アフィリエイト広告を利用しています

広告

この広告は30日以上更新がないブログに表示されております。
新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
posted by fanblog

2017年01月22日

映画「この子を残して」の感想…人が人を想う事に感動する。

今日は映画「この子を残して」の感想です。

前に久々に小津安二郎の映画「晩春」を観て、

昔の映画であっても今でも全然感動できるし、

やっぱ名監督といわれる人の作品は定期的に観ないとなあと思いまして。

小津安二郎作品を一通り観ようとも思うのですが、

記憶があるうちに他の監督作品と見比べてみるのも良いかなと思って、

木下惠介監督の作品を選んでみました。

今回はレンタルDVDでの鑑賞です。



映画「この子を残して」は1983年公開の木下惠介監督作品。

数ある木下惠介監督の作品の中でも何故この映画を選んだのか?

それはたまたま目に付いたからです!

木下惠介監督と言ったら映画「二十四の瞳」が良いかなって思ったり、

あと映画「はじまりのみち」を観た後だったら映画「陸軍」とかも良いかなって思ったのですが、

昨年に映画「この世界の片隅に」を観たのもあり、原爆とかの映画も良いかなと。

その時の気まぐれで選んだ訳ですが、結論から言うと良かったです。

映画「この世界の片隅に」は戦争時の普通の人の生活が斬新な気がしましたが、

実はこの映画「この子を残して」も戦争時の普通の人の生活が溢れていました。

ご飯作ったりとか、あそこまで生活感はないにしても、戦争に翻弄された普通の人達の生きる映画。

改めて食卓で笑い合える家族って幸せの象徴ですよね。


さて、映画「この子を残して」ですが、原作は旧制長崎医科大学で放射線医学を担当していた永井隆が書いた、

同名の随筆作品です。

自分はまだ未読でありますが、今では青空文庫でも配信しているので読んでみようかなと思っています。

自分の子供を残して死んでしまう悔しさを綴ったものですが、

映画はこの「この子を残して」を書くにいたるまでが主な内容の作りになっています。

原爆というとどうしても「広島」のイメージが強いのですが、今作品は「長崎」の話になります。


長崎の病院で診察などをしていた永井隆。

戦争で日本本土にも空襲が行われる状況ではあったが、

妻と子供2人、幸せな家庭を築いていた。

しかし、放射線研究などで被曝しており白血病になってしまう。

長くは生きられないと悟った隆は、妻の緑に自分が死んだ後は子供を頼むと言っていたが、

1945年8月9日に投下された原爆により妻を失ってしまうのだった…という感じのあらすじ。


主演の永井隆役は加藤剛。

最近では映画「舟を編む」にも出演していましたが、

凄く仕事の出来そうで真面目そうなルックスは適役だと思いました。

子供の誠一役は中林正智、茅乃役は西嶋真未。

子供をうまく撮れる監督は腕があるなんていわれますが、

もちろん本人達の努力もあるでしょうが本当上手く撮れていると思います。

おばあちゃんのツモ役は淡島千景。

この人がいるからこその映画の説得力がある気がします。

その他、大竹しのぶや神崎愛なども出演しています。


で、先にも書いたように小津安二郎と見比べてみようって木下作品を選んだ訳ですが、

比べるまでもなく、全くの別ものだし、それぞれ完成度とかハンパない訳で、

もうどっちも良いって結論なんだけど、一応は感じた違いを書いてみようかなと。


まあ、選んだ映画があつかってるテーマが全然違うので見せ方の違いは、

逆に同じほうを探すのが難しいってものだけど。

ただ、撮影方法だけでも全く違う。

映画「晩春」の感想の時にも書きましたが、小津安二郎はカメラワークはなし、

ローポジションからガッシリした画、しかも全てロングサイズとミドルサイズでの構成でした。

対して映画「この子を残して」では、小津安二郎は絶対にしなかったパーンもします。

ドリーショットもあるし、映像をディゾルブでつなぐところもある。

ポジションもあそこまでローポジションではありませんが、

引き画の感じは影響があるのかもなあって思いました。

そうそう、時代的には小津安二郎がいて、後に木下惠介という流れなので、

影響は少なからずはあったのだろうけど。

アップの画はほとんどなくて、ミドルやロングショットで構成されています。

日本の映画は引き画が伝統的といわれますが、

小津安二郎監督とか木下惠介監督の流れが今にも繋がってるんだなあって。

あと、小津安二郎監督はたまにイマジナリーラインとか気にせず編集して、

独特の雰囲気を出すのだけど、木下惠介監督は手堅い編集だったかな。

でも、ロングショットの長尺の1カットは凄く印象的でした。

あれは演じられる方は結構プレッシャーだったのではないでしょうか。

カットを変えないからこそ出せる雰囲気。

まあ、見比べようって言ったけど、どっちも良いって分かってるんだから、

どこが違うとか気にせず普通に見れば良いって思います…じゃあ見比べるなよって話ですね、

本当にすいません。


さてそれでは映画「この子を残して」ですが、

映画が始まってそうそうにローマ法王。

