2021年11月24日

読書通帳:どろぼうのどろぼん



素敵な本に出逢いました! 創作童話『どろぼうのどろぼん』 著者は斉藤倫さんです。

これは今年一のヒットでした。昨夜読んで、半日経ったいまも心が満たされています。

わたしなりにあらすじをご紹介します。

あらすじ・・・・・・・
ぼくは刑事だ。ある事件の調査中にあじさいのしげみから飛び出したぼくは、どろぼんにであう。
どろぼんは、子どもというには年をとりすぎているけれど、おじいさんというには若すぎる。背はのっぽというには低すぎるけれど、ちびというには高すぎる。
そんなどろぼんは、これまで千件もどろぼうを働いてきたんだという。一度もつかまったことがない、どろぼうの天才だ。
「どろぼうの、どろぼんです」
どろぼうしたところをつかまえたわけじゃないけど、本人がそういうんだから調べないといけない。
十日間にわたるふしぎな取り調べが始まる。
・・・・・・・・・・・

まず伝えたいのは、本として最高です! ということ。
紙の本でいてくれてありがとう! 空に向かって本を掲げたくなるくらい、すてきな一冊でした。

表紙がすてきなのは写真でも伝わるかと思うのですが、背表紙。
2センチの背表紙にわたしは心惹かれました。なにこの色! タイトル! フォント! すばらしいぞ、2センチの世界。
福音館書店様、さすがです!
イラストは、牡丹靖佳さん。装幀は大久保信子さん。

興奮冷めやらぬなか、表紙をめくってわたしが即刻驚いたのは、紙を贅沢に使っていること。
そして、本文中のイラストや色の使い方がセンスあふれるものであること。

読み進める中で、え、これ値段いくらだっけ? と無作法にも価格確認をしてしまったほど、贅沢が散りばめられた一冊でした。
倍のお値段とっていいと思う。
『どろぼうのどろぼん』という歌うようなタイトルに、素敵な紙の使い方にイラストに色に、読んでいる間、ずっと淡い色彩のものがたりに染められていました。
ほわわわ〜ん、と。どろぼ〜ん、と笑

装幀の話ばかりしてしまいましたね。
いや、ほんとうにすばらしいので、紙の本が好きなかたは一度手に取ってみてください。
これぞ、本の醍醐味! 紙であることの意味! ハードカバーの良さってこれですよね!

最近は、ハードカバーであっても興奮するようなものに出逢っていなかったので、宝物を見つけたような気持になりました。

物語は、とてもきれいです。
音、温度、におい、リズム、風景や情景の描写が事細かにされているわけじゃないのに、文字を追っているだけで五感が目覚めます。
まるでどろぼんなんです。
なんの特徴もないように感じるのに、手では掴めないのに、惹きつけられていつのまにか親近感を感じて、本の空気に取り込まれてふわふわ漂っている。

会うたびにこんなやつだったかなと思う。昨日までの印象と違うように感じる――そんなふうに”ぼく”はどろぼんを表現します。
本を読み終えて感心したのは、読み終えてなお、どろぼんの実態が掴めなかったことです。最初から最後まで、どろぼんはどろぼんでした。

おもしろかった……いや、おもしろい。
余韻が強く大きく、だけどふわふわしています。

著者をわたしは存じ上げなかったのですが、斉藤倫さん、秋田県生まれの詩人さんでした。
どうりで、宮沢賢治を思い浮かべるわけだと、納得しました。(わたしは西の人間なので、東北は東北でざっと括ってしまいます)
本作が初めての長篇物語だそうです。

こんな素敵なお話を、書いてくださってありがとうございます!

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最高だから、だれかちびっこにクリスマスプレゼントとして進呈したいのだけれど、該当する年齢の子がいない……。小学3年生くらいから読めると思います。
おとなも、部屋に1冊この本があると、満たされると思います。ほっこり。
posted by ゆたか at 12:55| 読書通帳

2021年11月21日

読書通帳:倒産続きの彼女

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読書通帳も2ページ目に突入しました。

さて、今週は『倒産続きの彼女』 新川帆立著でございます。



新川帆立さん、新人作家デビューした年に、まさかの2冊目を出版! 勢いがありますね。
デビュー作が面白かったので、さっそくこちらも読んでみました。
ちなみに、そのデビュー作『元彼の遺言状』は、もう文庫本になっていました。はやっ!

