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2019年04月26日

仮想本屋の口コミ掲示板の続きです。引き続き色々な本を紹介していきたいと思います。

まにふぇすと そのR 工学部ヒラノ教授


工学部ヒラノ教授 新潮文庫/今野浩







大学教授とはどういったイキモノか?その実態は?

何かを研究する人の環境というものは、どういう社会なのか知りたくてこの本を読んでみました。

教授というからには地位が確立されて、社会的にも安定した職業だと思っていたんですが、教授の世界にも

色々あるんですね、出世争いとか派閥争いとか・・

自分が知りたかった内容とは少しズレているような気もしましたが、これはこれで非常に興味深かったです。

この本では、「ヒラノ教授」という(架空の人物か”ヒラノ”という偽名を使った実在の人物)教授の身にお

こる出来事を通して、大学という組織内のことを表していますので、もし将来大学で働こうとしている方な

ら、この書籍は参考資料として適していると思います。

そういう方にぜひご覧頂きたい一冊です。

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この本では、大学における教授などの出世の過程をスゴロクという言葉を使って表している。

それによると、スゴロクには「1回休み」「2回休み」「振り出しに戻る」などの罰則がある。

大学スゴロクでは、”40歳を超えても助手”が1回休み、”50歳を過ぎても助教授”が「2回休み」に相当し、

教授は上がりのポストになり、セクハラや論文盗作でもしないかぎり助教授に降格されるようなことはない。

また、大学スゴロクを兵隊の位で表すと、助手が「曹長」、専任講師が「大尉」、助教授が「大佐」、そし

て、教授が「中将」に相当する。

なおこの上には、「大将」に相当する学部長、「元帥」に相当する学長のポストがあるそうです。

こうした大学におけるスゴロクのことばかり書かれている本であれば、少し退屈な本になってしまいますが、

それだけじゃないところが本書のおもしろいところです。

例えば、ヒラノ教授が担当した学生の中で、スゴイ学生が何人かいたことを紹介しています。

どんな学生たちかというと、長くなるので割愛しますが、柔軟な発想を持ち豊かな想像力を持つ人たちが確か

に存在することが、この紹介の中で分かりました。

また本書の15章によると、大学教授の役割は、研究・教育・大学運営(雑務)・社会的貢献の4つだとされ

ています。

大学教授の仕事の相対的重要度は、全体を100として、研究50・教育20・雑務15・社会的貢献

15という数字で表されていて、現実的には研究35・教育20・雑務30・社会的貢献15というカタチで

現職教授の仕事量とのギャップが数字で分析がされていたりします。

大学教授の環境について色々な角度で、表現されているところが本書のおもしろいところですが、至る所にち

りばめられた少し毒の含まれた言い回しが味のある書き方になっていると思いますので、ぜひ読んでみて下さ

い。

まにふぇすと そのS 聴くだけで不調が消える水琴の音


聴くだけで不調が消える水琴の音CDブック/大橋智夫/西河潤







うつ、めまい、頭痛、不眠・・・体の異変に悩まされる方はたくさんいらっしゃると思います。

上記の症状は、機械のモーター音など人工音と呼ばれる、単調な低周波のリズムや騒音が原因のひとつとこの

本では考えられています。

これらの症状を解消するには、川のせせらぎや鳥のさえずりなど自然音と呼ばれる、高周波なエネルギーが効

果を表すといわれていて、そのひとつに水琴の水の音色があります。

甕(かめ)の中に水滴が落ちると、「ポチャン・・」・・と音がして囲まれた空間の中で水の音が反響します。

この音色が人間の体に癒やしをもたらして、効果を発揮するとこの本では書かれています。

では、どんな方の症状が改善されたのか興味があったので、この本を読んでみることにしました。

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この本にはCDがついていて、本書の作者の方が推奨する水琴の音が体験できます。

この水琴の音を聴いたある体験者の話によると、介護が原因で発症したうつが改善したとのことです。

長期間の介護生活で、心身が病んでしまい眠れず、睡眠薬に頼る生活だったそうです。

ところが、このCDを聴きながら眠ると、緊張がとけ深い呼吸ができるようになり、少しずつ眠れるようになっ

ていったとのことです。

またある方は、パニック発作が軽減したということです。

緊張したり、熱いものを食べたりすると、頭がクラクラして足元が不安定になり、それが不安となって胸のド

キドキに発展するといった症状が、水琴を聴くと心が穏やかになり、冷静さを取り戻せたとのことです。

私も試しに聴いてみましたが、私の場合は集中力が保てるように思いました。

このCDを聴いていると他の物音が気にならなくなり、その時にしている作業がはかどるように感じたのです。

人それぞれ効果が違うかもしれませんが、この本を見ると自分の体に良い影響を及ぼす方が多いようです。

この本を読んでいる方が何かしらの不調でお悩みなら、一度読書してみる価値はあると思います。

まにふぇすと その㉑ アルジャーノンに花束を


アルジャーノンに花束を [ ダニエル・キイス ]







誰でも何かしらコンプレックスはお持ちだと思います。

太っているのを気にする方・背が低いのを気にする方・性別を気にする方など色々あると思います。

この物語の主人公もその内の一人で、名前をチャ−りー・ゴードンといいます。

彼の場合は、自分が他の人に比べて知能が劣っているのを気にする精神遅滞者の男性でした。

ある日、人間の知性を飛躍的に改善するという手術を大学の精神科医から薦められます。

幼児期から親に疎まれ、友達から蔑まれて生きてきた主人公にとって願ってもない話だったので、この手術を

快諾しますが、そんな彼に過酷な運命が待ち受けていました。

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彼の前にこの手術を施されたのが、ねずみの「アルジャーノン」です。

このねずみの知能は手術によって驚異的に優れ、他のねずみには脱出出来ない迷路も、難なく出口までた

どり着けたりしました。

同時にチャ−リーも目覚ましい進歩を遂げていきます。

まず話す言葉は難しい言葉が多くなり、複数の国の言葉も覚え、難しい数学の問題も解いてみせたりと、みる

みるうちに天才といわれるような知識や知能を身に着けていきました。

また、ガールフレンドが出来たり、社会的に地位のある知り合いが増えたりと、交友関係もどんどん変わって

いきました。

まさに成功を収めたかに見えるチャ−り−ですが、そんな時アルジャーノンに異常行動が見られるように

なり、チャ−リ−の未来に暗い影が・・・。

 物語はチャ−リ−から精神科医への報告書仕立てで構成されていて日記調になっており、刻々と変化してい

く主人公の様子が、文章を通して伝わってきます。

主人公の立場を自分にすり替えて読んでみると、この本はよりおもしろく感じるかもしれませんね。

まにふぇすと その㉒ 思考の整理学


思考の整理学 [ 外山滋比古 ]







