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2014年10月16日

派遣法改正案

が来春4月1日の施行に向けて、臨時国会で審議されるようです。改正案の特徴については、いろいろ報道されておりますが、管理人的には、今回、最も大きく変わる点は、派遣先受け入れ期間制限についてだと思っています。現行法では、派遣法施行令第4条で規定する26業務以外については、受け入れ期間制限が、原則1年、一定の要件を満たした場合で最長3年でした。この原則1年、一定の要件を満たした場合の例外規定で最長3年という期間は、派遣社員---その人、個人の---派遣された期間ではなく、その派遣先企業の派遣社員を受け入れている業務における受け入れ連続期間のことを指していました。こうした、少々ややこしい規制がかかっている理由について理解されている方の割合がひじょうに低いような印象を感じますので簡単に説明しますと、これは、同法が職業安定法で禁止されている労働者供給事業(間接雇用)を例外的に認めるものであるため、--------仮に、予測される運用実態からするとまるっきり”建前”になってしまう事が、立法当初から想定されていた場合であったとしても、立法手続き上、関連法との整合性が要請されるので、---------その例外とするための根拠を、臨時的・一時的なものであるところに求めています。   チョー簡単に言うと・・・、   「数か月後には存続するか不明な臨時的な業務を立ち上げる際には、日本の場合、判例法理で雇用セキュリティーが高すぎて直接雇用では対応できないでしょうから、そういうのに限っては派遣社員制度っていうのを法律で用意しましたんで、そっちでやってちょーだいネ」といったような感じです。そして、「でも間接雇用はホントはダメなんだから、なんでもかんでも臨時っていうことにしてしまえーーー!的な作戦はナシにしてネ」ということで、歯止めをかけるために、原則1年と決めています。この辺りの事情、法趣旨を理解すれば、一見、ややこしいように映る各種規定も、少しは理解しやすいかと思います。前述した専門26業務だけ期間制限がないっていうのも、業務を迅速かつ適確に行なうために専門的知識や技術などを必要とする業務(※特殊な雇用管理が要請されるという理由で非専門的業務のものも一部ちゃっかり26業務に入ってます)の場合、そうした技術を持った方は直接雇用でなくても充分対等に雇用条件交渉が出来るであろうから、職業安定法で想定している間接雇用による不利益を被らないであろうという想定理屈で例外扱いとしています。現実には、そうでないケースも結構ありますヨー、といったご指摘は重々承知していますし、実際にこの例外扱いとされる26業務の選定経緯にもスッタモンダがありました(懐いフレーズ)。最初の制定当時の労働者派遣事業等小委員会座長は、創設時のイメージでは、結婚・出産で退職した女性が子育て後に復帰、中途採用される際に終身雇用の労働市場と棲み分け可能な専門職(始めから女性労働市場を意識していたわけです)であったものが、度重なる改正で非熟練業務までリストに入ったことから論理破綻したと述べておられます。こんな感じで、例外リストに入れてほしい業界からの要望等の政治的事情もあって、理屈付けは苦しくはなったものの、一応、立法趣旨ではそのよう(=専門性からくる交渉力により間接雇用の弊害が排除できるだろうという期待)になっている筈です。
このような立法趣旨を理解した上で派遣社員受け入れ期間制限を眺めると、よく受け入れ担当者が気にするクーリング期間という意味も解ってくるかと思います。これは、実のところ、---ぶっちゃけ---臨時的とはいえないようなセクションに派遣社員を受け入れる際、本来、原則1年というのを引っ張って3年まではなんとか法対処技術で伸ばせられるのですが、これ以上となると、一旦派遣社員受け入れを停止しなければ、臨時的・一時的という外形が保たれなくなってしまいます。「じゃ、一旦、派遣社員受け入れを停止して、一日空けてから受け入れ再開すればいいじゃん。俺ってあったまいー!」的な、脱法的裏ワザ技術開発が盛んに編み出される度に、裁判所から、「あまりに受け入れ停止期間が短い場合は、期間が接着しているとみなす」といったような判決例がいくつか出るといったイタチゴッコ時期を経て、新たな臨時的・一時的業務の発生としてリセットできる受け入れ停止期間の閾値が3カ月というところに落ち着いたわけです。そうした経緯で誕生したものですから、”規制回避リセット期間”と名付けた方が実態に合って理解しやすいかもしれません。したがって、厳密に法趣旨の立場からいうと、たとえ3か月を超える受け入れ停止期間があっても、予め、受け入れを再開することを予定・計画して、行政指針の形式要件だけを満たすためだけにこうしたことを行うことは、臨時的・一時的業務であることを偽装する行為となり、もちろんこれは触法します。ただし、これは主観的認識の問題であり、外形上からは偽装かどうかの判断はつきませんので、経済競争原理上、馬鹿正直に法趣旨を守って雇用セキュリティーの低い派遣社員を使うという果実を放棄していたのでは淘汰されてしまう蓋然性があがりますから、どんなにそこの業務が忙しくても3カ月のクーリング期間を空けるという、管理者からすると ”うっかり忘れてはいけない大事な儀式” が固定化していったわけです。こうした中、目の前しか見ていない法的空気の読めない管理者が、がんばって良く働く派遣社員にまた来てもらいたいからと、「規制とかの事情があって、悪いんだけど3カ月だけ休んでもらって、君、またウチに来てくれる?3か月後には全開で受け入れできるから。」的な声をかける受け入れ予約行為は、証言等により立証可能な臨時的・一時的業務の偽装行為になるため、行政指針の中で「単に3カ月空ただけでそんな事言っちゃってたらフォローのしようがないじゃん」的な注意書きがされているわけです。お気づきのように、この辺りの規制と規制される側の関係は、建前が外形上守られるのか?違法性立証能力のある事務的ミスを犯していないのか?に感覚が集約されてしまい、「そういえば、 そもそも、 なんで3カ月空けなきゃならなかったんだったっけ?」といったような、当初の保護法益等が何処かにスッ飛んでしまっている感がありますよネ。大雑把に概念化すると、管理人は、パチンコ屋の3店方式周辺の規制(風営法第7号営業と同8号営業の違いや、1万円以上の特殊景品買取時の”対価の総額方式”による古物営業法第15条回避技術等)に似てるナー、と思うことがあります。

