2017年10月31日
いつかの未来 レビュー感想 やや雑(ネタバレ)
PC98を意識した掌編ノベル
ただ意識したというだけではなく、ちゃんと制限通りに作ってるので、容量も今のフリゲではありえないくらい小さい
グラフィックの切り替えなどがいかにもそれっぽく、再現度は高い(描くのが難しい画像は全部素材を編集しただけだが)
モテない主人公だが、なぜか美人で完璧な彼女が出来た
狂喜乱舞した主人公は、友達にも彼女を自慢した
そんな友達へのプレゼントを2人で買いに行く
クリスマスデートの約束を取り付けている最中、突然彼女が「停止」してしまう
aiGameのゲームは何かしら仕掛けがあるので何かあるとは思ったが…
彼女の正体は彼女ロボットで、最後は再起動の為の入金まで要求してくる
ここまではベタだが、プレゼントを渡した友達さえも友達ロボだった、という二段構えは実に上手い。
高い彼女ロボより安い友達ロボがいいという主人公の台詞もいかにも終わった人間がいいそうで面白い
このあたりのパターン、星新一の影響を受けているなと思えば、後書きによれば本当にそうらしい
世にも奇妙な物語にもなった美女缶も、こんな話だった
ただプロと素人を比べるのもどうかとは思うが、星に比べると非常に雑で、ヒロインがロボットである伏線が欲しかった。
デート中に食事シーンも普通にあるので、これは寧ろ人間さが強調されてておかしい
ここでロボットらしく「私は何もいらないわ」、とでも言わせておけば後々綺麗にロボットである伏線が消化出来た(逆にオマケシナリオのヒロインはいかにもロボットらしい)
結構良く出来た掌編
評価C+
60点
しかしPC98とは懐かしい。
といっても私もその世代じゃないので(産まれてねえ…)、知ってるのはエルフのゲームとかしかないのだが、中学校になぜかPC98があって、ゲーム制作をしてたんだよね
私の人生初の自作ゲーム…ルーツともいえるものは、RPGツクールDante98ですね…
記憶って恐ろしいね。この画像…中学以来久々に見たんだけど…
読み込みバーが、一瞬動いてるように錯覚しちゃったからね…(実物は動くので)。
今は亡きフロッピーディスクを2枚同時に入れないと起動できないんだよね。
今では有り得ないシステムだ。ブルーレイを2枚入れないと起動出来ないとか、ないからね
フロッピーディスクは読み込みも低容量とは思えない程遅くて、ドライブがギコギコ煩かった覚えがあるね
これみたいな「風」じゃなくて本物のPC98ゲームだね…
他にもデザインとさえ言えない、お粗末な絵を描いたりしてたなぁ…
PC98は2003年まで販売し、2010年までサポート対応してたらしい…
随分息が長かったんだね…
2017年10月30日
紅い秘めごと レビュー感想 あの子を解き放て!あの子は人間だぞ!(ネタバレ)
ここは人里から孤立したとある村。
この村の住人は、ケモノの脅威に怯えながら生活していた。
あなたは大切な人を守れますか?
一つの秘密が悲劇を呼ぶ恋愛アドベンチャー。
▼まずジャンルが男性向け恋愛アドベンチャーとなっているが、恋愛要素が薄い。というかルートによっては全く無い。なので恋愛に期待すると裏切られる
実際には明治大正〜くらいを舞台にした伝奇モノっぽい。展開はどれも定番です
▼ヒロインは3人いるが、ヴィジュアルや導入部から黒髪ロングのシズがヒロインだと思っていたのだが(というかスタッフロールの扱いを見てもシズがメインヒロインっぽい。一番冷遇されてるのに。詳しくは後述)ケモノの少女、マルを中心とした(まあ、タイトル画面でもセンターだしな)ストーリーが描かれていく
▼声優もヒロイン3人分いるのだが、シズの声優がかなり棒読みで、微妙。なぜか事務所にも所属しているタレントの卵だが、多分声優としては完全に素人だろう。声質が低すぎてキャラともミスマッチ
▼ストーリーは一応分岐するがほぼ1本道で、細かい部分が若干違う程度。
▼ケモノという、怪物に変異する人間を判定する能力があるシズ。
シズはもし友人がケモノ判定されてしまったら殺す事に耐えられないので、人を寄せ付けなかった。だが唯一の友達が、マルだった。
マルはケモノを発病してしまっている。
それを殺すための暗殺機関次期党首が、チワ。シズとは裏で繋がっていた
という構図。
シズ、マル、チワ……
なんかヒロイン全員、犬みたいな名前だね!
▼チワルートはまあまあの完成度。化物に変貌するとはいえ人間を殺さないといけない葛藤は、結構よく描けてる。
▼シズルートはシズがヒロインとは思えないほどの淡白さで、ラストシーンも、え?これで終わり???といった唐突かつ浅い内容。
そもそもシズルートなのにシズが殆ど登場せず、主人公もマルにつきっきり(マルルートの使い回し)
▼実質メインヒロインのマルルートは、ベタながらになかなかのクオリティで面白かった
どんどん人間性を失ってケモノになっていくマル。傷だらけになるほど噛みつかれても、マルの苦しみを受け入れる主人公。
夜になるとケモノが目覚め暴れるマルだが、後ろから拘束すると何故か静かになるので、朝までそのまま。
マルもそんな主人公だけには心を開いて、次第に噛みつきは動物特有の甘噛みになる。
暗殺者として対峙したチワから、マルを守る主人公。容赦なく殺されかける。
そして今度は、殺されそうな主人公を、必死に守るマル…。体も心もケモノになったがまだ、主人公への愛が残されていた…
イイハナシダナー!!!
拘束されているマルが大人しくなるのも、愛情を受けず育った故に後ろから抱きしめられて安心していたから、というオチもなんとも優しい。
▼そしてマルも、友人であるチワも守りたい主人公は、マルを連れて村を出ることを決意する。チワが暗殺するのはあくまで「村に」湧いたケモノだけだから
(よく見るとちょっと照れてる)
結論は語られないが希望あるエンディングで、綺麗に終わった。シズにさえ何も言わず村を出ていくのが寂しいが、それも感傷を上手い具合に残してる
・問題点
▼β版だから仕方ないが、このゲーム、余りにも中途半端なデキで、シズルートなどは明らかに作りかけ。
誤字脱字は多いし、バグ・フリーズも多いし、画像が無いシーンも多いし(デバッガーが何人もいるのに、なんでこんな仕様ミスを放置してるんだろう)、逆に絵が凄く少なくて、そもそも、テーマになっているケモノの絵すら無い(お陰でどんな化物か今一つ分からない)
▼そもそも主人公だけがケモノに耐性がある理由など、掘り下げが殆ど無い。
というかこの主人公、名前すら出てこないし、キャラが薄過ぎる(まあやるドラシリーズみたいに主人公に名前がないゲームもあるが)
▼展開は唐突だし、夜のシーンなのに朝の鳥がチュンチュン鳴いていたり、突然背景が昼になったり、おかしな部分も非常に多い
チワルートなんて、折角のエンディングなのに、シーリングライトらしきものがある(換気口?まである)。
明治大正の時代背景で、夜が暗いってテキストまであるのに(笑)
時代劇の車の轍や役者の銀歯は気にならないが、流石にこれは時代考証以前の問題なんで、萎えたというか、むしろ笑っちゃったよ。
▼中でもやはり、画像が出ないシーンは本当にお粗末。
シリアスシーンに限って表示されないし、ひどいも何も、お前顔すらないじゃねーかって言いたいよ
▼テキストの「。。」も修正して欲しい
「・・・」じゃなくて「。。」かよ。
ブログの文章じゃないんだから。。。。。
▼そんな粗削りなデキだがOPとEDがムービーで、自作の歌まであったり、妙に拘った点もある。EDは結構イイ曲です。
▼さて、今出てるのは完全β版ということで、試作版の完成版だが、マルルートは一見の価値あり。早く完全版が出て欲しい
評価C 60点
しかし公式サイトのキャラ紹介、公式なのにどえらいネタバレだらけですね。
これはプレイ前には見ないほうがいいかと。
【後日追記】
制作サークルが新作作ってますが、本作はもうこれで完結なのかしら…?