当たり前ではありますが、日本ではみんな学校に行って勉強します。

人が社会に出て生きていく上で、必要な知識や教養、考え方を高校などで学んでいきますよね。

この本によると、必ずしもこの事は良いことだけではないのでは?と問題提起しています。

というのも、学校に通っていると自分で物事を考える力を育みにくいということを作者は述べています。

授業では生徒に対して一方的に知識を与えてはくれますが、それを活用して物事を考えることが苦手な人間を

多く作り出してしまうというのです。

そこでこの本では、物事をどのように考えていけばよいか?その助けになる方法を紹介しているので見ていき

ましょう。


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本書によれば、物事を考える上で大事なことは思考を整理していくことにあるという。

すなわち、うまく”忘れる"ことにあるらしい。

"忘れる”ということは、頭の中にうかぶたくさんの情報をうまく整理して絞り込んでいくということがカギに

なるということです。

そのためにはやはり、”書くこと”が重要とのことです。

何かアイディアが浮かんだら、その情報をまず寝かせる。

寝かせるには、その情報が浮かんだ時に手帳やノートのページにすぐに書いておく。

ページにメモする時に必ずしておくことは、あとで見ても分かるように、日付や要約した題名・その時に調べ

た事柄などをその情報と共に書き加えておく。

一定期間寝かせておいてから、その情報を改めて吟味してみる。

すると、寝かせておいた期間にそのアイディアは熟成されて、新たな情報を付け加えるなどして、より質の高

い情報に育つ場合もあるという。

もちろん、育つアイディアばかりとは限らないが・・。

そうしておいてから、しゃべって見るのもいいとのことです。

声に出してみると、頭が違った働きをするかもしれないので、声で考えることも重要としています。

こうして見てみると、良い考えを生み出すには丁寧に物事を考え、ある程度の”時間”が必要みたいです。

かなりタメになることが書かれていると思いますので、みなさんもぜひ一度この本を手に取ってみて頂きたい

というのが自分の感想です。


まにふぇすと その㉓ 弓と禅


弓と禅 /中西政次







自分の体が右側に傾いているなぁ〜って、時々思うんですよね。

利き腕が右腕だからと思うんですが、これはいかんと思い、その時だけは姿勢を正すわけです。

なぜこんなことを言い出すのかといいますと、この本に出てくる”無影心月射義”という弓道の流派では、弓矢

を持って立った時、頭より脊梁骨を通り、地心に向かって太い竹が真直ぐに突立つように立つ、というふうに

教えるそうです。

日頃から姿勢が悪い私はこの本を読んで、これはぜひ参考にしなければいけないと思い、また心に留めておこ

うと思いました。

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この本によると、弓と禅は同じだとしています。

違いは立っているか座っているかということでだけで・・。

この本の作者は弓を始めて間もない頃、禅と同じように半眼にして的を見ていたそうです。

半眼にすると注意力は比較的、内側に向かって集中するとのことで、他の事に気が散らなくなるからです。

この事からも禅と通じるものがあるのではないでしょうか?

”人間が自己の全力を集中し、己れをつくした時、平常では見えない別の世界が見える。”

作者が弓道を通して、たどり着いた心境ですが、弓道というのは、的に弓矢をあてることがすべてと漠

然ととらえていた自分は、この言葉で弓道の奥深さを知りました。

また、ある日作者が出先から帰宅した時、床の間の一輪挿しから山茶花の花びらがこぼれていたそうです。

その花びらを掌にのせてしばらく見ていると、花びらが輝いて見え、両足にずっしりと重みを感じ動こうとし

ても動けない体験をしたとのことでした。

この出来事も”平常では見えない別の世界”にあてはまると思います。

機会があれば自分もぜひ弓をひいてみたいものですが、そうそう立ち入れる世界ではないんでしょうね。

まにふぇすと その㉔ のぼうの城


のぼうの城 和田 竜







これまで私が読んだ本では、主人公はたいがいス−パ−マンでしたが、この作品は違っていました。

愚鈍でかっこわるい主人公ですが、それ故におもしろい物語になっていると思います。

時代設定は豊臣秀吉の時代、参謀の石田光成はある城攻めを命じられます。

北条家の支城である”忍城”、それが光成が城攻めを命じられた場所でした。

この城の当主である成田長親は、領民たちから”のぼう様”と呼ばれ、醜男で図体は大きいが何もできない

いわゆるでくの坊で、戦国時代にそぐわない気性のやさしい男でした。

城下の村の農地に頼まれもしないのに勝手に手伝いにいっては百姓に迷惑がられ、ヘマをしては

追い返される。

そんなうつけ者の”のぼう様”が、兵力二万人の石田光成軍と戦うことを強いられます。

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成田方は500人程度の兵力なので、勝ち目がなく最初は戦わずして降伏する方針に傾いていました。

誰もが降伏するかと思いきや、何を思ったか”のぼう様”こと成田長親は方針を一転、開戦に転じます。

秀吉の人を見下した、傲慢で横暴な姿勢が許せなかったのです。

果たして”のぼう様”は、忍城を守りきれることができるのでしょうか?

