2019年09月20日
がんばれの言葉が人を萎えさせる理由?
こんにちは!
ぺぎそんです。
さて、自動車教習所で練習していると、「右にカーブするときは右を見るように」と指導される。
実際、右にカーブするときに左の景色を見ていると、思いのほかハンドルが切れずに、壁に激突しそうになってしまう。人間は、視線の方向に意識が引きずられてしまうらしい。
言葉にも、視線に似て、意識を引きずる力がある。小泉純一郎氏が首相に就任したあたりから以降というもの、「これからは競争社会。のんびりしていたら社会から取り残されてしまう」と脅され続けてきた。他人はみな競争相手、敵であり、押しのけていかなければならないような気分にさせられてきた。「勝ち組」「負け組」という言葉も登場したりした。
実際には「そんなことはない、人は助け合わなければ生きていけない、競争ばかりで世の中が回るのだろうか」と、納得いかなかった人も多かったのではないかと思う。しかし、言葉は、視線と同様、意識を引きずる力がある。「そんなことはない」と心の中で否定してみても、「いやおうなしにそっちに世の中は進んでいくのかな」と、結局引きずられてしまう。
「言霊」という言葉がある。口にしたことが実現するという考え方で、自分が将来なりたいものがあれば、それは口にした方がいいよ、と勧めるビジネスコンサルタントもあるようだ。確かに、言葉には、視線と同様、意識をそちらに持っていく力がある。だから、自分の夢を言葉にするということには、一定の意味があるのだろう。言葉には、自己実現してしまう力がある。
●熱血指導で気力を失ってしまった学生
ところで、言葉には、額面どおりの意味とは別に、「裏のメッセージ」があるように思う。そしてしばしば、「額面どおりの意味」よりは、「裏のメッセージ」の方が人を縛ることが多いように感じる。「裏のメッセージ」によっては、人を奮起させることもあれば、逆に意欲をこの上なく萎えさせることもある。本稿では、そのことを考えてほしいぺんっ!
夏から、、疲弊しきっていた。研究が楽しくて仕方ない先輩から熱血指導を受けて、連日朝早くから実験し、終了は深更に及び、土日も一緒に実験しよう、という日々。先輩は楽しいので実験が苦にならず、土日だろうが夜中だろうが起きている間、ずっと実験していても平気。しかし、それにつき合わされていたその学生は、もはや研究に嫌気が差し、気力が湧かなくなっているようだった。
これでは研究するどころか、研究室に来なくなってしまうかも。それくらい、疲弊しきっていた。そこで最初の指導は、「ちょうど夏休みだ。7月、8月の間は、遊んで来い。研究室に顔を出すな」。
そしたら、本当に、まったく顔を出さなかった。9月になって顔を出すかどうか、少々不安になるくらい。
9月になると、ちゃんと研究室に顔を出してきた。疲れは取れたようで、顔は晴れ晴れとしていた。けれど、まだ研究への嫌悪感が取れていない様子。実験の話をしても、気乗りしない反応。
「朝何時に来るかは任せる。ただし、実験は5時まで。もし実験の途中であっても、手を止めて帰るように」
毎朝10分ほど、その日の実験計画を説明してもらった。先輩に指導してもらっていたときのクセで、たくさんの仕事をこなさなければ、と考えるらしく、無理な業務量の計画を持ってきた。しかし、研究に嫌悪感が出ているのだから、そんなにできるはずがない。また心が疲れてしまう。
「これとこれ、今日中なんて無理。これも5時までに終わるはずがない。これも、5時までに終わらなかったら途中でやめて帰るように」と、少なめに。
本人には、修士論文を書くにはもう数カ月しかないのに、という不安があるようだが、指導者である私が「やらなくていい」というので、学生さんは少なめの実験業務にした。
●やる気を取り戻すきっかけ
少なめだから、確実にこなせる。前は、とても1日でこなしきれない量の実験を課されて、自信を喪失した上に疲れきっていたけれど、今度は余裕をもって着実に実験を終えることができ、決して自分の手際が悪いわけではないようだ、と、自信が少しずつ回復してきた様子がみえた。
「今日はこれをやりたい」と学生が言ってきた。私は「これ、5時までに終わらないと思うけれどな。まあ、やってごらん。ただし、5時になったらやめて帰るように」と伝えて。