作者のtwitterアカウントが2つある模様ですが、どちらも中国ネタとか、フリーゲームと無関係なつぶやきのみで埋まっており、続報は無いようですねえ…
完全版をプレイしてみたかったので、そこは残念
この村の住人は、ケモノの脅威に怯えながら生活していた。
あなたは大切な人を守れますか?
一つの秘密が悲劇を呼ぶ恋愛アドベンチャー。
▼まずジャンルが男性向け恋愛アドベンチャーとなっているが、恋愛要素が薄い。というかルートによっては全く無い。なので恋愛に期待すると裏切られる
実際には明治大正〜くらいを舞台にした伝奇モノっぽい。展開はどれも定番です
▼ヒロインは3人いるが、ヴィジュアルや導入部から黒髪ロングのシズがヒロインだと思っていたのだが(というかスタッフロールの扱いを見てもシズがメインヒロインっぽい。一番冷遇されてるのに。詳しくは後述)ケモノの少女、マルを中心とした(まあ、タイトル画面でもセンターだしな)ストーリーが描かれていく
▼声優もヒロイン3人分いるのだが、シズの声優がかなり棒読みで、微妙。なぜか事務所にも所属しているタレントの卵だが、多分声優としては完全に素人だろう。声質が低すぎてキャラともミスマッチ
▼ストーリーは一応分岐するがほぼ1本道で、細かい部分が若干違う程度。
▼ケモノという、怪物に変異する人間を判定する能力があるシズ。
シズはもし友人がケモノ判定されてしまったら殺す事に耐えられないので、人を寄せ付けなかった。だが唯一の友達が、マルだった。
マルはケモノを発病してしまっている。
それを殺すための暗殺機関次期党首が、チワ。シズとは裏で繋がっていた
という構図。
シズ、マル、チワ……
なんかヒロイン全員、犬みたいな名前だね!
▼チワルートはまあまあの完成度。化物に変貌するとはいえ人間を殺さないといけない葛藤は、結構よく描けてる。
▼シズルートはシズがヒロインとは思えないほどの淡白さで、ラストシーンも、え?これで終わり???といった唐突かつ浅い内容。
そもそもシズルートなのにシズが殆ど登場せず、主人公もマルにつきっきり(マルルートの使い回し)
▼実質メインヒロインのマルルートは、ベタながらになかなかのクオリティで面白かった
どんどん人間性を失ってケモノになっていくマル。傷だらけになるほど噛みつかれても、マルの苦しみを受け入れる主人公。
夜になるとケモノが目覚め暴れるマルだが、後ろから拘束すると何故か静かになるので、朝までそのまま。
マルもそんな主人公だけには心を開いて、次第に噛みつきは動物特有の甘噛みになる。
暗殺者として対峙したチワから、マルを守る主人公。容赦なく殺されかける。
そして今度は、殺されそうな主人公を、必死に守るマル…。体も心もケモノになったがまだ、主人公への愛が残されていた…
イイハナシダナー!!!
拘束されているマルが大人しくなるのも、愛情を受けず育った故に後ろから抱きしめられて安心していたから、というオチもなんとも優しい。
▼そしてマルも、友人であるチワも守りたい主人公は、マルを連れて村を出ることを決意する。チワが暗殺するのはあくまで「村に」湧いたケモノだけだから
(よく見るとちょっと照れてる)
結論は語られないが希望あるエンディングで、綺麗に終わった。シズにさえ何も言わず村を出ていくのが寂しいが、それも感傷を上手い具合に残してる
・問題点
▼β版だから仕方ないが、このゲーム、余りにも中途半端なデキで、シズルートなどは明らかに作りかけ。
誤字脱字は多いし、バグ・フリーズも多いし、画像が無いシーンも多いし(デバッガーが何人もいるのに、なんでこんな仕様ミスを放置してるんだろう)、逆に絵が凄く少なくて、そもそも、テーマになっているケモノの絵すら無い(お陰でどんな化物か今一つ分からない)
▼そもそも主人公だけがケモノに耐性がある理由など、掘り下げが殆ど無い。
というかこの主人公、名前すら出てこないし、キャラが薄過ぎる(まあやるドラシリーズみたいに主人公に名前がないゲームもあるが)
▼展開は唐突だし、夜のシーンなのに朝の鳥がチュンチュン鳴いていたり、突然背景が昼になったり、おかしな部分も非常に多い
チワルートなんて、折角のエンディングなのに、シーリングライトらしきものがある(換気口?まである)。
明治大正の時代背景で、夜が暗いってテキストまであるのに(笑)
時代劇の車の轍や役者の銀歯は気にならないが、流石にこれは時代考証以前の問題なんで、萎えたというか、むしろ笑っちゃったよ。
▼中でもやはり、画像が出ないシーンは本当にお粗末。
シリアスシーンに限って表示されないし、ひどいも何も、お前顔すらないじゃねーかって言いたいよ
▼テキストの「。。」も修正して欲しい
「・・・」じゃなくて「。。」かよ。
ブログの文章じゃないんだから。。。。。
▼そんな粗削りなデキだがOPとEDがムービーで、自作の歌まであったり、妙に拘った点もある。EDは結構イイ曲です。
▼さて、今出てるのは完全β版ということで、試作版の完成版だが、マルルートは一見の価値あり。早く完全版が出て欲しい
評価C 60点
しかし公式サイトのキャラ紹介、公式なのにどえらいネタバレだらけですね。
これはプレイ前には見ないほうがいいかと。
【後日追記】
制作サークルが新作作ってますが、本作はもうこれで完結なのかしら…?
作者のtwitterアカウントが2つある模様ですが、どちらも中国ネタとか、フリーゲームと無関係なつぶやきのみで埋まっており、続報は無いようですねえ…
完全版をプレイしてみたかったので、そこは残念
怨あそび レビュー感想 良く言えば王道、悪く言えばありきたり(ネタバレ、攻略)
お友達4人組の少年少女が、おふざけで廃墟探索をし、本物と出会ってしまうストーリー
PCゲームだが、Ios,Android版配信中
前半がコメディタッチで急激にホラーが来る
中々怖くて面白いのだが、ホラーがワンパターンで、画面が止まった数秒後に悲鳴などの脅かしが来るというだけなので、途中からは飽きるかも
グッドエンドは最後の選択肢で希望ある選択肢を選べばいける。ゲームオーバーせずに最後までいけば、通常これになる
バッドエンドはその逆で絶望的なものを選ぶ。ノーマルエンドは親友を見捨てて逃げ、ヒロインの選択肢で主人公に好意がないを選ぶと行ける
グッドエンドは歌も流れるし、ホラーとしては結構綺麗な終わり方だが、結局親友は死んでしまうし、実際にはノーマルエンドといったほうが近いかもしれない
因みにバッドエンドは初回版には存在しない。
9月のアップデート版から入っているが、まさかよりにもよって追加されたのがバッドエンドだとは
評価C
60点
パソコン、スマホで手軽に遊べるホラーゲー
ホラーシーンでも連発される台詞の(笑)だけは、いらなかったな
恋の糧 レビュー感想 ブラック日本御伽噺
成金一家の息子主人公、父親が失敗して破産寸前のところを、本物の金持ちに助けられる
金持ちは若いころの事故で片足を無くしているが、大変な人格者で人助けで主人公は救われる
だが唐突に屋敷内に誘われ、手錠をかけられ、そこにいた幼女の餌にされてしまう
座敷童をカニバリズムとして描くのがなかなか面白い。海外の童話は本来かなりのホラーだが、座敷童にこういう解釈は初めて見た
金持ちが大成した原因も勿論座敷童で、足はその時に失っている
お前…!!!他人の足食ったのか!!?
タイトルに恋とあるように主人公が食われながらも座敷童に恋をしているのがキモ怖くて面白かった。
惜しいのは絵。前作までに比べると随分汚い
作者の後書きは自虐かな
評価C 60点
金持ちは若いころの事故で片足を無くしているが、大変な人格者で人助けで主人公は救われる
だが唐突に屋敷内に誘われ、手錠をかけられ、そこにいた幼女の餌にされてしまう
座敷童をカニバリズムとして描くのがなかなか面白い。海外の童話は本来かなりのホラーだが、座敷童にこういう解釈は初めて見た
金持ちが大成した原因も勿論座敷童で、足はその時に失っている
お前…!!!他人の足食ったのか!!?