成田長親のおとぼけぶりや、主だった家臣たちのそれぞれの個性や活躍がよく表せていて、

爽快かつとてもおもしろい書籍に仕上がっています。

さすが、2009年本屋大賞第2位の書籍です。

おかげで、少しテイストの違う歴史小説を読むことができました。

まにふぇすと その㉕ 火車


火車 宮部みゆき








休職中の刑事「本間俊介」はある日、知り合いから人探しを頼まれます。

依頼された内容は、失踪した婚約者を探してほしいとのことでした。

事の発端は、依頼者が婚約者に結婚の為に、クレジットカードを作っておくように頼んだことから始まりま

す。

数日後、クレジットカード会社から依頼者に通知書が届き、内容を確認すると婚約者は破産宣告により、カ−

ドを作れないことが発覚します。

婚約者にこの事を問い詰めると、突然失踪してしまったということでした。

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彼女の名前は「関根彰子」。

彼女はカ−ド会社のブラックリストにのっていて、自己破産していた過去がありました。

さらに調べていくうちに、「関根彰子」に偽の「関根彰子」がすり替わって名乗っていたことが判明しまし

た。

「関根彰子」に成り代わっていた女は、本物の「関根彰子」が自己破産していた事を知らず、結婚相手からそ

の事を問い詰められると、自分の正体が分かることを恐れ、婚約者の前から姿を消したのです。

それでは、本物の「関根彰子」はどこに消えてしまったのか?

偽の「関根彰子」は、そうまでして自分の過去を隠さなければいけなかった理由は何だったのか?

最初はあまり乗り気ではなかった本間刑事も、次第にこの事件に巻き込まれていくことになります。

”火車の、今日は我が門を、遣り過ぎて、哀れ何処へ、巡りゆくらむ”

『拾玉集』という古歌だそうです。

この本に出てくる不気味な古歌ですが、少々気にいったので書きました。

この古歌は、この物語をよく表していると思います。

巡りくる火の車一一

それは運命の車だったのかもしれませんが、「関根彰子」はそこから降りようとしました。

そして、一度は降りることができた。

しかし、彼女に成り代わった女は、それと知らずにまたその車を呼び寄せたのです。

人の運命なんて分からないものですから・・・、まさに一寸先は闇ですね。

まにふぇすと その㉖ 白砂


白砂 【鏑木蓮】







散骨・・・人が死んだ時に火葬して粉末状にした後、骨をお墓に埋めずに海や山に撒いて、供養する方法をい

うそうです。

よほど故人の思い入れのある場所でないと、この埋葬方法は適切ではないと思われます。

個人的にいえば、故人が落ち着かないので、やはりお墓に埋めてあげたいと思うのですがみなさんはいかがで

しょうか?

というのはこの物語の中で、登場人物の骨を散骨するシ一ンが出てくるのでふとそう思いました。

この本のテーマのひとつに”骨”があげられると思うので、それに注目して読書して頂ければと思います。

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ところで、「浦島伝説」ってみなさんご存知ですよね?

そう、日本人なら誰でも知っている、子供の頃絵本などで読んだあの「うらしま太郎」です。

この物語の中で「浦島伝説」を比喩で例えた場面があり、面白い解釈で書かれていたので、その一部をちょっ

とご紹介したいと思います。

”浦島伝説は詰まるところ、この世に暮らす男とあの世に逝ってしまった女性との巡り合いがテーマになってい

るとのこと。

玉手箱は、たとえひとときでもその巡り合いを望むことが、いかに危険であるかを表現する道具になっている

とのことです。

人々は昔から死者との交流を切望していて、死者と出会う場所、つまり結界を山の民は山の頂上や滝に、海の

民は海底に求めた・・・。

常世、つまりあの世に住むシンボルとして、海の民は乙姫、山の民は鬼を生み出したのではないか・・”という

件です。

この本ではこの「浦島伝説」が効果的に使われていて、重要なポイントになってくると思いますので、その点

も注目して読書して頂くのも面白いかと思います。

まにふぇすと その㉗ 小さなことから自分が変わる


小さなことから自分が変わる /シェリーカーター・スコット(著者),鈴木秀子(訳者)







ある古本市に出かけたところ、市場の片隅の方で売られていたこの本を見つけ、タイトルに惹かれて思わず買

ってしまいました。

いわゆる自己啓発本というのをたまに読みますが、小気味よく段落が区切られていて適度な間隔で文章が完結

しているので、一旦本を読むのをやめても再開しやすくて、非常に読みやすかったです。

ちょっと見落としている自分に欠けている情報などが、数多く書かれていました。

この本によると、人生には大切にしなければならないルールが10個あると書かれています。

そのルールを守ることによって、人生が好転しやすいとのことです。

自分にもあてはまるものが数多くありましたが、その内のいくつかをご紹介したいと思います。

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例えば、”自尊心とは儚いもの”という言葉が、すごく自分の中で印象に残りました。

確かに、自尊心は一度手にしてしまえば終わりというわけではないですよね。

仕事でもある問題がおきて、うまく処理できたかと思えば他の問題は自分では解決できなくて、そこでまた挫

折を強いられる。

長い人生の中で、何度も作り変えていかなければいけない大切なものです。

また、”心を開けば、どんな経験にも意味を見出せる”という文章も興味深いと思いました。

過去を振り返ると、苦い経験というのは誰でもありますよね。

その時々にはやりきれなかった経験でも、現在から振り返ると、あの事を経験しておいてよかったと思えるこ

とがいくつも思い起こせたりします。

”自ら選択したことには重みがある”という言葉も、印象深かった言葉です。

他人から見れば他愛のないことでも、自分にしてみれば十分に意味があり価値がある出来事ってあると思うか

らです。

夢や変化というものは向こうからやってくるものではなくて、結局は自分の小さな努力によって叶えられたり

するものだと、改めて気づかせてくれる書籍でした。

まにふぇすと その㉘ 気候を人工的に操作する


気候を人工的に操作する 地球温暖化に挑むジオエンジニアリング







2019・9・24 16歳の少女、グレタ・トゥ一ンべりさんは、国連気候運動サミット(COP25)で,目

に涙をうかべ居並ぶ各国の大人たちに向かってこう言い放ちました。

「温暖化対策に今すぐに乗り出さなければ、あなたたちを許さない」と。

地球が温暖化しているにもかかわらず、対策に本気で乗り出さない今の大人たちがしていることのツケを払わ

されるのは自分たちや自分たちの子供たちだと。

上昇する海面、流れつかない流氷、減少する国土、頻発する台風、さまよう白熊・・・。

どう見ても異常なこの事態に、本気で取り組まない大人たちを見て、怒りを覚えるのはこの少女だけではない

と思います。

私なりに憂いているわけですよ、昨今の異常気象を。

”ジオ・エンジニアリング”ということばを、みなさん聞いたことがあるでしょうか?

気候を人工的に操作するという、途方もない手段のことをいうそうです。

果たして、そんなことが可能なのでしょうか?