案の定、5時までに終わらない。「はい、終わり。帰って帰って」作業が途中であっても、手を止めさせ、帰らせた。そんな日が続くと、だんだん、「実験したいのにさせてもらえない」という不満の方が高まってきたようだ。「やるべき実験量に気力が追いついてこない」という状態から、「気力に見合う実験量をさせてもらえない」という逆転現象が頻発するようになると、学生さんの中に残っていた研究への嫌悪感が消え、むしろ「研究したいのにさせてもらえない」という気持ちに変化していったようだ。
ある日、学生さんが、なんとしても私を説得してみせるという決然とした顔で、「どうしても今日はこの実験を終わらせたい。5時までに終わらないけれど、どうしても最後までやらせてほしい」と言い出した。
私は、「君がそこまで言うなら、仕方ない。けれど、あまり根をつめすぎないように。時間があるからって、たくさんの実験を詰め込まないように。休憩をしっかり取るように。なるべく早く終わらせて、遅くならないように」と、抑制するように伝えた。
その日から、その学生さんは怒涛の勢いで実験するようになった。夜遅くなっても帰ろうとせず、実験しようとするので「こりゃ! いつまでおる! もう帰れ!」と制止した。私の方で、健康を害さない程度に制限しなければならなかった。
わずか数カ月で大量の実験をこなし、見事な修士論文を書き上げた。
●「がんばれ」の裏に「まだお前はがんばってない」のメッセージ
なぜその学生さんは、先輩の熱血指導を受けたとき、疲れ切り、研究に嫌悪感を持ったのだろうか。「がんばれ」という言葉には、「お前は励まさないとすぐにサボるし、やろうとしない人間」という「裏のメッセージ」を感じさせる面がある。この裏のメッセージがあると、「がんばれ」という表向きの励ましの言葉とは別に、「私はがんばっているのに、まだがんばっているうちに入らないのだろうか? もっとがんばれない私はダメな人間なのだろうか?」という、自己イメージの低下につながる。いくらがんばっても「がんばれ」という言葉の裏側に、「おまえはもっとがんばるべきなのにがんばっていない」というメッセージを嗅ぎ取って、それが気力を奪っていく。
そこで私は逆の事をした。「がんばりすぎるな、無理をするな」というメッセージを繰り返した。この言葉には、「君は制止しないとがんばりすぎてしまう人間、ついつい無理をする人間」という「裏のメッセージ」が貼りついている。すると、言葉の額面どおりの意味とは別に、「そうか、私はちゃんとがんばってるのか。止めないといけないくらいにがんばり屋なのか」と、自己イメージが回復する。自分を肯定的に見ることができると、気力が湧いてくる。そして、自分を肯定的な存在に変えてくれる仕事を、次第に好ましく感じてくる。すると、仕事への意欲も湧いてくる。
●「裏のメッセージ」をデザインするという発想
日本は、「言霊」信仰があるせいか、言葉は額面どおりの意味だし、相手にも額面どおりに伝わると考えがち。そして、言葉の表向きの意味どおりに、相手を動かせると考えがちなように感じる。
しかし、人はしばしば、「裏のメッセージ」に動かされる。「期待しているよ」という言葉の裏には、「俺の期待にこたえなければ、どうなるか分かっているだろうな」という脅しのニュアンスを嗅ぎ取ってしまうし、「君はどう思う?」という言葉には、「あなたはきっと答えにたどり着ける人だ」という信頼を裏側に感じさせる。「裏のメッセージ」には、言葉の表向きの意味以上に、私たちの心を動かす力がある。
だから、上司が部下に言葉をかける際には、言葉が額面どおりに伝わるとは考えずに、「裏のメッセージ」の方が強く伝わると考え、注意した方がよい。そして、「裏のメッセージ」をどうデザインするかで、部下の意欲を沸き立たせることもできれば、逆にひどく気力を萎えさせることにもなるということを、意識してみるとよい。
うまくいかない人は、「命令」という、額面どおりに動かすことを目的にした言葉を採用することが多い。しかし、命令には、「お前は命令しないと動かない、怠惰な人間だ」という「裏のメッセージ」が貼りついていて、部下の気力を損なうことが多い。それは長期的に見れば、士気を下げ、会社全体の活性を落とすことになる。
しかし、「裏のメッセージ」こそが、部下の意欲に直結するのだということが理解できれば、言葉を選択、工夫、デザインする重要性に気づけるはずだ。「裏のメッセージ」をいかに駆使するか。そこに意識を置いてみてはいかがだろうぺんっ!
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