タイトルに恋とあるように主人公が食われながらも座敷童に恋をしているのがキモ怖くて面白かった。
惜しいのは絵。前作までに比べると随分汚い
作者の後書きは自虐かな
評価C 60点
アイスクリーム物語 レビュー感想 勢いのあるバカゲー
アイスクリームを食べたい主人公がアイスを食べるまでの単純な話だが、唐突で支離滅裂な展開の連続にクスリとする。
背景が実写で美麗なのもよかった。しかも海外なのになぜか日本円を使う
アイスが食べられないで発狂する主人公が一番笑えたかな
評価C 60点
背景が実写で美麗なのもよかった。しかも海外なのになぜか日本円を使う
アイスが食べられないで発狂する主人公が一番笑えたかな
評価C 60点
2017年10月27日
夏ゆめ彼方 レビュー感想 将棋を通じて少年の人生を描く一大叙情詩。傑作!(ネタバレ)
▼実は既に9月にDLしており、序盤でバグったことに萎えて放置していたのだが、最近プレイしたバレンタインテロリズムが面白かったので期待を込めてサルベージ
本作は将棋をテーマにした珍しい同人ゲーム。少年の夢がテーマのノスタルジー青春モノ
主人公桂一は夭逝したプロ棋士の息子であり、自身も小学生の将棋チャンピオン。だが父の死によって意気消沈し、将棋を辞めてしまっている
天才、神童と謳われ、勉強も大変によく出来る。
だが小学生にして自信家で驕り高ぶった性格のため、友達もおらず夏の田舎で一人くすぶっていた。
そんな中、唯一相手にしてくれるのがブラコンの妹ハルカだけってのが悲しい。
なんか兄貴と結婚したがるほどの超ブラコンはゲームや漫画だけの存在だが、主人公が自尊心の塊なところとかが変にリアリティある
桂一はふとした切っ掛けで神社の裏にある森で知り合う不思議な少女、「杏」と将棋を指す。自信過剰でナメてかかるも、あえなく返り討ち。完全に自信を粉砕される
最初は信じていなかったが、猛暑でも汗一つかかない、途轍もない棋力を持つ彼女を、杏の樹の神様と認めることになる
髪の毛はピンクだし、耳、トガってますよ?
どう見ても人間じゃねーだろ
こういうキャラって大抵一人称がわらわとか儂だけど、自分を「わたし」と呼ぶのがちょっと珍しくて、違和感ある
▼作中で何度もある対局シーンだけど、作者の文章力が高いこともあり、非常に臨場感がある。
また、私は将棋に詳しくないが恐らくキャラクターの棋風をちゃんと反映した指し方だと思われる。そこが面白かった。
しかも将棋の知識がなくてもなんとなく戦局が分かるし、何より面白いというのが、かなりの表現力で、唸るしかない。
ヒカルの碁にしろアイシールド21にしろ、ルールが分からなくても面白いと言われた名作だからね(アイシの終盤は酷かったが)
実際に作中で言われてるような高度な指し手なのか、というのは不明。参考文献もクレジットされてないが、どの程度の棋力なんだろうか。棋譜は作者による自作なのか、これも不明
▼最初は将棋馬鹿だった桂一も、杏と友達になったことで人間的に幅が開き、大悟など、学校の友達もできる。
そして将棋の名人になるという夢のために、全力で突き進む。毎日のように杏のもとへ通い将棋を指し続ける
いいね。いかにも小学生って感じで、頭がいい設定でも、単純。
大悟は更に単純で、敵視してたのにあっさり友達になっちゃう。なんか、やはり妙にリアルだ
少年漫画の王道ストーリーで、まさに努力勝利友情といった具合だ
▼クラスメイトの少女カノンも交え、このままこの夏がずっと続けばいいのに…と願って止まない桂一だったが、ある時を境に徐々に杏の記憶が曖昧になっていくことを感じる。
既に大悟の記憶からは消えている杏…
桂一は忘れそうになる頭を叩き、血を流しながらも杏の元へ…
そこで杏との最後の対局。桂一が勝てば神の力で桂一から杏の記憶は消えない。だが桂一は自暴自棄になる、負けたら自殺するとまで言う
決死の対局で一時は勝利を確信するも、全ては神の掌の上だった…将棋では困難とされる引き分けに持っていかれてしまう
杏との別れ。そして涙を流しながらもプロになることを誓う。
▼うーん、実に感動的なシーンだ。プライドの高い少年が純真に夢を追いかけるまでを見事に描けている。この後、ひと夏の経験で成長した桂一はプロになって、様々な強敵を打ち崩していくのだろうな
と、確信めいた感情を抱きながらも、ここで第一部終了
え?終わり?まだ長いストーリーの序盤って感じだが…
だがちゃんと続きがあり、タイトル画面に戻ると背景変更+新章追加
▼第二部夏ゆめ彼方、スタート
冒頭、一部までの夢を見ていた桂一が起きる。時刻は既に夕方である
舞台は唐突に17年後。展開、早っ!!
あ、引き分けだけど一応記憶は残ってるのね
そして一階に降りると、部屋にいたのは大人になった妹ハルカ。
「随分遅いおはようね」と言われる。
これは少年時代に妹の寝起きが悪いことで桂一が言っていた冗談めいた皮肉だったのだが、今度はそれを、そのまま返される…
そう、余りにも冷めた目で…
…あっ(察し)
【超絶悲報】桂一、夢やぶれて引きこもりのクズニートになっていた
かつて兄のことが大好きで、将来はお兄ちゃんと結婚するとまで言ってた妹も、
今では桂一をクズニート扱いしています(実際クズニートなんだけど)
ええええぇぇええぇぇぇぇ……
とは思ったが、実をいうと少しだけ予測していた未来でもあった。桂一は賢い子だけど、同時に同じくらい精神的な脆さや危うさがあると…。
プロ棋士になれるのは26歳まで。そして桂一はこの時既に28歳…つまり、もう完全に夢絶たれた状態
兄のような勉強も出来る天才児ではなくとも、ハルカは大悟と結婚し、公務員になり堅実かつ幸せな人生を歩んでいます。
(女が苦手な大吾がハルカのことだけは妙に気にしていたのは、ただの雑談シーンではなく、伏線だったんだね…芸が細かい)
そして30半ばと若かった母親も当然年老いて、今は50代の中年女性。実際はもっと老け込んでいるんでしょう…
所詮、十で神童十五で才子二十過ぎればただの人
将棋にすべてを賭けた、将棋が夢であり人生のすべてだったために、夢やぶれてすべてを失った桂一。まともにアルバイトすらしたことがないので、社会性も0。
神童の主人公を羨み、頭も悪く、何の取り柄もなかったガキ大将、かつての親友大悟は、
それでも大学を卒業し就職、ハルカとも結婚し、堅実な人生を歩み、
イケメンの青年に成長していました。
そして人生に挫折した桂一に、余りにも辛辣な言葉を浴びせます
とはいえ大悟、やはり同じ男だからなんでしょうかね、挫折した人間の辛さが分かるのだろう。
辛辣で完全に失望しているハルカに比べて、かなり思いやりがあるんですよ。やはり持つべきものはブラコンだった妹なんかより、親友です
そんな大悟の優しくも現実を思い知らされる、「お前はよくやったよ」という慰めの言葉を振り切り、将棋なんてやらなければよかったと後悔し疾走する桂一は、呼び寄せられるように自然と杏のもとへと向かう
▼そこで再会したのは昔と何も変わらない杏だった
17年分の思いのたけをぶつける桂一を、杏は母親のように優しく抱きしめます
ここまでほとんどのシーンで主人公より年下のふざけた少女として描かれてた杏。しかも現在は桂一との外見の年齢差が大きく開いているにもかかわらず、その姿は本当に母親のよう
17年ぶりに杏と対局し、将棋が楽しかったという事実を思い出します。型に拘らず好きな将棋を指す桂一。そしてあの夏の楽しさを思い出し、初めて杏に勝つ
杏とはこれで本当にお別れだけど、大切なものを学んだ
自分の夢はかなわなかったけど、将棋で学んだことは忘れず、将棋が好きだったことも忘れず、人生をやり直そうと改めます
もうプロにはなれないけれど、大好きな将棋を、アマチュアや趣味としてでも楽しんでいく。