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この本では、そのとんでもない方法をいくつか紹介しています。

そのうちのひとつで、宇宙に日よけを設置するというものがあります。

そうすれば、いくら温室効果ガスが増えても日よけによって、地球が温まるのを抑制できるという発想です。

その手段として、小惑星をどこかで捕獲してきて、砕いてから太陽と地球の間にばらまいて太陽光を遮る方法

や、単純に巨大な日傘を製造して、太陽と地球の間に設置し、太陽光を遮断するという方法が提案されていま

した。

また、台風が通過する場所に風力発電の設備を建設して、台風のエネルギーを吸い取ってしまう案や、人工の

森林を作って大気中の二酸化炭素を吸収するといった、多様な案が紹介されていました。

ただ、”生態系を壊してしまう可能性がある”や”仮に失敗して元に戻そうとしても戻せない”など、それぞれに

実現するには難しい理由があるようです。

やはり、自然の力を人工的に操作するのには、まだ時間がかかるかもしれません。

とりあえず自分でできる温暖化対策として、省エネ(エアコンなどをまめに消す等)から取り組もうと思いま

す。

まにふぇすと その㉙ サロメ


サロメ [ 原田 マハ ]







J´AI BAISE´ TA BOUCHE IOKANAAN   

お前の口に口づけしたよ、ヨカナーン


本の表紙の不思議な絵に興味を覚えて、この本を読んでみることにしました。

本のタイトルでもある”サロメ”とは、新約聖書に登場する王女の名前である。

この絵は王女”サロメ”が、牢獄に繋がれていた聖人の首を王様に所望して、恍惚と眺めているところだそうで

す。

この絵を描いた画家の名前は”オーブリー・ビアズリー”。

オーブリーには一歳上の姉”メイベル・ビアズリー”がいて、この本はほぼこの二人を中心に書かれています。

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ところで、”オスカー・ワイルド”という劇作家の名前をご存知でしょうか?

演劇の為の台本を”戯曲”と表現し、これを書く者のことを”劇作家”といいますが、19世紀末に活躍した作家でも

あり劇作家です。

当時のオスカー・ワイルドは、人々から天才的な劇作家と謳われながらもどこか敬遠されるようなそんな存在

でした。

というのも、その風貌もさることながら、言動や立ち振る舞い・彼の作る作品の世界観は人々を熱狂させなが

らもどこか畏怖を覚えさせる・・・。

今風で表現すると”ちょっと近寄り難く危ないヤツ”だったのです。

そんなオスカーワイルドが、この時代では聖書の中でも作品化することをタブー視されていた戯曲”サロメ”を

制作して、その挿絵(この演劇を模した表紙みたいなものだと思われます・・・。)

を書く仕事をオーブリー・ビアズリーに依頼します。

自分の才能を信じて疑わないオーブリーは、元々勤めていた仕事をやめ、この挿絵の制作に賭けました。

一方、姉のメイベルは身体があまり強くない弟を心配し、男色家とも噂のあるオスカー・ワイルドに弟を近づ

けさせまいと色々手を尽くします。

姉の心配をよそに、ビアズリーは挿絵の仕事とオスカー・ワイルドという稀代の劇作家にのめり込んでいくこ

とになります・・・。

時は流れて 20XX年9月、オーブリー・ビアズリーという画家を研究していた「甲斐裕也」は、一枚の絵を

見て驚愕します。

彼が眺めているのはもちろん、オーブリー・ビアズリーの戯曲”サロメ”の絵。

ですが、彼が眺めている”その絵”は人々がよく知る”サロメ”の絵ではありませんでした・・・。

まにふぇすと その㉚ 果つる底なき


果つる底なき [ 池井戸潤 ]







裏切り・・・池井戸 潤の作品によくでてくるテ一マですよね、この本もそれにちょっと当てはまるかもしれ

ません。

自分の身のまわりで、殺人事件が 起きたことを想像してみる・・・。

猜疑心に使命感、焦燥感みたいなものに苛まれていくんだろうな・・・きっと。

主人公の銀行員の同僚が、不可解な死を遂げるところから物語が始まります。

同僚は死ぬ前に、主人公に対して「これは、貸しだからな・・・。」と謎の言葉を残します。

その言葉に主人公は何のことか分からず戸惑いますが、程なくしてその同僚が車の中で変死体として発見さ

れ、次第に主人公は事件に巻き込まれていきます。

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主人公と死んだ同僚は生前より懇意にしていた為、自殺するような動機は思い当たらず不審に思い、独自で事

件の捜査を進めていくことに・・・。

融資したお金を顧客から回収する仕事を担当していた同僚が、顧客の口座からお金を引き出していたことを、

事件を調べていく上で突き止めますが、どうしてもそれが腑に落ちず深追いしていく主人公に、何者かの魔の

手が襲いかかります。

事件を調べていくうちに、自分が過去に担当した案件に関係があることが判明し、使命感に突き動かされ

事件を解決していこうとしますが、そんな中新たな犠牲者が・・・。

本のタイトル「果つる底なき」は、得体のしれない者から狙われる恐怖を表現したタイトルのような気がしま

す。

著者が元銀行員だけあって、銀行の内部事情がよく描かれていて、作品のイメージを豊かにふくらますことが

できます。

物語を作り出すには、その題材についていかに取材を重ねられるかと研究できるかがよく分かる書籍だと思い

ます。

さて、あなたが何らかの事件に巻き込まれて当事者の立場になった時、どんな行動をとるでしょうか?

