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2018年02月20日

東野圭吾『むかし僕が死んだ家』

〜『むかし僕が死んだ家』7つのポイント〜

『むかし僕が死んだ家』は、東野圭吾27作目の作品。
幼いころの記憶が無い元恋人・沙也加。
一年前に亡くなった彼女の父が生前どこかに出かけていたことに自分の過去の秘密が隠されているのではないかと感じた沙也加に頼まれ、一緒にとある家を訪れる主人公。
作者・東野圭吾が「これは隠れた自信作」と言っている作品です。

「あたしには幼いころの思い出が全然ないの」。
7年前に別れた恋人・沙也加の記憶を取り戻すため、私は彼女と「幻の家」を訪れた。
それは、滅多に人が来ることのない山の中にひっそりと立つ異国調の白い小さな家だった。
そこで二人を待ち受ける恐るべき真実とは・・・。
超絶人気作家が話す最新文庫長篇ミステリー。

さあ、『むかし僕が死んだ家』について語りましょう。



1 あらすじ

7年前に別れた恋人・沙也加にクラスの同窓会で再会した私。
沙也加は商社勤めの夫と結婚しており、3歳になる娘がいる。
幼少のころの記憶が全くない沙也加は、1年前に亡くなった父が頻繁に訪れていた場所にこそ、自分の秘密があるのではないかと考える。
父の遺品から地図と鍵を見つけた沙也加は、私にその地図の場所に同行するよう依頼する。
最初は同行を拒んだ私だが、沙也加の手首にあった傷痕を見て、地図にある長野県松原湖近くの別荘地にあるとある家を訪れる。
この家には沙也加の記憶の手掛かりが無いか探していた2人は、そこに住んでいたと思われる御厨佑介の日記を発見する。
その日記から御厨佑介について推理する2人。
そしてこの家には不自然な点がいくつもあった。
家の中というたった1つの舞台でほぼ2人の会話のみで構成されたこの作品。
殺人事件が起こるわけでも犯人を捜すわけでもないのだが、物語にどんどん引き込まれていく。
果たしてこの家に隠された秘密とは?
そして沙也加の幼少期の記憶とは?





2 登場人物

理学部物理学科第七講座研究助手。30歳前後。
中野沙也加
旧姓倉橋。「私」が高校2年から大学4年まで付き合っていた元恋人。
現在は専業主婦で商社勤めの夫と3歳の娘がいる。
御厨佑介
松原湖畔にある灰色の家の元住人。日記を書き残している。
おたいさん
御厨家の家政婦。
御厨啓一郎
松原湖畔にある灰色の家の元住人。
おかあさん
御厨佑介の日記に登場する。
あいつ
御厨佑介の日記に登場する。
チャーミー
御厨佑介の日記に登場する。
美晴
沙也加の長女。
中野政嗣
御厨啓一郎の恩師。
小倉荘八
神奈川県警の刑事。
磯貝
実業家。
工藤
「私」と沙也加の高校時代の同級生でクラス会の幹事。





3 沙也加 

「私」が高校2年から大学4年生まで付き合っていた元恋人。
幼い頃の記憶が無く、写真も小学校以降のものしか無い。
幼少時の記憶を取り戻すべく、父親の遺品から見つけた地図と鍵を頼りに、長野県松原湖畔にあるとある家を訪れることにする。
子供のころの記憶が無いことに加え、沙也加にはもう1つの悩みがあった。
幼い時の記憶をたどり取り戻すことで、その悩みの解決の糸口になるのではないか、沙也加はそう考える。
灰色の家を訪れて、少しずつ、断片的にだが記憶を思い出す沙也加。
果たしてその記憶は思い出すべきものか否か。
果たして沙也加の悩みは解消されるのであろうか。





4 私

理学部物理学科第七講座研究助手として勤める30歳前後の男性。
沙也加とはお互い惹かれ合う部分があり高校2年から6年間恋人関係にあった。
「私」と沙也加が惹かれ合った理由はお互いの過去にあった。
「私」にも過去に秘密があったのだ。
それまで両親と思っていた父母が実は養父母であり、実際の母親を名乗る女性が中学1年生の時に現れたこと。
養父母は家の跡継ぎのために、実母は自分の老後のために「私」が必要だという本心を聞いてしまう。
面倒なので今のまま養父母のもとで暮らすことを選択した「私」だが、それ以降は養父母の息子を演じ続け、世界は自分1人だけと思うようになる。
そんなときに出会った沙也加。
「私」も沙也加も周囲は用地でくだらなく退屈だと感じていた。
この主人公の過去が物語にどのように影響してくるのであろうか。





5 佑介の手紙

灰色の家を探索する2人。
建物に入るところから特殊な構造になっており、この家が普通ではないことが分かる。
そこで見つけた御厨佑介の日記。
家の中は23年間放置されている様子。
家の中の時計はどれも同じ時間で止まっており、電気や水道も通っていない。
御厨佑介の日記を検証することで、この家に何があったのか手掛かりをつかもうとする2人。
日記を読み進めていくと、御厨佑介の生活が突如一変する。
日記に登場する「あいつ」「チャーミー」そして「さやか」。
「さやか」という名前を見ても沙也加は何も思い出せない。
しかし、色々調べ推測を進めていくうちに、断片的な記憶が蘇ってくる。
そして、「私」はある仮説を立て、この家の秘密、そして沙也加の過去の謎にたどり着く。
それは思いもよらない驚くべき事実だった。





6 散りばめられた伏線

この作品の大きな特徴は殺人事件が起こるわけでも犯人探しをするわけでもないところ。
しかし手紙や家、沙也加の過去についての謎解きにどんどん引き込まれていく。
何もないところからわずかな手がかりを掴み、その手掛かりをつなぎ合わせ、推理を働かせて謎の真相に近づいていく。
様々なところに色々な伏線が散りばめられており、それが見事に繋がり回収されていく。
少しずつ隠された謎が明らかになり、また、仮説や推理におかしいところが出てきたらそれを修正し別の仮説や推理を組み立てる。
「私」の一人称視点のみで物語は構成されているため、読者も「私」と一緒に推理を進めることができる。
犯人探しではなく、家や記憶に隠された謎の解明。
家の中というたった1つの舞台でありながら、冒険やゲームを楽しんでいるような気分になれる。





7 タイトルの謎

記憶を無くし悩んでいて、その秘密を解明しようとしているのはあくまでも沙也加である。
それにもかかわらず作品のタイトルは「むかし僕が死んだ家」。
このタイトルに含まれた真の意味とは?
思わせぶりなプロローグから始まり、「私」の一人称視点のみで書かれたこの作品。
沙也加の過去の記憶を取り戻すための家探索だが、推理を進めるにあたって、そして沙也加を理解するにあたって、「私」の過去も外すことはできない要素である。
物語のエピローグを読んで、果たして各読者はどのように感じるのであろうか。
読後にこのタイトルの意味を考えてみるのも面白い。



まとめ
『むかし僕が死んだ家』7つのポイント
1 登場人物は2人だけ
2 舞台は1か所だけ
3 殺人事件も犯人探しも行われない
4 随所に散りばめられている様々な伏線
5 この家の謎とは?
6 沙也加の記憶の秘密とは?
7 作品のタイトルの意味するところは?
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愛と優
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