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『倒産続きの彼女』は、『元彼の遺言状』よりも推理小説寄りでした。
『元彼の遺言状』は、主人公のキャラクターがとにかく立っていたのが魅力的でした。自分を殺した犯人に全遺産を譲るというインパクトのあるストーリーもさることながら、主人公の剣持麗子の思考や行動が興味深く、作者の人格にまで思いをはせるような物語でした。

今作も女弁護士が主人公で、しかも剣持麗子の1年後輩。彼女もまた、剣持麗子とは違った癖のある人間です。こういう人はたくさんいるし、誰しもが持っている人間性なのかな、と彼女の思考や行動は理解しやすかったです。剣持麗子のようにぶっ飛んでいない笑

今回わたしは、新川帆立先生の作品であること以外の前情報を入れずに『倒産続きの彼女』を読み始めたので、剣持麗子に再び会えたのは嬉しかったです。

難しい言葉を一切使わないのに、一文一文の情景が目に浮かび、物語の世界に惹きこまれる。前作も今作もそう感じました。読みやすい。

そしてやはり今作も、面白いけれど、どこか腑に落ちず、好きじゃないという感想になりました笑 小説としてはおもしろくて好きです。しかし物語としては好きじゃない。
たぶん、わたしと新川帆立先生が、幸せや人の善についての捉え方が違うからでしょう。だからこそ、2作品ともに、落としどころや幕のひきかたが、「えええええ〜?」と驚かされ、読了後妙な感慨に浸りました。

3作目はどんなふうになるのだろう。
いまから楽しみです。

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posted by ゆたか at 21:38| 読書通帳

2021年11月11日

読書通帳:山の上のランチタイム

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先月から始めた読書通帳

さて、今月のスタートは、先月読んだ『山のふもとのブレイクタイム』の1巻というべき『山の上のランチタイム』森美由紀著です。


美玖ちゃんの成長物語でした。満足。
わたしなりにまとめたあらすじはこちら。

あらすじ・・・
おっちょこちょいな性格で前の会社を解雇された主人公の美玖は、縁あって素敵な店長さんが営むレストランで働いている。地元の食材を使った料理を提供する小さなレストランには、今日も優しい時間が流れている。

ルーブル美術館に展示されていても不思議でないほど麗しい店長、麗しの店長の甥っ子瑛太、痴呆の入ったおばあちゃん。
『葵レストラン』を訪れる人たちの心にときに触れながら、美玖も自分や父の心に向き合っていく。
・・・・・・・・・・

おもしろかったです。
『山のふもとのブレイクタイム』は、店長である登磨目線で物語が語られたので、美玖ちゃんがめっちゃいい子! 人に愛される子! という印象でした。
それが今回、『山の上のランチタイム』では美玖ちゃん目線。
見る角度を変えるだけで、こんなにも印象が変わる。人付き合いって俯瞰して眺めるとこう見えるのだなあと感慨深かったです。

美玖ちゃんも、登磨も本人主体で見るとすごく面倒なところが透けて見えています。(とくにそれは登磨に顕著でしたが)
自分のことをどう思っているかが表現されている物語は、よくよく思い返すと珍しいです。自分自身で、わたしって面倒くさいなあって感じること、実際ありますものね。周りからすればそうでもなかったり、うまく隠せていたり、そこまで興味を持たれていなかったり。

そして、前回も触れた装丁。表紙のイラストが今回はオムライスです。
うーん、やっぱりおにぎりだと思うんだけどなあ……。
恐らく、作者や編集者と、わたしの感性が違うのでしょう。わたしなら、絶対におにぎりです!笑

2冊ともおもしろくて、あとをひく世界観でした。
森美由紀さんの本、ほかにも読んでみます。

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そして、こちらも久しぶりに読みました。
小学生のころ夢中で読んだ、『わかったさん』『こまったさん』シリーズ。
「そうそう! こんな本だった!」と大興奮でした。
わかったさんと、こまったさん。絵本に近い記憶があったのですが、反省。
これは、大人のほうこそ楽しめるレシピ本でした。内容充実! コンプリートしたくなりました。
30年以上前の本が版を重ね続けているのも大いに納得。