まにふぇすと その㉛ 五輪書


五輪書/宮本武蔵【著】,渡辺一郎【校注】


点)





誰もが知っている有名な剣豪"宮本武蔵"。

漫画"バカボンド"でしかこの方を知らない私は、この本を読んで少しでも彼の人生に迫ってみようと思いまし

た。

命をかけてひたすらに強さを求めるその姿勢は、現代人からすると理解できないところがありますが、強く興

味も惹かれます。

彼が生涯を通じて磨き上げた兵法の道を、”二天一流”と名付けて、後世に残したいと思ったところから、この

本が生まれました。

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本書は「地・水・火・風・空の巻」というふうに、5つの段落で構成されています。

五つの段落に分けられて書かれているのは、それぞれ意味があるからです。

まずはじめに「地の巻」についてですが、”二天一流”の見方や考え方について書かれています。

宮本武蔵といえば、”二刀流”という言葉を思い浮かべる方がいると思いますが、彼が二刀流を編み出したわけ

は武士はいつも腰に二本の刀を差しているからで、身に帯びた武具を一つ残らず役立てたいと考えたからで

す、実に合理的な考え方ですね。

次に「水の巻」は、二天一流の兵法が記されています。

生命の源である水を兵法の手本とし、心を水にすることが二天一流の極意とされます。

「水は方円の器に従う」といわれているように、水はどんな形にも合うように自在に形を変えます。

二天一流では戦時の心の持ち方が平常心と違わないように戒められていて、日常であれ、戦闘の場であれ、変

幻自在に即応できる心理状態を保てるように心がけることを説いているので、このことからも、水を手本とし

ていることがよく分かります。

次に「火の巻」についてですが、この段落では戦いについて書かれています。

火には大小強弱があって、火勢のすさまじさや変化の激しさが戦いに通じていることがその理由です。

大きいものは見えやすく、小さいものは見えにくい。

大人数での戦いでは戦術を急に転換することができないのでその動きはつかみやすいが、一人で戦っている時

はその者だけの判断ですばやく戦術を転換できるので、その動きを察知しにくい。

また、戦う時は太陽を背にして戦うことや、先制攻撃を常に意識することなど、いかに自分にとって有利な状

態で戦うか具体的な戦術が記されています。

次の「風の巻」では、二天一流とは関係のない他流派について書かれています。

他の流派を知らずして己の技を上達させることは難しいと考えられていることがその理由で、

他流派に欠落していることを書き記すことで、二天一流の利点を会得するようにと願いが込められています。

最後の「空の巻」では、二天一流の兵法の道を説いています。

「空」というのは「物事が何もないところ」を意味し、「形として目で認知できないこと」を「空」に見立て

るという考え方を示しています。

二天一流を極めていくと、武器を握って戦っていること、あるいは武器が自分の手の中にあることも頭から離

れ、「無」の境地になって戦うようになることが感じられる。

真の「空」を悟らないうちは、自分ではこれが確かな道だと信じこんで、正しいことをしていると自負してい

ても、広い世間の大きな尺度を基準にして評価してみると、各人の好みや見方の偏りなどが原因で、真の道か

らは逸脱していることに気づきます。

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こうしてこの本を見てみると、冒頭の方では彼を理解できないと書いてはいましたが、現代人にも十分通用す

る考え方を持っていた人だったということが分かりました。

社会の評判や体裁を気にしないで、戦いの中でいかに生き残ることができるかに重きをおいていたかがうかが

えますね。

自分自身にも大いに参考になる情報が沢山書かれていましたので、リスペクトしていこうと思います。

まにふぇすと その㉜ 水危機 ほんとうの話


水危機ほんとうの話 [ 沖大幹 ]







生きていく為に、必要なものは何かと言われれば"水"が挙げられますよね。

私は日常でもよく水を飲むので、ふと水についての本が読みたくなりました。

ところで水っていつか無くなると思いますか?

この本はこのような素朴な疑問や、水は課金される時代になるのかなど、水について幅広く書かれ、知的好奇

心がくすぐられる書籍になっています。

この本を読んで知らなかったことや気になった情報をご紹介していきましょう。

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私が無知なだけかもしれないですが、まず、水が大きく3つに分けて表されている点に興味が湧きました。

すなわち、生活用水・工業用水・農業用水という水の分類についてです。

生活用水は読んで字のごとく、健康で文化的な生活を送る為に必要な水のことです。

私たちが必要なのは飲み水ばかりではなく、トイレやお風呂・炊事に洗濯など、たくさんのことに水が必要で

あり、こうして考えるとほぼ何かを洗うことに水を使用しています。

水を使うということは水を汚して水に汚れを運んでもらうことにつながります。

次に工業用水とはどのような水かというと、鉄鋼業や化学工業で製品処理用水に冷却用水・温調用水など何か

を生産する為に使用する水を指します。

ちなみに、生活用水と工業用水という分類を合わせて都市用水というそうです。

この都市用水に含まれないものが農業用水であり、食料の為に使用する水を指します。

田んぼや畑に潤いを与え、景観を形成・維持し、水田や用排水路沿いの動植物の生態系を守る、という役割で

あるのが農業用水です。

こうして改めて水のことを考えると、色々なことに水が使われていることが分かりますね。

もうひとつ、おもしろいと感じたことを書きたいと思います。

”仮想水貿易”という言葉を、この本を読んではじめて知りました。

V・W・T(virtual water trade)  バーチャル・ウォーター・トレードの略で、水資源の少ない国が大量の食

糧を買い込むことにより、本来であればその食料を生産するのに必要な水を使わずにすむということを表す言

葉とのことです。

(例えば石油を大量に持っている国が、石油を売って食料を買い込むことにより、大量の水を買ったことと同

じにとらえる)食料の輸入は”仮想的な水”の輸入であるという考え方です、おもしろいと思いませんか?

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さて、人の営みには絶やすことの出来ない水ですが、この生命の源が無くなることはこの先あるのでしょう

か?