そしてこれまでの将棋歴で知り合った人間とも、酒を飲みかわしながら将棋を指す
この一連のシーン、青年の更生シーンとして実に綺麗ですね。将棋が好きな人間が酔っぱらって将棋を指すというのがちょっと引っかかるものの(ヒカルの碁でもそんなシーンあったな。酔っ払って碁を打つ緒方に、藤原佐為が失望する場面)、主人公が新しい仲間を作った、という描写の演出としては必要かもしれません
アルバイトも始め、ハルカや大悟、母親も喜んでくれている
夢はかなわなかったけど、なんとか正社員としての働き口も見つけ、順風とはいえないまでもハルカたちのように堅実な人生を歩む桂一
▼更に月日は経ち、桂一くんは41歳になっていました。あの神社で子供たちに将棋を教えていて、オッサンと呼ばれています
ジャンル「青春ノスタルジー」ということで、せいぜい20代後半までのストーリーを想定していたので、完全に中年のオッチャンになるまでやるとは、想定外ですね
かつて更生し堅実な人生を歩んでいた彼だったが、ある時ふと、まだプロになれる可能性が、たった一つだけ残されていたことに気づきます
それがプロ編入試験。
普通にプロになるだけでも大変なのに編入試験となるとさらに激化し、やっと掴んだ安定した人生を捨てて、会社を辞めないと成立しないほどの困難。
折角自分を拾ってくれた会社の人間の顔に泥を塗ることになるも、会社の人間もハルカたちも温かく送り出してくれて、本当にこの世のものとも思えない優しい世界です
つい数十分前まで妹にクズニート扱いされていた桂一くんとは思えない
その困難に打ち勝ち、41歳にして見事プロになりました。
年老いた母親も喜びの余り涙を流す。早死にした夫のこともあり、実は一番感情の動きが激しかったのは母親であると容易に想像できます
本作品、女の子のキャラが可愛くていかにもダブルヒロインのギャルゲーと思わせていながら、本編に恋愛要素は一切ありません。これが徹頭徹尾されたテーマで、今時こんなゲームは珍しい
普通なら桂一と杏は絶対にどこかしら恋愛絡みで描かれそうなものだが、最後まで友情、師弟愛、そして最後は親子愛として描かれて、恋愛要素は最後までカケラもありません
杏が母と表現されていたり(母なる大樹という言葉もあるし、一人称が「わたし」なのも母親感を出すためだったのかな)、どうも隠されたテーマとして「母親」や「母親の愛」というのがあると読んだ(それにしてはレトルトカレー出してたが 笑。母の厳しさか)
でも、そんな重要キャラである母親に、立ち絵すらないのが惜しいですね。
母親というかこのゲーム、絵が少ない。
前作と画風が変わっているけど、枚数が少ないのが相変わらずなので、作画担当にはもう少し頑張って欲しかった。室内でも帽子を被ってたり、おかしいシーンも多いしね…
▼41歳でプロになった桂一は、また導かれるように杏の樹へ向かうも、杏は姿を見せてくれない。
だがそこで代わりに出会ったのは、いかにも生意気といった感じの、かつての自分を思わせる少年…
桂一は少年に思いを託し、子供たちの元へと戻るのだった…
背中に温かい視線を受けながら…
イイハナシダナー!!!
いや、もうね…バカかと、アホかと。
泣かせるなよ…問題児の癖に…
▼このラストシーン、序盤で桂一が年老いた男と、杏の樹の前で出会うシーンと同じ構図になってるんだけど、これは杏が少年たちを1000年に渡って導いてきた、ということを一瞬で理解させる素晴らしい演出だね…(SFではたまにあるシーンだが、その場合、老人は年老いた桂一だろう。「あれは私だったのか」っていうね)
老人のシーンは何かの伏線だとは思ったが、まさかラストシーンに使うとはね、実にお見事
シナリオは申し分ないどころか、同人ゲーム史上でも最高傑作に等しいデキで、ラストシーンで杏が大樹に寝そべっているシーンでは、正直泣きそうになった。
伝奇なのは建て前で、作品の本質は夢とは、人生とは、という非常にリアリティ溢れたものなので、そこに惑わされずプレイし、かつ共感出来れば、またとない名作です。
ファンタジーといういかにもゲーム的要素を持ちながら、その実中身は現実派というのが素晴らしいギャップ
将棋の知識はむしろない方がいいかもしれません。あると編入試験のことが読めちゃうだろうし
無名のゲームだしそこまで大きな期待はなかったのですが、大変満足。というかこれだけのクオリティで、何故無名なんだ?そこが信じられない。
評価S+
100点
当ブログで初めて満点、しかも+をつけます。
隠れた名作。伝奇の皮を被った将棋大河浪漫。やってよかった
▼尚、本作はビジュアルノベルだが、選択肢が1つだけあり、分岐もあります。
本編の途中から全く出てこなかったカノンを選ぶと、なんと世界観がまるで違うラブコメになるんですよ。将棋もまるで関係ない…
本編とは真逆のシナリオですね。所謂ギャルゲー(ヒロイン小学生だけど)、恋愛ビジュアルノベル
ギャグ要素がかなり高く、声に出して笑いそうになったシーンも。
泣きだけではなく笑いもいけるとか、シナリオライターの戸部みるくのセンスは図抜けてます
本編とは真逆の展開であり、前記の様に将棋はほぼ出てきません。
杏のことも、忘れてるのでほぼ出てきません。
しかも桂一も杏のことがなかったせいか将棋にさほど思い入れがなく、将来は持ち前の頭脳と世渡り術でエリートビジネスマンになり、カノンと結婚しています。カノンも歌手の夢を諦めて普通の主婦になっている
本編で挫折した桂一が「僕も普通に恋愛して就職していれば」と酷く後悔していたように、分岐というよりは、IFルートという感じ
だがこっちのシナリオのほうが正直本編より幸せそうなので(挫折知らずだろうし)、これも考えさせられるものがありますね(本編には主人公と結ばれるという意味でのヒロインはいないしね)
しかしカノンが、本編のカラミ0のサブキャラだったのは悪い意味で驚き。
最初、桂一が「どこかで見たことがある」と呟くので、てっきり小学生女流棋士だとばかり思えば、まさかただのクラスメイトで、顔がうろ覚えだっただけとは
ともあれ2つのシナリオが揃って名作でした。
この名作に欠点をあげるなら、最終章のタイトルが「夏、夢、かなった」なのが、究極にダサイ
なんで駄洒落なんだ(笑)
後は、杏が桂一を抱きしめるシーン、もっと2人の見た目の年齢差が分かる構図にしたほうが良かったでしょうね。
そのほうが年月が経った、という演出が効果的になるので
【閑話】
シナリオの戸部みるく…
別名義の辺戸胡桃(へどくるみ、濁点まで動いたアナグラムっぽいがすげえ名前)でエロゲも作ってて、「ツチノコの恩返し」の作者だったんだね…
余りにも作風が違い過ぎるし、「ツチノコの恩返し」はオチが酷かったが、「夏ゆめ彼方」の出来は余りにも良すぎた
本作は将棋をテーマにした珍しい同人ゲーム。少年の夢がテーマのノスタルジー青春モノ
主人公桂一は夭逝したプロ棋士の息子であり、自身も小学生の将棋チャンピオン。だが父の死によって意気消沈し、将棋を辞めてしまっている
天才、神童と謳われ、勉強も大変によく出来る。
だが小学生にして自信家で驕り高ぶった性格のため、友達もおらず夏の田舎で一人くすぶっていた。
そんな中、唯一相手にしてくれるのがブラコンの妹ハルカだけってのが悲しい。
なんか兄貴と結婚したがるほどの超ブラコンはゲームや漫画だけの存在だが、主人公が自尊心の塊なところとかが変にリアリティある
桂一はふとした切っ掛けで神社の裏にある森で知り合う不思議な少女、「杏」と将棋を指す。自信過剰でナメてかかるも、あえなく返り討ち。完全に自信を粉砕される
最初は信じていなかったが、猛暑でも汗一つかかない、途轍もない棋力を持つ彼女を、杏の樹の神様と認めることになる
髪の毛はピンクだし、耳、トガってますよ?
