、今の私にはどうでもいい話でした。


つまり、

アレを覚えているのは私一人しか残っていない、
と気づかされてしまったのです。


胸が強く締め付けられるような感覚で家に帰り着くと、
誰もいませんでした。


後で知ったことですが、
私の地方は忌廻しと云って、特に強い忌み事のあった家は、
本家であっても初盆を奈良の寺で行うという
風習があったのです。


私は連れて来られたのでした。


それから3日、私は39度以上の熱が続き、
実家で寝込まなければなりませんでした。


この時、私は死を覚悟しました。


仏間に布団を敷き、なるだけ白い服を着て、
水を飲みながら寝ていました。


3日目の夜明けの晩、夢にAが立ちました。


Aは骨と皮の姿になり、黒ずんでいて白目でした。


「お前一人やな」


「うん」


「お前もこっち来てくれよ」


「いやじゃ」


「Cが会いたがっとるぞ」


「いやじゃ」


「おまえ来んと、Cは毎日リンチじゃ。
逆さ吊りで口に靴下詰めて蹴り上げられよるぞ。
かわいそうやろ」


「うそつけ。地獄がそんな甘いわけないやろ」

「ははは、地獄か、地獄ちゅうのはなぁ」

そこで目を覚ましました。

自分の息の音で、喉がヒイヒイ音を立てていました。

枕元を見ると、祖父の位牌にヒビが入っていました。

私は考えました。


アレの話を私と同じように多くの人に話せば、
アレが私を探し当て、私が憑依される確率は
下がるのではないか。


ここまでの長文たいへん失礼しましたが、
大雑把な書き方では読んだ方の記憶に残らないと
思ったのです。


読んだ方には申し訳ないのですが、
犬に噛まれたとでも思ってください。


ご自分の生存確率を上げたければ、
この話を少しでも多くの方へ
伝えることをおすすめします。




posted by kowaihanashi6515 at 14:44 | TrackBack(0) | 洒落怖

2018年05月05日

神降ろし【肝試し・怖い話】





大学生になって初めての夏が近づいてきた、金曜日頃のこと。


人生の中で最もモラトリアムを
謳歌する大学生といえど障害はある。


そう前期試験だ。

これを無事にやり過ごし単位を獲得しないことには、
せっかくの夏も存分に楽しめない。


大学で出来たまだ少し距離感のある友人達(AとBとする)と、

翌週から始まるテストに備えて、
俺の部屋で試験勉強に励んでいてた時、

A「試験勉強ウゼー。飽きた。
  ちょっとここらで気分転換しねぇ?」

と言い出した。


B「んじゃ、どうする?ゲームでもする?」

もう一人の友人が応える。


A「時期的にはちょっと早いけど 肝試しとか?」

B「いやw女もいなくて、 『キャー!B君コワーイ!』とか、
 キャッキャウフフもないから メリットねーじゃん」

A「俺らまだ、つるみはじめてから日が浅いだろ?ここらで
  友情を深めるイベントをと思ってさ」

ちょっと引き気味で、

B「お前・・・まさかガチ(ホモ的な意味で)じゃねーよな?」


A「んなわけあるかwww気分転換にはいいと思うんだけどな俺は。
  実はこの近くで、 それっぽいポイントを見つけたんだ。

  んで、実は昼間のうちに準備もしてきてたりするんだが」


俺「準備済みとか段取り良すぎだろw」

Bは最初嫌がってたが、目的地が
噂の心霊スポットとかじゃなくて、

チャリでいける距離にあるただの無人の神社だとわかると、
しぶしぶだが了承した。


一方、俺は怪談とかは結構好きで、肝試しにも乗り気だった。


俺は全くの零感なもんで、中学生の頃に、
地元で仲の良かった友人達と有名心霊スポットに行ってみても、

何か見たり、何かが起こったりってことは、
今まで一度もなかったから、

まぁ気楽に考えてたんだな。


目的地の神社に到着して、
A曰く、

「別に心霊スポットって訳でも無いから、
みんなでウダウダ言いながら 行って帰ってだったら、
なんの面白みも無い。

だから、ちょっとした準備をして、 ルールを決めてやろうぜ」

とのこと。


肝試しのやり方は、
1、 3人でまず神前に入りお参りして、
神様に肝試しのお断りをする。
(3人とも小心者だったので・・・)


2、 神社の裏手で、 火が燃え移る恐れの無い場所に
風除けを立てて、蝋燭 (アロマキャンドルで代用)を3本設置。


3、 神社の入り口まで戻る。


4、 一人づつ順番に 先ほどの蝋燭のところまで行き、
  行ってきた証拠に蝋燭に火を灯して 帰ってくる。


5、 全員が終ったら、 全員で蝋燭の元に戻り、
 火を消して蝋燭と風除けを撤去。


6、 最後に神前で、「おさわがせしました」 と御詫びして帰宅。
  というもの。


じゃんけんで、B、A、俺の順番となった。


内心で最もビビってそうに見えたBが一番最初だったので、
大丈夫かとか思ってたが、目に少し恐怖の色が見えたものの、
当然のことだが、何も起こらなかった様で普通に戻ってきた。


次に行ったのがAだが、
さすが肝試しの発案者だけあって、
全く平気な様子で戻ってきた。

そして、最後の俺の番となった。


小さな神社であるため、
鳥居をくぐるとすぐに神社の拝殿が見える。


夜の神社というだけで不気味ではあるが、

この日は風もあまりなく月明かりも出ていたので、
それほど恐怖感はなかった。


拝殿を通り過ぎ、本殿に沿って裏手に回る。


俺達が設置した場所に、二つの炎が灯った蝋燭が見える。


「やっぱり何も起きないか」と、

安堵とわずかな失望が入り混じった微妙な心境で、
最後の蝋燭に火を灯した。


その後、もと来た道を戻り友人達の元に戻った。


3人揃った所で、

「やっぱり何も起きねーかー」

「でもなんやかんやで
この雰囲気はちょっと来ねぇ?」

とか無駄口を叩きながら蝋燭の元に戻って、
火の始末をして回収したが、

この時もやはり何も起こらなかった。


最後に、何も起きずに無事帰途につけることのお礼と、

「おさわがせしました」

の御詫びをして拝殿を離れた。


そして、後十数歩で鳥居というところまで戻った時だった。


背筋に氷柱を入れられたような悪寒ともに、
肌が一気に粟立つ感覚に襲われ立ちすくむ。


決して背後を振り返らないように隣を見ると、
AもBも同じものを感じたらしく立ち尽くしている。


俺「まさか・・・な」

A「おいおい、
やっぱ神様怒ってんじゃね?」

軽口を叩いてはいるものの、
その顔に余裕はなさそうだった。


A「出口の自転車のところまで 後ちょっとだし、
  土産話が出来ると思って、 いっせいので振り向いてみようぜ」


B「バカいうな。こういうのは
 見ない方がいいって相場が決まってる。

 このまま振り向かずに、チャリ乗って帰るべきだろ」

そんな中その時の俺はというと、今ままで霊体験を
一度もしたことがなかったこともあり、

恐怖よりも好奇心が勝っていて、

俺「いやいや、 コレこそが肝試しじゃね?
  これはいっとくべきだろ」

そんなこんなで、ウダウダ言ってる間にも、
背後の気配は徐々に濃密になっていく。


Bも俺とAに押され、結局全員で一斉に振り向くことに。


最初にぱっと見た限りでは、
月明かりに照らされた神社の境内には何も見えなかったが、

目を凝らしてみると、自分達と拝殿の間あたりに、
黒い水溜りのようなものが見える。


「あんなところに水溜りなんてあったけ?」

さっき通ってきた時には、
確かにそんなものはなかったはずだ。


気付くと、つい先ほどまで聞こえていた微かな葉音も止んでおり、
耳が痛いほどの静寂に包まれている。


とぷんっ


小石を川面に投げ込んだような水音が、
微かに聴こえたような気がした。


見ると、先ほどの黒い水溜りのようなものに、
波紋が広がっている。


そこからゆっくりと、
漆黒の2本の手の様な物が水溜りから突き出され、
何かが這い出そうとしているように見えた。


その時、あれは幽霊とかそんな生ぬるいものではない、

もっと禍々しい何かだと自分の直感が告げていた。


頭のようなものがぬるりと持ち上がってきたところで、

俺達は弾かれたようにその場から逃げ出した。


自転車に飛び乗り、元来た道を全力で走る。


当然後ろを振り返って確認する余裕などなかった。


3人とも這々の体で、元いた俺の部屋に転がり込んた。


部屋のドアにしっかりと施錠した後、まだ恐怖の余韻が残る中、

「なんだよアレ。 やばいやばいやばいやばい」


「俺、幽霊とか見たこと無いけど、アレは絶対やばいって。
  雰囲気的に幽霊とかの レベルじゃねーよ」

沈黙が恐ろしくて、みんな口々に意味の無い事を言い合っていた。


しかし、その後しばらくたっても、神社で見た何かが追って来ている
様子がなかったので、電気を点けっぱなしにして、
ミニコンポから音楽を流しっぱなしにした状態で寝ることになった。


恐怖感からか目が冴えて全然眠れなかったが、

朝日がカーテンの隙間から差し込む頃には、
それまでの緊張感からうとうとし始めていた。


その時に夢を見た。

その時に見た夢というのが、風景も何もなく真っ暗な場所に、

肝試しに使った蝋燭が3本立っており、その内の1本に炎が灯るというもの。


目が覚めてから聞いて見ると、AとBも同じ夢を見たらしい。


全員が同じ夢を見ていた、
ということに気持ちの悪さを覚えながらも、

その日は解散となった。



その日(土曜日)の夜、再び同じ夢を見た。


暗闇に蝋燭3本が立っている。

前回と違ったのは、3本の蝋燭の2本目に炎が灯ったこと。


目が覚めてから、何かを暗示しているようで気味が悪かったが、

週明けの試験のこともあったので、あまり外出もせず勉強に励んだ。


予感していたことだが、日曜日の夜にもやはり同じ夢を見た。


今度は3本目の蝋燭に炎が灯された。


何か嫌なもの予感させる夢だったが、
試験をサボるわけにもいかず大学に出かけた。


同じ講義と試験を受ける予定だった、AとBが来ていなかった。


気になりながらも、
その日予定されていた講義と試験を無事に終え、

とりあえずAの携帯に連絡を取ってみたところ、
少し混乱をしていて要領を得なかったが、

A曰く、

「2本目の蝋燭が灯った夢を見て
 目覚めた日に、神社にいたアイツが来た」

ソレに気を取られたからなのか、
何も無い階段で足を踏み外し
足を骨折して、今は病院だという。


今度はBに連絡とったところ、
Bも似たような感じで、
自転車で事故に遭い入院中とのこと。



とりあえず、二人とも生きてはいることがわかり
ホッとしたものの、

次は確実に自分の番ということに気付き、
ジワジワと恐怖感がせりあがってくる。





そんなところに突然声をかけられ、
座っていたキャンパス内のベンチから
思わず飛び上がりそうになる。


声をかけてきたのは同じ地元出身で、

幼馴染の姉である2つ年上のCさんだった。


C「なーに、しけたツラしてんの?」

俺「なんだ、Cさんですか
 脅かさないでくださいよ・・・」

Cさんは知り合いを探すように、
周りをちょっとキョロキョロしながら、

C「別に脅かすつもりはって・・・うわっ!!」


C「ちょっと、D君(俺のこと) なんてモノ連れてんの」


俺「ちょっ・・連れてるって 何の話ですか?
  何か視えるんですか。

ってか、Cさん視える人なんですか?