結論からすると、水がなくなることは無いとのことです。

この本によれば、我々が使っている水は地球上にある水のほんの一割にすぎないそうです。

地球全体としては十分に水があるのに、水不足ではないかなど憶測が飛び交うのは、時間的・空間的に水が偏

在している為で、社会インフラや制度、またそれを可能とする投資や人的資源が不十分であることが原因であ

るから、水不足が各国や地域で発生して将来的には水が無くなるのではないか?などとウワサされたりするの

です。

ただ、水不足が起きている国々にとっては深刻な問題であって、水問題の解決に向けて何の取り組みもされて

いないのかといわれればそうでもないみたいです。

人工的に雨を降らせる・雨水を再利用する・節水・海水を飲み水に変えるなど様々な案があるようですが、実

用化していることもあればまだ研究段階の案もあるようです。

水についての知識や、様々な問題をいくつか抜粋してご紹介しましたが、他にもたくさん水について興味深い

ことが書かれています。

たまにはこの本のように、何かについて詳しく書かれている本を読むのも悪くないと思わせてくれる書籍でし

た。

まにふぇすと その㉝ 海賊とよばれた男 <上・下>


海賊とよばれた男 上 / 百田尚樹






海賊とよばれた男 下 / 百田 尚樹







2013年に本屋大賞に選ばれたこの作品は、出光興産の創業者・出光佐三をモデルにした物語で、この本の

登場人物たちは実在した人物だそうです。

1945年、第二次世界大戦が終わって日本は敗戦し、国民全体が途方に暮れ絶望の淵に立たされていた。

主人公の国岡鐵造は、「国岡商店」という石油会社を経営していました。

東京にある国岡商店の本社「国岡館」は戦火を免れましたが、売り物である石油は全く手に入らず

国岡商店も存続の危機に立たされ、従業員を全員路頭に迷わす状況にありました。

そんな中、国岡鐵造は重役たちを前に言い放ちます、「一人たりとも首にしてはならない」と・・・。

そこから、登場人物たちの人生を賭けた熱い戦いが始まっていきます。

石油.jpg


従業員を家族として扱う国岡の姿を見て、部下たちはそれに応えようとラジオの修理など、本業とはかけ離れ

た様々な仕事を手掛けていきました。

一番驚いたのが、旧海軍の燃料タンクの底を浚う仕事である。

命知らずの海軍でも手を出さなかった仕事を、国岡鐵造はモットーのひとつでもある”黄金の奴隷たる勿れ”と

いう言葉に則り引き受けます。

重役たちは直ちに反対しますが、国岡は「この事業を成功させることによって、GHQから日本に石油が配給さ

れることになれば、これほど素晴らしいことはない」と、部下たちにこの事業を行うように指示しました。

とても気概のある勇気ある決断だと思います。

タンクの底で油と泥まみれになるのを厭わず、身を粉にして大儀の為に働く男たちは尊敬できますし人生の参

考になりました。

さて、当時世界の石油市場は、メジャーと呼ばれる国際石油資本(巨大な企業の複合体の総称)が独占的に実

権を握っていました。

メジャーの一つであるイギリスのアングロ・イラニアン社は、膨大な埋蔵量の油田を持つイランを支配してい

ました。

1951年イランは石油の国有化を宣言しましたが、イギリスの反感を買い世界からの孤立を招きます。

イランは有り余る石油を持ちながら、たちまち経済的に困窮してしまいました。

そこで救いの手を差し伸べたのが国岡商店だったのです。

イギリスに支配されるイランと占領下にある日本を重ね合わせ、また国岡商店の未来を切り開く為、イラン国

民を貧困から救おうと立ち上がったわけです。

敗戦国である日本の一企業が、戦勝国であるイギリスを相手にケンカを売るさまが何とも痛快で感動的でし

た。

タンカー.jpg


主人公の国岡鐵造を見て出光佐三という人を想像してみると、人々を同じ目的に向かって導いていくことが、

とてもうまい人だったんだろうなと思います。

仕事を始める時に、必ずその仕事の意義を考え計画して行動に移し、部下たちに自分が持っている情熱を植え

付けていく・・・。

どんな苦境に立たされても、ガッツと行動力で逆境を跳ね返していく主人公の姿は、読んでいて熱くなるもの

がありました。

何かに情熱を傾けている方なら、きっと響くものがあるはず・・。

心が折れそうな時に、この本を読んでみてはいかがでしょうか?

まにふぇすと その㉞ 決断力


決断力 [ 羽生 善治 ]







子供の頃に親から将棋を教えてもらい、友達と遊びで夜通し対局したりしていたので、昔から将棋に興味があ

りました。

以前から読みたかった本の一つである”決断力”をやっと読むことができたので、感想を述べたいと思います。

筆者によると、勝負どころではごちゃごちゃ考えずに、単純に簡単に指せとあります。確かにそうかもしれま

せん。

あまり考えすぎても、いたずらに自分の持ち時間を使ってしまうだけではなく、精神力も体力も浪費してしま

うからでしょうね。

将棋をやっていると、何気ない一手が勝負の流れをガラッと変えちゃったりします。

それは、攻めの一手とは限らなく、守りの一手であったりもします。

この本にも書いてありますが、将棋には流れがあると私も思います。

その流れをつかめるかどうかが勝敗をわけるカギになり、勝機は誰にでもあるわけです。

また、ゲームが中盤になり、駒同士がぶつかりあった時は誰でもその時の一手を考えやすい、争点だけを考え

ればいいからである。

勝負に勝つポイントはもっと序盤にあるとのことで、それは王をひとつ横に動かしていたり、端の歩をついて

いたりと何気ない一手だったりするとこの本では指摘しています。

その一手が駒がぶつかり合った時に生きてくる、まさに勝敗を分けるポイントになるわけですね。

和室.jpg


将棋は交互に自分が指す順番が回ってくるゲームですが、この本を読んでいて気がついたことが、

勝負が少しでも進む一手を指さなければいけないという固定観念を、自分が持っていたことに気づかされまし

た。

時には相手の出方を見るというか、わざと関係ない駒を動かしたり、動かした駒を元の位置に戻したりして、

自分の順番を相手に渡すというか、あえて相手に勝負を進ませることも必要なのかなと思いました。

そうすることで、相手のミスを誘うこともできますし、対局前あるいは対局中に決めていなかった、その対局

に対する自分の方向性が見えてくるということもあるんでしょうね。

この本で一番気になった言葉が、”直感の七割は正しい”ということが書かれていました。

対局中にパッと閃いた一手が、あとで検証すると七割ほどが正しい選択をしているとのことです。

この情報は将棋に限らず、あらゆる業界の方にもどこかしらあてはまるのではないでしょうか?

仕事や勉強をしていて、経験や知識から思わず体が動いたあるいは質問に答えたことが、あとで考えると無意

識に近かったけれど正しいことをしていたということ、経験ありませんか?

