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2018年11月16日
ヘルパーは見た 2
隣の部屋から覗く腕を見つけた時は、血の気が引く思いでした。
部屋の荒れようと、だらりと落ちた腕。
何があったのかはわかりませんでしたが、尋常では無い事が起こっている事だけは分かりました。
すぐに倒れている利用者の方に駆け寄りました。
サ責が声をかけている間に利用者の全身を見て、部屋を見渡しました。
とりあえず、目視で出血が見当たらなかったので刃物による外傷は無い、もしくはあっても軽度であることを確信したので強盗などではないのかなと冷静に推測して、倒れている車椅子の周りを見ていると、数錠の錠剤が散らばっているのを見つけました。
すぐにオーバードーズが頭をよぎりました。
精神に疾患を持つ人なら睡眠薬や安定剤を持っていても不思議はないし、部屋の惨状も自分でやった可能性があります。
ともあれ、利用者の意識の確認が最優先でしたので、サ責の方を見て状態を聞きながら、何かしらの薬を多量に飲んだことによる意識の消失ではないかと話しました。
そして、この様な場合は素人判断ではどうしようもないので、救急車を呼びましょうかと尋ねました。
すると、サ責から意外な答えが帰ってきました。
「とりあえず寝ているだけの様だからベッドに運んで安静にさせよう、救急車はもう少し待ってから考えよう。」
私は本当にその対応で大丈夫なのかと念を押しましたが、サ責はこの利用者も大ごとにはしたくないはず、と見守りの姿勢を崩そうとしませんでした。
私が心配したのは2点ありました。
・何の薬を何錠飲んだのかわからないのに、素人判断で安静と言う処置をして今後利用者の状態が悪化する可能性。
・最悪のケース(利用者が死亡する)などの場合、ヘルパーの対応の悪さが指摘される可能性。
特に、この利用者の場合は私からしたら初対面なので、申し訳ないけれども後者の心配が圧倒的に強かったです。
はっきり言って、このサ責ダメだな。と思いました(笑)
しかも、利用者に付きっ切りで顔色を伺っているだけでした。
なので、せめて、薬の種類を判別しておこうかと、落ちている薬を集めて、薬の名前を調べました。
そして、救急車は呼びたくないと言っていたサ責に、友達にこういう事に多少の知識があると思う人がいるので、尋ねてみてもいいですか?と許可を貰って電話する事にしました。
その友人と言うのは消防士として、また救急隊員としても働いている人だったので、薬のことまでは詳しくわからないかも知れないが、救急車を呼ぶべきかどうかの判断はつくかと思いました。
その頃に利用者はボンヤリと意識が戻ってきたみたいでした。
ただ、やはり意識は混濁気味で呻くように何かを喋ろうとしているといったところでした。
私は友人に電話でその旨を伝えたところ、救急車を呼んだ方が間違いなく回復は早いが、命の危険は低いだろうとの助言を得ました。
とりあえず、意識が少しでも戻ってきているようなのでサ責の判断に従うことにしました。
サ責が、なんとか利用者の話を聞き取りしている頃、私は少しでもこの部屋の惨状を片付けようと思い、片付け始めましたが、何せ初めて訪問した家ですのでどこに何が置いてあったのか分からずあまりはかどりません。
その頃サ責が利用者から要望があったと私に帰宅するように指示がありました。
ここまでガッツリ目撃して、説明も何も無いまま、しかも仕事もなにもしていないのにいきなり帰って欲しいと言われた事に正直びっくりしましたが、もうめんどくさくなって素直に従いました(笑)
サ責からことの次第の説明を受けたのは2日後のことでした。
とりあえず、その後命に別状は無かったそうです。
玄関を開けたままでの服薬なので、虚偽自殺だったのだろうとのことでした。
初めて精神障害の利用者の元に仕事に行った時の衝撃の現場でした(笑)
ボタニリッチ
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