兄妹って良いですね…
いや…
家族って良いですね…
主人公の少女「千坂和歌」は、子供の頃、自分の不注意で兄を亡くしてしまったこと。
そして、体の弱かった母までそのショックで後を追うように逝ってしまったことに、常に自責の念を感じていた
9歳だった少女は16歳になっていたが、まだ罪悪感は拭えない。忘れる事ができない。
唯一の家族である父とも疎遠になってしまったが、内心自分を責めているのではないかと疑心暗鬼になる
そんな時、何かに導かれるように兄の亡くなった町へと行き、そして気が付いた時、和歌は9歳の姿に戻っていた…
そこであの日の、幼い兄の姿を目撃する…
和歌は決意した
……
………
このストーリーの入り方、相当上手いね。
ゲームだけに限らず全ての物語は、序盤が本当に大事。
特にフリーゲームは無料と言う事もあって、たとえDLされても、興味が失せたプレイヤーは、物の数分で投げてしまう(レビューや感想が少ない理由として、クリアまでプレイした人間が、極端に少ないのではと思っている)
数カ月〜数年かけて必死に作ったゲームが、たった数分でゴミ箱に捨てられてしまう…
作者は土俵にすら上がれなかった訳だ。これでは余りに損をしている
だからこそ、本当に序盤が大事。
大事な事なので2回言いました
多くの作者が、あれ書きたいこれ書きたいと先走って世界観についての説明などから入りたがるが、自分がその作品で出来る2番目に面白いネタを持ってくる方が、ベスト(尚、1番はエンディング)。
…まあこれは、あくまで私がシナリオや小説を書く際に気をつけてるポイントなんで、各自、自由に作ればいいんだけど…(それが「フリゲ」だしね)
でも、読書家としても知られ、作家としても多数の著書を持つ、某企業の会長も同じことを言っていた。
「最初の数ページを読んでつまらない本は、もう2度と開かない」…と
フリーゲームにもこのような側面があるのは、確かだと思います
漫画でも、新連載が最初からぐだぐだで10週打ち切りなんて、よくある事だ
この漫画いつ面白くなるの?って思ってたら打ち切られてたとか、誰もが思い当たる節があるだろう
作者がどれだけこの後面白くなるとか、まだ面白いネタがあると言ったところで、後の祭りだしね。
話を戻して、本作の解説。
ストーリーのコアは勿論、兄の死亡を回避する事
ジャンルは違うが「シャドウオブメモリーズ」など、昔からこういうゲームはあった
でも、兄の死亡の回避というのは建て前で、実際には兄妹愛、家族愛をテーマにした物語
なかなか感動的なストーリーで、一気にプレイしてしまった。
この題材や、泣けるゲームが好きなら、きっとハマる
特に、兄妹愛を真正面から、卑しさなしに描いた点が非常によかった
こういうテーマのゲームは大抵、近親相姦や兄妹なのに恋愛、欲情するシーンがあるものだが、徹頭徹尾兄妹愛なんだよな
お兄ちゃんのお嫁さんになる…
和歌は僕がお嫁にもらってあげる…
そんなシーンも、勿論なし
鮮やかな彩色のキャラデザは綺麗だし、OPとEDはムービー、EDにはオリジナル楽曲まである
ゲームとしてのクオリティは、どこをとっても高かったです
ネタバレ感想
青い蝶の正体とか、大和の見た未来の中身とか、分かってても感動してしまうな。
兄貴、良い奴すぎるよ…。
いや、良い兄すぎるよ…。
死亡シーンも変にドラマチックではなく、本当に自然と息絶えてるのが、リアルだったね。
最期の言葉が決め台詞…みたいなのも、ないし。
掴みどころがない秀才に見えて、おまけシナリオでは結構苦労人だったり、妙に人間味があった
本が好きなのも賢い子だからというより、友達がいなかったという、悲しい過去があるからだしね…
そんな大和がどのルートでも助からない。つまり和歌は目的を達成することができない…
迷ったのか最初から決めてたのかは不明だが、英断だ
安直に生き返ってたら、絶対この感動は無かったね
EDの巡音ルカの曲も、結構好きですね。正直、ボカロは本当に久々に聴きましたよ。
ミクじゃなくてルカを持ってくるところが面白いが、作者の趣味なのかな
まあ、ルカのイメージ蝶は、青ではないけど…
でも青い蝶をイメージしたボカロって、いないからなあ…
評価B
75点
プレイ時間は丁度良かったけど、もう少し兄貴との想い出の回想シーンがあれば、尚良かった。
語りだけでさらっと流されちゃうし。
良いゲームでしたね。
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