このように、将棋に携わる方以外の業界にいる人が本書を読んでも、参考にできることが多く書かれている書

籍だと思います。

まにふぇすと その㉞ 嫌われる勇気・幸せになる勇気


嫌われる勇気 [ 岸見一郎 ]






幸せになる勇気 [ 岸見一郎 ]








以前、本屋さんに立ち寄った時に、この本が片隅に積まれていて、機会があったら読むつもりでした。

ひねくれた物事の捉え方・・・それがこの心理学の第一印象でした。

一方で、耳をかたむけずにはいられない、そんな説得力をもっている・・・、この本を読んでそんな感想を持

ちました。

というのも、心理学というものに、以前から興味がありました。

興味があったんですが、どんな本を読んだらいいのか分からないから、心理学というものに踏み込めずにきて

いたんですが、そんな時に出会ったのがこの本です。

この本の登場人物は、”哲人”と”青年”という2人の人物しかいません。

この2人による対話形式で、アドラー心理学を分かりやすく解説しているので、私みたいに心理学初心者みた

いな方に向いている本ではないでしょうか?

この本を読んで印象に残った考え方や物事の捉え方を、以下にご紹介していきたいと思います。

書斎.jpg

本書に登場する"青年"は、"哲人"に自分が目を背けたくなるような現実や事実をあげつらわれ、激情する場面が

何度も出てきます。

それは、認めたくはないが心当たりのある事ばかりなので、反論することができない。

アドラー心理学が、いかに人間の奥深い心理に焦点を当てているかが分かります。

ある人が他者に向かって何か怒鳴り散らしている時に、第三者からみれば何か”原因”があって他者が怒鳴られ

ていることを想像しますが、アドラー心理学によれば、ある人に何か怒る”目的”が先にあって、他者に向かっ

て怒鳴り散らしているという解釈になります。

つまり、他者に言葉で説明することを省き、大声で相手を威圧し、自分の主張を押し通すために”怒りの感情を

捏造した”という説明になります。

また、アドラー心理学ではトラウマを否定するそうです。

過去に何かあったとしても、現在の自分には関係ない。

例えば、家庭環境が悪かったから暗い性格になったと語る人がいたとします。

それは家庭環境が原因と考えるのではなくて、他者と関わることで傷つくことが嫌だからという目的が先にあ

って、暗い性格に結びついたと考えます。

このあたりは少しついていけない考え方だと思いますが、一方でそういう解釈の仕方もあると納得せざるを得

ません。

あるいは、アドラー心理学では、人が幸せになる為には、人や社会の為に何かに貢献する”貢献感”が必要だと

説きます。

人は誰かの役に立っていると思えた時、自らの価値を実感できて幸福を感じることができると・・・。

人が生きていく上で、財産や地位を築いていくことは大事なことだと思います。

でも、それだけでは何かちょっと物足りなりなくて、さみしい人生になってしまいかねないと思うので、この

考え方は参考にしたいと考えます。

拒絶したい考え方もあれば、参考にしたい考え方もあり、読み終わった後は複雑な思いですが、総合的には面

白い本だったと思います。

まにふぇすと その㉟ スマイル!


スマイル! [ 小口 良平 ]







この本を読んで、自転車で世界一周旅なんて、こんな生き方をしてみたいなぁと、つくづく思いました。

私と同じように旅好きな方には、この本をぜひおすすめしたいと思います。

世界には、私の知らないことが多すぎる!!

世界一周の旅なんて、もう少し若ければ・・・、もう少し経済的に余裕があれば・・・など、色々考えてしま

って二の足を踏んでしまいますよね。

でも、この本の作者は違いました。

この旅の為に、800万円ものお金を貯めて、8年半もの時間をかけて、世界一周旅をやってのけたのです。

その意志の強さと覚悟には、本当に驚かされました。中々出来ることではありませんよね。

さて、どんな出来事が彼を待っていたのでしょうか?

パタゴニア.jpg


まず驚いたのが、タジキスタンでの出来事で、作者が夜中に用を足すためにテントから出たところ、星が襲っ

てくるように”降っていた”そうです。

人が大自然に直面した時は、感動よりも恐怖を抱くとのこと。一度でいいからそんな星空を見てみたいです

ね。

今度はトルクメニスタンでのことです。

作者が訪れた時期のトルクメニスタンの気温は45〜50℃で、走行ルートに250kmもの砂漠地帯があ

り、食料も水も手に入らないところを通らなければならず、しかも、ビザが3日間しか下りなかった為、総走

行距離470kmを3日間で走りぬけるという命がけのタイムトライアルをやってのけていました。

また、ハンガリーにおいては最高気温がマイナス10℃にしかならず、寒すぎてテントを設営する場所にも困

り、彼が五つ星ホテルと名付けた場所は、何とガソリンスタンドのトイレの中でした。

なぜなら風が遮られるだけで5℃程気温が変わってくるそうです。

 アラスカのデナリ国立公園での出来事で、作者が大自然を満喫しながら自転車で走っていると、目の前にグ

リズリーの親子が現れたとか・・・。

最低でも50mの距離を開けていなければ危険だと、現地の人に言われていたらしいが、突然のことだったの

で遭遇した時は20m程だったという。

そこでも何とか事なきを得て、今度はアメリカにたどり着き、とある図書館裏で野宿をしていた時、図書館の

警備員に出ていくように言われてもめていると、背後で「カチリ」と重い鉄の音がしたそうな・・・。

ゆっくり振り向くと、作者に銃口が向けられていた。

相手は冗談で銃口を向けていたが、命を弄ばれた悔しさと恐怖でその晩は眠れなかったとか・・・。

他にもまだご紹介したいエピソードがたくさん書かれていましたが、これぐらいにしておきます。

作者はこの旅で、たくさんのお金と時間を費やしたでしょうけど、貴重な経験と旅先で出会った無数の笑顔

は、彼のかけがえのない財産になっていくのは間違いないでしょうね。

まにふぇすと その㊱ 紙の月


紙の月 [ 角田光代 ]







