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2017年04月07日

民法 予備試験平成28年度

回答
1 DのBに対する請求
(1)  支払済みの代金500万円の返還請求は、売買契約解除により発生した原状回復請求権に基づくものである(民法561条前段)。
要件は、@売買契約締結、A権利移転不能(取引通念上権利移転が期待できない場合を意味すると解する。)、B解除の意思表示と解される(以上561条前段)。本件では、@平成27年5月22日に、BD間でC所有の甲機械の売買契約が締結されており、A同年9月22日にCがDに対し甲機械の返還請求をしたことにより取引通念上権利移転が期待できなくなっており、B同月30日にDはBに対し契約解除の意思表示をしている。
   解除の効果について明文はないが、契約関係の遡及的消滅と解する(545条1項本文参照)。そうすると、Bは法律上の原因なく500万円を所持していることになるから、Dは前記500万円について不当利得返還請求権(703条)を有する。
(2)  乙機械購入のための40万円をDが請求するとしたら、根拠は債務不履行に基づく損害賠償請求権が考えられる(民法415条)。確かに、561条後段は、契約時において権利が売主に属さないことを知っていた時の損害賠償請求権を認めていないが、履行不能が売主の帰責事由によるときは、561条後段の規定にかかわらず、要件を満たす限り415条に基づく損害賠償ができると解する。
   要件は、@契約締結、A本旨不履行、B帰責事由である(以上415条)。本件では、以上に述べたところからいずれも@Aは認められる。B帰責事由について、所有権移転という結果債務(560条)の不履行は、不可抗力の場合を除き、帰責事由が認められる。本件では、BがDに所有権を移転できなかったことは不可抗力によるものではないから、Bに帰責事由が認められる。
   損害の範囲についての416条は相当因果関係を定めたものというのが従来の通説だが、契約時に両当事者が予見可能な損害を賠償させる規定と解する。本件では、契約締結時に、Bが権利を移転できないならばDは代替物を取得することは契約時にBD両者が予見可能だから、損害の範囲に含まれる。
したがって、Dは415条に基づき40万円の損害賠償請求権を有する。
(3)  甲機械の価値増加分50万円を請求するとしたら根拠条文は196条だが、同条は「回復者」に対する請求権であり、本件で甲機械の回復者はCであるから、Bに対する請求には理由がない。
   703条によることも考えられなくないが、Bには利得がないから、要件を満たさない。
2 DのCに対する請求
 修理による甲機械の価値増加分(50万円)は、占有者による有益費の償還請求権(196条2項)によるものである。Dが主張すべき要件は@「有益費」であること、A価格の増加が現存する場合であることである(196条1項本文前段)。「有益費」(196条2項)とは物の価値を増加させる費用をいうが、物の扱い方は本来所有者が決めるべき事柄であるし、賃借人が目的物の原状回復義務を有することと(616条、598条)のバランスから、必要な改良がおこなわれた結果としての価値増加額に限ると解する。本件では、@甲機械を「稼働させるためには修理が必要」であったから、Dの請求する50万円は必要な改良がおこなわれた結果としての価値増加と認められる。また、Aも認められる。
 もっとも、Cは「回復者」(196条2項本文後段)であるから、「支出した金額または増加額」を選択できる。Cはこの規定に基づき、増加額の50万円ではなく、Dが実際に支出した金額である30万円を選択することができる。
 したがって、Dの請求は30万円分に限り認められる。
3 【事実】5におけるBおよびCの主張
(1)  Bが乙機械を購入するための増加費用40万円を理由がないと主張する理由は、561条後段が、契約時に権利が売主に属さないことを知っていた他人物の買受人による損害賠償請求権を否定している点にあると考えられる。本件でBはDに対し、甲機械の所有権がCにあることを伝えているから、Dは561条後段の悪意である。しかし、判例は前述のように、415条の要件を満たす限りで415条に基づく損害賠償請求権を認めており、Dは415条に基づく損害賠償を主張しているのであるから、この主張は認められない。このように解すると561条1項後段が空文化するが、仕方がない。
(2)  Bが甲機械の価値増加分50万円を理由がないとする主張は、前述のように認められる。
(3)  Cが甲機械の価値増加分50万円を理由がないとする主張は、前述のように認められないが、Cは「回復者」として支出額を選択できる。
(4)  B及びCが、Dに対し、甲機械の使用相当額25万円を求める根拠は何か。使用相当額は「果実」であるから190条1項によるべきとも思える。しかし、189条や190条は物権の帰属状態の正常化を想定した条文であり、本件のような契約関係の巻き戻しの場合に適用すべきでない。575条によるべきとも思えるが、同条は両当事者の給付が均衡していることを前提としているから、本件のように不均衡の場合に適用するのは妥当でない。契約解除の場合には、互いに契約関係がなかった状態に戻すことを重視すべきであるから、公平を趣旨とする不当利得法の規定によるべきである。
   主張権者はBかCか。Bは甲機械の所有権を有していないから、甲機械の使用利益が帰属せず、したがって甲機械が生み出した利益はBの損失とはならない。そのため、主張権者はCである。
   Cが主張すべき704条の要件は、本件のような侵害利得の場合には@Dの利得とAその利得がCの権利に基づくこと(以上703条)、並びにBDの悪意(704条)である。ABは明らかに認められるから、Cは@が25万円であることを証明すれば、Bに対する25万円の不当利得請求権を有する。
(5)  そうすると、DはCに対して30万円の費用償還請求権を有し、CはDに対して25万円の不当利得請求権を有しており、これらは同じ金銭債権であって弁済期にあるから、相殺できる(505条1項)。
    したがって、CはDに対し、5万円を支払えば足りる。    以上


posted by izanagi0420new at 23:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 民法
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