ぽん太の行った方向へ歩いてみたが、ちっとも姿が見えないので、
車に戻り、エンジンをかけ走り出したら、曲がり角から現れて、
こっちにむかってくるポン太・・・とすれ違った。
Uターンして元の場所に戻ると、すでにポン太の姿はない。
しばらくそこで待って、車のエンジンをかけると、
ひょっこり顔を出したので、
ファミマで買ったトリツクネで釣ってみた。
袋からおもむろに取り出していると、寄ってきたものの、
いざトリツクネを鼻の前に近ずけると
匂いを嗅いだだけで「なんだこんなもの・・・」って顔して
ぷいっと横を向いて・・・行ってしまった。
「・・・やっぱり、ささみか・・・」自分の選択の甘さを呪った。
山の一軒家に一人ぼっちでつながれていたポン太とは言え、
春から秋にかけては、飼い主も時折家に戻ることもあり、
そんな時は、鎖を外してもらって、山の中を一人駆け回っていた。
大雪の時は、私も行った。
追いかければ逃げる、これは動物の習性だ。
取り合えず、車を走らせると顔を見せるということが分かったので、
まあ半日覚悟すれば、戻るだろう・・・と腹をくくって待つことにした。
一人、ゴルフコースを歩いてベンチで休んでいた時、
ふと
動物と話せる女性ハイジを思い出した。
私はポン太に意識を集中してみた・・・
「・・・僕、もうちょっと遊んだら一緒に帰るつもりだよ!」
なんて気持ちが具体的に感じられられたわけじゃなかったが、
なんだか、信頼感がわいてきて、ゆっくり遊ばせようと思いながら、
立ち上がり、轍の道に出た時だった。
小さな小さなつむじ風が轍に起こり、私の横を通り過ぎると
フワーッと空に舞い上がり、真っ白な輪を作って消えていった。
「カメラ持ってくればよかったなあ・・・」小さな小さなつむじ風。
↓これはビニールシートが舞い上がったものだが、空に舞い上がった小さなつむじ風は
丁度こんな風に舞い上がって、先端に奇麗なまあるい輪を描いて消えていったのだ。
旋風(つむじ風)とビニールシート
空に向けた顔を下すと、50mほど先にポン太がいるのが見えた。
ゆっくりと車からリードを取り出し、しゃがんでいると、
ポン太が近ずいてきてじっとしている。
「満足したよ・・・」とでも言ってるように。
難なくリードをつけて、暫く散歩して車に乗った。
どうやら、ポン太は1時間程好きにさせてやれば、満足してくれるようだ。
これなら、雌犬のいない山の中でもリードなしで遊ばせることができそうだ。