  そんな話今まで一言も 言ってなかったじゃないですか」


C「ちょっと、一気に質問しないでよw」

ここで、Cさんについての説明と、
Cさんから聞いた話をまとめる。


Cさんについて。

・地元の幼馴染の姉。(長女Cさん、長男Eさん
(神道関連の某大学生)、次男F(幼馴染)の3姉弟)


・地元の神社の娘。

・昔からいろいろと 視える性質だそうだが、

わざわざ人に喋ることでも無いし、
喋ることで鬱陶しいの (そういうのが好きな人間)に、
まとわりつかれるのも嫌だから とのこと。


聞いた話。

・何か得体の知れないものが憑いてる。
(人間の霊とかで無く、良くわからんらしい)


・話を聞いた限りでは、 物理的に害を与えるというよりも、
 精神に障るタイプのヤツっぽい。


・憑かれたままだと、 碌な目に遭わないはず。
 下手すりゃ死ぬかも、とのこと。


その話を聞いて、今も視えるか聞いてみたら、

C「ほら、あの並木のあたり見てみ?」

と言ってCさんは、向こうに見える並木道を指差した。


俺「講義や試験を終えた学生が、
ぞろぞろ帰ってるのが 見えるだけですが・・・」


C「じゃ、メガネ外してもう一回。
歩いてる人の足元あたりに注目!」

俺「!!!!」

周りの風景や人はぼやけて見えるのに、

辛うじて人の形に見える、
漆黒のタールのようなものの上半身が、
這うような姿勢のまま静止しているのが、はっきり視える。



C「見えた?
クロウリングケイオス(crawling chaosかな?)
って感じだよねw」


俺「Cさん。実家の神社で
巫女さんとかもされてましたよね?
お払いとか出来ないんですか?」


C「無理無理w自分に変なのが
まとわり憑かないようにすることで 精一杯。

 実家継ぎ損なってなけりゃ 出来たかもだけどw」


C「それにしても何したの?
普通に心霊スポットとか 行ったぐらいじゃ、
あんなの拾ってこないよ普通www」


俺「マジ笑い事じゃないですよ。
神社で肝試ししただけですよ。俺ら」

C「うーん」

何か含みのある様子で軽く唸ると、
急にCさんが俺の手を引いて腕を絡めて、

C「ま、こんなトコで立ち話もなんだし、
ちょっと飲み屋にでも行こうか?奢ったげるからさ」

このCさん。
あんまり女性っぽく無いサバサバした性格だけど、

見た目は無造作に後ろで束ねた長い黒髪で、
和装が似合いそうな美人さん。


なので、こんな話をしてる時なのに、
ドキドキしてたのは内緒だ。


C「私とくっついてたらとりあえずは大丈夫。
あと、君は結構運がいいね。

 弟(長男の方)が実家の用事ついでに、
私のトコに寄る予定あるんだ。

 後2時間くらいで着くはずだから、 安心して良いよ」

そう言いながら、グイグイ俺を引っ張っていく。


結局、2人で個室のある飲み屋に入り、
先ほどの話の続きをすることに。



飲み屋に腰を落ち着けて、事の経緯を説明し、
いろいろ聞いた話をまとめると以下。

(聞いた時にわからなかった言葉とかは、
 後でググッて補足しています)


・Cさんではお払いが 出来ないことについて。


普通、神職自体には、霊とかその他諸々を払う力は無い。


祀ってる神様の力を借りないことには払えない。


そもそも神職は巫覡に端を発しているので、
霊を成仏させたりする坊主とは違う。


神様の力を借りるには、相応の舞台装置が必要。


つまり、神社の外では、
依り代とかがなければ大したことは出来ない。


・神社の境内は神域のはず。
なんであんなのがいるのか?


坊主の作る結界とは違い、
神社は神を降ろすための舞台装置
(神を降ろし易くすための場)にすぎない。


神域とは、舞台装置である
神社に神が降りることによって、
始めて力を発揮する。


神職や管理者がいたり、
キチンと定期的に祀られてる神社は、

神域として正しく機能しているため、
おかしなものは寄り付かない。


逆にそうでない神社は、
何か寄せるための舞台装置だけがある状態。


色々とおかしなものが集まってくるので危険。


ここまで話を聞いて、疑問に思った事を聞いてみた。


俺「なんでEさん(長男)が来たら 安心なんです?
  さっきの話だと、神職自体に払う力はないんでしょ?

  ましてやEさんて、今まだ在学中で、
正式な神職になって無いでしょ。

  それとも、Cさんと二人で 力をあわせれば何とかなるって、
そういう話ですか?」


C「違う違う。確かに神職自体に 払う力はないってのは、
Eに関しても当てはまるんだけどね。

 ただ、あの子は色々と特別な訳。

うちの神様に守られてるんだよね。

 具体的な効果範囲はわからないけど、
 少なくともEの視認できる範囲内には、

幽霊とかその他もろもろの、
危害を加えるものは近寄れない」


俺「それを聞いて気付いたんですけど、
  もしかして、地元の心霊スポット とかで肝試しした時に、
何もおこらなかったのって・・・」


C「そう、いつもEいたでしょww」

俺「でも、なんでEさんだけ そんな特別扱いなんです?

そもそも、神様が1人だけを守ったりとかあるんです?

  神社って全国各地にあって、
しかも有名な神様だと分霊でしたっけ?とかされて、

同じ神様を祀ってる神社がいっぱいあるのに」


C「んー。ちょっと長くなるけど良い?」


Cさんより聞いた話。

(特定されない程度にぼかして記載している箇所があります)


・彼女の実家の神社(A神社とする)は、
 全国に同じ名前の神社がある。 つまり、総本社の分社。


・ただ、彼女の一族は、
 元々は別の神社(B神社とする) を管理してきた一族。


・B神社は今もあるが、 現在その直接的な管理は、
  B神社がある地域の町内会が おこなっており、

彼女の実家は、それをサポートする立場。


・B神社は決して大きくは無いが、
延喜式神名帳にも記載されていた、
それなりに歴史のある式内社。(少なくとも千年以上)


・B神社は、全国的に見ても 少し特殊な神社。
(主祭神と建築様式の2点において)


・ある神様を祀っているが、
その神様を主祭神としている神社は、
全国でB神社のみ。


・B神社は、
平安時代以降のある時代に、
戦乱だか災害だかで一度消失し、
近年に再建された歴史を持つ。


・その空白期間、彼女の一族がどうしていたかというと、

当代の神職を依巫として 祀ってる神様を降ろして、
代々引き継いできた。

(満10歳になった時に、
次代の神職を確定させるために、神降ろしの儀式があり、

その後は、当代と次代の間で取り決めたタイミングで、
もう一度神降ろしをして、世代交代を行う。

世代交代の時期が決まってないのは、
儀式的なしきたりよりも、
確実に引き継ぐことを重視したためだと思うとの事)


・一方、彼女の一族がそうまでして
その神様への信仰を守ったのは、

B神社のある地域一帯に、
物凄く強力な力を持った何かがいて、

(人間とって都合の悪い
神様レベルのものなのかもとはCさんの推測)

それを封じる役割を、
その神様が担っていたからとのこと。


・神社が再建されたのは、
表向きには神仏分離令が出た後に、

その地域にも由緒正しい神社があったことがわかり、

これはぜひ再建するべきとの機運があったため、とのことだが、

その地域の鎮守として、
B神社がなかった空白期間が 長かったため、 

定期的に彼女の一族が封じるための儀式を
行ってきたけれども、 それでは抑えきれず、

封じてた何かの悪影響が
出るようになっていたから、とのこと。


・それをあらわす証拠が、
再建された時の 建築様式に現れており、

いくら由緒正しいとは言え、
田舎の小さな一神社には ありえない特徴があり、

その再建した時代に、その神社が
重要視されていたことがわかる。


・再建後は、B神社は 鎮守としてきちんと祀られ、
(収穫祭ではあるが秋祭りもある)

定期的にその神社で 儀式を行っているため、
その何かは封じられていると事。


以上のような経緯で、
Eさんは神様の一部を常時降ろしているような状態で、
強力に守護されている。


そのためEさんの周りは、
Eさん自身の体を舞台装置(依巫)とした、

一種の神域のようなものになっているとのこと。


よってEさんにとっては、
俺に憑いている程度のものを払うのは
大したことでは無い、という訳だそう。


場合によっては、
Eさんがこの飲み屋に着いただけで、
憑いていたものは消滅してるかも、

とCさんは笑っていた。


それを実感するエピソードとしては、
Cさんが小学生の頃、

弟が神降ろしの儀式を行った
(弟が次代に確定した)翌日から、

今まで通っていた小学校で
視えていたいろんなものが、
それ以降、全く見えなくなった事を
挙げていた。


Cさんが中学生になった後、
一年後に弟が中学校に通いだした時にも、
同じことが起こり確信したという。


そんな話をしているうちに、
Eさんが飲み屋にやってきた。


Cさんから話を聞いた後だったが、
1年ぶりにあったEさんは、

俺には普通の今時のイケメン兄ちゃんに見えた。


E「久しぶり。
姉さんから電話で聞いたけど、
なるほど、ちょっと『障られて』るね」

そう言うとEさんは、
俺の頭を軽くポンっと叩いて、

E「よし。これで大丈夫」


俺「へ!?もう終わりですか?
もっとこう、祝詞的なものとかは
必要ないんですか?」

(寺生まれのTさんの
『ハァー!!』みたいな、
気合的なものとかもなかった。
本当に軽くポンと頭を触られただけ・・・)


E「ないないwこれでOKだから」

C「うん。頭から伸びてた
紐みたいなのがもう視えないから、 大丈夫」

物凄く拍子抜けしたが、
その後3人で飲んでにうちに帰って寝たが、
例の夢はもう見なかった。

(翌日、入院しているAとBについても、
Eさんに払ってもらった)


AとBが怪我したものの、
最終的にみんな無事だったのでよかった。


得られた教訓としては、
無人の神社には近づくなって事。


で、水溜まりから出て来たヘドロ人間は、
一体何だったんだ?

動物の霊とかか?