絵も素晴らしいですね。わたしがもうひとつ勘違いしていたことに、ふたつのシリーズは別々のイラストレーターさんが絵を描いていることがありました。
『わかったさん』は永井郁子さん、『こまったさん』は岡本颯子さん。2冊の表紙を見比べてみましたが、やはり似ている……。そしてどちらもおしゃれ。
お洋服のセンスもよくて、ページの隅から隅までをなぞるのが楽しかったです。

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タグ:読書
posted by ゆたか at 09:38| 読書通帳

2021年10月31日

読書通帳:山のふもとのブレイクタイム

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今月からつけ始めた読書通帳
記録(この場合は記帳)は最初のうちが楽しいですよね。継続すると、「こんなに積み重ねてきたのだ!」というある種の達成感が芽生えるので、そうなってくるとなお楽しい。

10月の読書は5冊でした。
もう1冊未読本が手元にありますが、これは来月に回しましょう。


さて、今月最後に読んだのは『山のふもとのブレイクタイム』森美由紀著です。

穏やかな気持ちで読める本がないかな、と手に取った本です。
あらすじなどの情報がなかったので、パラパラっとめくり、会話文が多いことと本のタイトルでこの本に決めました。
わたしなりにまとめると、こんな感じのあらすじになります。


あらすじ・・・
主人公の登麿は、青森県の葵岳登山口で、地元の食材を使った小さなレストランを営んでいる。
従業員は、常連客から「こぐまちゃん」の愛称で親しまれている美玖と、登麿の甥っ子で中学生の瑛太。
「料理にしか興味がない変態(ただし容姿と料理は天才)」の登麿。彼のレストランにはいろんなお客さんが訪れて、彼の過去や今と関わっていく。
・・・・・・・・・・

容姿端麗なオーナーシェフと、地元野菜を使ったおしゃれな料理、自然豊かな土地のレストラン。そこでの人間模様。期待通り、穏やかな気持ちで読むことができました。

本を読んでいて穏やかな気持ちになれたのは、こぐまちゃんこと、愛すべき従業員美玖のおかげです。
元柔道部で、小さくてちょっとぽっちゃりしていて力持ちで、いつも元気で笑顔で、人懐っこく愛嬌があるから人に好かれて大切にされています。彼女の愛嬌は、彼女が周りに惜しみなく与える愛情が滲み出たもので、まるで聖女のような女の子だなあと、彼女が一言発するたび、なにか行動を起こすたびに感心しました。
すてきな女の子ってこういう子だなあ……と。


全体の感想としては、小学校の図書館に置いてありそうな本だな、というのが一番でした。
小学生のころに網羅した、『わかったさん』『こまったさん』シリーズを思い出しました。
最後に著者紹介を読んでなるほど納得。著者の森美由紀氏は、児童文芸新人賞を受賞した経歴の持ち主でした。
作者の持ち味といいますか、やはりそれぞれの作風があるのでしょうか。
今回の『山のふもとのブレイクタイム』は、中央公論新社なので、児童文学ジャンルとしての発行ではないでしょうが、これはぜひ小中学生も読める本棚においてほしいです。

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個人的には、タイトルと装丁から想像していたものと、けっこう違う内容でそのギャップもおもしろかったです。物語や小説全体から感じる温度感だと、人物を登場させた表紙や挿絵がありそうなものです。エッセイ風にしたかったのかしら。幅広い世代に読まれる一冊だと思います。

で!
最後にひとつ情報を。
『山のふもとのブレイクタイム』、なんと『山のうえのランチタイム』の続巻でした。
読みながら、「どうしてタイトルはブレイクタイムなの?」と首を捻っていた謎の答えはここにありそうです笑
前情報なしだとこういうことがありますよね笑

しかし、続き物だと気づかず最後まで読んだわたしがいる以上、既刊を未読でもこの1冊で楽しめます。
わたしは美玖ちゃんの話がもう少し読みたいので、『山のうえのランチタイム』も読んでみます(^^♪

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posted by ゆたか at 14:27| 読書通帳

2021年10月22日

読書通帳:元彼の遺言状など

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読書通帳ってご存じですか?

