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2017年05月22日

END ROLL レビュー感想 〜フリーゲームの枠を飛び越えたゲームだが、EDが残念〜

▼END ROLLを攻略しました。ネタバレ全開です




本作END ROLLはふりーむゲームコンテストをダブル受賞したRPG。



既に一定の評価があるのでハズレということはないだろう、とりあえずやってみるか。





程度に思っていたが、フタを開けてみれば、期待を遥に超えて素晴らしいクオリティのゲームだった。




GBA〜DS初期くらいのグラフィッククオリティだが、仮にその時代に一般ゲームとして発売されていたとしても、名作という評価を受けたであろうことは間違いない。



ただし、極めて人を選ぶことも間違いないが(でも全体的に好評のようだ)






以下、具体的に何が優れているかの箇条書き









▼まず、練られた世界観。世界観自体は、人格が歪んだ殺人鬼の少年が更生プログラムによって、特殊なドラッグを打たれ、夢を見ているという設定。




夢の中の住人は、全て現実世界で主人公が殺した人間達。現実が反映された姿で登場する。主人公そっくりの、「もう1人の自分」がいる。




ここまでもベタだが、主人公が歪んだ原因が両親にある、というのが、更にベタ。





最初は非人間の主人公だったが、住人らの優しさに打たれ、徐々に罪悪感を抱き、人間的になり、良心の呵責に苦しむ事になる…といった筋書きの繰り返し。





一見するとただの厨2病設定っぽいが、





この罪悪感というまともな人間なら誰でも共感する概念が、罪悪値という数値のシステムで、ED分岐に関わるのが面白い発想だった。少なくともゲームで罪悪感という数値・概念が斬新




ロックマンDASHのように悪事を働いたらボディが黒くなって凶悪武器が買えたり、サモンナイトのように仲間を戦闘不能にするとカルマ値が上がるゲームとも、また違った











▼と、世界観自体は、まあハッキリいってありがちといえばありがちだし、誰でも類似した作品を知っていそうではある。だが問題はその中身のクオリティの高さ



1話ごとに1人のエピソードを消化するのだが、少年が劣等感に苛まれたり、両親の汚さに嫌悪したり、非常にバラエティ豊かで飽きさせない展開となっている。




ついさっきまでキャッキャウフフしてたヒロインたちが、

Gardenia_(END_ROLL).png










顔面が潰れたり焼け爛れた姿で唸り声をあげて迫ってくるのは、ベタだがインパクト絶大

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最後のユーミのみ、主人公の父親が殺人をしたという展開なので(恐らくレイプもされている)、主人公は手を下していない。ここで主人公が殺したのは実は父親だったわけだが、この流れも秀逸








▼ユーモラスなグラフィック。主人公の武器がバットだったり、恐らく作者はマザーシリーズやラブデ系に影響を受けているのではないか。モンスターデザインなどもそうだが、SDキャラの顔も似ている。
11967.jpg






キャラクターの顔に横線が入っていたり、非常に独創的で、他の作品では見れないような種族が登場する点も良かった。食べ物が歩いているってのは、アンパンマンやOH!MYコンブのようだ(そういえばこのゲームにも、コンブ出るな)
11967_4.jpg














▼ウィットに富んだセリフと、引き込むストーリー。前述の世界観につながるが、主人公が現実世界の犯罪、殺人を夢の世界で省みるストーリーが素晴らしい。しかもフリーゲームとは思えない程、町の人々との会話が変わる。よくこれだけ1人で書いたものだと思う。戦闘中の会話もメリハリが効いている







電撃PSのキャラのようなかわいらしいキャラクター。こんな可愛いキャラなのにダークな世界観。親和性とギャップの高さが凄い




巨乳のコーディがお気に入りでEDの相手にも選んだ。
smile.jpg





巨乳、ツインテ、妹キャラ(主人公以外の)なのに19歳というヒロインにしては高年齢なのも、リアルで良かった




女性キャラの場合は恋愛っぽくなる。好きだの嫌いだのとはいわないが、中々に甘酸っぱい展開とが待っている。




男性キャラも選べる。その場合友情やBLっぽくなると思われる





このコーディのストーリーも面白い。ストーリーをより深く知る上でもベストな選択だったと思う(コーディとガーデニアはストーリー上でもヒロインポジションにいるが、主人公が唯一殺ってない、殆ど絡みの無かったユーミでも恋愛っぽくなるんだろうか?)