どう見ても人間じゃねーだろ
こういうキャラって大抵一人称がわらわとか儂だけど、自分を「わたし」と呼ぶのがちょっと珍しくて、違和感ある
▼作中で何度もある対局シーンだけど、作者の文章力が高いこともあり、非常に臨場感がある。
また、私は将棋に詳しくないが恐らくキャラクターの棋風をちゃんと反映した指し方だと思われる。そこが面白かった。
しかも将棋の知識がなくてもなんとなく戦局が分かるし、何より面白いというのが、かなりの表現力で、唸るしかない。
ヒカルの碁にしろアイシールド21にしろ、ルールが分からなくても面白いと言われた名作だからね
実際に作中で言われてるような高度な指し手なのか、というのは不明。参考文献もクレジットされてないが、どの程度の棋力なんだろうか。棋譜は作者による自作なのか、これも不明
▼最初は将棋馬鹿だった桂一も、杏と友達になったことで人間的に幅が開き、大悟など、学校の友達もできる。
そして将棋の名人になるという夢のために、全力で突き進む。毎日のように杏のもとへ通い将棋を指し続ける
いいね。いかにも小学生って感じで、頭がいい設定でも、単純。
大悟は更に単純で、敵視してたのにあっさり友達になっちゃう。なんか、やはり妙にリアルだ
少年漫画の王道ストーリーで、まさに努力勝利友情といった具合だ
▼クラスメイトの少女カノンも交え、このままこの夏がずっと続けばいいのに…と願って止まない桂一だったが、ある時を境に徐々に杏の記憶が曖昧になっていくことを感じる。
既に大悟の記憶からは消えている杏…
桂一は忘れそうになる頭を叩き、血を流しながらも杏の元へ…
そこで杏との最後の対局。桂一が勝てば神の力で桂一から杏の記憶は消えない。だが桂一は自暴自棄になる、負けたら自殺するとまで言う
決死の対局で一時は勝利を確信するも、全ては神の掌の上だった…将棋では困難とされる引き分けに持っていかれてしまう
杏との別れ。そして涙を流しながらもプロになることを誓う。
▼うーん、実に感動的なシーンだ。プライドの高い少年が純真に夢を追いかけるまでを見事に描けている。この後、ひと夏の経験で成長した桂一はプロになって、様々な強敵を打ち崩していくのだろうな
と、確信めいた感情を抱きながらも、ここで第一部終了
え?終わり?まだ長いストーリーの序盤って感じだが…
だがちゃんと続きがあり、タイトル画面に戻ると背景変更+新章追加
▼第二部夏ゆめ彼方、スタート
冒頭、一部までの夢を見ていた桂一が起きる。時刻は既に夕方である
舞台は唐突に17年後。展開、早っ!!
あ、引き分けだけど一応記憶は残ってるのね
そして一階に降りると、部屋にいたのは大人になった妹ハルカ。
「随分遅いおはようね」と言われる。
これは少年時代に妹の寝起きが悪いことで桂一が言っていた冗談めいた皮肉だったのだが、今度はそれを、そのまま返される…
そう、余りにも冷めた目で…
…あっ(察し)
【超絶悲報】桂一、夢やぶれて引きこもりのクズニートになっていた
かつて兄のことが大好きで、将来はお兄ちゃんと結婚するとまで言ってた妹も、
今では桂一をクズニート扱いしています(実際クズニートなんだけど)
ええええぇぇええぇぇぇぇ……
とは思ったが、実をいうと少しだけ予測していた未来でもあった。桂一は賢い子だけど、同時に同じくらい精神的な脆さや危うさがあると…。
プロ棋士になれるのは26歳まで。そして桂一はこの時既に28歳…つまり、もう完全に夢絶たれた状態
兄のような勉強も出来る天才児ではなくとも、ハルカは大悟と結婚し、公務員になり堅実かつ幸せな人生を歩んでいます。
(女が苦手な大吾がハルカのことだけは妙に気にしていたのは、ただの雑談シーンではなく、伏線だったんだね…芸が細かい)
そして30半ばと若かった母親も当然年老いて、今は50代の中年女性。実際はもっと老け込んでいるんでしょう…
所詮、十で神童十五で才子二十過ぎればただの人
将棋にすべてを賭けた、将棋が夢であり人生のすべてだったために、夢やぶれてすべてを失った桂一。まともにアルバイトすらしたことがないので、社会性も0。
神童の主人公を羨み、頭も悪く、何の取り柄もなかったガキ大将、かつての親友大悟は、
それでも大学を卒業し就職、ハルカとも結婚し、堅実な人生を歩み、
イケメンの青年に成長していました。
そして人生に挫折した桂一に、余りにも辛辣な言葉を浴びせます
とはいえ大悟、やはり同じ男だからなんでしょうかね、挫折した人間の辛さが分かるのだろう。
辛辣で完全に失望しているハルカに比べて、かなり思いやりがあるんですよ。やはり持つべきものはブラコンだった妹なんかより、親友です
そんな大悟の優しくも現実を思い知らされる、「お前はよくやったよ」という慰めの言葉を振り切り、将棋なんてやらなければよかったと後悔し疾走する桂一は、呼び寄せられるように自然と杏のもとへと向かう
▼そこで再会したのは昔と何も変わらない杏だった
17年分の思いのたけをぶつける桂一を、杏は母親のように優しく抱きしめます
ここまでほとんどのシーンで主人公より年下のふざけた少女として描かれてた杏。しかも現在は桂一との外見の年齢差が大きく開いているにもかかわらず、その姿は本当に母親のよう
17年ぶりに杏と対局し、将棋が楽しかったという事実を思い出します。型に拘らず好きな将棋を指す桂一。そしてあの夏の楽しさを思い出し、初めて杏に勝つ
杏とはこれで本当にお別れだけど、大切なものを学んだ
自分の夢はかなわなかったけど、将棋で学んだことは忘れず、将棋が好きだったことも忘れず、人生をやり直そうと改めます
もうプロにはなれないけれど、大好きな将棋を、アマチュアや趣味としてでも楽しんでいく。
そしてこれまでの将棋歴で知り合った人間とも、酒を飲みかわしながら将棋を指す
この一連のシーン、青年の更生シーンとして実に綺麗ですね。将棋が好きな人間が酔っぱらって将棋を指すというのがちょっと引っかかるものの(ヒカルの碁でもそんなシーンあったな。酔っ払って碁を打つ緒方に、藤原佐為が失望する場面)、主人公が新しい仲間を作った、という描写の演出としては必要かもしれません
アルバイトも始め、ハルカや大悟、母親も喜んでくれている
夢はかなわなかったけど、なんとか正社員としての働き口も見つけ、順風とはいえないまでもハルカたちのように堅実な人生を歩む桂一
▼更に月日は経ち、桂一くんは41歳になっていました。あの神社で子供たちに将棋を教えていて、オッサンと呼ばれています
ジャンル「青春ノスタルジー」ということで、せいぜい20代後半までのストーリーを想定していたので、完全に中年のオッチャンになるまでやるとは、想定外ですね
かつて更生し堅実な人生を歩んでいた彼だったが、ある時ふと、まだプロになれる可能性が、たった一つだけ残されていたことに気づきます
それがプロ編入試験。
普通にプロになるだけでも大変なのに編入試験となるとさらに激化し、やっと掴んだ安定した人生を捨てて、会社を辞めないと成立しないほどの困難。
折角自分を拾ってくれた会社の人間の顔に泥を塗ることになるも、会社の人間もハルカたちも温かく送り出してくれて、本当にこの世のものとも思えない優しい世界です
つい数十分前まで妹にクズニート扱いされていた桂一くんとは思えない
その困難に打ち勝ち、41歳にして見事プロになりました。
年老いた母親も喜びの余り涙を流す。早死にした夫のこともあり、実は一番感情の動きが激しかったのは母親であると容易に想像できます
本作品、女の子のキャラが可愛くていかにもダブルヒロインのギャルゲーと思わせていながら、本編に恋愛要素は一切ありません。これが徹頭徹尾されたテーマで、今時こんなゲームは珍しい
普通なら桂一と杏は絶対にどこかしら恋愛絡みで描かれそうなものだが、最後まで友情、師弟愛、そして最後は親子愛として描かれて、恋愛要素は最後までカケラもありません
杏が母と表現されていたり(母なる大樹という言葉もあるし、一人称が「わたし」なのも母親感を出すためだったのかな)、どうも隠されたテーマとして「母親」や「母親の愛」というのがあると読んだ(それにしてはレトルトカレー出してたが 笑。母の厳しさか)
でも、そんな重要キャラである母親に、立ち絵すらないのが惜しいですね。
母親というかこのゲーム、絵が少ない。
前作と画風が変わっているけど、枚数が少ないのが相変わらずなので、作画担当にはもう少し頑張って欲しかった。室内でも帽子を被ってたり、おかしいシーンも多いしね…
▼41歳でプロになった桂一は、また導かれるように杏の樹へ向かうも、杏は姿を見せてくれない。
だがそこで代わりに出会ったのは、いかにも生意気といった感じの、かつての自分を思わせる少年…
桂一は少年に思いを託し、子供たちの元へと戻るのだった…
背中に温かい視線を受けながら…
イイハナシダナー!!!