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2018年04月28日

神降ろし






大学生になって初めての夏が近づいてきた、金曜日頃のこと。


人生の中で最もモラトリアムを謳歌する大学生といえど障害はある。


そう前期試験だ。

これを無事にやり過ごし単位を獲得しないことには、
せっかくの夏も存分に楽しめない。


大学で出来たまだ少し距離感のある友人達(AとBとする)と、

翌週から始まるテストに備えて、
俺の部屋で試験勉強に励んでいてた時、

A「試験勉強ウゼー。飽きた。 ちょっとここらで気分転換しねぇ?」

と言い出した。


B「んじゃ、どうする?ゲームでもする?」

もう一人の友人が応える。


A「時期的にはちょっと早いけど 肝試しとか?」

B「いやw女もいなくて、 『キャー!B君コワーイ!』とか、
キャッキャウフフもないから メリットねーじゃん」

A「俺らまだ、つるみはじめてから日が浅いだろ?
ここらで友情を深めるイベントをと思ってさ」

ちょっと引き気味で、

B「お前・・・まさかガチ(ホモ的な意味で)じゃねーよな?」


A「んなわけあるかwww気分転換には いいと思うんだけどな俺は。
 実はこの近くで、 それっぽいポイントを見つけたんだ。
 んで、実は昼間のうちに 準備もしてきてたりするんだが」


俺「準備済みとか段取り良すぎだろw」


Bは最初嫌がってたが、目的地が噂の心霊スポットとかじゃなくて、

チャリでいける距離にあるただの無人の神社だとわかると、
しぶしぶだが了承した。


一方、俺は怪談とかは結構好きで、肝試しにも乗り気だった。


俺は全くの零感なもんで、中学生の頃に、
地元で仲の良かった友人達と有名心霊スポットに行ってみても、

何か見たり、何かが起こったりってことは、
今まで一度もなかったから、まぁ気楽に考えてたんだな。


目的地の神社に到着して、A曰く、

「別に心霊スポットって訳でも無いから、
みんなでウダウダ言いながら 行って帰ってだったら、
なんの面白みも無い。

だから、ちょっとした準備をして、ルールを決めてやろうぜ」

とのこと。


肝試しのやり方は、

1、 3人でまず神前に入りお参りして、神様に肝試しのお断りをする。
(3人とも小心者だったので・・・)


2、 神社の裏手で、 火が燃え移る恐れの無い場所に
風除けを立てて、蝋燭(アロマキャンドルで代用)を3本設置。


3、 神社の入り口まで戻る。


4、 一人づつ順番に 先ほどの蝋燭のところまで行き、
行ってきた証拠に蝋燭に火を灯して 帰ってくる。


5、 全員が終ったら、 全員で蝋燭の元に戻り、
火を消して蝋燭と風除けを撤去。


6、 最後に神前で、「おさわがせしました」と御詫びして帰宅。

というもの。


じゃんけんで、B、A、俺の順番となった。


内心で最もビビってそうに見えたBが一番最初だったので、
大丈夫かとか思ってたが、目に少し恐怖の色が見えたものの、
当然のことだが、何も起こらなかった様で普通に戻ってきた。


次に行ったのがAだが、
さすが肝試しの発案者だけあって、全く平気な様子で戻ってきた。

そして、最後の俺の番となった。


小さな神社であるため、
鳥居をくぐるとすぐに神社の拝殿が見える。


夜の神社というだけで不気味ではあるが、
この日は風もあまりなく月明かりも出ていたので、
それほど恐怖感はなかった。


拝殿を通り過ぎ、本殿に沿って裏手に回る。


俺達が設置した場所に、二つの炎が灯った蝋燭が見える。


「やっぱり何も起きないか」と、

安堵とわずかな失望が入り混じった微妙な心境で、
最後の蝋燭に火を灯した。


その後、もと来た道を戻り友人達の元に戻った。


3人揃った所で、

「やっぱり何も起きねーかー」

「でもなんやかんやで この雰囲気はちょっと来ねぇ?」

とか無駄口を叩きながら蝋燭の元に戻って、
火の始末をして回収したが、
この時もやはり何も起こらなかった。


最後に、何も起きずに無事帰途につけることのお礼と、

「おさわがせしました」

の御詫びをして拝殿を離れた。


そして、後十数歩で鳥居というところまで戻った時だった。


背筋に氷柱を入れられたような悪寒ともに、
肌が一気に粟立つ感覚に襲われ立ちすくむ。


決して背後を振り返らないように隣を見ると、
AもBも同じものを感じたらしく立ち尽くしている。


俺「まさか・・・な」

A「おいおい、やっぱ神様怒ってんじゃね?」

軽口を叩いてはいるものの、
その顔に余裕はなさそうだった。


A「出口の自転車のところまで後ちょっとだし、
土産話が出来ると思って、 いっせいので振り向いてみようぜ」


B「バカいうな。こういうのは
見ない方がいいって相場が決まってる。
  このまま振り向かずに、チャリ乗って帰るべきだろ」

そんな中その時の俺はというと、
今ままで霊体験を一度もしたことがなかったこともあり、
恐怖よりも好奇心が勝っていて、

俺「いやいや、 コレこそが肝試しじゃね?
これはいっとくべきだろ」

そんなこんなで、ウダウダ言ってる間にも、
背後の気配は徐々に濃密になっていく。


Bも俺とAに押され、結局全員で一斉に振り向くことに。


最初にぱっと見た限りでは、
月明かりに照らされた神社の境内には何も見えなかったが、

目を凝らしてみると、自分達と拝殿の間あたりに、
黒い水溜りのようなものが見える。


「あんなところに水溜りなんてあったけ?」

さっき通ってきた時には、確かにそんなものはなかったはずだ。


気付くと、つい先ほどまで聞こえていた微かな葉音も止んでおり、
耳が痛いほどの静寂に包まれている。


とぷんっ


小石を川面に投げ込んだような水音が、
微かに聴こえたような気がした。


見ると、先ほどの黒い水溜りのようなものに、
波紋が広がっている。


そこからゆっくりと、
漆黒の2本の手の様な物が水溜りから突き出され、
何かが這い出そうとしているように見えた。


その時、あれは幽霊とかそんな生ぬるいものではない、

もっと禍々しい何かだと自分の直感が告げていた。


頭のようなものがぬるりと持ち上がってきたところで、
俺達は弾かれたようにその場から逃げ出した。


自転車に飛び乗り、元来た道を全力で走る。


当然後ろを振り返って確認する余裕などなかった。


3人とも這々の体で、元いた俺の部屋に転がり込んた。


部屋のドアにしっかりと施錠した後、まだ恐怖の余韻が残る中、

「なんだよアレ。 やばいやばいやばいやばい」


「俺、幽霊とか見たこと無いけど、アレは絶対やばいって。
雰囲気的に幽霊とかの レベルじゃねーよ」

沈黙が恐ろしくて、
みんな口々に意味の無い事を言い合っていた。


しかし、その後しばらくたっても、
神社で見た何かが追って来ている様子がなかったので、

電気を点けっぱなしにして、
ミニコンポから音楽を流しっぱなしにした状態で
寝ることになった。


恐怖感からか目が冴えて全然眠れなかったが、

朝日がカーテンの隙間から差し込む頃には、
それまでの緊張感からうとうとし始めていた。


その時に夢を見た。

その時に見た夢というのが、風景も何もなく真っ暗な場所に、
肝試しに使った蝋燭が3本立っており、
その内の1本に炎が灯るというもの。


目が覚めてから聞いて見ると、
AとBも同じ夢を見たらしい。


全員が同じ夢を見ていた、
ということに気持ちの悪さを覚えながらも、
その日は解散となった。



その日(土曜日)の夜、再び同じ夢を見た。


暗闇に蝋燭3本が立っている。

前回と違ったのは、3本の蝋燭の2本目に炎が灯ったこと。


目が覚めてから、
何かを暗示しているようで気味が悪かったが、

週明けの試験のこともあったので、
あまり外出もせず勉強に励んだ。


予感していたことだが、
日曜日の夜にもやはり同じ夢を見た。


今度は3本目の蝋燭に炎が灯された。


何か嫌なもの予感させる夢だったが、
試験をサボるわけにもいかず大学に出かけた。


同じ講義と試験を受ける予定だった、AとBが来ていなかった。


気になりながらも、その日予定されていた講義と
試験を無事に終え、

とりあえずAの携帯に連絡を取ってみたところ、
少し混乱をしていて要領を得なかったが、

A曰く、

「2本目の蝋燭が灯った夢を見て目覚めた日に、
神社にいたアイツが来た」

ソレに気を取られたからなのか、
何も無い階段で足を踏み外し足を骨折して、
今は病院だという。


今度はBに連絡とったところ、
Bも似たような感じで、
自転車で事故に遭い入院中とのこと。



とりあえず、
二人とも生きてはいることがわかりホッとしたものの、

次は確実に自分の番ということに気付き、
ジワジワと恐怖感がせりあがってくる。


そんなところに突然声をかけられ、
座っていたキャンパス内のベンチから
思わず飛び上がりそうになる。


声をかけてきたのは同じ地元出身で、

幼馴染の姉である2つ年上のCさんだった。


C「なーに、しけたツラしてんの?」

俺「なんだ、Cさんですか 脅かさないでくださいよ・・・」

Cさんは知り合いを探すように、
周りをちょっとキョロキョロしながら、

C「別に脅かすつもりはって・・・うわっ!!」


C「ちょっと、D君(俺のこと)なんてモノ連れてんの」


俺「ちょっ・・連れてるって 何の話ですか?
何か視えるんですか。 ってか、
Cさん視える人なんですか?

  そんな話今まで一言も 言ってなかったじゃないですか」


C「ちょっと、一気に質問しないでよw」

ここで、Cさんについての説明と、
Cさんから聞いた話をまとめる。


Cさんについて。

・地元の幼馴染の姉。
(長女Cさん、長男Eさん(神道関連の某大学生)、
次男F(幼馴染)の3姉弟)


・地元の神社の娘。

・昔からいろいろと 視える性質だそうだが、
わざわざ人に喋ることでも無いし、
喋ることで鬱陶しいの (そういうのが好きな人間)に、
まとわりつかれるのも嫌だからとのこと。


聞いた話。

・何か得体の知れないものが憑いてる。
(人間の霊とかで無く、良くわからんらしい)


・話を聞いた限りでは、
物理的に害を与えるというよりも、
精神に障るタイプのヤツっぽい。


・憑かれたままだと、 碌な目に遭わないはず。
下手すりゃ死ぬかも、とのこと。


その話を聞いて、今も視えるか聞いてみたら、

C「ほら、あの並木のあたり見てみ?」

と言ってCさんは、向こうに見える並木道を指差した。


俺「講義や試験を終えた学生が、
ぞろぞろ帰ってるのが 見えるだけですが・・・」


C「じゃ、メガネ外してもう一回。
歩いてる人の足元あたりに注目!」

俺「!!!!」

周りの風景や人はぼやけて見えるのに、
辛うじて人の形に見える、
漆黒のタールのようなものの上半身が、
這うような姿勢のまま静止しているのが、はっきり視える。


C「見えた?クロウリングケイオス(crawling chaosかな?)
って感じだよねw」


俺「Cさん。実家の神社で 巫女さんとかもされてましたよね?
お払いとか出来ないんですか?」


C「無理無理w自分に変なのが
まとわり憑かないようにすることで 精一杯。
実家継ぎ損なってなけりゃ 出来たかもだけどw」


C「それにしても何したの?
普通に心霊スポットとか 行ったぐらいじゃ、
あんなの拾ってこないよ普通www」


俺「マジ笑い事じゃないですよ。
神社で肝試ししただけですよ。俺ら」

C「うーん」

何か含みのある様子で軽く唸ると、
急にCさんが俺の手を引いて腕を絡めて、

C「ま、こんなトコで立ち話もなんだし、
ちょっと飲み屋にでも行こうか? 奢ったげるからさ」

このCさん。

あんまり女性っぽく無いサバサバした性格だけど、
見た目は無造作に後ろで束ねた長い黒髪で、
和装が似合いそうな美人さん。


なので、こんな話をしてる時なのに、
ドキドキしてたのは内緒だ。


C「私とくっついてたらとりあえずは大丈夫。
あと、君は結構運がいいね。

  弟(長男の方)が実家の用事ついでに、
私のトコに寄る予定あるんだ。

  後2時間くらいで着くはずだから、安心して良いよ」

そう言いながら、グイグイ俺を引っ張っていく。


結局、2人で個室のある飲み屋に入り、
先ほどの話の続きをすることに。



飲み屋に腰を落ち着けて、事の経緯を説明し、
いろいろ聞いた話をまとめると以下。

(聞いた時にわからなかった言葉とかは、
後でググッて補足しています)


・Cさんではお払いが 出来ないことについて。


普通、神職自体には,霊とかその他諸々を払う力は無い。


祀ってる神様の力を借りないことには払えない。


そもそも神職は巫覡に端を発しているので、
霊を成仏させたりする坊主とは違う。


神様の力を借りるには、相応の舞台装置が必要。


つまり、神社の外では、
依り代とかがなければ大したことは出来ない。


・神社の境内は神域のはず。 なんであんなのがいるのか?


