私を可愛がってくれたお爺ちゃんも、
戦争体験者だった。
子供の頃、お爺ちゃんの膝の上で、
戦友とか麦と兵隊とかをよく歌って聞かされた。
土建屋をやっていたお爺ちゃんが仕事を辞める少し前、
一軒のラーメン屋に入った。
ここは、爺ちゃんの戦友がやってる店だ。
ラーメンを食べ終わって、
お爺ちゃんが店の人に、
戦友の名前を言って
尋ねると、お店の人は
「父は戦死しました。」
「・・・・・・・・・・」
茫然と立ち尽くすお爺ちゃんと、
お店の人達の間に
深い沈黙の時が流れた。
「うまかった・・・」
ティッシュで鼻を拭いながら、
お爺ちゃんは自分を納得させるかのように頷いていた。
そのお爺ちゃんが逝って、もう20年が経とうとしている。
戦争はいかんと、体験から学び導く人々の尊さを、
今更に思う。