いや、もうね…バカかと、アホかと。
泣かせるなよ…問題児の癖に…
▼このラストシーン、序盤で桂一が年老いた男と、杏の樹の前で出会うシーンと同じ構図になってるんだけど、これは杏が少年たちを1000年に渡って導いてきた、ということを一瞬で理解させる素晴らしい演出だね…(SFではたまにあるシーンだが、その場合、老人は年老いた桂一だろう。「あれは私だったのか」っていうね)
老人のシーンは何かの伏線だとは思ったが、まさかラストシーンに使うとはね、実にお見事
シナリオは申し分ないどころか、同人ゲーム史上でも最高傑作に等しいデキで、ラストシーンで杏が大樹に寝そべっているシーンでは、正直泣きそうになった。
伝奇なのは建て前で、作品の本質は夢とは、人生とは、という非常にリアリティ溢れたものなので、そこに惑わされずプレイし、かつ共感出来れば、またとない名作です。
ファンタジーといういかにもゲーム的要素を持ちながら、その実中身は現実派というのが素晴らしいギャップ
将棋の知識はむしろない方がいいかもしれません。あると編入試験のことが読めちゃうだろうし
無名のゲームだしそこまで大きな期待はなかったのですが、大変満足。というかこれだけのクオリティで、何故無名なんだ?そこが信じられない。
評価S+
100点
当ブログで初めて満点、しかも+をつけます。
隠れた名作。伝奇の皮を被った将棋大河浪漫。やってよかった
▼尚、本作はビジュアルノベルだが、選択肢が1つだけあり、分岐もあります。
本編の途中から全く出てこなかったカノンを選ぶと、なんと世界観がまるで違うラブコメになるんですよ。将棋もまるで関係ない…
本編とは真逆のシナリオですね。所謂ギャルゲー(ヒロイン小学生だけど)、恋愛ビジュアルノベル
ギャグ要素がかなり高く、声に出して笑いそうになったシーンも。
泣きだけではなく笑いもいけるとか、シナリオライターの戸部みるくのセンスは図抜けてます
本編とは真逆の展開であり、前記の様に将棋はほぼ出てきません。
杏のことも、忘れてるのでほぼ出てきません。
しかも桂一も杏のことがなかったせいか将棋にさほど思い入れがなく、将来は持ち前の頭脳と世渡り術でエリートビジネスマンになり、カノンと結婚しています。カノンも歌手の夢を諦めて普通の主婦になっている
本編で挫折した桂一が「僕も普通に恋愛して就職していれば」と酷く後悔していたように、分岐というよりは、IFルートという感じ
だがこっちのシナリオのほうが正直本編より幸せそうなので(挫折知らずだろうし)、これも考えさせられるものがありますね(本編には主人公と結ばれるという意味でのヒロインはいないしね)
しかしカノンが、本編のカラミ0のサブキャラだったのは悪い意味で驚き。
最初、桂一が「どこかで見たことがある」と呟くので、てっきり小学生女流棋士だとばかり思えば、まさかただのクラスメイトで、顔がうろ覚えだっただけとは
ともあれ2つのシナリオが揃って名作でした。
この名作に欠点をあげるなら、最終章のタイトルが「夏、夢、かなった」なのが、究極にダサイ
なんで駄洒落なんだ(笑)
後は、杏が桂一を抱きしめるシーン、もっと2人の見た目の年齢差が分かる構図にしたほうが良かったでしょうね。
そのほうが年月が経った、という演出が効果的になるので
【閑話】
シナリオの戸部みるく…
別名義の辺戸胡桃(へどくるみ、濁点まで動いたアナグラムっぽいがすげえ名前)でエロゲも作ってて、「ツチノコの恩返し」の作者だったんだね…
余りにも作風が違い過ぎるし、「ツチノコの恩返し」はオチが酷かったが、「夏ゆめ彼方」の出来は余りにも良すぎた
2017年10月26日
このまちだいすき レビュー感想 マザーをオマージュしながらも独自性がある(ネタバレ)
まず目につくのはグラフィック。
マザーを意識してて、なかなか可愛い。だがマザーを意識した他のパロディゲーム同様、斜め歩きができないので物足りない
他にもマザーを意識した部分があり、敵を倒すと〇〇円で話をつけた!とまるでカツアゲのようなことになっている(タナカが親友スズキに「お前がカツアゲなんてするなんて」といってたが、人の事はいえない)
エンカウント率が高すぎるし、敵を倒しても得られる金が少なすぎて装備を殆ど買えない。ラスボス戦まで初期装備のキャラまでいた。
しかも最初のダンジョンで宝箱が出てくるのに、なぜか以降のダンジョンには一切出てこない。
よってゲームバランスはやや悪い。雑魚敵を倒しレベル上げをしないと、ボスにもまず勝てない。お使いの連続も面倒臭い。
RPGとしては面倒臭い部類に入る。
シナリオは春休みを過ごす少年タナカが小さな町の出来事に巻き込まれ、最後には異世界からやってきた勇者とともに魔王を倒す物語
仲間として化け猫と幽霊がいるが、主人公以外には見えない設定なので、会話シーンに参加するのは主人公のみ。(なのに戦闘では敵が攻撃してきたり、こっちからも攻撃するのはどういう事なんだろう…)
魔王の正体が親友のスズキであることが判明し、ラストバトルで主人公が魔王側につき、勇者がラスボスになる展開はなかなか面白かった
だが、このストーリー、マザーをオマージュするあまり、はっきりいってしまうとオチはほぼマザー3のパクリ。
マザー3は滅びた世界から逃げ出した人間たちが役割を演じている世界というオチだったが、このまちでは魔王スズキが力を使って魔物を人間にし、役割を演じさせているというオチで、ほぼ同じ。何か工夫が欲しかった。
だが、町の人間が全員魔物だったというオチにはやや驚いた
タナカがガーゴイルなら、サクライはセイレーンか。そしてガーゴイルの子供はどこにいるんだろう…(ガーゴイルの妻も出てこないし)
勇者の設定が物語の勇者ではなくゲームの勇者であるのを見ると、結局この世界そのものがゲームの中の世界というオチっぽいなあ。
タナカが17歳ではなく170歳ってのは地味に驚きだ
気が向いたらクリア後も遊びます
評価C
60点
余談だが作者手作りの、春休みのしおりを意識した攻略pdfが非常によく出来ている。
攻略本まで自作するとか凄い。むしろゲームよりこちらのほうが良く出来ている
マザーを意識してて、なかなか可愛い。だがマザーを意識した他のパロディゲーム同様、斜め歩きができないので物足りない
他にもマザーを意識した部分があり、敵を倒すと〇〇円で話をつけた!とまるでカツアゲのようなことになっている(タナカが親友スズキに「お前がカツアゲなんてするなんて」といってたが、人の事はいえない)
エンカウント率が高すぎるし、敵を倒しても得られる金が少なすぎて装備を殆ど買えない。ラスボス戦まで初期装備のキャラまでいた。
しかも最初のダンジョンで宝箱が出てくるのに、なぜか以降のダンジョンには一切出てこない。
よってゲームバランスはやや悪い。雑魚敵を倒しレベル上げをしないと、ボスにもまず勝てない。お使いの連続も面倒臭い。
RPGとしては面倒臭い部類に入る。
シナリオは春休みを過ごす少年タナカが小さな町の出来事に巻き込まれ、最後には異世界からやってきた勇者とともに魔王を倒す物語
仲間として化け猫と幽霊がいるが、主人公以外には見えない設定なので、会話シーンに参加するのは主人公のみ。(なのに戦闘では敵が攻撃してきたり、こっちからも攻撃するのはどういう事なんだろう…)
魔王の正体が親友のスズキであることが判明し、ラストバトルで主人公が魔王側につき、勇者がラスボスになる展開はなかなか面白かった
だが、このストーリー、マザーをオマージュするあまり、はっきりいってしまうとオチはほぼマザー3のパクリ。
