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2016年11月18日

扉シリーズ番外編『稲山淳一の超怖い話』より「背後に立つ者」

この話はね、私のファンの方…仮に、ゴリさんとでもしときましょうかね…この方、よく体験談を送って下さるんですけどね、今日は、その中から一つ、皆さんに紹介させて頂きます…

ゴリさんは町工場で働いてる。
毎日ね、汗と油にまみれて、真面目に働いてる方なんですよね。

ある日の事、ゴリさん、朝から妙にイライラしてね、まあ所謂不機嫌ってやつですよね?
何だかイライライライラして、無性に腹が立つわけだ。
それって言うのもね、ゴリさん、自分の後に何か感じてたんですよね…
何だか、真っ黒な人影みたいなのが三体ほど、後ろにいるんだ…
背中もね、何か冷たい感じがして、ゾワッと、鳥肌が立ってたりもする…
その上、その人影達がね、ゴリさんを馬鹿にしてるような感じがするってんです。

『そんなに働いてどうするのよ?』

『しんどい思いして、馬鹿だね〜』

なんて事を言ってるような気がする…
ゴリさん、気のせいだ、今日は何か働きたくないから、そんな感じがするんだ〜って思うようにして、我慢して仕事をしていた…
でもね、そんな精神状態じゃあ集中力も持続しませんやね…
ゴリさん、コーヒーでも飲もうと自販機に缶コーヒーを買いに行った…
でも、やっぱり感じる。

やだな〜、何なんだよこれ〜

なんて思いながらコーヒーをすすってるとね、先輩のSさんが自販機に来たんですよね。
気のいいゴリさん、不機嫌ながらも自販機に100円を放り込んだ。
ほら、職場の自販機って、街角にあるのより安いでしょ?
買えるわけだ、コーヒーが。

『ゴリ君サンキュー』

Sさん、上機嫌でコーヒーを買ってそれをすすりながら、ゴリさんにこう言ったって言う。

『ゴリ君、今日、だいぶイライラしてるやろ?』

ゴリさん、顔に出てたか〜と思って、

『うん…何かねぇ…』

と、答える。
後ろに立ってる影が馬鹿にしてくるから、腹が立って仕方ないなんて言えないですからね、そうやって言葉を濁した。
でもSさん、

『そりゃそうやろな…オレかてそんなもん後におったら、めっちゃムカつくと思うわ!』

なんて事を言う。
このSさん、相当霊感が強いみたいで、色々見えちゃう人みたいなんですよ。

『Sさん、見えるん?』

ゴリさん、聞き返してみた。

『うん、三人おるなあ…コイツ等ゴリ君の事馬鹿にし過ぎやねん!何にもできんのが腹立つわ!』

Sさん、朝一番からゴリさんの後の影に気づいてたらしくて、ゴリさんが自販機に行くのに気づいて、心配して声をかけに来てくれてたそうなんです。

『そうそう、オレには見えへんのやけど、三人おるように思うねん…姿形もハッキリせんような奴に馬鹿にされる覚えないんやけどなあ!』

ゴリさん、気づいてもらえたのが救いになってね、こんな奴等に負けるか〜って思って、Sせんと別れた後、逆にね、

『生きてるんか死んでるんか、どっちでもええけどなあ!これ以上つきまとうんやったら、しばき倒すぞ、おのりゃ〜!!』

と、心の中でね、凄み続けたそうです。
そうしてるとね、不思議と仕事に集中できるようになって、いつの間にか、その人影を感じなくなったそうですよ…
その人影の正体が何かなんてわかりませんけどね、こんな話、あるんですねぇ…


扉シリーズ 第五章  『狂都』第十九話  「金剛界4」

『我が末たる者よ、我、梳名火明高彦なり。汝、これより我が言、心して聞くべし…』

翔子の頭に、今まで数回聞いた事がある祖神の声が響いた。
梳名家では、毎日のお供え以外にも年に一度、祖神に感謝と賛辞を送る『祭』が行われる。
祭と言っても、当日の前後二日断食を行い、決まった祝詞を奉るだけの簡素な祭である。
しかし、時折、当主にだけその声が聞こえる。
通常は何を言っているのか聞き取れないくらいの声であるが、今は違う…翔子の頭には、言葉一つ一つが明瞭に響いている。

『命様、末たる者梳名翔子、しかと承りました…』

翔子は、頭の中でそう答えた。

『うむ…汝、我が主より御霊分け与えられしは我も知る所…元来ニ神に仕うるは誠に不敬なれど、汝にては戒めの外にあり…其は汝に神命ありと心し、神命に従う事、其れ汝が務めと覚えよ…』

お前は私の主神、即ち明王より分霊された。それは私と私の主、二つの神に仕える事であり、それは元来不敬な事であるが、お前の場合は例外であり、その事には、神より与えられた使命があるのだと言う事を自覚せよ、という意味である…