そう、戦争や原発の他にキリスト教というのもこの映画を構成する大事な要素。

それにしても雪が強すぎだろって思う。

もっと別の日に来てくれれば撮影もしやすかっただろうにって思ってしまうが、

それゆえに何か厳しいイメージを観ている人に思わせる映像になっている。

そして、そこで言われる言葉、

「人間は信じられないほどの破壊ができるという事の証。」です。

なんでそんな事ができるのかって冷静になったら思いますよね。

その後に、タイトルが出る訳ですが、もう軽い気持ちで観ちゃいかんなって背筋を伸ばしました。


この映画の魅力はなんと言っても、ロケーションが説得力がありすぎる。

今のハウステンボスのある旧針尾工業団地に、当時の浦上地区を再現。

この規模のセットは今の邦画では無理だろうなあ。

しかも原爆で壊れた風景は実際にセットを壊して撮るという徹底ぶり。

以前に映画「天と地と」で、これだけの規模はもう邦画では無理だろうなって書いたのですが、

さらにこの映画「この子を残して」を観て、無理だろうなって…いや、本当に凄い事ですよ。

また映画業界がこういう事ができるぐらいに力が出てきたらなあって。

CGが悪いとは思わないけど、やっぱリアリティあります。


当時は今見たいなデジタルで録画なんて事はないので、

全てフィルムでの撮影をしている訳ですが、すずめでさえちゃんと撮れなかったら、

その部分のフィルムは無駄になってしまうので恐ろしいですよね。


史実を元に作ってる映画なので、この後どうなるのかってのは観ている自分達は分かる訳で、

「かよが大きくなったらおんぶできんもん」って言っているセリフが既に悲しい。

子供が成長して大きくなったらおんぶできないから、小さいうちはおんぶしたいって事なんだけど、

そんな「おんぶ」っていう行為ができる事がどれだけ貴重な事なのか、幸せな時間だったのか。

まだ何も起きてないのに、もう悲しい。


戦争に参加してない人達ってのは、ただただ普通の生活をするしかなくて。

「誰も勝つとはおもうとらん」って言葉が色んな事を表していますよね。


そして、原爆が落ちるシーンですが、

ずっとなっている時計の音が不気味な雰囲気を出していて、

ついに「その時」が来てしまうのかという緊迫した作りになっています。


もう死を悟った人の

「こんなにしていただいて、ありがとうございました。」

という言葉は涙が出る。

助けられない人から言われる感謝の言葉をどう受け止めるべきなのだろうか。


先ほども書いた様に、この映画ではキリスト教というか宗教というのも1つの大事な要素。

「祈りましょう」と言うのですが、祈ることしかできないと思うか、

まだ祈ることは出来ると思うのか、難しいところです。


そう、この映画では時間経過にテロップを使っています。

基本的に映画の時間経過はテロップではなく、映像でみせて欲しいって思いもあるのですが、

原作が史実にのっとった書籍であるなら、ちゃんとした月日を出すのはありだなあと。


前々からなんとなくは思ってはいたのですが、この映画「この子を残して」を観て確信しました。

感動して泣く時って、「人が人を想う事に感動する」んだなって。

もしかしたらそれを「愛」とか言うのかも知れないけど、「愛」って融通が利きすぎる言葉だからなあ。

だから分かりやすく言ったら「人が人を想う事」って事だなって。


映画では、「ほんの10m先の子供を助けられなかった」とか、「心の傷は写せない」とか、

グサッとくるシーンがいっぱいありました。


それにしてもやっぱり、引き画の長尺会話シーンは印象的だった。

今だったらカット割っちゃいますよね。


あと、この映画を観るまで「脱稿」という言葉を知らなかった。

書き終えたって事なんだけど、そうか出版されなかったからか。


この映画で唯一なんじゃないかな、アップで表情を撮ってるシーンがあって、

それが「顔で笑わせようとする」シーンなんだけど、

その悲しくさせないように笑わせようとする仕草に泣ける。

やっぱりこれこそ「人が人を想う」って事かなと。


志持てば少しはマシに生きれるって言ってたし、ちょっとしっかりしないとなと思いました。

やっぱりこういう映画を観るのは大事だなって。


ただ、終盤の曲が壮大すぎて今の時代だとちょっと違和感がある。

これも時代なんだなって想うが。


それにしてもこの映画を観たら「今度の戦争にも原爆は使われなかった」という思いをしていくんだろうなあ。

ほんと、警告し続ける作品として後世にも残していきたいですね。

この子を残して [DVD]






プロフィール
マツゥオコアトルさんの画像
マツゥオコアトル
思いついた事を羅列。 映画「DETH FOREST 恐怖の森2」みたいなくだらない映画が凄い好き。 映画の感想は基本的にネタバレなしを心掛けています。
プロフィール
<< 2017年01月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
カテゴリアーカイブ
映画(295)
BMPCC(36)
このココ(13)
夢メモ(32)
日別アーカイブ
最新記事
検索
最新コメント
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。