マザー3は滅びた世界から逃げ出した人間たちが役割を演じている世界というオチだったが、このまちでは魔王スズキが力を使って魔物を人間にし、役割を演じさせているというオチで、ほぼ同じ。何か工夫が欲しかった。
だが、町の人間が全員魔物だったというオチにはやや驚いた
タナカがガーゴイルなら、サクライはセイレーンか。そしてガーゴイルの子供はどこにいるんだろう…(ガーゴイルの妻も出てこないし)
勇者の設定が物語の勇者ではなくゲームの勇者であるのを見ると、結局この世界そのものがゲームの中の世界というオチっぽいなあ。
タナカが17歳ではなく170歳ってのは地味に驚きだ
気が向いたらクリア後も遊びます
評価C
60点
余談だが作者手作りの、春休みのしおりを意識した攻略pdfが非常によく出来ている。
攻略本まで自作するとか凄い。むしろゲームよりこちらのほうが良く出来ている
【悲報】ブンブン丸、ファミ通クロスレビュアーを降板。ファミ通の劣化が止まらない
子供の頃は貪るように読んでいたファミ通。捨てた分もあるけど、今でもデータベースとして保存している号が多いです
あれから長い時間が経過し、ゲーム業界もファミ通も様変わりし(有り体にいえば極度の劣化をし)、今でもたまに立ち読みしてるんだけど、今週号をもって、1回目のレビューから知っているブンブン丸が遂にレビュアーを引退してしまった。(といいつつ1度引退していたのを知らなかったのだが)
理由はゲームをプレーする時間が取れないかららしい
編集者、ライターは労働時間が長いが、それでもゲーム雑誌となるとプレイタイムも取られるし極度に多忙なのだろうな
ブンブン丸といえばファミ通スーパーゲーマーズでバーチャファイターやソウルキャリバーなどの格闘ゲームの達人のイメージが強いが、意外と他のジャンルもプレイしている。
みつめてナイトに9点つけて絶賛、ソフトウェアインプレッションにも記事を書いていたのが懐かしい。好きなヒロインはジーンらしい。見たまんま
ファミ通は私が読んでいた時代とはもう本当に違う雑誌なのだが、こうやってどんどん昔の人が消えていくと別物化に拍車がかかる
もう当時好きだった編集者もライターも殆ど辞めている…
これは発言を見ているとファミ通を見限ったと思われるものが多い
今週号はたまたま柴田亜美のドキばぐが載っていたが、もう当時の漫画家も彼女しかいない(しかもこれは復活版だから、事実上の0人)
価格設定も異常に高い。90年代は300円以下、税率が上がって300円や330円になったというのに、今週号なんて550円。バカげてるとしかいいようがない。しかも中身はすかすか
レビューも昔は天外2に低得点つけるくらい厳しくて信頼度の高い雑誌だったが、今はもう殿堂入り乱発。今週号は見開きページが全部殿堂入りで、草も生えない
編集者が以前殿堂入り多すぎ問題についてゲームのクオリティが上がっているといい訳じみた発言をしていたが、これは有りえないだろう
ブンブン丸はそんな中でも、レトロファミ通イズムのある辛口なレビュアーだったんだけどなあ…
新参レビュアーなんて1ミリもアテにならないよ
…
…んっ?
メーカーへ擦り寄る為に提灯記事、高得点レビューを乱発するファミ通レビュアー
そんな中、古参でも学歴がないため肩書きもないブンブン丸が、降板…
そしてブンブン丸は昔のファミ通の意識のまま、今のファミ通にまるで逆らうような辛口レビューをしていた…
…あっ(察し)
あれから長い時間が経過し、ゲーム業界もファミ通も様変わりし
理由はゲームをプレーする時間が取れないかららしい
編集者、ライターは労働時間が長いが、それでもゲーム雑誌となるとプレイタイムも取られるし極度に多忙なのだろうな
ブンブン丸といえばファミ通スーパーゲーマーズでバーチャファイターやソウルキャリバーなどの格闘ゲームの達人のイメージが強いが、意外と他のジャンルもプレイしている。
みつめてナイトに9点つけて絶賛、ソフトウェアインプレッションにも記事を書いていたのが懐かしい。好きなヒロインはジーンらしい。見たまんま
ファミ通は私が読んでいた時代とはもう本当に違う雑誌なのだが、こうやってどんどん昔の人が消えていくと別物化に拍車がかかる
もう当時好きだった編集者もライターも殆ど辞めている…
これは発言を見ているとファミ通を見限ったと思われるものが多い
今週号はたまたま柴田亜美のドキばぐが載っていたが、もう当時の漫画家も彼女しかいない(しかもこれは復活版だから、事実上の0人)
価格設定も異常に高い。90年代は300円以下、税率が上がって300円や330円になったというのに、今週号なんて550円。バカげてるとしかいいようがない。しかも中身はすかすか
レビューも昔は天外2に低得点つけるくらい厳しくて信頼度の高い雑誌だったが、今はもう殿堂入り乱発。今週号は見開きページが全部殿堂入りで、草も生えない
編集者が以前殿堂入り多すぎ問題についてゲームのクオリティが上がっているといい訳じみた発言をしていたが、これは有りえないだろう
ブンブン丸はそんな中でも、レトロファミ通イズムのある辛口なレビュアーだったんだけどなあ…
新参レビュアーなんて1ミリもアテにならないよ
…
…んっ?
メーカーへ擦り寄る為に提灯記事、高得点レビューを乱発するファミ通レビュアー
そんな中、古参でも学歴がないため肩書きもないブンブン丸が、降板…
そしてブンブン丸は昔のファミ通の意識のまま、今のファミ通にまるで逆らうような辛口レビューをしていた…
…あっ(察し)
2017年10月25日
ホワイトデーテロリズム レビュー感想 これもう半分持手木がヒロインだろ(ネタバレ)
前作バレンタインテロリズムの後日談。今年のホワイトデーが配信日なのがちょっとカッコイイ。
前作をプレイしてないとサッパリなんでプレイ推奨
タイトルにテロリズムとあるが、今回は平和的な内容で、ホワイトデーにヒロインにお返しをするストーリー
だが、この主人公とヒロインらしいといえばらしいが、折角の後日談ゲームなのに恋愛の進展がなく、ちょっと拍子抜け。
メモリーズオフにせよ、北へ。にせよ、クラナドにせよ、普通こういう題材のゲームは、恋人になった主人公とヒロインが描かれるからね
でも、お返しを用意できなかった主人公が、急遽、好意を現すキャンデーを大量にプレゼントしたのはなかなかカッコよかった(買ったのは持手木だが)
そしてメインキャラがなぜかヒロインではなく、ライバルの持手木。
あんなに嫌な奴だったのに、急に映画版ジャイアンのごとくイイヤツになりすぎ。でもこっちが本来の性格なんだろう
評価C
60点
スチルも0枚、素材オール使い回しで、やってもやらなくてもいいゲームでした
でも妙な小粋さが面白くて、前作が好きなら楽しめるかと
前作をプレイしてないとサッパリなんでプレイ推奨
タイトルにテロリズムとあるが、今回は平和的な内容で、ホワイトデーにヒロインにお返しをするストーリー
だが、この主人公とヒロインらしいといえばらしいが、折角の後日談ゲームなのに恋愛の進展がなく、ちょっと拍子抜け。
メモリーズオフにせよ、北へ。にせよ、クラナドにせよ、普通こういう題材のゲームは、恋人になった主人公とヒロインが描かれるからね
でも、お返しを用意できなかった主人公が、急遽、好意を現すキャンデーを大量にプレゼントしたのはなかなかカッコよかった(買ったのは持手木だが)
そしてメインキャラがなぜかヒロインではなく、ライバルの持手木。
あんなに嫌な奴だったのに、急に映画版ジャイアンのごとくイイヤツになりすぎ。でもこっちが本来の性格なんだろう
評価C
60点
スチルも0枚、素材オール使い回しで、やってもやらなくてもいいゲームでした
でも妙な小粋さが面白くて、前作が好きなら楽しめるかと
2017年10月24日