昨日オリコンニュースを読んでいて、久しぶりに触れた『読書通帳』という単語。
ざっくり説明すると、
『自分が読んだ本を記録する手帳』

そのため、読書手帳とも聞きます。

個人的には『読書通帳』の響きのほうが好きです。
読書=人生の糧を貯蓄 って素敵じゃないですか。

実際に、この読書通帳を採用している図書館は全国に存在するそうです。
残念ながら、わたしが暮らす地域の図書館にはありません。

だったら自作しよう! と思い立って、早数年。
すっかりその存在すら忘れていたころに、ニュースを見かけて思い出したわけです。

そしてまた欲しくなりました。
かわいい表紙を描いて…とまたも数年前と同じことを計画しつつも、『通帳』ぽくするためには、手書きにしたくなかったので、結局Excelにメモするところに落ち着きました。

芸がない笑 2分で完成した読書通帳。数年前にサクッと作っておくべきでした。
2021年下期から貯金ならぬ貯読スタートです。


騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編 [ 村上 春樹 ]

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記念すべき記帳1冊目は、村上春樹氏の騎士団殺し。
タイトルに惹かれ、読みたいとずっと思っていたものです。

読み応えがありました。
著者の作品を読むのは、学生時代以来初めて。なるほど、こういう作家さんだったかと非常に不思議な気持ちで読みました。
独特の世界を持っている著者の信念のようなものを感じる作品でした。

なによりも、「こういう話だったのか!」との驚きが大きく、夢中になっているうちに読み終えてしまいました。いやはやさすが大御所。おもしろかったです。


世界の服飾文様図鑑 [ 文化学園服飾博物館 ]

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感想(0件)



騎士団長殺しのあいまに読んだのは世界の服飾文様図鑑 。
服飾や刺繍に関心があるかたにおすすめです。写真が美しく、美術書として眺めるだけでも楽しいと思います。
個人的には、コラムが楽しかった。


元彼の遺言状 [ 新川 帆立 ]

価格:1,540円
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感想(8件)



昨年、このミステリーがすごい大賞を受賞した話題作。
新川帆立氏の元彼の遺言状。
著者の経歴を某動画サイトで知り、著者への関心から手に取った本です。

これは普段本を読まない人でも楽しめます。
まず、あらすじが面白い。

主人公の元彼(3カ月しか付き合っていない)が遺した遺言状。
『僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る』『犯人に刑事罰は求めない』
彼の遺産を巡って自称犯人が多数名乗り出て……。

このミステリーがすごい大賞を受賞した際に、上のあらすじは知っていたのですが、前情報があって読み始めたにも関わらず、わたしは3行目でストーリーに惹き込まれました。

「え、なにこれ!」

とだけ、感想を残します。キャラの立てかたが素晴らしい。
ぶれない、強烈。

その分、共感できないことも多く、だからこそ物語として面白い。
好きか嫌いかで言えば好きではないけれど、『面白い本』です。

装丁もまた素晴らしい。中扉もいいんですよ。帯もよい。あおりもよい。
素敵なチームでの出版物だと思います。

この気持ちは『蜜蜂と遠雷』を読んで以来です。
蜜蜂と遠雷と違って万人におすすめできる理由としては、むつかしい言葉がひとつもないから。
弁護士さんが描く小説なんてむつかしそう、というイメージをドンガラガッシャン崩してくれました。

小学生でも読める言い回しや言葉選び。ほんとうにすばらしい一冊でした。

蜜蜂と遠雷 [ 恩田陸 ]

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posted by ゆたか at 11:20| 読書通帳
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きもちに余裕をもって心ゆたかに暮らしたい。 趣味たくさんの30代女性です。 日記や、備忘録も兼ねたレザークラフト初心者向け記事(何を買ったらいいの? や、簡単レシピなど)を書いています。 お金をなるべくかけずに使うものを作る! がモットーです。
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