坊主の作る結界とは違い、神社は神を降ろすための
舞台装置(神を降ろし易くすための場)にすぎない。


神域とは、舞台装置である神社に神が降りることによって、
始めて力を発揮する。


神職や管理者がいたり、キチンと定期的に祀られてる神社は、
神域として正しく機能しているため、おかしなものは寄り付かない。


逆にそうでない神社は、
何か寄せるための舞台装置だけがある状態。


色々とおかしなものが集まってくるので危険。


ここまで話を聞いて、疑問に思った事を聞いてみた。


俺「なんでEさん(長男)が来たら 安心なんです?
さっきの話だと、神職自体に払う力はないんでしょ?
  ましてやEさんて、今まだ在学中で、
正式な神職になって無いでしょ。

  それとも、Cさんと二人で
力をあわせれば何とかなるって、そういう話ですか?」


C「違う違う。確かに神職自体に払う力はないってのは、
Eに関しても当てはまるんだけどね。

  ただ、あの子は色々と特別な訳。
うちの神様に守られてるんだよね。

  具体的な効果範囲はわからないけど、
  少なくともEの視認できる範囲内には、

幽霊とかその他もろもろの、
危害を加えるものは近寄れない」


俺「それを聞いて気付いたんですけど、
  もしかして、地元の心霊スポット とかで肝試しした時に、
何もおこらなかったのって・・・」


C「そう、いつもEいたでしょww」

俺「でも、なんでEさんだけそんな特別扱いなんです?
そもそも、神様が1人だけを守ったりとかあるんです?

  神社って全国各地にあって、
しかも有名な神様だと分霊でしたっけ?とかされて、
同じ神様を祀ってる神社が いっぱいあるのに」


C「んー。ちょっと長くなるけど良い?」


Cさんより聞いた話。

(特定されない程度にぼかして
記載している箇所があります)


・彼女の実家の神社(A神社とする)は、
全国に同じ名前の神社がある。 つまり、総本社の分社。


・ただ、彼女の一族は、
元々は別の神社(B神社とする)を管理してきた一族。


・B神社は今もあるが、 現在その直接的な管理は、
B神社がある地域の町内会が おこなっており、

彼女の実家は、 それをサポートする立場。


・B神社は決して大きくは無いが、
延喜式神名帳にも記載されていた、
それなりに歴史のある式内社。(少なくとも千年以上)


・B神社は、全国的に見ても 少し特殊な神社。
(主祭神と建築様式の2点において)


・ある神様を祀っているが、
その神様を主祭神としている神社は、全国でB神社のみ。


・B神社は、 平安時代以降のある時代に、
戦乱だか災害だかで一度消失し、
近年に再建された歴史を持つ。


・その空白期間、彼女の一族が どうしていたかというと、
当代の神職を依巫として 祀ってる神様を降ろして、
代々引き継いできた。

(満10歳になった時に、
次代の神職を確定させるために、神降ろしの儀式があり、

その後は、当代と次代の間で 取り決めたタイミングで、
もう一度神降ろしをして、 世代交代を行う。

世代交代の時期が決まってないのは、
儀式的なしきたりよりも、
確実に引き継ぐことを重視したためだと思うとの事)


・一方、彼女の一族がそうまでして
その神様への信仰を守ったのは、

B神社のある地域一帯に、
物凄く強力な力を持った何かがいて、

(人間とって都合の悪い神様レベルのものなのかもとは
Cさんの推測)

それを封じる役割を、
その神様が担っていたからとのこと。


・神社が再建されたのは、
表向きには神仏分離令が出た後に、

その地域にも由緒正しい神社があったことがわかり、

これはぜひ再建するべきとの 機運があったため、
とのことだが、 その地域の鎮守として、
B神社がなかった空白期間が 長かったため、 

定期的に彼女の一族が 封じるための儀式を
行ってきたけれども、 それでは抑えきれず、

封じてた何かの悪影響が 出るようになっていたから、
とのこと。


・それをあらわす証拠が、
再建された時の 建築様式に現れており、

いくら由緒正しいとは言え、
田舎の小さな一神社には ありえない特徴があり、

その再建した時代に、
その神社が 重要視されていたことがわかる。


・再建後は、B神社は 鎮守としてきちんと祀られ、
(収穫祭ではあるが秋祭りもある)

定期的にその神社で 儀式を行っているため、
その何かは封じられていると事。


以上のような経緯で、
Eさんは神様の一部を常時降ろしているような状態で、
強力に守護されている。


そのためEさんの周りは、
Eさん自身の体を舞台装置(依巫)とした、
一種の神域のようなものになっているとのこと。


よってEさんにとっては、
俺に憑いている程度のものを払うのは大したことでは無い、
という訳だそう。


場合によっては、Eさんがこの飲み屋に着いただけで、
憑いていたものは消滅してるかも、とCさんは笑っていた。


それを実感するエピソードとしては、
Cさんが小学生の頃、

弟が神降ろしの儀式を行った(弟が次代に確定した)
翌日から、

今まで通っていた小学校で視えていたいろんなものが、
それ以降、全く見えなくなった事を挙げていた。


Cさんが中学生になった後、
一年後に弟が中学校に通いだした時にも、
同じことが起こり確信したという。


そんな話をしているうちに、Eさんが飲み屋にやってきた。


Cさんから話を聞いた後だったが、1年ぶりにあったEさんは、
俺には普通の今時のイケメン兄ちゃんに見えた。


E「久しぶり。 姉さんから電話で聞いたけど、
なるほど、ちょっと『障られて』るね」

そう言うとEさんは、俺の頭を軽くポンっと叩いて、

E「よし。これで大丈夫」


俺「へ!?もう終わりですか?
もっとこう、祝詞的なものとかは 必要ないんですか?」

(寺生まれのTさんの 『ハァー!!』みたいな、
気合的なものとかもなかった。
本当に軽くポンと頭を触られただけ・・・)


E「ないないwこれでOKだから」

C「うん。頭から伸びてた紐みたいなのが
もう視えないから、 大丈夫」

物凄く拍子抜けしたが、
その後3人で飲んでにうちに帰って寝たが、
例の夢はもう見なかった。

(翌日、入院しているAとBについても、
Eさんに払ってもらった)


AとBが怪我したものの、
最終的にみんな無事だったのでよかった。


得られた教訓としては、
無人の神社には近づくなって事。


で、水溜まりから出て来たヘドロ人間は、
一体何だったんだ?

動物の霊とかか?