さて、解説が長くなりました。話は元に戻ります。

今回の改正で、その派遣先業務単位での連続して派遣社員を受け入れる原則1年という期間制限がなくなる点が、最も大きな変更点だと思います。何故かというと、一時的・臨時的だから職業安定法で規定される違法性が阻却されていたという、そもそもの存在前提となる論理構成自体が破綻していると思うからです。これについての、新たな理由付けを、 勉強不足なのでしょう、 管理人はしっくりくるものを見つけられずにいます。辛うじて、中央職業安定審議会民間労働力需給制度小委員会の平成10年の「労働者派遣事業制度の在り方について(建議)」の中の、「第2 派遣期間関係」の「1 派遣期間の在り方について」の、(4)で、「労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行を損なわない場合において労働者派遣を行うときについては、常用雇用の代替のおそれが少ないことから、・・・」というのを見つけましたが、ん〜〜、下線部分程度の理由で常用雇用代替のおそれが少ないとする論理構成が、もひとつ理解できません。素人理解なので、きっと、管理人には理解できない高度な法概念があるのでしょう。管理人的には、ちょうど先ほど述べたパチンコ屋の3店方式周辺の規制が、「ぶっちゃけ、賭博的行為として既に慣行として存在するんだから、いっそのっこと、カジノ自由化に合わせて合法化して許認可基準を厳しくしてしまっちゃった方が悪質インチキ業者を排除できるので、パチンカーのパチンコ生活の全期間にわたるその能力が有効に発揮できて良いのではないのか?」というような感じの、グレーゾーンを合法化しようとするときによく登場する、開き直り系の主張にみえてしまいます。

ところで、改正後は、派遣社員、その人個人に対して、同じ派遣先に派遣される期間が3年以内に制限されるとのことです。受け入れ先の業務に対してではなく、派遣される”個人”に対しての期間制限になります。それを超える場合については、数種のパターンをガイドしていますが、この手の法律において、義務規定以外はあまり機能しないのは過去例から当局も百も承知でしょうから、最終的に強制されることになる派遣元に対しての常用雇用化の選択肢がポピュラーな解決法になるだろうといわれていますので、体力のない派遣元が淘汰されていくことが予想されています。

業務区分けによる規制の違いもなくなるので、現行法で規定される専門26業務に従事されておられる方にとっては、期間制限無→有、と大きく変わるので混乱が予想される、といったような報道については比較的見かけますが、肝心な、そもそもの労働者供給事業として存在できる法的根拠、この理由付け自体が苦しくなっているんじゃないの?的な報道はあまり目にしませんので記事にしてみました。


ちょっと興味持った方用に、厚生労働省の"今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会報告書"の閲覧ページのリンクを貼っておきます。→こちら
※参考資料(PDF904KB)が図解入りで解りやすいです。


(追記)そもそも、日本で初めて派遣制度を導入する当時は、ドイツの派遣制度を参考にしたと聞きますし、管理人の記憶でも、「欧米では既に導入されていて日本は遅れてるんです。急がねばバスに乗り遅れてしまう。ドイツがーーー!・・・」っていう感じの広報活動が当時多くあったように思います。ですから、元々は、"temporary work"を輸入したわけなのですが、これは直訳した方が立法趣旨も解り易いのですが、何故かしら、カップラーメンの味付けが関西と関東で微妙に違うように、マーケットを意識したアレンジした訳を行っています。

”temporary”を「派遣」と覚えてしまうと、テストで”バツ”もらうので、間違えないように確認しておきましょう。

"temporary government"は「派遣政権」ではなく「暫定政権」です。
”Ukraine temporary government"も「ウクライナ派遣政権」ではなく、正しくは「ウクライナ暫定政権」です。
(アレッ、でも、「ウクライナ派遣政権」でも意味通じるか。)



研究社 新英和中辞典
temporary
【形容詞】一時の、はかない、仮の、間に合わせの  (⇔permanent永続する)  ≪【類語】⇒momentary瞬間的な≫
      [用例]temporary lights(道路工事などの)臨時信号灯
【名詞】【可算名詞】臨時雇いの人
            temporariness【名詞】
【語源】ラテン語「一時の」の意
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