『はい…』

翔子はただ静かにそれを受け入れた…
翔子の祖神は『明王』の眷属神である。
故に自分が『明王』の眷属となった事は祖神の主神の上意であり、その神命であるなら、それに従う事が筋である。
しかし、その『神命』とは一体どんな事であるのか?
自分はあの日、不慮の事故の為に一度死んだと思う事にしていた。
しかし、それに意味があり、自分が準神格へと新生した事に意味があるなら、是非知りたいと翔子が思うのは当然である。

『神命とは即ち、二極の合一、更に涅槃へと至る道、それの奪回にあると知るべし…』

二極の合一…
二極とは、ゼオンが言っていた金剛界と胎蔵界を意味するのか?
二極の合一…?
二極は相容れないモノのはずである…
涅槃とは、真理を悟り、輪廻を脱却した者が至るという境地を指す…
それに至る道の奪回?

言葉一つ一つの意味は分かる…
しかし、それ等がどう繋がり、自分に何ができるのかは全く見当もつかない…

『私にできるでしょうか?』

翔子は素直な思いをぶつけてみた。

『汝には能わぬ…』

祖神の答えで、翔子は更に分からなくなった。
何故神格という者は、こうも謎めいた事を言うのだろうか?

『それ能うは、彼の者等、極者なり…』

極者?
これもゼオンが言っていた極というモノと同じなのか?
ゼオンは武市が金剛界の極ではないか、と言っていた…
しかし、彼の者等という事は、金剛界と対極、つまり胎蔵界の極がいると言う事になる…
思い当たるのは…伊田の娘、美弓だ…

『一つの極者は汝も知る所…汝、まず成すべきは極の者冨田武市の認識改むる事にあれり…冨田武市、神を見、感ずるなれど、未だ信能わず故、我と通ずるも、神界に至る事無し…』

極者の一人はお前も分かっているだろう…お前はがまずすべき事は極者冨田武市の心を改める事である。冨田武市はその心に神を見、その声を聞いていながら、その心はまだ神を拒絶している…それ故、彼は私と通じていながら、真の力を発揮できずにいるのである…と言う所だろうか。

しかし、今まで散々様々な経験をしてしておきながら、まだ神を信じないとは…

神とは、その存在を信じる者の心を力の糧とする…
それは、心と心が通じるという事なのかも知れない…
心と心が通じていない故に、武市は自我を亡くしてしまうのではないか…?
そうか…
そういう事か!

『命様、承りました…最善を尽くします…』

翔子は…それを成す為に一度死んだのだと考える事にした。
おそらく、武市には何か大きな役割があるのだろう。
自分はそれを助ける為に新生したのだ。
ゼオンが言っていたが、土雲晴明に会えば、武市がすべき事が見えるのだろう…しかし、それによってゼオン達と武市が敵対する事になる…敵対したなら戦う事になる…その戦いには、真の力を発揮しなければ勝てない…故に自分は武市がその力を発揮できるようにしてあげなくてはならないのだ…

『汝、我が末たる者…明王の眷属よ…今伝えしをゆめゆめ忘るる事なかれ…』

祖神はそう言い残し、その意識は翔子の頭から遠ざかっていった…

その邂逅は一瞬の出来事であったのか、武市はまだ頭の中を整理しているようだった…

助手席のゼオンは微笑みをたたえながら、ただ前方を見据えている。
この老人は先ほどは土雲の元へ行く事を止めようとしていながら、今はそうする動きはない。

一体何を考えているのか…?

「オッサン…伊田さん等は一体どうなったんや?」

木林が前を見据えながらゼオンに尋ねた。
ゼオンは少し表情を引き締めた。

「彼は…いや、彼等は自分達を『鍵』と呼んでいます…彼等は小生等とは明確な敵対関係にあります…彼等と初めて見えたのは二年程前…彼等は、人間を人間以上のモノにする為に、あるモノを消滅させようとしています…その為に彼等は『神格』を集めているようです…彼等の活動は国内が中心ですが、世界からマークされています…平たく言えば狂信者ですな…」

木林はゼオンが口を閉じると同時に尋ねた。

「あるモノって何やねん?」

それに武市も重ねて尋ねた。

「それにはオレの力も関係してるのか?」

ゼオンはまた表情を引き締める。

「武市殿…無論、関係しています…そしてそれは、木林殿、貴方の質問と同じく、小生の口からは語る事はできません…全ては土雲晴明に会い、その口から聞くといいでしょう…そして、決めなさい…貴方がやるべき事をやるか、やらないかを…役割は果たすも果たさざるも、貴方の自由だ…」

ゼオンはそう言って、また微笑みをたたえると、

「うむ…色々とよい情報を得ました…お行きなさい、土雲晴明の元へ…老人には刺激の強い時間でした…そろそろ休ませて頂きましょう…また近々お会いする事になるでしょう…正直、小生は貴方方が気に入りました…できれば敵として戦いたくはありませんな…では、失礼…」

と、首をすくめて、ニコニコしながら透き通り、消えた…

気がつくと、京都の街が姿を現していた…

皆空を見ると、雲一つない青空だった…

続く






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