posted by kowaihanashi6515 at 20:19 | TrackBack(0) | 洒落怖

2018年04月12日

俺の地元には絶対に入ってはいけない温泉がある







俺の地元は、温泉で有名な所なんだが、

そこに1ヶ所だけ、いわくつきというか・・・、


絶対に入ってはいけない

とされる温泉がある。


昔、そこでの掘削作業中に事故があったとかで、

そこで起った話を。



当時、都会の大学に通っていた俺は、

某県の田舎の実家に帰り、

集落に残って農家を継いでいたA、

地元の大学に進み、同じく帰省していたB、

と再会した。


小学校時代からの幼馴染だった俺らは、

20歳を越えてから初めて会うこともあって、

酒も入り、夜中まで騒ぎまくった。


午前2時を回り、さすがにトーンダウンし、


「そろそろ解散するか」


と言い始めた頃、


突然、俺の頭の中に、例の温泉のことが思い浮かんだ。

何故だかは分からない。

小学生の頃にAの言い出しっぺで一度だけ、

3人でその温泉の近くまでは行ったことはあった。



入ろうとしたところを、たまたま山道を

トラックで降りてきたおっさんに見つかって怒鳴られた。


その場でトラックに乗せられ、

「あそこは入っちゃいかんだろうと親から教わらなかったか!」

と何度も怒鳴られた。


山を降りると電話で親を呼ばれ、お袋が引き取りに来た。


もちろん家に帰った後も、

親父と一緒になって散々叱られるのだが、

どうしても納得出来なかった俺は、

その晩、寝る時お袋に、

「大人になったら入ってもいいの?」

と聞いた。


お袋は、

「あんたが大学に行くくらい大きくなったらね」

とだけ言った。


もちろん、

寝る前に発した冗談だったのだろうが、

その一言を俺は何故か、忘れることが出来なかった。


ふと、あの温泉に行きたくなった。


あの時のお袋の一言を信じるわけではないが、

また3人で昔みたいに冒険したくなった。


帰り際、2人にその話をぶっちゃけると、

意外にも承諾してくれた。


2人とも、昔みたいにみんなで冒険したいのだと。


しかもAによれば、

今は昔ほどタブーな地ではなくなっているらしく、

周囲の山道が整備されたせいか、


1年に数回は勘違いした観光客が

温泉につかるまでにいかなくても、

足を踏み入れてしまうらしい。


もちろん彼らの身には、特に何も起っていない。


地元の連合がしつこく電話して確認している。


ただ、

今から行くのは流石に気が引けるので、

3日後の昼間に行くことで、2人とその晩は別れた。





出発当日、

俺たちはその温泉がある山に足を踏み入れた。


山道をアスファルト道に整備する過程で、

木をだいぶ伐採したのか、小学生の頃よりは、

日光が入ってくるようになっていた。


暗さからくる怖さは、ずいぶんと安らいでいる。

2kmほど歩くと、例の温泉に入る山道が見えてきた。


山道の入り口の、

「この先、危険、入るな」

という木の立て看板を無視し、

ずんずんとその山道を歩く俺たち3人。


○○温泉と消えかかった文字で書かれた

木の看板が見えると、ようやく脱衣場になるよう

造ったであろうスペースに到着した。


かなり昔のものだがら、

蜘蛛の巣が張ってるわ、足場は悪いわで、

もう無茶苦茶だった。


だが、肝心の温泉はちゃんと湧いており、

ぎりぎり奥が見えるかどうかの透明感がある。


ただ、管理されていないだけあって、

温度は50℃から60℃だろうか。


相当熱かった。


流石に入浴するのは無理なので、

足湯だけで済ますことにした。


足湯でくつろいでいる途中、

一番、この温泉の歴史や怪奇現象に詳しいAが、

色々と話してくれた。


その昔、

この町が温泉バブルに沸き、

いい湯が湧き出てるとされるこの地も、

整備しようという話になったようだ。


整備は順調だったが、ある日、

掘削機器の不備による事故で、

かなりの死傷者が出たこと。


その後、作業を再開し、

なんとか完成にこぎつけたものの、

作業中は怪我人や体調不良になる者、

怪しい人影などを見た者が多発し散々だったこと。


完成し、営業を始めたはいいものの、

怪奇現象が多発したこと。


入浴していると、いきなり湯の中から足を掴まれる。


いきなり作業着を着たおっさんが入ってきて、

そのおっさんと目が合うと、のぼせ気味になり失神する。


いきなりお湯の温度が上がり、湯船から出ようとするも、

金縛りに遭ったように動けず、大やけどを負う。


髪を洗っていると、肩に誰かの手の感覚。

だが、振り向くと誰もいない。

などなど・・・。


結局、重傷を負う人も出てきたので、

町が強引に閉鎖させたらしい。


だが俺たちがいる間は、そのような現象も起らず、

「もう事故から何十年も経っているから、

 祟りも薄まってきてるんだろうなぁ」

ということで、

笑いながらその温泉を後にした。


しかしその晩、

俺が家の風呂に入ってる時から、

事態はおかしくなっていく。


その晩、

いつも通りに風呂に入ってくつろいでいた俺。


髪を洗おうと、シャンプーを頭の上に泡立てていた時だった。


頭の上で増えていく泡に、違和感を感じた。


明らかに手の平の上に取ったシャンプーの量に比べて、

泡立ちすぎなのだ。


「よく泡立つシャンプーにでも変えたのかな」


と俺が思っているうちに、

泡は異常な速度で増えていく。


異常を認識し、目を開けた瞬間、風呂中に泡立った泡が、

俺の顔を覆い尽くしてしまった。


いざ泡に囲まれてみると分かるが、

圧迫感が凄く、息が出来なくなってしまうのだ。


泡一面の中、なんとかドアに手を掛けようとするも、

目がやられてしまい、なかなか手が届かない。


やっとのことで手が届いたものの、今度はドアが動かない。


家の風呂のドアには、鍵など付いてないというのに。


完全に手詰まりになり、命の危険を感じ始めた俺は、

必死に親父やお袋のことを叫び始めた。


そして足をバタつかせ、

なんとか自力でもドアを開けようと試みる。


その時、誰かが俺の足を掴み、

ドアとは反対側の方向へ引っ張り始めた。


「冷たい手だ」

「間違いなく風呂の中に、誰か他にいる」


家の風呂は、

俺がギリギリ横になれるくらいの広さしかないのだが、

その時は長い間、足を掴まれ引きずられた記憶がある。


その手の主は、俺をどこに連れて行こうとしていたのか。



数秒後、

叫び声を聞いて駆けつけた親父によって、

失神している俺が救出された。


ただ、

現場を見たはずの親父によれば、

大量の泡なんて全くなかったし、

もちろん風呂の中には誰もいなかった。


俺がそこに失神していただけ、

ということだった。


約1時間後、

意識を取り戻した俺は、これは間違いなく、

あの温泉の祟りだと確信した。


すぐにAとBに連絡を取り、Aとは連絡がついたが、

B宅に電話を掛けると、とんでもないことになっていた。


電話に出たBの妹が言うには、

Bが風呂で滑って転び、

ドアの縁の部分に頭を強く打ちつけ、

意識がないのだということ。


すぐに2人で病院に行き、

一晩中を病院で過ごしたものの、

結局、Bの意識は戻らなかった。


次の日の夜、Bは死んだ。


昼間には俺たちの問いかけに反応するまで回復したのだが、

夜になって容態が急変し、そのまま亡くなった。


Aに俺の経験したことを報告し、

これは間違いなく祟りだろうと伝えた。


Aは昨日の晩、

風呂に入る前に俺から電話がかかってきて助かっていたが、

祟りだろうという認識は一致した。


しかも、AはBの妹から、とんでもないことを聞いていた。


Bは、あの温泉に行って足湯につかった時、

何者かに足を掴まれていたという。


Bは俺らを不安に思わせないよう、黙っていたのだろうか。


Aと俺は、強く責任を感じた。


タブーではなくなっているというデマを教えてしまったA。


そもそも、最初に行こうと言い出した俺。


結局、

それで一番関係のないBを巻き込み、死なせてしまったのだ。


Bの家族にこのことを伝えたら、どんな顔をするだろう。


Aと俺は、しかるべき時が来るまで黙っていようと一致した。


しかし、

Bの妹が誰かに言いふらかしたのか、

Bが例の温泉の祟りで死んだということは、

田舎のこの町に噂として、あっという間に広がった。


もちろんそれは、あの日、

俺が風呂で失神していたのを救出した、

俺の両親の耳にも入ることになった。


しつこく問い詰められた俺は、

ついに、あの日3人で例の温泉に行ったことを

白状することになった。


すぐに、Aの家族、Bの家族と俺の家族、

地元の温泉連合の人たちが集まることとなった。


Bの母親は、俺とAを白い目で見つめていた。


連合会長の爺さんに、会合が始まるや否や、


「ったく、お前は、 あれほど立ち入るなと言ったのに!」


と怒鳴られた。


連合の人たちから、


「あの温泉の怨念は、 弱まるどころか年々高まっており、

観光客が立ち入ってしまうのもそのためだ。


立ち入った観光客は、 何者かに引き寄せられるかのように

あの温泉に入ってしまったと、 皆話している」


と聞かされた。


そして、あの温泉の名は、こちらの地方の古い方言で、

二度目、再び

という意味であり、祟りも二度、

あの温泉に立ち寄ったものに降り注ぐというのだという。



会長さんは、


「Bは一度目か二度目かは知らないが、

何かあの温泉の霊たちにとって、

気分を害することをしてしまった のかも知れない」


と言った。


さらに、Bのお袋さんからも、とんでもないことを聞かされた。


小さい頃、

俺らが温泉に入ろうとしたところに、たまたま通りかかった、

俺らを連れ戻したトラックに乗ったおっさん。

あの人は、てっきり地元の人だと思っていたが、

Bのお袋によれば、あんな人は見たことなく、

当時、AとBの母親も、不審に思っていたという。


そして、

連合の人に相談し、もしやと思い、

例の温泉の事故によって亡くなった人の写真を見ていくと、

おっさんとよく似た人物がいたのだとか。


「あの温泉に立ち入るなと、 わざわざ警告してくれた・・・。

それなのに・・・」

Bのお袋は泣き崩れた。


連合の人によれば、

「この地から、なるべく離れること。

お祓いされた桶を渡すから、

それを風呂場だけではなく、

事故の危険がある水場の近くに行く時は、

なるべく持ち歩くことが祟りを絶つ方法」


だと教わった。


俺と両親は、

この地を離れる覚悟をした。

これが大体の経緯です。


Aも、あの土地を離れようとしたのですが、

両親から、


「代々農家として暮らしてきた 私たちも、

あんたも、 都会に出て暮らせるわけがない」


と猛反発を受け、結局、

残ることになってしまいました。


それからは、

周りからの避けるような視線、

Bを死なせてしまったことへの責任感、

色々なものが積もっていたのでしょう。


数回、

その土地から離れたところでAと会ったのですが、

その苦悩はよく分かりました。


自分も、AだけにB死亡の事故の責任を取らせまいと、

必死に励ましたのですが、Aは昔から悩みを自分だけで

抱え込みやすいタイプなので、

なかなか事態はいい方向へ進展しませんでした。


Aが、このままではどうにかなってしまうのではないか、

と思っていたのですが、

ちょうど就職活動で多忙なこともあり、

結局、最後の1年は、Aとは会えずじまいでした。


Aが自殺した・・・


と連絡を受けたのは、なんとか就職も決まり、

もう一度Aと会おうとしていた矢先のことでした。


もちろん葬式には出させてもらえなかったので、

断片的にしか情報がありませんが、

風呂の中でリストカットし、死亡していたとのことでした。


その場にお祓いされていた桶があったかどうかは分かりません。


ただ、

A自身の意思で自殺という選択肢を選んだとすれば、

それはもはや、祟りとは関係なくなってしまいます。


何者かに引き寄せられるように

風呂場での死を選んだとしたら・・・。


やはり、祟りということになってしまいます。


死亡に至る経緯はどうあれ、

結局、自分は2人の親友を亡くしてしまいました。


この事件のきっかけを作ったのは自分です。


そして、Bがその煽りを食らった形になって死にました。


自分だけが逃げることが出来る立場なのをいいことに、

Aを放置して、結局Aまでも死なせてしまいました。


桶のおかげか、

今でも周りに不可解な現象はあまり起きません。


しかし最近になって、

自分は、もはや○○温泉の霊よりも、

AとBの2人に祟られているような気がしてきました。


今でも、あの温泉はあるのでしょうか。

自分にはよく分かりません。






posted by kowaihanashi6515 at 12:55 | TrackBack(0) | 洒落怖

2018年04月03日

霊能者のアシスタント






霊能者のとこでバイトしてた時の不思議なこと書く

実際に俺が経験した除霊的な儀式の話


とある霊能者のとこで
アシスタント初めて数ヶ月経った初夏の日


学食でダラダラしてたら霊能者に持たされたPHSが鳴った


今日の夜8時に家に来い、赤ワイン一本買って来い、と
俺は安物の赤ワインを買って指定された時刻に霊能者の家に行った



霊能者の家に着くと、俺はいつもの通りに到着を知らせる
裏口の横にあるブザーのスイッチを押して来訪を知らせて、
母屋の裏にある待機小屋に行く


しばらくすると霊能者が来て、
俺に指示をだすってのがいつもの流れ


その日も俺が到着して部屋で待機してると霊能者がやってきた


この霊能者ってのが見た目はちょっと派手だけど普通のおばさん

デブでもブスでもなくて見た目で言えば
キレイ目な40半ばくらいの女性


ただし性格はこの上なくエキセントリックだった

その日はまず車に荷物を積むように指示された

荷物の内容はゴチャゴチャ小物が入った
大きいブランド物のカバンがいくつか

それと白木で作ったテーブルのようなもの

あとは除霊時のお約束グッズのラジカセだった

俺は指示の通りに仕事用のワンボックスカーに機材を積むと
霊能者を乗せて指示された場所に車を走らせた



指示された場所は結構近所にある
史跡的な公園というか広場のようなところ


敷地の中に資料館的なものや
林やら公園的な広場があるところ

そこの来客用駐車場に車を止めると、
正門のところにオッサンが立っていた


そのオッサンがここの責任者なのか依頼主なのか知らないが
うちの霊能者と話し始めた、俺は車で待機してた


手招きされて俺も呼ばれ、
敷地内の丘のようなところへ車を移動させ
しばらくそこをうろついた霊能者の指示で祭壇を組み立てる



祭壇って言ってもさっきの白木の机に塩やら線香やら

その時の霊能者の気分と指示でいろいろ置かされる

そして準備が終わると俺は車を置いてくる

そしてその間に霊能者自身が
自分の気の済むように準備を済ませておく

いつもそんな感じだったしその時もそうだった


そして俺が戻ってくると、
俺がしゃべることは許されないのがお約束だった


霊能者に言いつけられていたことは儀式が始まったら

・お前は喋るな

・お前はできる限り動くな

・もしなにかお前が異常に気がついたら
私の視界に入らないように
 後ろから腰を二回叩いて知らせろ

・私がなにか指示したら その通りに動け

こんな感じのことを言われていた


そして儀式が始まった

ラジカセから流れる

一定のリズムに合わせて霊能者のおばちゃんが
俺に聞こえるか聞こえないかの声でなにかつぶやきながら踊る



これはいつものことだったが、
そのときは俺が買ってこさせられた赤ワインを
時折撒きながら踊ってた


そしてさほど長くもない時間、
5分くらいだったんじゃないだろうか?

