暑過ぎる夏、
人々が涼を求めてやってくる大王わさび農場の横に、
ボート乗り場がある。そこのフィールドの温度は48度に達していた。
熱くなるとともにぽん太はだんだん歩けなくなった。
立ち上がるのが容易ではなく、少し右足を支えてやると
立ち上がれるのだが、私がいないと、
そこらじゅうの物を倒し、そこら中に足を突っ込んでしまう。
一度は網戸を突き抜けて庭に出て、吠えているので行ってみると、
垣根に足を突っ込んだままにっちもさっちもいかなくなっていた。
亡くなる数日前、ぽん太は最後の脱走をした。
玄関のドアを少し開けたまま私が転寝をしてしまった。
目を覚ますと夜中の2時・・・ぽん太がいない。
まさかこんな隙間から・・・しかし家の中を探してもどこにもいない。
あちこち歩いてみてもいない・・・。
ぽん太用に買っておいたステーキを焼いて、
外に置いてみたら、10分もたたないうちにぽん太が吠えだした!
近い・・・近所の家の灯りがつく、家から100mほどの距離、
以前猛ダッシュで駆け下りていた坂の横の、
土手の草むらにいた、そのまま進んでいたら数m下の水路に転落していたところだ。
最後の最後まで、世話の焼ける面白いやつだった。
涼しくなると、私の左足を支えにしながらよく歩いた。
がんばれ!・・近所のお年寄りたちも応援してくれた。
数軒向こうの元飼い主も、しょっちゅう救急車で運ばれながらも、
良くなると、
毎朝ぽん太にちくわだのソーセージをやりに来るのが日課だった。
リードを外して好きなように歩かせると、ぽん太も元飼い主の家に
寄って、ちくわかソーセージを貰った。
本当によく歩いたね、ぽん太
毎日ぽん太が踏みしめて
素敵な庭が完成したね
ありがとう ぽん太