2007年06月29日
ウェールズについて
イギリスと言えばロンドン、あるいはロンドンを首都とするイングランドの事と思っている人が多い。現実にイギリスの政治経済の中心は現在、イングランドに集中している。では、スコットランド、アイルランド、ウェールズって何だろう。一地方なのか?
私はたまたま住んだのがウェールズであったと言う幸運に恵まれたので、イングランド以外のイギリスについて感じたりする機会が多かった。
私は歴史家でも何でもないが、有史以来のイギリスの様子はざっと次のようになる。もともとブリテン島には、ケルト系住民が住んでいた。ローマ時代にはローマの影響をかなり受けた。そこへアングロサクソンがやってきて、ケルト人を西と北に追いやった。資料によるとイングリッシュとはもともとアングロのことをさしていたらしい。
西に逃げたケルト人がウェールズ人、北へ逃げたケルト人がスコットランド人となった。アイルランドもケルト系である。イングランドにはその後、バイキングがやってきてかなりの勢力を持っていたらしい。したがって、イギリスをあちこち回ると、民族、文化が移動していった証拠を目にすることになる。
イギリス人が、自分はイングランド人だとか、ウェールズ人だとか言うときには、人種的な血筋より、自分が生まれたところを根拠にすることが多いようだ。ちなみに履歴書に書くときには"ブリティッシュ"と書く。
さて、ウェールズは言ってみればイングランドに支配されている形になっているのだが、そう言う意味では何かと問題になっている北アイルランドと同じだ。違うのはイングランドに統合された時期だ。まず、ウェールズが、次にスコットランドが、最後に北アイルランドがイングランドに統合された。
したがって、北アイルランドではイングランドからの独立、すなわちアイルランド統一の機運が高いのに比べると、ウェールズは一見、独立に積極的ではない。しかし、ウェールズの国旗であるレッドドラゴンは、赤い色が血を、ドラゴンが独立を表しているらしい。
しかし、現実問題となるとイングランドからの独立は、すなわちロンドンのシティーと呼ばれる収入に支えられたイギリス経済から独立することであり、ゆりかごから墓場までと言われた高福祉国家と決別し、生活レベルを落とすことになる。
現在、話題になるのはむしろ、スコットランドやウェールズでの自治権が大幅に認められてきた事だろう。これが現在の実情を端的に物語っているといえよう。
スコットランドではイングランド銀行の発行するポンドとは別に、スコットランド銀行のポンドも発行されている。湖水地方から、ヨークを結ぶ線より以北では、盛んに使われている。スコットランド銀行のポンド紙幣はイギリス中で使用可能となっていて、お店は受け取りを拒否することはできない。
ウェールズではウェールズ語が使われている。イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドはそれぞれが国であり、首都がある。有名な五カ国対抗ラグビー戦とは、イギリスの四カ国とフランスを合わせて五カ国と呼んでいる。ワールドカップでも、やたらイギリス勢が多いのは、イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドと別々に出てくるからだ。(ちょっとインチキくさいが)。
ウェールズの首都はカーディフだ。国境もあるが、地図上の問題だけで現実には自由に行き来できる。"ようこそウェールズへ"なんて言う看板が出ているぐらいだ。
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イギリスウェールズ思い出し笑い