バレンタインテロリズム レビュー感想 伏線回収が中々に凄いゲーム(ネタバレ)
同人サークル、ペットボトルココアが開発(ヘッドロココ進化に語感が似てるね)
非モテの主人公、颯太がバレンタインをブチ壊す為に画策する学園ラブコメディ。
去年のバレンタインに、チョコを1つも貰えない悪夢から目を覚ます颯太。
ヒロイン一瀬冬菜は毎朝主人公を起こしに来るベタな幼馴染ヒロイン。明らかに主人公のことが好きだが、主人公は気付かない
2人は仲のいい幼馴染だが、去年のバレンタイン以降少し関係がギクシャクしている
ああ、どうせこれ、主人公は気付かないフリして去年手ひどくフったんだろうなあ…。
関係を壊さないようにしながら、結局拗れた奴だ…
ライバルとして冬菜を「一瀬さん」と慕うイケメン登場
イケメンは容姿端麗で金持ち、全てを持つ男だが、唯一颯太だけを敵視している。
バレンタインにチョコは山ほど貰えるが、去年意中の人からもらえなかったと主人公を憎悪している
うわあ、分かりやすい噛ませ犬だなあ。
颯太は冬菜の母、春菜と、姉の夏菜、近所のおばさんからもチョコを貰う約束を取り付け、これで3つ貰えると非モテらしく喜ぶ
他にもまだあるでしょと歯噛みする冬菜
まあここまで来ると余りにもベタベタ過ぎる程ベタな学園ラブコメなんだけど、モテるくせに自覚がない颯太が、バレンタインをブチ壊す為に放送室をテロったり、余りにもベタで言う事がないくらいベタな物語だね。
イケメンとどちらがチョコをもらえるか勝負するんだけど、それは本題と無関係だったな。あくまでメインはテロ
絵もシナリオも一昔前の学園モノっぽいノリで、いわゆるドタバタコメディと言われたジャンル
そう、ここまでは
バレンタインテロリストの颯太が、冬菜と2/14当日に出会うところで空気は一変。
冬菜は告げる、颯太の恋人であり自分の姉でもあった、去年のバレンタインデーにチョコを渡せないまま事故死した秋菜のことを
( ゚д゚)
(この一瞬、これまでの伏線全てを理解)
(゚д゚)彡
はぁ〜…
ちょっと感心した。
ここで主人公が去年の事を忘れる為、かつての自分を取り戻す為にテロをやっていたことが判明するんだけど、実に巧妙な伏線の連続だ。
ラブコメの王道を逆手に取った手法が実に上手い。
ちょっと甘くて苦すぎるラブコメディー!というアオリはこれだったんだね
冬菜が毎朝起こしに来るのは、恋人の死のショックで未だ精神が不安定、引き篭もっていた主人公を登校させるため
ライバルが言ってたのはあくまで「一瀬さん」。冬菜とは一言も言ってない…
一瀬家の名前に、秋だけが存在しない…(親父が秋夫かもしれないが)
などとても細かい
恋人の死を乗り越えた主人公とヒロインがひとつ大人になってエンディング。
冬菜が義理といいながらもチョコをくれるシーンで少し涙目
どうもこのゲーム、物語を恋愛ではなく、「人生」と表現してることが、なんだか重くて、特に後半は前半とはまるで違う世界観だよ
普通、ゲームや漫画だと恋人や家族が死んだら廃人になるのが定番だけど、このゲームだと今後の人生、生活があるからいつまでも塞ぎ込んでられない、だからね。(勿論ショックは受けるんだけど)
絵は可愛いけど妙にリアルでびっくりだよ
クリア後は冬菜視点の前日談が読める(旧バージョンは条件が何か難しかったらしいが、最新版は簡単)がサウンドノベル風の文章もとても上手い。
でもどうせならちゃんと颯太が復帰するシーンまで描いて欲しかったかな。
折角絵が可愛いゲームなのにバリエーションが少なくて、室内でもコートにマフラーだったり、私服じゃなくて制服のままだったり、手抜きで萎えた
秋菜は冬菜を自慢の妹といいながらも、妹の意中の相手と平然と付き合っているし、気持ちには気付いてなかったんだろうか。そこも描写してほしかった。
不満はそのくらい
評価A
80点
非常に面白かった。
しかし颯太は引き篭もってて出席日数足りないのに、よく進級できたね
非モテの主人公、颯太がバレンタインをブチ壊す為に画策する学園ラブコメディ。
去年のバレンタインに、チョコを1つも貰えない悪夢から目を覚ます颯太。
ヒロイン一瀬冬菜は毎朝主人公を起こしに来るベタな幼馴染ヒロイン。明らかに主人公のことが好きだが、主人公は気付かない
2人は仲のいい幼馴染だが、去年のバレンタイン以降少し関係がギクシャクしている
ああ、どうせこれ、主人公は気付かないフリして去年手ひどくフったんだろうなあ…。
関係を壊さないようにしながら、結局拗れた奴だ…
ライバルとして冬菜を「一瀬さん」と慕うイケメン登場
イケメンは容姿端麗で金持ち、全てを持つ男だが、唯一颯太だけを敵視している。
バレンタインにチョコは山ほど貰えるが、去年意中の人からもらえなかったと主人公を憎悪している
うわあ、分かりやすい噛ませ犬だなあ。
颯太は冬菜の母、春菜と、姉の夏菜、近所のおばさんからもチョコを貰う約束を取り付け、これで3つ貰えると非モテらしく喜ぶ
他にもまだあるでしょと歯噛みする冬菜
まあここまで来ると余りにもベタベタ過ぎる程ベタな学園ラブコメなんだけど、モテるくせに自覚がない颯太が、バレンタインをブチ壊す為に放送室をテロったり、余りにもベタで言う事がないくらいベタな物語だね。
イケメンとどちらがチョコをもらえるか勝負するんだけど、それは本題と無関係だったな。あくまでメインはテロ
絵もシナリオも一昔前の学園モノっぽいノリで、いわゆるドタバタコメディと言われたジャンル
そう、ここまでは
バレンタインテロリストの颯太が、冬菜と2/14当日に出会うところで空気は一変。
冬菜は告げる、颯太の恋人であり自分の姉でもあった、去年のバレンタインデーにチョコを渡せないまま事故死した秋菜のことを
( ゚д゚)
(この一瞬、これまでの伏線全てを理解)
(゚д゚)彡
はぁ〜…
ちょっと感心した。
ここで主人公が去年の事を忘れる為、かつての自分を取り戻す為にテロをやっていたことが判明するんだけど、実に巧妙な伏線の連続だ。
ラブコメの王道を逆手に取った手法が実に上手い。
ちょっと甘くて苦すぎるラブコメディー!というアオリはこれだったんだね
冬菜が毎朝起こしに来るのは、恋人の死のショックで未だ精神が不安定、引き篭もっていた主人公を登校させるため
ライバルが言ってたのはあくまで「一瀬さん」。冬菜とは一言も言ってない…
一瀬家の名前に、秋だけが存在しない…
などとても細かい
恋人の死を乗り越えた主人公とヒロインがひとつ大人になってエンディング。
冬菜が義理といいながらもチョコをくれるシーンで少し涙目
どうもこのゲーム、物語を恋愛ではなく、「人生」と表現してることが、なんだか重くて、特に後半は前半とはまるで違う世界観だよ
普通、ゲームや漫画だと恋人や家族が死んだら廃人になるのが定番だけど、このゲームだと今後の人生、生活があるからいつまでも塞ぎ込んでられない、だからね。(勿論ショックは受けるんだけど)
絵は可愛いけど妙にリアルでびっくりだよ
クリア後は冬菜視点の前日談が読める(旧バージョンは条件が何か難しかったらしいが、最新版は簡単)がサウンドノベル風の文章もとても上手い。
でもどうせならちゃんと颯太が復帰するシーンまで描いて欲しかったかな。
折角絵が可愛いゲームなのにバリエーションが少なくて、室内でもコートにマフラーだったり、私服じゃなくて制服のままだったり、手抜きで萎えた
秋菜は冬菜を自慢の妹といいながらも、妹の意中の相手と平然と付き合っているし、気持ちには気付いてなかったんだろうか。そこも描写してほしかった。
不満はそのくらい
評価A
80点
非常に面白かった。
しかし颯太は引き篭もってて出席日数足りないのに、よく進級できたね