これもいつものことなんだけれど
霊能者のテンションが上がってきて
ワインを激しく振りまいたり
浴びたりしながら踊りが激しくなる


そして霊能者がワインの瓶を放り投げて急に動きを止めた

その時の俺は、
今日は案外早く終わったようだ、と思っていた、が

その時霊能者が俺の方に向き直って手招きしたあとに
ゆっくりした動作で少し離れた資料館の建物を指さした



資料館の外灯で薄ぼんやりと見える
外壁のところに1人の女性の姿が見えた

顔まではわからないけれど黒っぽい服を着た女性がいた

俺は正直言って、
イタイことしてるところを見られた恥ずかしいと
瞬時に思ったが

霊能者はその女性を指さして俺にこう叫んだ


つかまえろ!!と


俺はやべえ、変態扱いされる、
女性を捕まえたらワケを話して謝ろう
でも指示通りにしないと怖いのでその女性に向かって駆け出した



儀式してた丘の中腹からその資料館までは
100mくらいだったんじゃないかな?


その中間点位に俺がたどり着くまでその女性は動かなかった


でも、もうすこしで表情が見えそうな距離に来たところで
その女性が逃げ出した


資料館の奥の方にある膝丈くらいの草が生えた藪のようなところへと


俺は足が結構早いほうだと自負していたけど結局は
追いつけなかった


不思議なことにその女性は焦って逃げている感はなくて
常に一定の距離を置きながらスイスイ歩いているような感じ
ちなみに足はあったw



30mくらいだろうか、
その距離を保ったまま女性は藪の中に走っていく


そして俺が藪のところにたどり着いた瞬間女性が消えた


その時の俺は、うおおお、逃げられた!!

と単純に思っただけだった


そしてその藪のあたりで女性が出てこないかウロウロしていると
霊能者がやってきて俺にこういった


バカだね、逃げられたじゃないか!

あれが今回のターゲットだったのに って俺に言った。


俺は普通の女性だと思ってたけど、あれは霊だったらしい


霊能者はいつも俺に仕事の細かい内容は話さない

何をしてるのか?相手はなんなのか?

そんなことを話してもお前には意味ないし
余計面倒くさいことになるだけだから、
と霊能者はいつも俺に言ってた


でも霊能者は俺にその時はこういった

お前があれに触れてれば
一番いい解決だったんだけど仕方ないね、と


俺が、でもあれは普通の人で
やべえから逃げただけじゃないの?
と聞き返すと


そうかもしれないね、
でもお前はあれの顔が見えたかい?
というようなことを言い返された


その後霊能者は、地ならし?するからと言って
その藪で塩を撒いて歩き始めた


しばらくその行為を眺めてたら霊能者が、
片付けな、というので 俺は車を取りに行って
荷物を積み込み正門横まで戻った



出迎えた責任者に霊能者は、

とりあえず終わりましたけど また何かあったら連絡をください、

と言って車に乗り込んできた


そして霊能者の家まで送り届けて片付けをし、
控えの離れで待っていると


霊能者がやってきて

今日はお前はヘマをしたからと言い

1万だか2万だか貰った


あとは帰る前にこれを飲んでから帰れと
塩っぱいお神酒をもらって飲んだ


家に帰るときに空を見ると白み始めていたから
朝の4時くらいだったんだろう


その金でデニ〇ズでハンバーグ食って帰ったのを覚えている



俺には霊能力なんてものはないらしい、
が、霊らしきものをはっきり見たのは
今のところあれが最初で最後だし、

あの時も正直アレが霊だなんて俺は思ってなかった


オカルト話や怪談は大好きだけれども
俺にとっての実際の霊体験は
こんな微妙な不思議といえば不思議な話しかない


一度でいいからゲゲゲの鬼太郎や
ぬ〜べ〜やまとめで読んだ霊能者のような
冒険活劇を繰り広げてみたかったと思ってるw



posted by kowaihanashi6515 at 10:34 | TrackBack(0) | 洒落怖

2018年04月01日

寺に宿泊





山寺での修行中、

僧侶たちの多くは変な体験をしたり・見たりするらしい。



その体験談もかなり薄気味悪いが、今日は別な話を書くとしよう。



わたしが子供の頃、
近くの寺にひとりのお坊さんが住んでいた。


子供好きで、話し上手。


檀家の誰もがこの坊さんのことを尊敬していた。


人相は悪いが、そこにいるだけで

「ありがたい」

と思えるような坊さんだった。


ある年の夏休みのことだ。


近所の友だちと寺の境内で遊んでいると、

その坊さんがスイカを御馳走してくれた。


坊さんと、わたしと、友だち3人で縁側に座り、
蝉の声を聞きながら他愛もない話しをしていた時、

友だちのkが

「幽霊って本当にいるの?」

なんて質問をした。


いるさ。  


坊さんはあっさりそう答えた。


そんなものいるハズないと声を張り上げるkとわたしに、

坊さんは今夜泊まりに来るよう誘った。





両親に寺に泊まる許可をもらったわたしとKは、

わくわくしながら夕飯を食べ、暗くなってから寺を訪ねた。



すると坊さんは麦茶を一杯飲ませてくれた後、
わたしたちを本堂へ連れて行った。


これから夜の御勤め(読経)をするから、そこに正座して静かにしてなさい。


わたしたちは坊さんの後ろに並んで座り、
嫌々ながら読経につき合わされるハメになった。


子供にとってそれは恐ろしく退屈で、足の痺れる苦痛な時間だった。

だが悪ふざけをする訳にはいかない。



この坊さん、子供好きで優しいが、悪いことをすると容赦なく叱るのだ。



それを身にしみて知っていた私達は、
黙ってお経が終わるのを待つしかなかった。


読経が始まってしばらく経った時だ。


本堂の入り口、つまりわたしとKのすぐ後ろで物音がした。


何の音だろうと耳をすましていると、どうも人の足音のように聞こえる。



しかも靴の中にたっぷり水を入れたまま歩いているような、


グチョッ、グチョッ・・という足音だ。



それから、誰かにジッと見られているような嫌な感覚。


思わず背筋がゾッとしてKの方を見ると、
彼も同じものを感じたようにわたしを見ていた。



和尚さん・・・助けを求めるように
わたしたちは小声で坊さんを呼んだ。


が、坊さんは左手をちょっと揚げてわたしたちを制した。


そのまま大人しくしていろ・・・

そう合図しているようだった。


読経の間中、
その不気味な足音と視線は続いた。


これからどうなってしまうんだろう、
わたしたちは訳もなく不安になり、半ベソ状態だった。


やがてお経が終わると、正体不明な音も視線も、綺麗に消えた。


私達は緊張の糸が切れた勢いで坊さんにしがみついた。


夜、御勤めの読経をしていると、

成仏できない仏様がたまにやって来るらしい。



今夜来たのは、

おそらく3年前に近くの川で身投げした身元不明の女の人。


毎年、同じ月日の同じ時間にやって来るのだという。

幽霊がいるかいないかは分からない。

信じる人も信じない人もいる。


だが、こういう奇妙な体験をしてしまうと、

坊さんを続けなくちゃいけないと思うね。

坊さんは静かにそう言った。



posted by kowaihanashi6515 at 20:21 | TrackBack(0) | 洒落怖

2018年03月31日

三角屋敷【怖い話】




よし18年ちかくだれにも話したことない話をしよう


実話なので地名は伏せます
直接かかわったわけではないので
何がどうという詳細はよくわかりません



ちょっと複数の事象が絡んでいて
なおかつ 思い出しながらかいてるので申し訳ない



現在はもうその土地を引越して私はすんでおりません
いつのころかあるのかは知りません。


私が小学校に通い始め物心ついたころには
その家はすでにありました。


結構田舎で学校に通うのに
あぜ道を毎日かよっていました


その途中にある一軒の家の話です。


その家は昔からあるというわけではなく、
和風建築の割とあたらしい家でした


小学校1年〜5年生までの間はなんの噂もなく、
私も気にとめておりませんでした。


5年生の夏の時期にA君が転校してきてから、
その家が、なんなのかわかりました。



その家の話を書く前にひとつ予備知識として、
その家のお向かいの家について説明しないとなりません。



便宜上お向かいの家を家A 問題の家を家Bとして書きます


問題の家の立っている区画は私が生まれるころくらいからの
いわゆる新興住宅地とよばれるところでした。


実際に家が建ち川が整備され畑もなくなっています


さて家Aについてですが、非常に奇妙というか異常というか
玄関のどまん前に 祠 がたっております。


どれくらいどまん前かというと玄関あけて1メートルの場所

 
道路-門-階段-祠-玄関という普通の1戸立ての家で
でかい屋敷というわけでもありません。


なぜそんなことになっているのかというと
私が聞いた話では 家を建てたのは
そこに土地をもっていた方でむかしから住んでいたと

 

元々は田んぼでとりわけなにかしら
因縁話もなかったと聞いております。


新しく県道が通るためにその土地を売って
自宅もまぁ開発のために立て直したとよくある話です。


そのさいにその場所にあった道祖神ですかおじぞうさまも
丁寧に祈祷して場所も移しました



家Aは何事もなく新築でたち
その家の方も普通に住むようになりました。


しばらくしてある日を境に家Aの中で
赤ん坊の泣き声がするようになったそうです。


家の人は最初近所に赤ん坊のいる家族が近くに
引越してきたのと思ってたそうなんですが、


夜昼関係なく一日中聞こえるようになって 
これはおかしいと思ってご近所にたずねたみたいです、


するとご近所の人全員
近くに赤ん坊のいる家族が引っ越してきたと。


家Aの人と近所の方が声の発生場所を探しあてたところ、
家Aの地下から声がすると大騒ぎになりました。


いろいろお祓いとかやったそうですが効き目がなく、
偉い霊能者さんかお坊さまがお地蔵様が原因なので
もとの場所にもどしなさいと



そういった行き先で家Aは私たちの間では
かなーり有名な場所でした。



小学5年生の時に引っ越していたA君は
そのいえの向い側の家Bにすんだ友人でした。


A君はたしか1ヶ月もしないうちに家Bから引越しました。


まぁその時はとくに何事もなかったように時間はすぎ、
小学5年の冬のときに私はべつの土地にうつりました。



生まれ育った場所であり幼馴染もいましたから、
しばらくは連絡をとっていましたが、

進学し、社会人になりすっかりわすれていました。





先日 幼馴染が結婚するということで 
10年ぶりくらいに生まれ故郷にもどり再会しました。



昔話に花をさかせてわいわいとしてましたが、
私があの地蔵の家まだあるなぁ

といった所から話が変わっていきました

ここからは友人Bの話ですが

「地蔵の家よりそのむかいの家おぼえてるか?」

と無論A君家族がたしか住んでたなと答えました

「すぐに引越したの知ってるか?」

もちろん私が転校する寸前だったんで覚えてると答えました

「なんでか知ってるか?」

それは知らないなと答えました。

どうもその家Bはなにかしらが出るというのです。



10年ほどの間に10世帯以上が出たり入ったり、
ボヤが3度あったそうです。


A君家族が引っ越したのもそのひとつだと
原因はまったくわからないそうですが

友人Bいわく

あの家に1ヶ月以上住んでいた家族はいないと


A君家族は何番目に入居したかはしらないが、
家の中で 老婆が徘徊していたり庭に女の子がうろうろしていたり

屋根に男がたってじっと外をみていると
A君のお母さんが精神的にまいって家を引っ越したと。



そのあとも何度かお祓いをしたと聞いたけども全然おさまっていないと


高校の時にTV局かラジオ局かが霊能力者をつれて撮影をやったらしぃが

霊能者がその家の敷地に入るなりぶっ倒れて大騒ぎになって
そのままおじゃんになったと。


私は家Bてなんだよ?