▼丁度いいゲームバランス。ザコを倒せばボスが楽勝くらいの設定。終盤だけ敵が強いが、遊び易い。人間キャラのボスが大画面で表示されるのは、天外魔境2っぽい迫力のある画




▼シーンにマッチした、ハイクオリティな音楽。どれを取っても、ほとんど非の打ち所が無い。しかも作者の自作だという。




▼ホラーなど、2Dドットとしては最高の演出。演出は映画的であり、ゲーム的でもある。徐々に世界が侵食されていく過程は見事




特にラスダンの、ラスボス直前の演出が素晴らしい。主人公が歩く度、仲間がひとりひとりと謎の死を遂げ、死体が転がっている。調べると「どこかで見覚えがある人形が転がっている」って、もう怖いね。



ラスボスが父親ってのはよくあるが、ラスボスが母親ってのも、かなり珍しい。






▼羅列してしまうとどの部分もクオリティの高さが圧倒的なのだが、ではどこで人を選ぶか?というと、もう完全にエンディングだろう





本作のトゥルーエンドは2つある。トゥルーであってグッドエンド、ハッピーエンドではないのだが、ゲームの目的を達成した(しなかったら中盤でノーマルエンド落ちする)、最後までプレーした、という意味ではグッドになるだろう



そのグッドエンドが、1つ目は主人公の贖罪からヒロイン(任意で選べる)との別れ。そして自殺



2つ目は主人公は優しい夢の世界に逃げたまま、恐らく脳死状態になっている。実際には悲しい夢だし、人体も壊死したかもしれないのでEDの直後に世界は崩壊していそうだ



つまり、どちらも主人公の死亡なのだ




エンド1、これには正直ガッカリもした。前作がハッピーエンドだと聞いていたし今作もそうだと思ったのだが、分類的にはどちらもバッドエンドだ



主人公は罪悪感を感じてこそいるが、本作を少年の成長モノというテーマと思ってプレーしていたので、正直この結末には拍子抜けした。何が問題かというと、主人公のラッセル君、結局、何も達成してないではないか。最後も逃げ出したまま自分や罪の意識に負けて終わっただけ





罪を背負って、苦しんで生きていく話のほうがよりテーマが深く、緊迫感があったんじゃないだろうか



ましてや夢なんとかの人たちは現実世界にいるし、帰れたらまた会う事もあるという布石があったので、余計に拍子抜けした




最後コーディは主人公の意思を尊重し結果的に見捨ててしまうが、キャラ的に見ても強引に引っぱたいて連れ出すほうが物語としては盛り上がった




いくらコンセプト通りの絶望系RPGとはいえ、本当に絶望しか残らなかった(笑)




個人的にはそこは作品性として受け入れたが、ここが評価の分かれ目なのは間違いない




終わり良ければ全て良しという言葉があるが、これは全てでこそないが終わりのせいでダメになってしまった部分は大きいから












▼作品性だけは立ってるが、結果的に得られるメッセージ性やテーマ性、教訓のようなモノは殆ど無かった。そこが悪い意味での「迷作」で、「ただの鬱ゲーで、それ以上でも以下でもない」という落しどころとなってしまった原因。鬱にしても何か感動できる要素があればいいが、それも無いし…



総評90点。それでもやはり凄い一作。





▼余りにも絶賛ばかりでこのままだと作者、関係者のステマかと勘違いされそうなので、他にも一応惜しかった点を書いておく



・崩壊していく世界観は面白いが、なぜか町の崩壊のみ住人が反応しない。ボスの声も主人公にしか聞こえないが、これも主人公にしか見えない設定っぽい。他の町はしっかり反応してるのに、主人公の町だけ何もないというのは演出が薄かった。ここにも住人が不安になっていく絶望要素があればよかった。ポストが変化したとき、結構驚いたもんだけど、誰も反応しないから肩透かしした