女一人の逃避行・・・。

彼女は….パンドラの箱を開けてしまったのだ。

”横領”という名の….重くて危険な蓋を・・・。

犯罪に手を染め、麻痺していく日常・・・。

果たして、最後に箱の底に残るものは・・・。

ホテル5.jpg


主人公の梅澤梨花は専業主婦で、夫と二人つつましく平凡に暮らしていました。

夫の正文はやさしくて、裕福までとはいかないがそれなりの給料をもらってくるので、妻の梨花としては働く

必要がなかった。

ただ、子供には恵まれず、退屈で刺激があまりない日々が続きます。

時折、夫の正文が見せるちょっと傲慢な態度、養ってあげている的な言動に、梨花は違和感を覚えながらも円

満な家庭を築いていました。

時間を持て余した梨花は、銀行で営業としてパートタイマーで働くことにしました。

人あたりのいい梨花はやがて、多くの顧客の心をつかんでいき、成績が評価されるようになっていきます。

そんなある日、顧客の家を訪問していた梨花は、その顧客の孫だという大学生の平林光太に出会います。

感情をストレートに表現する光太に、いつしか惹かれていく梨花・・・、やがて関係を持つことに・・・。

光太の前では、裕福な家庭で暮らしていることを演じていた梨花は、顧客のお金に手をつけ、ついに一線を越

えてしまいます。

この本に限らず、主人公が転落していくところを読んでいると、何だかやるせない気持ちになりますよね。

人が犯罪に手をつけていく描写が、生々しくあまりにも普通に描かれていると思います。

あとは、梨花の知り合いが何人かこの作品に登場しますが、彼らの目線で物語が語られているくだりが、作品

に彩りを与えていると思います。

”人の振り見て我が振り直せ”・・・フィクションの中のことですが、魔がささないように気をつけましょう

ね。

まにふぇすと その㊲ 点と線


点と線 [ 松本 清張 ]







博多の海岸で、男女二人の死体が発見されるところから物語は始まります。

わりと序盤に犯人は推測できました。

犯人を予想する推理小説の醍醐味みたいなものを考えると物足りないかもしれませんが、この物語は犯人のア

リバイ崩しに面白みがあると考えます。

犯人の鉄壁のアリバイを主人公の刑事が少しずつ崩していくプロセスが、味わい深く読み応えがありました。

一見すると心中に見えるこの事件が、やがて殺人事件ではないかという疑惑に変わっていきます。

というのも、男の遺体から列車食堂の受取証が見つかったからです・・・。

捜査が進むにつれ、二人は東京から列車に乗って博多にきていたことが判明しました。

東京駅で博多行きの列車に、遺体で発見された二人が乗り込むところを見たという目撃者が現れたことから、

心中する為に博多まできていたのであろうという意見が警察の見方では多数を占めていましたが、男の遺体か

ら列車食堂の受取証が発見されて、心中事件という結論に疑問を持つ刑事が現れます。

受取証に記載された”御一人様”という文字に違和感を覚えたのです。

普通カップルで旅行していると、連れの男性が列車の食堂で食事する時に、空腹ではなかったとしても一緒に

同行している者としては何かつきあうはず・・・というのがその刑事の見解でした。

刑事という職業の観察力や推理というものが、よく表せていると思います。

機関車.jpg


この後の展開としては、犯人の尻尾をつかんだかと思えば、巧妙なトリックに道を塞がれるというようなじり

じりした感じに読み手としては翻弄されると思います。

犯人を追い詰めたかと思えば、するりと逃げられるという展開が幾度となく出てきて、読んでいてはがゆくも

あり面白くもありました。

夜行列車や電報など古き良き時代を感じさせてくれるキーワードも、この本の魅力の一つだと思う一方で、

ネットや携帯電話がない時代の不便さも同時に感じました。

作品全般に漂うレトロな感じは、広い世代の方々に読んで頂きたくもあり、尚且つおすすめしたいこの作品の

魅力だと思います。

まにふぇすと その㊳ 地図の想像力 若林幹夫



地図.jpg


この本のサンプルがなかったので、今回はこれでご容赦下さい。

地図という表現は、人間の歴史の中で様々な時代に、様々な場所で独自に「発明」されてきたそうです。

地図を作って利用することは、人間の社会の中で普通に行われてきた現象なのである。

この本の中で、先人が作った地図がいくつか紹介されていました。

その地図の中には、現代人が通常見るような「地形」や「地域」を示しているものではなくて、

死者を表したり、神聖な場所を示したりする地図もあって、とても興味深く眺めてしまいました。

きっと、その時代・その場所で入手できる情報をできるだけ駆使して、それをもとに作られているんだろうな

という思いを巡らしつつ自分がちょっと物知りになったような気分に浸ってしまいました。

地図 古い.jpg


ミンダナオ島のタサナイ族という民族は、森の中に小さな居住地を自分たちなりに持っていて、そこから外へ

出ることをためらう。

ロシアの文盲の農夫たちは、自分たちの狭い空間から外に出ると空間の関係をうまく把握することが出来なく

なる。

他方、シベリアの原始的な狩猟民は、自分たちの知識を地図の象徴言語に移すことができる。

マーシャル群島の航海者たちは、経験上で知り得た知識を、棒や貝を使って共有の情報としていった。

なにが言いたいかというと、土地や空間に関する情報を、地図的空間として把握する能力は、ある社会が

土地や空間とどのように関わっているのかという社会の形態と関係しているということです。

航海や狩猟という活動においては自然環境を情報として正確に読み取り、その中に自身とその活動を位置づけ

ることが重要であるから、地図的空間を自分の中で思い描く能力が必要になってくるんでしょうね。

おもしろいエピソードをもうひとつ・・・。

測量のことについてですが、イラクのヌジというところで発見された紀元前2300年の粘土板に刻まれた地

図には、耕地の面積や測量の結果が書き込まれていたそうです。

古代のエジプトからは同じような地図の発見はないですが、幾何学誕生の地であり測量技術も発達していたこ

とや、徴税の為の所有地の調査やナイル川氾濫後の境界の再画定が必要だったと考えられることから、古代エ

ジプトでも地図が作られていたのではないかと推測されているとのことです。

現在の地図と比べて精度や規模ははるかに違うと思いますが、ものさしも巻き尺もなかった時代にどうやって

距離などを測量したのかなどと考えると興味がつきません。

現代はGPSナビゲーションというものがあり、すっかり地図を広げて見る機会も少なくなりましたが、この本

を読むと地図のありがたみが改めて分かりました。

考古学が好きな方や旅行好きな方などにおすすめの本です。
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はじめまして。そしてわが掲示板へようこそ! 私は別に本の虫というわけでもないですが、子供の頃からよく推理小説や、ゲ−ムブックを好んで読んでいました。 ここでは、わたしがこれまで読んできた知的好奇心をくすぐる本や感動する本を、しれっとご紹介していこうと思います。 気がむいた方や、暇を持てあましている方はぜひ立ち寄ってみて下さい。
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