ときいたら

「生まれた時からすんでる俺らもわからん。

ただお墓の土つかってるとか地下に死体うまってるとか

噂はあるけどどれもほんとかは怪しい。



ただ事実として人は定着しないし、
俺も窓に何人も人がたっていてこっちをじっとみてたのをみたことある。

あそこは何かおかしい。

あぁそうだ家Bてさなんて呼ばれてるかしってるか?」


私「知るわけないだろう」


友人B「あそこの家ってさなんでか知らないけど敷地が三角形なんだよ 
    だから三角屋敷て今よばれてんだ。 今も空き家だぞ 
帰るときに見たらいいよ」



そういう感じで別れ帰路に着きました

もちろん気になったので帰りに家Bの前をとおりのぞきました。


県道沿いのその家の前には 土嚢がつんであり
入り口が見えない状態になってなっていました。


見た瞬間にあからさまにおかしい
それ以上はちかずかないようにして家にかえりました。



その話をきいて思い出したことがありました。

10年以上たって記憶がおかしくなっていたのかとおもっていましたが 

あの家Bの屋根の上に何人も人が立ってこっちを見ながら
ゲラゲラ大笑いをしてたのを

集団下校してた友人たちと見て泣きながら
はしって帰ったことがあったなと。




タグ: 三角屋敷
posted by kowaihanashi6515 at 00:28 | TrackBack(0) | 洒落怖

2018年03月27日

廃寺に潜む何か 【怖い話】





もう10年くらい前、
俺がまだ学生だった頃の出来事。


当時友人Aが中古の安い軽を買ったので、
よくつるむ仲間内とあちこちドライブへ行っていた、

その時におきた不気味な出来事を書こうと思う。



ある3連休、
俺たちは特にすることもなく、当然女っけもあるわけもなく、
意味も無く俺、A、Bで集まってAのアパートでだらだらとしていた。



そしてこれもいつものパターンだったのだが、
誰と無くドライブへ行こうと言い出して
目的地もろくに決めず出発する事になった。



適当に高速へと乗ると、なんとなく今まで行った事の無い方面へと
向かう事になり、3〜4時間ほど高速を乗りそこから適当に
一般道へと降りた。



そこから更に山のほうへと国道を進んでいったのだが、
長時間の運転でAが疲れていたこともありどこかで一端休憩して
運転手を交代しようという事になった。



暫らく進むと車が数台駐車できそうな
ちょっとした広場のような場所が見付かった。


場所的に冬場チェーンなどを巻いたりするためのスペースだろうか?


とりあえずそこへ入り全員降りて伸びなどをしていると、

Bが「なんかこの上に城跡があるらしいぞ、行ってみようぜ」

と言ってきた。



Bが指差した方をみると、ボロボロで長い事放置されていただろう
木製の看板があり、そこに「○○城跡 徒歩30分」と書かれ、
腐食して消えかかっていたが手書きの地図のようなものも
一緒に描かれている。


どうも途中に城跡以外に何かあるらしいのだが、
消えかかっていて良く解らない。


時間はたしか午後3時前後くらい、
徒歩30分なら暗くなる前に余裕で戻ってこれるだろう。


俺たちはなんとなくその城跡まで上ってみる事にした。



20分くらい細い山道を登った頃だろうか、
途中で道が二手に分かれていた。



看板でもあれば良いのだが、
あいにくそういう気の効いたものはなさそうで、
仕方なくカンで左の方へと進んでみる事にした。



すると、
先の方を一人で進んでいたAが上の方から俺たちに

「おい、なんかすげーぞ、早く来てみろ!」

と言ってきた。


俺とBはなんだなんだと早足にAのところまで行ってみると、
途中から石の階段が現れ、更にその先には城跡ではなく
恐らく長い事放置されていたであろう廃寺があった。


山門や塀、鐘などは撤去されたのだろうか、
そういうものは何も無く、本殿は形をとどめているが
鐘楼やいくつかの建物は完全に崩壊し崩れ落ちている



本殿へと続く石畳の間からは雑草が生え、
砂利が敷き詰められていただろう場所は
一部ほとんど茂みのような状態になっていた。


ただ不思議なのは、山門などは明らかに
人の手で撤去された様な跡があったにも関わらず、
残りの部分は撤去もされず朽ちていてかなり
中途半端な状態だった事だ。



時間を確認すると、まだまだ日没までは余裕がありそうだ
俺たちはなんとなくその廃寺を探索することにした。


が、周囲を歩き回っても特に目に付くようなものはなく、
ここから更に続くような道も見当たらず、

Aと「多分さっきの分かれ道を右に行くのが正解なんだろうなー」

と話していると、

本殿の中を覗き込んでいたBが「うおっ!」と声を挙げた。


Bの方をみると本殿の扉が開いている。


話を聞いてみると、だめもとで開けてみたら
すんなり開いてしまったという。


中は板敷きで何も無くガランとしている、
見た感じけっこうきれいな状態で中に入っていけそうだ。


中に入ってみると、床はかなりホコリだらけで
恐らくだいぶ長い事人が入っていないのが解る、
なんとなくあちこちを見回していると、
床に何か落ちているのが見えた。



近付いてみると、それはほこりにまみれ
黄ばんでしわくちゃになった和紙のようで、
そこにはかなり達筆な筆書きで

「うたて沼」

と書かれていた。



なんだなんだとAとBも寄って来たので、
俺は2人に紙を見せながら

「うたてって何?」

と聞いたのだが、2人とも知らないようだ。


そもそもこの寺には池や沼のような物も見当たらない。


本殿の中にはそれ以外なにもなく、
「うたて沼」の意味も解らなかった俺たちは、
紙を元あった場所へ戻すと、城跡へ向かうために廃寺を後にした。



元来た道を戻り、さっきの分かれ道を右の方へと進むと、
すぐに山の頂上へとたどり着いた。


ここには朽ちた感じの案内板があり

「○○城跡 本丸」

と書かれている、どうやらここが目的地のようだった。


山頂はかなり開けた広場になっており、
下のほうに市街地が見えるかなり景観のいい場所だ。


と、なんとなく下のほうを見るとさっきの廃寺も見えた。


3人でさっきの廃寺って結構広い敷地なんだなー
などと話していると、ある事に気がついた。


寺の庭を回った時に一切見かけなかったはずだが、
庭の端の方に直径数mくらい、大きな黒い穴のようなものが見える。


「あんなものあったっけ?」

と話していると、寺の庭に何か小さな動物が出て来ていた、
そしてその動物が庭の中を走り出した瞬間、
その穴のようなものが「動いて」まるで動物が穴の中に
消えてしまったように見えた…



わけが解らない現象を目の当たりにした俺たちは

「…今あの穴動いたよな?なんだあれ…」

と唖然としていると、更にとんでもない事が起きた。



その物体が突然宙に浮くと、
かなり高い距離まで上りそのまま移動し始めた。


その時になって、俺たちはあれが穴などでは無く、
真っ黒で平面のなんだか良く解らない物体である事に気がついた。



その平面状の物体は結構な高さを浮いて、
俺たちが来た道の上を山頂へと向かって進みだした。


その時、
恐らく移動する物体にびっくりしたのだろう、
木の間から大きめの鳥が飛び出し、
宙を浮く平面状の物体とぶつかった。


が、鳥はそのまま落ちる事も物体を通り抜ける事も無く

消えてしまった…


何がなんだか解らないが、とにかくあれは何かヤバそうなものだ、
そしてそのヤバそうなものは明らかに俺たちの方へと
向かってやってきている、その事だけは理解できた。



とりあえずここからすぐに退散した方が良さそうだ。


3人でそう話して気がついた、
あの物体は俺たちが登ってきた道沿いにやってきている


ということは、来た道を戻れば
確実に鉢合わせしてしまうという事だ。


とりあえず逃げようと言ったは良いがどうしたら良いのか解らない。


すると、

Bが「ここ通れそうだぞ!」

と茂みの方を指差した。


そこへ行ってみると、
近くまで行かないと解らないであろうくらい
細い獣道のようなものが下へと続いている。


ただし、この道がどこへ続いているか全く解らないうえに、
俺たちが登ってきた道とは完全に反対方向だ、
当たり前の事だが逃げれるには逃げれるが車からは遠ざかる事になる。


その事はAもBも解っていたのだろう、
この獣道を下るかどうか躊躇していると、
突然耳に違和感を感じた、感覚としては車で山を登っていて
気圧差で耳がおかしくなる感じが一番近いだろう。



AもBも同じ違和感を感じたらしく戸惑っている、
その時俺はふと下のほうを見た。



すると、例の物体はもうすぐそこ、
恐らく二の丸であろう平地の部分までやってきていた。


もう迷っていられるような余裕も無い。


俺は2人にもうあれが凄くそこまで来ている事を伝えると、
おもいきって獣道のある茂みを下る事にした。



2人もそれに続き、
殆ど茂みを掻き分けるように道を下っていくと、

後ろの方からAが

「ヤバイ、もうすぐそこまで来てる!急げ!」

と言ってきた。



俺が後ろを振り返ると、例の黒い物体が
もうあと10mくらいのところまで近付いてきている。


俺たち3人は最早草や木の枝をかき分けることすらやめ、
がむしゃらに獣道を駆け下りた。



どれくらい走っただろうか、
暫らくすると木の間から舗装された道路が見えてきた、
俺たちは泥だらけになりながらも必死で殆ど転がるように道を下り、
なんとか舗装された所までたどり付くことが出来た。



その時、
突然金属質の耳鳴りのような音が聞こえ、
次いで後ろから「バチンッ!」と
何かが弾けるような音が聞こえてきた。



びっくりして後ろを振り向くと、そこには例の黒い物体はなく、
爆竹か何かを破裂させたような、そんな感じの煙が漂っているだけで、
俺たちは呆然としてしまった。



その後、民家も無いような山道を散々迷い、
殆ど真っ暗になる頃にやっと最初に車を停めたところまで
戻る事が出来た。



結局その後もあれが何だったのかはわからない、
そもそもあんな体験をしてまた同じ場所へ戻る勇気などなかったし、
そんな事をしても俺たちに何の得も無かったからだ。



タグ:怖い話 廃寺
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諭す【不思議な話】





七年前に勤めた会社が倒産し就職難の中、
運転手に転身したTに起きた事です。



最初は小さい2t車での仕事だったTも運転手に転身して
一年も経つと4t車に乗る様になり、
県内だけでなく県外にも足を延ばすようになった。



今から五年程前の雨の夜に隣県から帰る為に
県境の峠道を走っていたTは尿意を覚えて
山頂の少し手前の広い所にトラックを停めて用を足した。



雨は小雨程度だが霧が出ているし交通量も疎らな峠道にいつになく
嫌な雰囲気を感じていたが、用を足してスッキリしたTが
トラックに戻ろうと振り向くと・・・・・


助手席側に人が立っているのに気がつき一瞬身を固くする。


こんな真夜中に峠で人が?