・主人公がバットを装備してもイベントで構えてるのがナイフだったり、グラフィックに統一感がない。

・コーディエンドにて、教会のコーディが逃げるほう、それ袋小路だよ!とか、結構ツッコみどころのあるシーンが多い(あれは精神世界だから出入り口はないのかもしれないが)





まとめるとこんなところ。





▼作者はHPとかを見ると神経質なくらいにコダワリ派と見受けられる。それが作品にも如実に表れてる。



例えばコーディのファッションがスカートではなく、わざわざキュロットスカートだと設定してたり(設定画だとキュロットっぽいから、どっちか気になってた)、妙なところにもかなり拘りが強く、なんでもこなせるセンスの塊でした。せがわというのがチームではなく個人PNなら尚更凄い






寄り道要素もあるし、とても2作目とは思えない、非常に練られた力作


新作に期待。





この記事へのコメント
それをテーマにするには、ラッセルはもう中盤あたりでは、既に罪悪感を覚えてるし、今更EDでのテーマにする必要あったのか?という。

プレイを始めたとき、最後主人公が死ぬなんて安易な結末だけにはするなよと思えばその通りになっちゃったこともありますね

罪とともに生きるというか、もっと苦しみながら生きて欲しかったんですよ。拷問みたいに。

作中でクスリや特殊な処置が出てくるゲームなんで、死ねないクスリや処置(今回の冒険)で死ぬまで苦しみながら生きるってほうがエンドロールっぽい末路な気がします

しかもED2では結局ラッセルは犯罪者の癖に妄想の世界で楽しく生きてるんですよ。

何も成長していない…(安西先生風に)
Posted by 管理人 at 2018年02月21日 07:10
自殺だから逃げだと断じるのはちょっと
罪悪感を感じなかったラッセルがそれを得るという「成長」の物語だと思いましたよ。
これがなんだかんだで罪とともに生きて行こう!みたいな終わり方だったらそれこそ拍子抜けというか、今までのなんだったんだ?みたいになる。
思わず熱くなってしまいましたが。
Posted by メット at 2018年02月21日 05:07
そんな仲良くなった友人たちが主人公の自殺を望んでいたかというと、見たEDの中ではノーでした。


殺されたキャラの遺族という着眼は、いいと思います

私も最初そう解釈したんですが、主人公がそこまでの流れで罪悪感を感じて、
罪悪感に「負け」、
結局自殺を選ぶことは物語的にいっても「負け」なので、安易に死亡することで、
結局お前これまで何を学んできたの?
物語的に何を達成したの?という疑問に行き着き、
非常に安直なENDに見えたんですよね



とはいえ絶望系RPGなのでコンセプト的には忠実です
Posted by 管理人 at 2017年08月20日 16:22
半分くらいは通り魔的な殺人で現実世界で死刑判決まで受けてるのに、実験完遂だけで免罪されたら遺族はたまったもんじゃないです。主人公だからと安易に生かすシナリオにしなかった点を逆に評価します。

主人公は夢世界で被害者達と親しくなり、罪悪感を学んで人間的に成長したことで、被害者や遺族の感情に同調できるようになった。大切な者を殺された遺族が願うのは犯人への厳罰=死刑です。彼は逃避したのではなく、大切な友人達を殺した自分を裁き、刑を執行したのだと解釈しました。
Posted by きび at 2017年08月20日 13:36
ブスッッザクッッザクッ!!

…ってシュールすぎましたね。現実世界の主人公の強さが一般的な中学生でも、あそこまで死なないだろとは確かに思いました。

しかしこのゲームをRPGとして表現したのは妙ですね。題材的にはADVなのに。
Posted by 管理人 at 2017年06月03日 14:38
エンディングは強引でしたね
大体注射針で死なねえよってw
Posted by ゆい at 2017年06月02日 10:38
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