恐る恐る観察するTに人影が振り向いた。


若い・・・二十代前半位の女性。


肩までくらいの髪も、どこかの会社の制服と思しき衣類も
全部が雨で濡れている。


思わず声をかけようとしたTより先に女が言葉を発した。


「峠を降りた○○まで乗せて下さい」


小さく、か細く・・・

しかしはっきりと聞き取れる声だった。



女の申し出に一瞬よく耳にする様々な怪談話を思い出すTだったが、
その女の何とも哀しく寂しそうな顔への同情が恐怖を上回った。


いいですよ、どうぞ。


そう言うとTは助手席のドアを開けてやり、女に乗る様に促した。


ステップを踏み手摺りに手をかけ女が乗り込む時、
ふとTは彼女の足元を見てやっぱりなと感づく。



助手席側や運転席側のドアを開けると
室内灯が点くようにしてあった。


光があたれば物体は必ず影を残すはずなのに
彼女には影が無かった。


だが不思議と恐怖を感じないままにTは彼女が助手席に座ると
そっとドアを閉め運転席へと乗り込み車を走らせた。


走らせながら彼女の横顔をチラチラと横目で伺う。


最初と変わらない寂しげな横顔のまま言葉もなく
ただ俯き加減に座っている。


意を決してTは彼女に勝手に、独り言のように話しかけた。

悲しい事とか色々あったりしましたか?


「辛い事、悲しい事、何があったのか僕には分かりませんけど
 こんな所に居ては駄目です。
 行くべき所があなたにはあるんじゃないですか?
 僕にはしてあげられない事かもしれませんが。」

Tの言葉に彼女は反応を見せない。



この峠を下り彼女の望む所までにはまだ二十分はかかる。


その間もTは構わず一方的な会話を続けた。


「○○にはあなたの何かがあるのかな?

 そこに行ってその後どうするんですか?

 またあの峠に戻ってしまうのですか?

 繰り返しては駄目だと思います。次へ進まないと。」


彼女はただ俯いたまま黙っている。


聞いているのかさえ分からないままTは話しかけ続け、
ようやく峠を下った。



突然彼女は前方を指差すと

「あそこで。」

とだけ言った。


なんの変哲もない住宅街への交差点だった。


Tはハザードランプを点けトラックを停めると彼女のほうを見た。


「ありがとうございました。」


微かに聞こえる声だけ残して彼女は消えてしまった。


そしてもう一言、

どこからともなく聞こえた「行きます」の声にTは
安堵のため息を吐き出し、再び車を走らせ無事に会社に帰った。



後日、Tはあの峠で起きた事件を同僚から聞いた。


十年前、情事のもつれから当時二十二歳の女性が絞殺され
死体が遺棄されていたのだと言う。


当時の彼女が住んでいた町こそTが彼女を降ろした住宅街だったそうだ。



その後あの峠で彼女を見る事もないままTは
三年前に子供をもうけ幸せに暮らしていた。


生まれた女の子も大きな病気や怪我もなく
明るい元気な子でTは溺愛し娘も父親を慕っていた。



そして今年・・・


峠の彼女の事も記憶から忘れていたTは再び彼女と再会する。



9月の半ば、夜中に目を覚ましたTが
喉の渇きを覚え台所で茶を飲み寝室に戻った時だった。


妻の横で寝ている愛娘が布団から飛び出して寝ていた。


なんて寝相だと苦笑しながら娘を布団に戻したその時・・・


娘が眠ったままTの手を握り

「ありがとう、あなたがあの時助けてくれたから私は今生きてます。

 本当にありがとう」

と言った。


彼女の声で・・・

娘の口で・・・


生まれ変わりなのか娘の口を借りただけなのか分からなかったが、
恐怖は感じず不思議な温もりを覚えた出来事でした。


私(T)も家族も何ら不幸なく平穏に過ごしてます。

オチなしの怖く無い上に長文失礼。





タグ:トラック

2018年03月23日

ある集落に迷い込んだ時、凄まじい体験をした【集落にまつわる怖い話】





会社の上司の昔話で、十五年くらい前のことだという。



当時まだ駆け出しだった上司が、某県某町に新設の事務所に配属された。



工場併設のその事務所は市街地を遠く離れた山の中にぽつんとあって、
夜には車通りも無い、淋しい場所だった。



事務所の前から県道を右にしばらく行くと某町のジャスコに行き当たる。


左にしばらく行くと隣の某村に入るが、

村の中心部の集落まではしばらくかかる、そんな立地だった。



その日の上司は、仕事を抱え込んで一人残業のすえ、
疲れきって事務所を閉めた。


一人暮らしのアパートへと車を走らせていたところ、
うっかり道を間違えていることに気付いた。


右に出るはずが左に出てしまい、車はすでに某村に入って
しばらくたっているようだった。


車通りも無いので素直に切り返して戻ればよかったものを、
上司は脇道に入った。



ぐるっとまわれば元の道に出られるだろうと考えたからだが、
区画整理がされたわけでもない田舎道は、そうは行かないものだ。



走るだけ走ってさらに見つけた道に飛び込むことを数回くり返したが、
どこをどう走ったかもすでに定かではなく、周囲は真っ暗で道はすでに細い。


切り返しももう無理だった。


しかし、アスファルトと土肌が断続的に現れる道には
轍(わだち)が続いており、おそらくここは地域住民の生活道、

きっと先には集落があると踏んで、先に進み続けた。








読み通り、小さな集落に行き着いた。


何軒か先には明かりのついた家が見える。


方向感覚に間違いが無ければ村の中心部では無いようだったが、
帰り道が聞ければそれでいい。



遅い時間で恐縮ではあったが、なりふりを構ってもいられない。


上司は明かりのついた家の前で車を停め、ライトを消した。


火をつけていたタバコを吸い切ってから、
意を決して車を降りるとギョッとした。



暗がりに、おそらくは十人以上の村人が立っていたのだ。


村人は老人ばかりで、
一様ににらみつける顔付きからして明らかに歓迎されていなかった。

一人が大声を出す。


するとほかの村人も続けて叫び出した。

何しに来た、帰れよそ者!

どろぼう!…は、やらないぞ!

やらんぞ!帰れ!


聞き取れない部分もあったが、
土地の方言でだいたいこんなことを言っているようだった。



上司は誤解を解こうと釈明をしながらもたじろぎ、後ずさりした。



背後に気配を感じ振り向くと、そこにはさらに十人ほどの村人がいた。


彼らもまた何やら叫び出したが、上司が驚いたのはそこではなかった。


村人たちは上司を追い払おうとする上司の顔のすぐ下で、
小柄な老婆が、数珠を持って上司を見上げるように何かを唱えていたのだ。



尋常じゃない空気に圧倒され、上司は車に舞い戻りアクセルを踏んだ。


村人は、上司を追い返そうとしているだけのようで、
追ってくる様子はなかった。


はるか背後で、
たぶん老婆のものであろう叫び声を聞いた。


後で知った事実から考えれば、
唱えていた念仏の総仕上げの掛声のようなもので、
それは自分に向けられたものであったのだろう。



結局、集落を抜けて無我夢中で走ったところ、
村を抜けて隣県に行着いた。


国道を大きくまわって自宅に帰れたのは朝方であった。







翌日から、上司は目に見えて体調を崩した。


仕事が出来ないほどではなかったが、体が重く食欲が失せ、
無理に食べても三日で体重が5キロ落ちたという。



一週間もたつ頃には形相も変わり同僚にも本気で心配され始め、

町立の総合病院に行ったが、どこにも異常はなかった。



村での体験にショックを受けただけと思い、

意気地の無い自分を奮い立たせたが、回復しなかった。



ある日、

町役場の企業立地担当を訪問する用事があった。


役場の担当者は若く歳も近かったので仲が良かった。


飲んだ際に霊感があるという話を聞いたことがあったが、
その手の話を信じない上司は、からかった受応えをしたものだった。

用件もそこそこに、その彼が切り出した。


「どうせまた茶化すんだろうが、体調に関わることだから
 真面目に聞いてほしい」と。


曰く、上司の体調は呪いによる憑き物のためであり、
お祓いを受けたほうがいいので、
慣れた寺を紹介をするということだった。



上司は呪いを解くために、寺に向かう上司は、
彼の霊感を信じたわけではなかったが、藁にもすがる思いで、
彼が電話を入れてくれた寺に向かった。



寺の住職は、落ち着き払った様子で上司を迎え、
極めて淡々とお祓いをしてくれた。


お祓いが済んだ後、嘘のように回復した上司は、
それでもまだ呪いには半信半疑のまま、
あの集落での体験を住職に話した。



住職は、あの集落が、土着のある風習を今でも頑なに
守り続けていることを教えてくれた。



風習とは、その昔、宿を貸したよそ者に、
赤ん坊をさらわれたことに端を発する集落の自己防衛策であり、
村に生まれて間もない赤ん坊がいるときには、
外部からの人間を迎え入れてはいけないというものだという。



風習はいつからかエスカレートし、
追払ったよそ者が二度と村に舞い戻らないよう、
祈祷師により、よそ者を呪い殺すようになったのだという。



上司は、あの晩に見た老婆とその叫び声を思い出したが、
それでも呪いなど信じたくなかった。


しかし、あの村で見たのは男も女も年寄りばかりだった気がするし、
若い者が出て来ないのはなぜだろうか。


そもそも、いくら田舎とは言えこの現代にあって、
若い世代がそんな風習に縛られて生きていることは信じがたかった。



そんなようなことを素朴な疑問として、上司は住職に尋ねた。


住職は一瞬目を丸くしたが、上司がまだすべてを理解していないと知り、
微笑みながら教えてくれた。



あの集落は日本全国でもかなり早い段階で高齢化を迎え、
残った老人達は頑なに周囲との交流を拒み、
いもしない赤ん坊を守るという建前で、よそ者を追払い続けたこと。


そしてその末に、集落が絶えてもう三十年以上経つことを。


それを聞いたときに全身を走った悪寒を、上司は今も忘れないと言った。



以来、上司は霊の存在を信じるようになったのだという。









後日談。



役場絡みの合同商談会みたいなイベントの後で、
役場の担当者の運転で上司はあの集落に行ったらしい。

もちろんまだ日の高い時間帯。



役場の彼はすこぶる嫌がったらしいけど、上司は真剣。


同乗していた取引先の人はノリノリだったとか。


あの晩に来た道とはたぶん反対方面から集落に行き着いたんだけど、
崩れ落ちそうな廃墟ばかりで同じ場所とは信じられなかったそうだ。



だけど、集落の奥まで歩いて振り返って見た風景は、
あの晩見た集落に間違いなく、上司は愕然とした。



正確には、その確認までして初めて、
上司は霊の存在を信じるようになった。


役場の彼には、廃墟のかげからこちらを凝視する村人が数人見えていたらしく、
最後まで車からは降りてこなかったんだと。



念のため、と取引先の人と三人であの寺にお祓いに行ったら、
優しかったあの住職に今度はこっぴどく説教されたそうだ。








posted by kowaihanashi6515 at 16:46 | TrackBack(0) | 洒落怖
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